SUZUKI WAGONR

 軽自動車の販売台数で常に上位を占めるのがハイトワゴン系。何かと制限のある軽自動車の場合"大は小を兼ねる"と物理的に言い切れないかもしれないけれど、広いスペースを生むハイトワゴンの"小(軽)が生む大(広さ)"が魅力的であり、ニーズにかなっているのは納得できる。
 軽自動車のトップランナーたちの中で常に上位にいるワゴンRは11月、11か月連続でトップをキープしていたダイハツ タントからその座を奪い1位となった。軽自動車の販売競争は、首位はもちろん上位争いが熾烈ゆえ今後の動向にも注目したいところだが、今回ワゴンRが一位となった背景には8月下旬にビッグマイナーチェンジを行ったワゴンRに新採用となった『S-エネチャージ』という低燃費化技術を搭載するモデルたちの存在が大きいらしい。「S-エネチャージを採用するワゴンRのFZグレードとスティングレーのTグレードが底上げしたのは明らかで11月の販売台数の6割を占める」と広報部の方が教えてくれた。燃費は軽ワゴンとしてナンバー1の32.4km/l(2WD)。自車でガソリンを使わずに作った電力で加速やアイドリングストップの再始動に役立てるしくみ。かなり堅実な低燃費技術だと思う。

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 スズキの低燃費技術としては、「ズダダダ、ダダダン、ダン、ズダダダ、ダダダン、ダン♫」のBGMと渡辺謙さんのカメハメハ的なポーズでお馴染みの『エネチャージ』がすでにある。これは減速時(アクセルオフ時)にまわり続けるエンジンの力をタイヤの回転を利用する減速エネルギーをオルタネーター(発電機)で発電 充電(リチウムイオンバッテリー) 小電力系電装品の電力に充てる。これでエンジンによる発電量=ガソリン消費を減らすことができるのだ。この技術は現在、ワゴンRのみならず多くのスズキのモデルに搭載されている。

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 ではS-エネチャージは...と言うと。エネチャージに採用されるオルタネーターに代わり、スターターモーター機能とモーターアシスト機能付き発電機=ISG(Integrated Starter Generator)、にS-エネチャージ専用のリチウムイオンバッテリーを採用する。減速エネルギーをISGを使って発電し、アイドリングストップ専用の鉛バッテリーと、S-エネチャージ専用リチウムイオンバッテリーの2つのバッテリーに充電するのだ。ちなみISGの発電量はエネチャージのオルタネーターよりも30%向上し、S-エネチャージ専用のリチウムイオンバッテリーは最大で100A(これまでは20A)という大電流の出し入れがスムーズに行えるようになった。だから貯めた電気を加速時にエンジン負担を減らすモーターアシストとして活用できるようになっているのだ。おかげで燃料噴射を少なくしつつエンジン回転数を維持でき、エンジン出力は10%低減。これは15-85km/hと幅広い領域で作動し、これまでと同じ加速をする際にもガソリンの消費が少なくてすむ。

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これに加え、ISGに採用されるスターターモーター機能が俊才。一般的なギヤ(歯車)ではなくプーリーとベルトを使うことで、エンジン再始動時の音が「キュルキュル」ではなく「ヌンッ」と、とても小さくて快適。車内騒音はなんと40%も低減しているそうだ。振動も静粛性も極めて小さいスターターモーターの採用は、これまでの再始動時のネガが改善されたことで再始動の頻度を高めること=アイドリングストップ頻度を増やすこともでき、さらに低燃費に貢献している。また、この技術の採用のみならず、エンジンやCVTの改良も低燃費に繋がっていることを補足しておきたい。

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ちなみにISG自体はすでに日産セレナなどにも採用されている既存の技術。日産ではコレをハイブリッドと呼んでおり、スズキでもカタログの諸元表にはシステムとしてハイブリッドとちょこっと記載されている。けれど、スズキは環境技術にエネチャージがあり、その進化版として『S-エネチャージ』という名前を浸透させたいという狙いがあるのだとか。

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走行中、いつも通りの運転をしていても燃費が向上するというのは、本当に素晴らしい。人知れず、アイドリングストップし、「ヌンッ」と再始動するエンジンの動作も新鮮。ただし、0キロの発信からモーターアシストが効くわけではなーい。けれど、これまで以上にスムーズな発進アクセル操作を行えば、より一層の燃費向上も狙えるはず。これまでと同じような加速を求めても、モーターがアシストしてくれれば、心苦しいまでにアクセルペダルを踏み込みエンジンを高回転までまわす頻度も減る。試乗中にサポートされている印象は正直ない。さらに今回のマイナーチェンジでは、ブレーキのペダルフィールも向上したようで、つま先でスッと止まる自然な制動感も含め、ドライビング操作の質感の向上ぶりが印象に残る。

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相変わらずボディはしっかり。ステアリングフィールも過剰な軽さを抑え、むしろ忠実にハンドル操作量をタイヤに伝える、ほどよい重さが手応えにある。それに全高1660㎜という背の高さを感じさせぬコーナリングの安定感も十分。

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今回の新技術採用によって燃費消費は減る一方、室内高が高く、スペース効率に優れた軽ワゴンとしての魅力はちっとも減ってはいない。専用のリチウムイオンバッテリーはエネチャージのバッテリー同様に助手席の下におさまっているのだ。

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むしろエコドライブをサポートするエネルギーフローインジケーターや運転状況を表すステータスインフォメーションランプなどをS-エネチャージ搭載モデルに採用。安全装備としてレーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)や誤発進抑制機能、ESPにエアバッグetcに加え、いよいよ軽自動車にも前向き駐車時の後退の際に左右確認や俯瞰で後方周辺の確認ができる機能が付いたカメラを、オプションながら軽自動車として初めて採用している。

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また今回のビッグマイナーチェンジではS-エネチャージを搭載するワゴンR FZグレードとスティングレーのX、Tを中心にヘッドランプグリル種変のデザイン変更やLEDランプの採用などのデザイン変更も行われている。
一体どこまで進むのだろう、軽自動車の進化は...。

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スズキ 公式サイト
http://www.suzuki.co.jp

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