BMW moto R nineT

BMWのバイクと言えば、ロマンスグレーのおじさまや、険しい冒険に出かける人が乗るモノ。というイメージがまだまだ強いが、この『R nineT』でそのイメージは完全に払拭されるかもしれない。BMW初のカスタムを前提とされた、カフェレーサースタイルのバイクは、いかにもドイツといった、人間工学に基づいた質実剛健な最新鋭のマシンというよりも、BMWの古き良き時代を思わせつつ、最新の感性を取り入れた"格好良く"かつ"おしゃれ"で"モダン"なマシンなのだ。

Related Gallery:BMW moto R nineT

ドイツの工業製品と言えば、車やバイクの他にも、ステッドラーやラミーといった文房具、ライカを筆頭とするカメラやレンズ。さらにはゾーリンゲンといった刃物やリモワなどのスーツケースなどなど、そのデザインと性能が融合した堅実さが魅力といった、機能美を追求したプロダクツが目にとまる。長く使えるさりげない愛用品として、気がつかないうちに手に取って愛用している、というアイテムが多いのかもしれない。これはBMWのバイクにもいえることであり、人間工学的に設計されたマシンたちは、乗るとその性能が実感できる"疲れないバイク"の代名詞としてあげられることもあり、そのせいもあって、ひと昔前には「上がりバイク」と言われたことがあるほど。比較的年齢層が高く、長距離を走るロングツーリストが多く愛するメーカー。というイメージが強かった。しかし、ツアラーやデュアルパーパスといったシリーズの他に、スポーツカテゴリーであるS1000RRの登場あたりから、そのイメージの様相はわずかながら変化してきていた。

BMW moto S1000RR BMW moto S1000RR
(S1000RR)
昨年(2013年)のミラノショー」で発表されたその『R nineT』の車体は、今までのBMWのイメージを覆すべく、異彩なオーラを放っていた。今までのユーザーとは一線を画した、新しいユーザー層、例えば若い層であったり、クラシカルな車両が好きな人であったり、カスタムを楽しんでいる人であったり、ファッションとしてバイクを楽しみたい人などなど......。そういった層をターゲットとしているのが見えてくる。BMWだからといって、肩肘張らずに気軽に乗ることができるバイク、というのが何とも新しい!

BMW moto R nineT

ドゥカティやトライアンフ、モトグッチなどが確立していたスポーツクラシックというジャンルに殴り込みをかけた、そんなイメージさえ持つことができる。なんにせよ、待ってました!というライダー、さらには、ライダー予備軍も多いのではないだろうか。

BMW moto R nineT BMW moto R nineT

と、前置きが凄く長くなってしまったが......。この『R nineT』を女性目線で見ると、BMWの女性向けバイクといえば車両の大きさから水冷パラレルツインを搭載した「Fシリーズ」がメインとなっていたが、『R nineT』の登場で、伝統の空油冷ボクサーツインを搭載した「Rシリーズ」が選べるようになったというのが、なんとも嬉しいところ。今までのRシリーズといえば、横に張り出したボクサーエンジンが特徴的で、なんとなく背も高く大柄に見えてしまい、ネイキッドである『R1200R』になんとか乗れる程度。そのボクサーエンジンが低重心を実現し、さらにはやじろべえのようにバランスを取ってくれるので、安定感があり乗りやすいという性質もあり、他の大型ツアラーにも乗れないことは無いのだが......。小柄な人にとって、取り回しや倒した時のことの事を考えると、気軽にと言うわけにはいかなかった。そういったこともあり、ボクサーエンジンでありながら、このコンパクトな車体を持つ『R nineT』の登場は、女性にとっては喜ばしいことなのだ。

BMW moto R nineT

今回はクローズドコースでの試乗となったため、細やかな街乗りとの感想とはちょっと変わってくると思うが、何よりも軽い。そのひとことに尽きる。車両の軽さはもちろんのこと、走っていても軽いのだ。80kmで走っているつもりだったのに、120km出ていた、なんてスピードレンジが違って感じるのもさすがBMWというところだが、ルックスを全く変えてきてもその印象が劣らないところにブランドの底力を感じずにはいられない。剛性の良さとかバランスとか、いろいろな理由が挙げられるだろうが、それは、もうたくさんの試乗記で取り上げられているはずなので、ここでは割愛。なんと言っても女性からしたら、そういったメカニカルな部分よりもフィーリングが一番重要。無理しないで、格好良く気持ち良く乗りたいというのが本音だ。このバイクは、そんな女心までを満足させること間違いなし。この見た目でこの軽さ、なかなか感動モノであり、非力な女性でも無理をしないで楽しめる。いままで何台かのBMWに乗ってきたが、ここまで重さやバランスを気にしなくても乗れるモデルは初めて!と言ってしまっても過言では無いほど楽しい! 

BMW moto R nineT BMW moto R nineT

 エンジンをかけたときに、ブルっとハンドルがぶれる、ボクサーエンジンならでは味付けを残しているところも憎らしい演出で、優しく柔らかだが力強く加速する空油冷エンジンが心地よく、身体を入れただけでスッと曲がるハンドリングの素直さが安心感に繋がる。さらには足付きの不安が無い。だだ、腕が短い私としては、ハンドルがちょっと広めに感じたので、ここはちょっといじってみたいところ。そう、『R nineT』はカスタムを前提に制作されたバイクでもある。現に日本のビルダー4人が手がけた車両がその魅力を物語っている。特別サイト『R nineT Custom Project』(http://www.r9t.jp/)もあるのでそちらもチェックしてみて欲しい。

BMW moto

さらには、今回試乗した車両は純正パーツを装着したカスタム車両であり、カーボンフロントフェンダー、カーボンエンジンカバー、ニーパッド、Akrapovičスポーツマフラー、RnineTロゴ入りシートなどが装着されている。

BMW moto R nineT BMW moto R nineT
BMW moto R nineT BMW moto R nineT

『R nineT』にはガチガチのバイカースタイルというよりも、ちょっとカジュアルでクラシックなファッションで乗りたい、とも思う。例えば、Pコートを羽織り、乗馬ブーツといったロングブーツにデニムをインしたスタイルなんかも似合いそうだ。バイクのカスタムはもちろんのこと、自分も含め、見せる楽しみを与えてくれるバイクなのだ、といろいろな妄想をしてしまう。モノを選ぶ基準は人それぞれ。スポーティーに楽しみたい人、足として道具として楽しみたい人、ファッションで格好良く乗りたい人。いろいろあるからこそ面白いのがバイク。そんな、選択の幅が広がり可能性を広げてくれるこんなバイクの登場は、女性ライダーにとってこの上なく至福なことなのだ。

BMW moto R nineT
R nineT
■SPEC
◎全長×全幅(ミラーを含む)×全高(ミラーを除く):2220×890×1265mm ◎ホイールベース:1476mm ◎シート高:785mm ◎車両重量:222kg ◎エンジン型式:空油冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ ◎最大出力:110ps/7750rpm ◎最大トルク:119Nm/6000rpm◎排気量:1170cc ◎ボア×ストローク:101×73mm ◎燃料タンク容量:18L ◎フロントタイヤ:120/70ZR17 ◎リアタイヤ:180/55ZR17
※車両はカスタム車両。

■PRICE
190万0000円(消費税8%込み)

BMW Motorrad JAPAN
http://www.bmw-motorrad.jp/jp/ja/index.html