SUBARU FORESTER tS

フォレスターの2LのターボモデルであるフォレスターXT EyeSightをベースにSTIがカスタマイズした300台限定の特別仕様車「SUBARUフォレスターtS」が11月25日発売になった。
tSシリーズは、STIが独自に開発したパーツを使ってスバル車をカスタマイズし、走りの性能向上を図ったモデルで、ショックアブソーバーやスプリング、ブレーキなどのカスタマイズを中心に、比較的ライトなチューニングメニューとなっている。
直近ではトヨタとコラボで開発されたスポーツカーBRZをベースにした『BRZ tS』が発売され好評を博したが、今回手掛けた『フォレスターtS』は、手のかけ方はそれ以上。力の入ったカスタマイズモデルに仕上がっている。
STIが掲げるコンセプトは、「オンロード」・「タフ・スピード&クラッシー」なのだという。字面だけでは何を言いたいのかわかりにくいが、意訳すると今回のカスタマイズはかなりオンロード性能に振っており、SUV世界トップクラスの操縦性と高速安定性、上質な乗り味を狙っている、さらに平たく言うと、『人車一体の気持ちよさ』や『所有する悦び』をフォレスターに与えようということらしい。
そのため、従来tSモデルではエンジン関係には一切手を入れなかったのだが、今回は専用ECU(エンジンコントロールユニット)やTCU(トランスミッションコントロールユニット)に手を加え、ECUでは、アクセルペダルの低中開度に対して発生トルクを増大するプログラムを施すことでよりリニアなドライブ感覚を作り出したている。
TCUはS#モードに設定されているCVTの8段ステップ変速をクロスレシオ化して、よりスポーティなギヤ比セッティングにしている。

SUBARU FORESTER tS SUBARU FORESTER tS

この他、走りの愉しさをブラッシュアップするために、CVTオイルクーラーを追加。ブレーキにはブレンボ製のフロント4ポット/リヤ2ポットブレーキ。アルミホイールも新デザインのBBS製の鍛造19インチアルミホイールとし、それに合わせた245/45R19サイズのサマータイヤ(ブリヂストン・トランザER33)を装着。さらに専用チューンVDC(横滑り防止装置)や専用チューンアイサイトを装備する。

SUBARU FORESTER tS

Related Gallery:SUBARU FORESTER tS

ボディ回り/足回りの強化や補強も抜かりない。15mmローダウンの専用サスペンション(フロント倒立式)、フレキシブルタワーバー、フレキシブルドロスティフナー(前後)、フレキシブルサポートサブフレーム・リヤ、専用サブフレームブッシュおよびスタビライザーブッシュ、クランプスティフナー板厚アップと、あまり詳しくない人には何かの呪文のような、けれど知っている人は思わず「おおっ!」と声を上げたくなるような超マニアックかつ有効な補強が施されている。

SUBARU FORESTER tS

内外装もひとめで『tS』モデルとわかるように、ボディカラーは全4色とし、大型フロントスポイラー、リヤアンダースポイラーを装備。またフロントグリルはブラック塗装とし、チェリーピンクのピンストライプが、同様にリヤバンパーにもチェリーレッドのピンストライプがあしらわれている。

SUBARU FORESTER tS SUBARU FORESTER tS

内装では、トリムカラーをブラックに変更し、プッシュエンジンスイッチをアSTIのロゴ入りの赤いスイッチに変更。ステアリングはSTIオーナメント入りの赤ステッチの革巻きステアリングに。スピードメーターも260km/h表示のSTIロゴ入りのものに改めているほか、細部まで専用仕様が施されている。

SUBARU FORESTER tS SUBARU FORESTER tS

ちなみに、タイヤの変更はVDCのリセッティングにかなりのコストがかかり、またEyeSightのリセッティングにも膨大なマッチングテストが行われるのだという。そのため通常tSモデルでは、リセッティングが必要になるような踏み込んだカスタマイズは行われないのだが、今回は異例ということらしい。

というわけで、もしかしたらtS史上最も手の込んだモデルである『フォレスターtS』に試乗してみた。乗り味は『フォレスターXT』とは別物。足回りはカッチリ引き締められており、オンロードスポーツ風味。レヴォーグや新型WRXに通じるストローク短めで、シャキシャキ走る乗り味。

