BMW Motorrad S1000R

バイクの醍醐味と言えば、盆栽とも例えられるカスタム。そんな純正パーツを身にまとったBMW Motorradのストリートファイター『S1000R』のカスタム車両に試乗した。『S1000R』といえば、BMW Motorradが2009年に発表したスーパースポーツモデル『S 1000 RR』をストリートに最適化し、2013年のミラノショーにて発表されたネイキッドモデルだ。まさしく、スーパースポーツのエンジンを搭載した"正統派"のストリートファイターということになる。

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近年、ストリートファイターというジャンルのバイクがたくさん登場しているが、そもそもストリートファイターとはどんなバイクなんだろう? という方に向けてちょっと解説。前衛的で尖ったデザインが特徴的で、異形型ヘッドライトを備えハンドルの幅が広くアップライトなポジションになっているネイキッドタイプのバイクのことをそう呼ぶことが多い。

しかし、元はといえば、ヨーロッパで生まれたカテゴリーのひとつで、80年代から90年代にフルカウルをまとったレプリカタイプのスーパースポーツのカウルを取り外し、セパレートハンドルをバーハンドルに変更して、ストリートで最強となるマシンを作り上げたことが始まりと言われている。

ネイキッドとはいえクラシカルなスタイルとは異なり、ツインショックがモノサスに、重いアルミフレームが軽いスチール製に、タイヤがバイヤスからラジアルといった感じに太くなり......、と足周りやエンジン特性フレームまでも、よりスポーツ方向に振って作られたモデルなのだ。

70年代から80年代にかけて生まれた"カフェレーサー"文化が違うベクトルに進化した姿ともいえ、個性や最速を追求したカスタムの文化から誕生したジャンルともいえる。現在正しい定義はないが、一見トランスフォームしそうな厳ついバイクをみたら、それがストリートファイターと思って間違いない。

BMW Motorrad S1000R

『S1000R』もそんなストリートファイターとジャンル別けされるモデルだが、他にはトライアンフの『デイトナ675』のエンジンを搭載した『ストリートトリプル』、スズキの『隼』をベースに開発された『B-KING』、カワサキの『XR-9R』のエンジンがベースとなって登場した『Z1000』(現在は完全新設計)、ホンダでは『CBR』をベースに開発した『ホーネット』や『CB250F』、ヤマハでは『R1』のエンジンがベースとなった『FZ1』、DUCATIの『1098』のエンジンを搭載して登場したその名の通り『Streetfighter』(現在は848のエンジンを搭載したStreetfighter 848のみ)などが代表的なモデルとされている。

というわけで、世界スーパーバイク世界選手権(SBK)でも活躍を見せる、水冷の直列4気筒エンジンを搭載した『S1000RR』をベースとして登場した『S1000R』は、テールがかちあがったシャープなデザインが特徴的だが、どちらかというとカウリング部分が多く一見スーパースポーツ寄りに見える。しかし、独特のフロントマスクとバーハンドルを見たら一目瞭然、まさにストリートファイター系。さらには最新鋭の電子デバイスを搭載し、RordとRineが選べるライドモードに加え、"レースABS"と"ASC(オートマチックスタビリティーコントロール)"を標準装備している。

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特筆すべきなのは"DDC(電子制御可変ダンパー)"で、サスペンションをソフト、ノーマル、ハードとボタン操作ひとつで変更できるシステムなのだが、体重が軽い女性にとってはありがたい代物。基本、バイクのセッティングは男性の体重が基準となっており、マニュアルなどを見ると70kgや外車になると75kgなんてざらになってくる。これでは女性が乗ってもサスペンションが思い通りに機能してくれるはずが無い。

BMW Motorrad S1000R

乗りづらいなぁと思っていても、怖い思いをしながら我慢して乗っている女性が多い。せっかく減衰やプリロードの調整ができるバイクに乗っていたとしても、いじっている人は残念ながら少ないという(女性だけじゃ無くて男性にも多いかも?)......。なぜかといえば、わかりにくいから。右に何クリックとか、そんな見た目にもわかりにくい調整にはなかなか手を出しにくいし、車体がちぐはぐになってしまったら怖い。さらには乗った人の感覚でしか正解が解らないというのも、なんともややこしい代物に思えてきたりするだ。

