ホンダ、新型ハイブリッド・セダン「グレイス」を発表!
ホンダは12月1日、新型ハイブリッド・セダン「グレイス」を発表した。何かと話題を集めた「フィット ハイブリッド」をベースに5ナンバー・サイズのコンパクトな4ドア・セダンとして仕立てられた新型車について、発表会場からリポートをお届けしよう。

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フィット」ベースのセダンといえば、初代の派生車種として販売されていた「フィット アリア」を思い出す人も多いだろう。しかし、3代目フィットのハイブリッドをベースに作られた新型4ドア・セダンには、「思いやり」という意味の「GRACE(グレイス)」という独立した名前が与えられた。フィット アリアが(その名前のように)フィットの後ろにトランクを付け足したようなスタイルだったのに対し、グレイスは現行型フィットよりホイールベースを70mm伸ばし、さらにルーフを50mm下げたことによって、よりセダンらしいプロポーションとなっている。全長4,440mm × 全高1,475mm(4WDは1,500mm)× 全幅1,695mmというサイズは、5ドア・ハッチバックのフィットより445mmも長い。荷室容量もフィット ハイブリッドの314リッターから430リッターに大きく拡がった(FF者の場合。床下スペース4リッターを含む)。




2,600mmとなったロングホイールベースに加え、後部座席が最大限後方に配置されたことから、足元スペースは「アコード ハイブリッド」に匹敵する広さになったとホンダは言う。シート自体もフィットとは異なり、クッションの厚みや固さ、背もたれの角度、「ショートパンツやスカートで乗ったとき、肌に触れる感触」にまで拘って開発したそうだ。さらに、一般的な小型車の場合はシート表皮をシートに「貼り付けて」作ることも多いそうだが、グレイスでは家庭用ソファと同じようにシート表皮を「被せて」作る手法を採用したという。そのため、座るとシート内部のクッションに対して表皮が身体に合わせてわずかに動く。これにより「柔らかいフィット感」が生まれるという。後部ドアの開口部も拡大し、乗降性もハッチバックより向上しているそうだ。

実際に乗り込んでみると、なるほど確かに足元は充分広く、座面も背もたれも当たりが柔らかい。クッションが特にソフトで身体が沈み込むというわけではないのだが、面が突っ張る感じがしない。シート生地も含め高級感とまでは言えないが、優しい座り心地だ。ルーフ高が低くなった分は背もたれを寝かせてヘッドスペースを稼いでいる。ただし、最近の背が高いハッチバック車の後部座席に慣れた人にとっては、視界の隅で傾斜するCピラーが目障りに感じるかも知れない。比較的タイトな空間にリラックスした姿勢で座るというのは、まさに"セダンらしさ"を感じる。ハッチバックとは明らかに違い、好みが分かれるところだろう。センターコンソールの背面には後部座席用のエアコン吹き出し口が備わる。2分割式可倒バックレストとトランクスルー機構も付いているので、長尺ものも積める。




ダッシュボードの操作系の配置はフィットと共通だが、デザインは微妙に異なる。助手席前など、手が触れる部分は樹脂製ながらソフトなパッドが各部に張り込められ、縫製を模したエンボスが施されている。これは一見、本物のステッチと見紛うばかりの出来映えだ。シート表皮はブラックとアイボリーのファブリックをはじめ、オプションで本革も用意される。

パワートレインはフィット ハイブリッドと共通の「SPORT HYBRID i-DCD」と呼ばれるハイブリッド・システムを採用。1,496cc直列4気筒i-VTECアトキンソンサイクル・エンジンは最高出力110ps/6,000rpmと最大トルク13.7kgm/5,000rpmを発生し、これに29.5psと16.3kgmを発揮する高出力電気モーターが組み合わされる。システム合計の最高出力は137ps。7速デュアル・クラッチ式トランスミッションを介して前輪を駆動、あるいはビスカスカップリング式4WDシステムを採用した4輪駆動も設定されている。トランスミッションのギア比も含め、スペックはフィット ハイブリッドとまったく同じ。これまで5回のリコールを出したことで問題となったこのシステムだが、これによって報酬の一部を自主返上した役員の1人でもある峯川 尚本部長によれば、ホンダは社内の品質保証体制を刷新し、グレイスもその新体制によって再度技術的なところを見直しているため「i-DCDとして完成したクルマだというように認識している」とのこと。




開発に携わった本田技術研究所四輪R&Dセンター主任研究員の原田俊幸氏に気になることを訊いてみた。

フィットをベースにしたセダンと言えば、かつてフィット アリアというモデルがありましたが、失礼ながらあまり成功したとは言えなかったと思います。グレイスではその反省を踏まえて留意した点などありますか?

「あの頃は新興国向けとして多かったんですけど、5ドア・ハッチバックをベースに、後ろにトランクを付けただけみたいなデザインが、まあ当時は結構あったんですね。でもそれですとやっぱりセダンに見えないんです。その一番の理由は何かというのを調べたら、全長に対してタイヤがどの辺にあるかというスタンスが一番大切だということに気付きました。フィット アリアはホイールベースを短いまま作ったので、寸詰まりな印象を与えてしまったのです。なので、今回はセダンにするというとき、この全長の中で、どうやったらセダンに見えるか、その辺りを探って実は最初に決めたのは、このタイヤの位置なんです」

足回りのセッティングも当然、フィット ハイブリッドとは違っていますよね?

「変えています。(設定だけでなく)リア・サスペンションのトーションビームの前側に、ボディとつなげているところですけど、そこにヴェゼル欧州向けシビックと同じ液封タイプのコンプライアンスブッシュを採用しています。これによってゴトゴトとした振動が抑えられ、乗り心地に上質さが出てくるんです」

それは後部座席だけでなく、運転席に乗っても分かります?

「感じられます」

全長も伸びたことで、グレイスはフィット ハイブリッドより車両重量が重くなっていると思うのですが、JC08モード燃費は中間グレードのFF車で34.4km/Lと、ほぼ同等グレードのフィット ハイブリッドよりもかえって向上しています。その理由はなんでしょう?

「車重は同等の装備ですと約40kgほど増えていますが、セダン・ボディになったことで後ろが長い分、空気の収まりがいいのでCd値が良くなっています。それから全高が低くなったので、前面投影面積が小さくなった。さらに床下のアンダーカバーを前から後ろまでしっかり装着しているとか。Cdの値はかなりいいです。このサイズの中でトップクラスだと思います」

グレイスはハイブリッドのみということですから、フィットの「RS」のようなスポーツ・グレードは期待できませんか?

「今のところ予定はありません。お客様からのご要望が多ければ、また分かりませんけれど」




今回の発表会で繰り返し語られていたキーワードは「上質で、コンパクトなセダン」ということ。全長から見れば、グレイスは1990年代後半に販売されていたEK型「シビックフェリオ」あたりに近い。ちょうどその頃からだろうか、街を走る5ナンバーの4ドア・セダンというものが少なくなったのは。しかし、記憶の中のシビック フェリオと比べると、グレイスの内外装はずいぶん上等になったように感じる。価格もフィット ハイブリッドより当然ながら少し高く、エントリー・グレード「DX」のFF車が195万円から、最上級グレード「EX」の4WDの240万9,800円まで。詳しい情報は以下のリンクから公式サイトをご覧いただきたい。

ホンダ公式サイト:「グレイス」
http://www.honda.co.jp/GRACE/


By Hirokazu Kusakabe

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