1月9日から11日まで千葉県幕張メッセで開催された東京オートサロン 2015 with NAPACの会場で、ロータス・カーズ日本正規販売輸入代理店のエルシーアイ株式会社は、2015年SUPER GTシリーズのGT300クラスに参戦する「SGT-EVORA」を公開。日本で最も観客を集めるレースに、今年はロータス エヴォーラが出場する。

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9日に行われた発表会で初めて公開されたマシンは、ワイドに張り出したフェンダーやリア・ウイングをはじめとする空力パーツで武装されてはいるものの、その核には確かにロータスが2009年に発表した2+2シーターのミドシップ・クーペ、エヴォーラの面影が見える。しかし、実はそのシャシーはロータスの市販モデルでお馴染みのアルミ押し出し材を接着して製作されたものではなく、SUPER GTシリーズを運営するGTアソシエイションがプライベーター・チーム向けに販売する「GT300マザーシャシー」と呼ばれるカーボンファイバー製専用モノコックをベースにしている。つまり、2014年10月にタイで行われたSUPER GT第7戦でデビューした、トヨタ 86のGT300マシンと共通というわけだ。




エンジンも同じGTアソシエイションから供給される自然吸気4.5リッターV型8気筒を使うが、エヴォーラでは市販車と同じくミドシップに搭載(しなければならない)。マザーシャシーは基本的にフロント・エンジン用に開発されたものなので、マシンを製作した株式会社ムーンクラフトの由良拓也氏によれば「実は大変な苦労をしている」とのこと。「ちょうどGT500クラスで、ホンダ NSXもFR用のシャシーをミドシップに変更しているいますが、彼らが如何に苦労したか、我々も充分理解することができた」と語っていた。モノコックとエンジンの他に共通パーツとなるのは、トランスミッション、サスペンションのハブとアップライト、ブレーキ、そしてフロントのチンスポイラーとリアのディフューザー。それ以外のパーツは新たに作らなければならなかったそうだ。

また、FR用シャシーでミドシップにエンジンの搭載位置を変更すると、GT500のNSXのようにドライビング・ポジションも窮屈になってしまいがちなのだが、市販車のエヴォーラは2+2レイアウトであるため、その分のスペースが縦置きされるV8エンジン(市販車のエヴォーラはV6エンジンを横置き)のために使える。その結果、「ドアの後ろにきちんとリアのバルクヘッドを収めることができた」そうだ。前後重量配分は45対55。ちなみにトヨタ 86は前52対後48だとか。同じシャシーとパワートレインを使用しても、FRとミドシップという市販車の特性による違いはレースにも現れるだろう。




市販車のエヴォーラのスタイルをベースに作られたこのレースカーのデザインについて、由良氏は「最近のスポーツカーを見ていると、フロントにラジエターの開口部が何個も開いていて、エグイという言い方をしては失礼ですが、そういうクルマに対し、エヴォーラはとてもクラシックな、実は私の大好きな、1つのきれいなオーバルの口が開いている。デザインしていく上で、その辺はしっかり踏襲した」と語る。また、サイドからリアに掛けて、グラスエリアがX型に交差するところなど、「エヴォーラの持っている基本的な、きれいなクルマのイメージを崩さないで開発しました」とのことだ。エアロダイナミクスに関しては、必要以上に開発して速いクルマを作り上げても、BOP(性能調整)によってウェイトを積まれたり、吸気リストラクターでパワーが制限されてしまうので、過度な空力開発をするよりは、バランスに優れ、セッティングする範囲が広いクルマを目指して仕上げたそうである。

とはいえ、決して保守的なデザインというわけではなく、大きく張り出した前後フェンダーと、その間のくびれたコクピットという、レーシングカーの基本であるる「"ボン、キュッ、ボン"ライン(由良氏)」を活かすため、「逆アールで立ち上がったフロント・フェンダーと、エッジではっきり分かれたリアのフェンダー・ライン、新しい形のインテークなど、斬新なトライもいっぱいしている」そうだ。



市販車のエヴォーラとは、シャシーやドライブトレインが別物であり、エクステリアも大きく異なってはいるのだが、ドアやルーフは「市販車のエヴォーラから型を取って、軽量なカーボンファイバーで作っているので、(市販車と)同じものを使っているわけではないけれど、形は同じ」だとか。ドアノブとテールランプ、そしてロータスのエンブレムは市販車のパーツをそのまま使用しているそうだ。同じGT300クラスを走るFIA GT3マシン(ポルシェ911メルセデス SLS AMGなど)ほど市販車に近くはないが、エンジンの搭載位置さえ変更可能なJAF-GTマシン(トヨタ プリウス GTやホンダ CR-Z GT)に比べれば、充分にベース車とのつながりが感じられる。速さのためには形振り構わない尖ったクルマではなく、1970年代のグループ5マシンのような、どこかクラシックなレースカーを想わせる魅力もある。きっとロータス・ファンの方は、"由良さんが担当してくれてよかった"と思っているのではないだろうか。




ドライバーを務める高橋一穂選手は「クルマは速いと思うので、あとはドライバー次第というか。去年のマクラーレンでは色々課題が見つかって、それを克服するために色々取り組んで改善してきたので、今年はいい成績が残せるんじゃないかと。まずは全戦必ずQ1を突破。それからこのクルマは(形状に)抑揚があるため、ぶつけると壊れやすいので、そこも気を付けて頑張ります」と語っていた。

もう1人のドライバーである加藤寛規選手は「個人的に今まで色々なコンストラクターとマシンの開発に関わってきましたが、エヴォーラはイギリスのブランド・イメージと強烈なレーシング・イメージ、これを持った車両をムーンクラフトさんがさらに磨き上げてくれるということで非常に期待しています。まず第一印象で見た感じ、"ヤバイな"っていうオーラがクルマにあったので、みんなで頑張って一番高いところを目指していきたいと思っています。僕はこのエヴォーラで、サーキットを誰よりも速く走ってみたいと思っています。応援よろしくお願いします」と意気込みを語った。

2015年のSUPER GTは、4月4日・5日に岡山国際サーキットで行われる開幕戦から、11月14日・15日のツインリンクもてぎで行う最終戦まで、全8戦が予定されている。イギリスのスポーツカーをベースに日本で開発されたSGT-EVORAが、世界各国の名門レーシング・スポーツや、国産ハイブリッド車モンスターを相手にどのような戦いを見せてくれるか、今から非常に楽しみだ。






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