しかし、そんな見た目だけでもわかりやすく表してくれるのが"DDC"というわけで(いや本当はそれだけじゃないんだけれども)、今まで手が出せなかった、もしくは知らずに我慢して乗っていた女性でも、簡単に調整ができてしまうという便利なシステムなのだ。いままでスーパースポーツ系のトップエンドモデルにしか搭載されていなかったが、ストリートファイターとはいえ、ネイキッド系のバイクに搭載してくれるというのはさすが! いつの日かDDCがどんなバイクにも普通に標準装備されてくれたら、みんなが幸せになること間違いないのにな、と期待せずにはいられないほど、その性能に感動したのだ。

BMW Motorrad S1000R

ということで、さっそく走行モードとDDCをいじりながら試乗。最初はノーマルで走行したが、雨の日だというのに全く怖くない。これじゃモードを変えてもよくわからないのかなぁと不安にもなったが、RainモードにしてDDCをソフトと極端に変えて走行してみると、路面への安心感が格段に上がった。エンジン出力もソフトになり、スロットルのレスポンスもやや柔らかめに。さらにはしっかりと路面への接地感を感じることができたので、それなりのペースで楽しむことが出来る。もしかしたら女性なら、普段もDDCはソフトで走行した方がいいのかもしれないと思うくらい。

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ブレーキのききはさすがによく、かっつんとまでは行かないけれど、それに近い状態だが怖くない程度に思った通りの感覚で減速してくれる。ストリートファイターと聞いて、もっと凶暴な乗り味なのかも? と不安ではあったのだが、軽くて速い。コーナリングは意識的に身体を入れた方が鋭く曲がれるが、きわめてナチュラルに乗りこなすことが出来た。ただ、足付きはとても悪く片足しか付くことができない。腰をずらしたら、しっかり片足だけは付くことができるし、スリムなシート幅と軽い車重に助けられて、そこまで恐怖には感じないが、恐怖を感じる人は多いかも知れない。でも、ローダウンリンクなど、さまざまなパーツが登場しているので、その問題はカスタムでクリアできてしまうだろう。

BMW Motorrad S1000R

今回試乗した『S1000R』は純正パーツが装着されており、フロント&リアフェンダー、タンクトリム、エアボックスカバー、チェーンガードがカーボン製となり、さらにはブレーキ&クラッチレバー共に、折りたたみ式のアルミニウムレバー、スモークのウインドシールドを装着している。

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一部分がカーボンになった分、ノーマル車両(白)と比べると、多少軽くなったように感じるが、ノーマルのままでも十分に車重は軽いので、性能はもちろんだが、それよりも見た目重視ということになるだろう。そう、バイク乗りにとって、カーボンは偉い! かっこいいのだ。また、シールドを装備することにより、ロングツーリングを可能にし、より活躍の場所を広げられる。日々の街乗りやツーリングだけではなく、サーキット走行でも活躍してくれそうに思わせてくれる万能マシン。自分好みに仕上げることで、より愛着が増し、乗りやすくなる。とりあえず、いじれるところはいじらなくては損。なのだ。

BMW Motorrad S1000R

■SPEC
◎全長×全幅(ミラーを含む)×全高(ミラーを除く):2057×845×1228mm ◎ホイールベース:1439mm ◎シート高:814mm ◎車両重量:207kg ◎エンジン型式:水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ◎最大出力:156ps/10000rpm ◎最大トルク:112Nm/9250rpm◎排気量:999cc ◎ボア×ストローク:80×49.7mm ◎燃料タンク容量:17.5L ◎フロントタイヤ:120/70ZR17 ◎リアタイヤ:180/55ZR17
※車両はカスタム車両。

■PRICE
169万9000円(消費税8%込み)

BMW Motorrad JAPAN
http://www.bmw-motorrad.jp/jp/ja/index.html