BMW2 Active Tourer

BMW初のFFモデルとなった2シリーズ アクティブツアラーが日本で発表されたのは昨年の10月。その翌月に販売店にて導入イベントが開催されたが、以降、この年末から新年にかけて、BMWジャパンが展開している広告戦略には、目を見張るばかりだ。

BMW Active Tourer BMW Active Tourer

クリスマス期間中にはかの六本木ヒルズに特設カフェを開催し、かつ人通りの多い通路に2シリーズ アクティブツアラーを展示。一風変わった鮮やかなブルーと白のコスチュームをまとったサンタクロースを客寄せパンダに、クリスマスの熱気に湧く買い物客とクルマを一緒に記念撮影させるような大掛かりなフォトスタジオを出現させ、その存在感を盛大にアピールしていた。
また、BMWジャパンから我々報道陣に対して出された新年最初の公式なプレスリリースでは、2シリーズ アクティブツアラーのCMソングにMr.Childrenを採用したことが告げられた。





さらに驚いたのは、私が個人的に購読している女性向けファッション系ポータルサイトのメールマガジンにまで、2シリーズ アクティブツアラーの広告が入ったことだ。
とくになんにも意識しないで生きていてこれだけのキャンペーンに出会うのだから、なんというか、そこにガッツリと渾身の力を以て込められた、カンプなきまでの『売る気』にはのけぞってしまう。
第一、そういう話は以前も同社広報担当氏とも話し合ったことがあるのだけど、それらのすべてがこれまでBMWが決して行ってこなかった(というかワリと苦手分野としていた)広告戦略だった、ということにいちばんビックリしちゃうのだ。
BMWはず〜っと、ここ何年もプロダクアウトな商品の売り方をしてきた典型的なメーカーだったと感じる。

BMW Active Tourer x Mr. Children

『絶対的な価値は商品にあって、CMにオカネをかけるべきではない!俺らはクルマがすべてであることを信じて疑わないんじゃ〜!』みたいな。少なくともここんとこ数年間、民放にて放送されて来たCMはそんなのばっかだった。
だからクリスマスにサンタさんを呼んでイベントを開催し、仲良し家族がキャッキャとアウトドアを楽しむようなCMのBGMをミスチルに歌わせちゃうような今回のこの心あっけない変わりには、ポカンとクチあけてしまうのである。
あ、誤解のないように言っておくけど、そういう演出がダメだとかチャラついててイヤだとか幸せそうでムカつくとか、そういうつもりは毛頭ない。独り身の自分を卑下してるんでもない(涙)。エエやんかと思っているのだ。いやホントに。

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だってそもそものプロダクト自体がこれまでのBMWをアッサリと脱ぎ去っているやないかということなのだ。
繰り返すがこの2シリーズ アクティブツアラーはBMWが史上初めて出したFF車。長きにわたって同社が強固に守り続けて来たFR(とそれベースの四駆)から脱却したのだ。

BMW Active Tourer

さらに言うならボディサイズさえも開発段階から完全に市場、特に立体駐車場という特殊なパーキング事情がある日本をターゲットに開発されているし、ラゲッジスペースを開ければFFレイアウトの最大の恩恵であるマックス1,510Lもの広大なスペースが大きな口を開けていて積載量は申し分なし、リアシートが3分割の可倒式で多彩なアレンジが出来、リアシートの前後スライドも130mmと、日本車のお家芸であるところのユーティリティーまでもぬかりない。

BMW Active Tourer BMW Active Tourer
BMW Active Tourer BMW Active Tourer

そう、FFだということばかりに焦点が当てられがちではあるけれど、これは驚くほど戦略的なモデルだ。そしてコアターゲットとして取り込みたい客層はズバリ『BMWに走りを求めるだけではない、新しい顧客層』。
駆動方式にこだわる皆さんは3シリーズをどうぞ、なのだ。

BMW Active Tourer

売る気になっているモデルだけあって、装備品もたいそう充実している。全車に標準装備されたのは、競合車の多くが有償オプションとして設定しているレーン・デパーチャー・ウォーニング(車線を逸脱しそうになったとき、振動で警告する機能)、前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキ、LEDヘッドライトなど。

