【短評】ハイブリッドの魅力が凝縮! 2015年型ポルシェ「カイエン S E-ハイブリッド」
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フェイスリフトした2015年型ポルシェ「カイエンS E-ハイブリッド」の電気モーターは、オレオ・クッキーでいえばクリームのような存在と思ってみて欲しい。プラグイン・ハイブリッドに進化したこのクロスオーバーには、333psを発揮するスーパーチャージャー付き3.0リッターV6エンジンと、8速ティプトロニックSトランスミッションが搭載されており、その間に95psの電気モーターがサンドイッチされているのだ。クラッチ付きのパワートレインは、エンジンのみ、モーターのみ、そして両者の組み合わせと、状況に応じて切り替えられ、フルタイム4輪駆動システムを介して前後輪に駆動力が配分される。

基本パワートレインを共有するセダンの「パナメーラS E-ハイブリッド」が9.4kWhのバッテリーを搭載しているのに対し、カイエンS E-ハイブリッドはより容量が大きな10.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、モーターのみで最高速度125km/h、最長36kmの距離を走行可能だ。

我々はこのポルシェ最新の低燃費クロスオーバーの米国メディア向け初の試乗会に参加するため、ドイツ・フランクフルトへと飛び、その走りを試してきた。

所感

標準モードでは、このハイブリッドシステムは、特に自分で選択する必要はない。もしバッテリーパックに十分な容量が残っていたら、自動的に電力で走行する(バッテリー残量はインフォテイメントシステムのディスプレイに表示される)。バッテリー残量が尽きる直前まで電力のみで走ると、そこから内燃エンジンが始動して動力源が切り替わる。ただし燃費の悪化を防ぐため、バッテリー残量が最低限の状態にあるとき以外は、エンジンによる再充電は行われない。

極めて重要なのが、センターコンソールに設けられたこのモデル特有の2つのボタンだ。エンジニアたちが言うように、ドライバーは都市部においてEVモードのみで走りたい(ロンドンの中心では渋滞税の支払を避けたい)ことがあるだろうし、郊外の開けた道ではそのためにバッテリーを積極的に充電したいこともあるだろう。そんなときに便利なのがこれらのボタンだ。上側の「E-パワー」ボタンは、完全にEV走行のみのモードに切り替えることができ(もちろん、バッテリーに容量が残っていればの話)、排ガスをまったく出さずに走行できる。下側の「E-チャージ」ボタンを押せば、エンジンが始動し、それと接続されたモーターがジェネレーターの役割を果たしてバッテリーの80%まで約30分で充電できる。ただしマイナス面として、エンジンを駆動と充電の両方に使うため、燃費が20%悪化してしまうことが挙げられる。

カイエンS E-ハイブリッドは省燃費を使命としているはずだが、動力性能の面でも妥協はない。フルスロットル状態でエンジンとモーターの駆動力を合わせれば、車両重量2,350kgのクロスオーバーでありながら0-100km/hを5.9秒で加速し、最高速度は243km/hに達する。これは驚くべき速さと言える。優れた8速ATとリア寄りの4輪駆動システムが巧く力を路面に伝えるからだろう。

我々は市街地と郊外の空いている道路の両方を走り、パフォーマンスと燃費の違いを確認しながら、インパネの「エナジーフロー」ゲージを夢中でチェックしつつ、EパワーとEチャージのスイッチを頻繁に切り替えていた。EVモードでは期待される通り静かで、キャビンの中にはモーター音のうなる音がかすかに聞こえるのみだった(高性能タイヤから聞こえるロードノイズの方が目立った)。エンジンが始動するとファイヤーウォールの向こう側でV6のガラガラとした音が聞こえ、振動を伝えてくる。パワートレインがどのモードになっているかは明らかだった。

バッテリーパックは荷室の下に配置されており、専用開発された充電器「ポルシェ ユニバーサルチャージャー」を使って充電することができる。110V/10Aの家庭用電源で約11時間、240V/16Aで約2.7時間、240V/30Aで約1.3時間でフル充電できる。なお推定燃料効率について、EPAからのデータはまだ発表されていない。

このE-ハイブリッドモデルは、洗練されたドライブシステムを搭載したことで車両重量が重くなっているにもかかわらず(何とこのモデルは「カイエンS」よりも278kgほど重い)、ステアリングやブレーキング、ハンドリングなどは他のカイエンとほとんど変わらない。開発の段階で厳しい燃費目標が設定されていたに違いないのだが、ドライビングダイナミクスはまったくポルシェそのもので、ドライバーは運転が楽しめる。我々は自信を持ってこのクロスオーバーでコーナーを攻め、合法的な3桁速度の高速走行を楽しんだ(もちろん、どちらの行為も燃費には良くないが...)。運転してみて唯一違和感を感じたのは、ハイブリッド・モードで走行しているときに、ドライブ・バイ・ワイヤ式スロットルペダルの抵抗(そしてキックダウンするポイント)が変化することだ。これには少し慣れが必要だろう。

ポルシェはプレミアム層のあらゆるニーズに応えるため、 自然吸気V型6気筒エンジンを搭載するエントリー・モデルのカイエンから、V型8気筒ツインターボエンジン搭載の「カイエンターボ」まで、いくつかのグレードを提供している。このS E-ハイブリッドは価格も装備もその中間に位置し、主にハイブリッドが活きる都市部で走行することが多い環境問題に敏感な人々をターゲットにしている。ただし、低燃費で走れる距離は限られているため、長距離走行をすることが多い人にはカイエン ディーゼルの方が向いているだろう。

我々はこのプラグイン・ハイブリッドにアップデートされたカイエンS E-ハイブリッドを評価したい。それは単に電気のみで走れる航続距離が伸びたことや燃費性能が改善されたからというだけではない。それ以上に感心したのは、このような複雑なハイブリッドシステムを、エンジニアたちが実に巧みにミドルサイズのクロスオーバーに組み込んだ点だ。確かに、少しだけエンスージアスト向けのドライビングダイナミクスからかけ離れてしまっているとはいえ、これは評価されるべきだろう。

【基本情報】
エンジン:スーパーチャージャー付き3.0リッターV型6気筒/70kW電気モーター
合計最高出力416ps/最大トルク60.2kgm
トランスミッション:8速AT
0-100km/h: 5.0秒
最高速度:243km/h
駆動方式:AWD
エンジン搭載位置:フロント
車両重量:2,350kg
最大けん引力:3,490kg
座席数:2+3
保証:4年/5万マイル(約8万467km)
ベース価格:7万6,400ドル(約906万円)
テスト車両推定価格:8万5,000ドル(約1,008万円)
日本仕様販売価格:1,155万円

By Michael Harley
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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