【北米国際自動車ショー2015】ホンダ(アキュラ)、新型「NSX」の市販モデルを初公開!
ホンダが北米で展開する高級車ブランドのアキュラは、12日にアメリカ・デトロイトで開幕した北米国際自動車ショー 2015において、新型「NSX」の市販モデルを公開した。

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1990年に発売された初代「NSX」の名前を受け継ぐホンダの新型フラッグシップ・スーパーカーは、今からちょうど3年前に同じデトロイトで、最初のコンセプトカーが発表された。それに比べると、今回ついに公開されたその市販モデルでは基本的なデザインに変わりはないものの細部に変更が施され、ハニカムメッシュが張られたフロントグリルが与えられたり、フロントフードとボディ両サイドに開けられたエアダクトが大型化していることが分かる。また、クロームの装飾などは「機能的に不要なものだから廃しました」と、エクステリア・デザイン・プロジェクト・リーダーのミッシェル・クリステンセン氏は語っている。「各部をよりシンプルにしました。それによってデザインが成熟されたと思います」とのことだ。




"空気がダンスをする"エクステリア

ボディ・サイズはコンセプト・モデルよりやや大型化し、全長4,470mm × 全幅1,940mm × 全高1,215mmとなった。ホイールベースも20mmほど延長され、2,630mmとなっている。トレッドは前1,655mm、後1,615mm。初代NSXと比べると、45mmしか長くないのに130mmもワイドだ。ホイールベースは280mmも延びた替わりに、特にリアのオーバーハングが短縮されている。エクステリアのデザインを、クリステンセン氏は「空気がクルマの周りでダンスをする」と表現している。フロントの開口部から入った空気はラジエターとブレーキを冷却した後、ボンネットとフロント・フェンダー後方に開けられたダクトから抜ける。そしてサイドのエアインテークから吸入された空気はインタークーラーとエンジンに送り込まれる。ボディの外側を流れる空気はリアの一体型スポイラーとディフューザーでダウンフォースを生む。アクティブエアロの類を使わずに、充分な働きを実現できたとチーフ・エンジニアで開発責任者のテッド・クラウス氏は言う。

V6エンジン+3モーターのハイブリッド

自然吸気V型6気筒をミドシップに横置きしていた先代に対し、新型NSXではバンク角75度のV型6気筒直噴エンジンにツインターボを装着して縦方向に搭載された。重心を下げるために潤滑はレースカーのようなドライサンプ式を採用している。これに自社開発のパドルシフト付き9速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が組み合わされ、後輪を駆動する。

さらに新型NSXでは、"Super-Handling All-Wheel Drive(SH-AWD)"と呼ばれる3モーターのハイブリッド・システムを採用し、エンジンとトランスミッションの間に設置された電気モーターが後輪の駆動をサポートするほか、フロントに搭載する2個のモーターが独立して左右それぞれの前輪を駆動または制動する。フロントのモーターはコーナリング時にいわゆるトルク・ベクトリング機能を発揮して旋回性能を向上させ、リアのモーターはシフトチェンジ時によるエンジン・トルクの変動を補う役目も担う。詳細なスペックはまだ明らかにされていないが、システム合計の最高出力は「550馬力以上」だそうだ。




軽量な複合素材ボディ構造

車体はアルミニウム製のインターナル・フレームに、超高張力鋼製のAピラーなどを組み合わせ、さらにカーボンファイバー製のフロアが背骨のような役割を果たす。この複合素材製ボディ構造には「強度な鍛造素材と柔軟性のある素材の結合を実現した世界初の鋳造技術」が採用され、大幅な軽量化が可能になったという。ボディ・パネルはアルミニウムとSMC(シート・モールディング・コンポジット)の組み合わせで構成されている。

サスペンションは前後ともオールアルミ製の独立懸架で、フロントが19×8.5インチのホイールに245/35ZR19、リアは20×11インチのホイールに295/30ZR20というサイズのコンチネンタルタイヤ製「ContiSportContact」を装着。ブレーキは前6ピストン、後4ピストンのブレンボ製モノブロック・キャリパーと、カーボン・セラミック・ディスクの組み合わせとなる。



"意識から消える"インテリア

インテリアは「ネイキッド・スポーツバイクを思わせる」というアルミの構造体を露出させたセンターコンソールとダッシュボードを、上下で挟むようにレザーやアルカンターラが張られ、インストゥルメント・パネルにはドライバーが表示する情報を変更可能なTFTディスプレイを採用。赤いエンジン・スタート・ボタンの周りを囲むダイヤルにを回せば、「IDS(インテグレーテッド・ダイナミック・システム)」と呼ばれるドライビング・モードを、「Quiet」「Sport」「Sport+」「Trac」という4つのモードから選択することができる。「Quiet」では電気モーターのみによるEV走行が可能。デフォルトでは「Sport」モードに設定され、「Sport+」を選べばドライブトレインのレスポンスやシャシーのセッティング、エンジン・サウンドがさらにスポーティに切り替わり、「Trac」では新型NSXの性能が最大限に発揮されるという。また、発進時にエンジンと3つのモーターをフルに活用した加速が可能になる「ローンチモード」も搭載されている。

「手袋のように手に馴染む」というステアリング・ホイールと、身体を支えフィットするシート、細いAピラーによる良好な視界、そして全てがドライバーのために機能的にデザインされたコクピットは、ドライバーの意識からその存在がまるで消失したように感じられ、運転と道路に神経を集中できるという。




価格は1,800万円台から

新型NSXは、米オハイオ州メアリズビル四輪車工場の隣接地に新設された「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で、高度に熟練した約100名の従業員によってボディー製造から塗装、最終組み立てまで全て行われ、そこから日本も含む世界の市場に向けて出荷される。今年の夏にはオンラインで自分の希望するNSXの仕様が決められるようになり、そのまま販売店にデータを送って注文することになるという。秋には生産が立ち上がり、最初の納車は今年後半になる予定だそうだ。新型NSXには複数のグレードが用意される予定だそうだが、その詳細についてはまだ明らかにされていない。価格は15万ドル(1,800万円)台半ばから、ということになりそうだという。

軽量・低重心の車体と革新的なハイブリッド・システムなどによって、今度もまたNSXの名前が意味するような"new sports experience"を提供すると、ホンダ(アキュラ)は自信を見せる。限られた人たちのためのスーパーカーなのだから、我々が「リコールが心配」などと言いたくなるのは野暮というものだろう(あのポルシェだって納車後にエンジンやシャシーを交換しているわけだし)。あるいは「縦置きドライサンプ式エンジンと9速DCTのみで、ハイブリッド・システムは除去した軽量で安価なバージョンも作って欲しい」と思っても、今それを言うのは無粋というものだろう。ともかくホンダ製ロードカー史上最大の挑戦となる新型NSX、秋の東京モーターショーより前に1日も早く、日本でも公開されることを期待したい。


By Hirokazu Kusakabe





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