BMW Active Tourer BMW Active Tourer

先述の涙ぐましいキャンペーンで2シリーズ アクティブツアラーを知り、初めてBMWのドアを開ける人に、「国産もいいけどやっぱり輸入車は素敵よね」と思わせるような効果的な商品力を身にまとっているのである。
しかし試乗会にて、そうして「どーせ売りたいだけのクルマなんでしょ」と斜に構えて乗ってみた同車は、意外にもたいしたものだった。ホントである。
正直、これまでもBMWに試乗しまくっている私でさえも「え、ええやん普通に!」となってしまった。

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試乗が叶ったのは1.5リッター直列3気筒ターボエンジンに6ATを組み合わせた、218iアクティブツアラーのラグジュアリー(Luxury)モデルだ。
この"ラグジュアリー"こそ、世の奥様方の財布のヒモをガバガバに緩ませる、上品でなんともシックなデザイン・ライン。専用デザインのエクステリアと、エレガントなレザー・シートが標準装備されている。試乗車にはベージュレザーの内装が用意されたが、これがなんとも明るくていい。車内で自分の写真を撮ってみたが、レフ版効果で肌がうつくしく見えるという効果もあって、ちょっと嬉しくなった。こういう"ちょっとしたこと"の積み重ねが、愛車選びの決定打になるのが女心というもの。外観に個性があるとは思えない2シリーズ アクティブツアラーだが、乗り込めば一気にBMWらしい、しかもひとクラスうえの洗練されたシンプルさに心奪われる。

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1シリーズよりもアイポジションは110mm高く取られていて、ガラス面も広く、明るい車内と相まってかなり広さを感じる。ゆったりとしたシートに背中を預けるプチセレブな感覚は、中毒性の高い優越感に繋がる。

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エンジンパッケージは同社ミニにてすでに2001年から実績を積んでいるもので、乗り出しからもパワー不足を感じることはない。

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試乗シーンは箱根の山を登るワインディングロードを含むコースだったが、複雑に九十九折りが続く登り坂も、踏めば勇ましくターボが効き、トルクをわしわしと後押ししてくれて、スッキリと気持ちよくハンドリングに集中できる。

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もちろんBMWだから、ドライビングモードも「コンフォート」を真ん中に「ECO PRO」「SPORT」がきっちり用意されている。もっとガッツリ加速を楽しみたいなら「SPORT」にし、高速道路や普段の街乗りであれば「ECO PRO」を選べば、さらにクルマを操る楽しさを倍増させることが出来るという算段だ。
特にこの「ECO PRO」モードに関して言えば、アクセルレスポンスが緩やかになるのに従って燃料の噴射量もセーブされるため、本気で燃費への貢献度が高い。初期にスカスカ感はなくもないが、ある程度慣れれば快適なので、個人的には一番良く使うモードでもある。ファミリーカーということでこのモードの使用頻度の高さも想像に難くないが、あまりにスカスカしすぎてストレスを感じることもない。これなら日常使いに不足はない。

BMW Active Tourer BMW Active Tourer

印象的なのは路面の入力をさほど感じない、アタリの柔らかいアシまわりだ。
BMW伝統の生真面目なクルマづくりはこのような戦略的なモデルにもしっかりと踏襲されていることを知ってもらいたいのだが、初めてのFFのために同社はサスペンションを新開発していて、それが効果的にこのクルマのキャラを決めている。ファミリーカーらしいフラットでマイルドなフィーリングは、ある意味でBMWらしさを上手に消しているなと感じた。

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熱狂的なBMWファンからすれば路面のインフォメーションを仔細に伝えるアシのセッティングこそ醍醐味とも言えるのかもしれないが、新しくBMWの門戸を開くファンの皆さんはそういうスパルタンさをお求めでない、かもしれない。そこでうんとコンフォート側の乗り心地を提供したと考えるのが妥当だ。もちろんガチガチのスポーツモデルならそうはいかない。だけどこれは愛する家族を乗せて郊外に出掛けるファミリーカーなのだ。
その辺のさじ加減は、成功していると考えていいと思う。
ハンドリングも実に軽やか。が、あまりに軽くよく切れるので、自分としてはもう少し手応えが残っていてもいいかなと感じた。

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さらに今、この2シリーズ アクティブツアラーを月々19.800円から購入出来る、『BMW4YOU』という購入ファイナンスプランが、悩めるユーザーの背中を押す。隅から隅まで熟孝されちゃているのだ。
もし今、"ちょっと上質な"ファミリーカーを探しているなら...このBMWの戦略に乗っかっちゃうのは、悪くない選択肢だ。

■BMW Japan
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/