SUBARU FORESTER tS

足回りのセッティングでは、操舵に対する車両応答性の良さとリニア感を狙って味付けしているということだが、実際に走らせた印象もシャキシャキした身のこなしの軽い印象だった。シャキシャキといっても、単にハンドル操作でフロントノーズが左右にキビキビ動くのではなく、ボディ全体がスッと向きを変える感じ。SUVに乗っているのを忘れるほどで、感覚的にはレヴォーグの応答性に近い。
これを作り出すためにボディ補強をお行い、タイヤを変更し、サスペンションを変え、さらにサスペンション回りのブッシュを交換したのだろう。
この操縦性の作り方と、そのために必要な変更ポイントを見ても、いかにSTIが真剣にフォレスターtSのカスタマイズを行っているかがよく判る。

SUBARU FORESTER tS SUBARU FORESTER tS

乗り心地は7~800kmほど慣らしをしたというがまだ硬さ≒ダンパーのフリクションと思われる硬さ、突き上げの強さが残っていた。実は開発に使った展示用車両に乗ることができたのだが、こちらはボディもかなり疲れ、サスペンションもテストでかなり使い込まれたものだったが、このダンパーの動きが実にスムーズで、乗り心地がいいのだ。

SUBARU FORESTER tS SUBARU FORESTER tS

聞くところによると、いまだにスバル及びSTIでは、10万kmの耐久テストでダンパーのオイルのにじみが出ないこと、という項目があるそうで、オイルシールの耐久性が異常に高い≒フリクションが大きいのだ。2~3000kmくらい走ってようやく馴染んでフリクションが少なくなってくる。まるでドイツ車だが、そんなことが乗り心地を硬くしているようだ。
また、高速域での操縦安定性を重視しているため、ダンパーの減衰力自体もやや強めというか硬めのセッティングになっているようだ。テストコースで、180キロで走行中やや大きめの凹凸を乗り越えてみると......強いショックが来るのを予想して身を硬くしたのだが、驚くほどスムーズに足回りが凹凸のショックを吸収してくれ全く振動が入らなかった。
このことを勘案すると、かなり設定速度域は高めということは言えると思う。100km/h巡航でのロングドライブは、まさにもってこいのシチュエーションといえるだろう。

SUBARU FORESTER tS

その一方操縦性もびっくりするくらい良い。ハンドル操作に対する応答の良さについて触れたが、ボディごとスッと向きを変えてくれるのでクルマがすぐに旋回姿勢に入り、するりとカーブを抜けてくれる。サマータイヤを履いてはいるが、実はこのタイヤ転がり抵抗にもかなり考慮したタイヤらしく、それほどドライ路面でのグリップレベルは高くない(低くもない)が、タイヤに負担をかけずにスイスイと気持ちよくワインディングロードを走ってくれる。
このあたりにも足回りの作り込みの良さが表れている。
エンジンチューンも良く出来ている。例えばカーブでアクセルをパートスロットルにしながら旋回し、カーブの立ち上がりで軽く加速しようと、アクセルを少しだけ開く。そんな場面でスロットル操作に送れなくエンジンが反応し、クルマを前に進めてくれる。
ただレスポンスが良いとか、加速が良いというのではなく、ドライバー側として期待した操作に対して正確にクルマ(エンジン)が反応してくれることが大切で、そのチューニングがじつに巧みにできているのだ。

SUBARU FORESTER tS

CVTは個人的にはあまり好きではないが、『フォレスターtS』のセッティングだと、細かいアクセル操作に対して期待通りのレスポンスがあるので、運転していて気持ちよかった。
STIでは「運転の上手くなるクルマ」という言葉を使っている。これは操作に対する応答が正確だと、思うようにクルマが走ってくれるので、ドライバーは無駄な操作をしなくて済むようになる。これは即ちクルマの運転が上手くなったということであり、運転が易しいクルマともいえる。
『フォレスターtS』は、STIが力を入れて開発したクルマであり、装備内容を見るとものすごいクルマであるように思えるかもしれないが、実はSTIの目指す走りの理想は運転の上手くなるクルマを実現するためのカスタマイズであり、その目的は達成されているのではないかと思う。

STI 公式サイト
http://www.sti.jp/index.html

■関連フォトギャラリー
Related Gallery:Subaru Forester tS Tuned by STI Photos

Related Gallery:Subaru Impreza