SUBARU LEGACY B4

走り出した瞬間、まるで高級車に乗っているかのような乗り心地に驚いた。レガシィのイメージはそれだけで急上昇。アメリカ向けの大柄なセダンといった大雑把な先入観があったのだが、良い意味でスバルらしい、きっちりとした作り込みが行われており、これも正真正銘のスバルのクルマであることを強く感じた。
北米での販売に軸足を移したレガシィは、5代目で大胆にそのサイズを大型化。レガシィは登場以来、日本向けサイズの質の高いセダンとして好評を博していたが、5代目で一転、大型化路線を取る。6代目となる現行型レガシイは、ボディサイズをさらに拡大。全長4795mm×全幅1840mm×全高1500mm(B4)となった。
さて、6代目レガシィのラインアップだが、クロスオーバーのアウトバック(アウトバック名では5代目)と、セダンのB4の2モデルのみの設定。レガシィの代名詞であったワゴンの設定はない。レガシィに代わる使い勝手のいいサイズのワゴンは、レヴォーグが受け持つということなのだろう。

LEGACY OUTBACK

開発テーマは「フラッグシップモデルにふさわしい価値と存在感の追求。」としており、スバル最高峰のクルマであることを明確に打ち出しているのも今回のレガシィのフルモデルチェンジの特長でもある。フラッグシップを謳ったうえで、アウトバックは「より豊かなライフスタイルを実現するクロスオーバー」、B4は「信頼感に裏付けられた走りの愉しさを提供するスポーティ・セダン」として、それぞれのキャラクターを打ち出している。
搭載するエンジンは2・5L水平対向4気筒のFB25型エンジン(175馬力/24・0kgm)のみの設定。組み合わされるミッションはリニアトロニックと呼ばれるCVT。駆動方式はもちろん4WDだ。

LEGACY LEGACY B4

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まず試乗したのは18インチを履くB4リミテッド。
冒頭に書いたように、タイヤが転がり出した瞬間から感じ取れる、質感の高い乗り心地に驚かされた。
スタブレックス・ライドと呼ばれるショックアブソーバーの効果が大きい。2つのバルブを持ったダンパーで、低速ではオイル流量の少ない低速用バルブが機能して減衰力の効いた乗り心地を作り、高速域のピストンスピードの速い領域では、オイル流量の多い高速用バルブが機能し、減衰力が高くなり過ぎない。その味付けが絶妙で、路面の小さな凹凸を拾ってもしっとりしんなりダンパーを動かして、乗り手に滑らかの乗り味を提供してくれる。

SUBARU LEGACY B4 SUBARU LEGACY B4

もちろんダンパーの仕事だけではない。ボディやシャシーがかなり剛性アップされているのだ。走らせただけでもボディの堅牢な印象を受ける。ボディの変形が少なく硬いボディが足回りを支え、足回りが設計値どおりに動いている、そんな様子がイメージできる。
スバルの資料によれば、先代モデルと比べ、ねじり剛性はアウトバックが67%アップ、B4も48%高くなっているという。
単に剛性を上げるだけでなく、フロントセクションでは、アッパーフレーム先端を剛性の高いフロントフレームと結合させ、エンジンを支えるクレドールフレーム後半部分を新設計。板組や構造の変更を行い剛性を高めている。さらにクレドールフレームのメーンフレーム取付け部を補強。

LEGACY B4

リヤセクションでは、リヤスカート部の板厚をアップ。形状も最適化して剛性アップを図っている。アウトバックはDピラーの板厚アップし、フレーム内に発泡ウレタンを柱に入。フレーム断面拡大など構造を含めた剛性アップが図られている。
このほかメーンフレームとリヤサブフレーム取付け部をつなぐリヤステーの剛性アップを図るとともに締結点を増加して剛性アップを図る等々、いかにもスバルらしく、マニアックに(?)車体構造が見直されている。

LEGACY B4

サスペンションも同様で、列挙すればフロント周りでは、フロントストラットの剛性アップとストラットマウントの剛性アップ、スタビライザーの大幅改良。ナックルアーム長の延長によりジオメトリーを最適化。ロアアームの拡幅と剛性アップ、液体封入ロアアームブッシュの仕様と前後強化。
リヤサスペンション回りでは、スタビライザーリンクの締結点外出し、リヤショックマウントバネ特性最適化、ラテラルリンクリヤ/ショックアブソーバー締結点外出し、ハウジングリヤ・イニシャルキャンバー変更、サブフレームブッシュ特性ハード化...。
興味のない人にとっては、まるで何かの呪文のようだが、なんとなく重要そうなところに手間をお金をかけている、というのは判るのではないだろうか。

LEGACY B4 SUBARU LEGACY B4

話が大幅に横道に入ってしまったが、こうしたボディや足回りの剛性アップやチューニングが、質感の高い乗り心地を作り出しているということなのだ。
当然スバルのクルマなので乗り心地だけが良いなどということはあり得ない。サスペンション回りの変更は応答性を良くするためのチューニングでもあるのだ。

SUBARU LEGACY B4 SUBARU LEGACY B4

この大柄なレガシィだが、いざ走らせてみると意外なほどフットワークが良い。ハンドルを切り出すとボディごとスッと向きを変え曲がっていくような感覚で走ってくれるのだ。ステアリング操作に対する応答性、とくにリヤサスの応答性を良くすると、フロントタイヤに曲がるアクションがおきると、すぐに反応が出てリヤタイヤに曲がる力が発生する。まずノーズがグイッと動いてからボディのリヤセクションが曲がり出すという鈍さがない。これにスポーティな味付けを加味するためにステアリングギヤ比を14対1にしているのだが、感覚的にはシャキシャキ動くというよりはハンドルを切った通りにすっと曲がるといった印象で、過剰な軽快感を作り出していない点にも好感が持てる。

SUBARU LEGACY B4

無造作にハンドルを切り出すとちょっとステアリングギヤ比の早さは感じられるのだが、比較的狭めの道を走らせてみると、クルマの動きにゆるさがなく、数字ほどボディの大きさを意識させない。
個人的にはあえて従来どおりの16対1くらいのギヤ比にして、クルマの動きにしっとりしたスローな動きを作っても良かったのではないかという気もする。そのくらい高級路線を前に出しても良いと思える乗り味の良さがある。

SUBARU LEGACY B4 SUBARU LEGACY B4
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室内も当然ながら広い。運転席に座るとフロントウインドーの先にあり前方向に空間が広がっているのが心地よい。Aピラーの位置を前に移動させているのがその理由で、これによって、数字以上に室内が広く感じられるのだろう。室内の横方向にゆったりした広さがあり、リヤ足元が広く、全体にゆったりした心地よい空間がある。

LEGACY B4

しかも視界が良い。中でもバックミラーをドアに取り付けたことで、Aピラー根元あたりの死角が大幅に少なくなっている。たったこれだけのことだが、見えにくいところが見えることの安心感はかなり大きい。
パワーユニットは、絶対的なパワーという意味では物足りないが、必要十分で不足は感じない。

LEGACY B4 SUBARU LEGACY B4

組み合わされるCVTが、アクセルをあまり深く踏んでいないときには無段階変速しながら車速を伸ばしていき、アクセルを深く踏み込むとギヤ付きのミッションのように高回転まで引っ張ってシフトアップし、また加速するといった動きを繰り返す。
またアクセルを一定に保った状態から踏み足した時のアクセルを踏み込んだ時の深さや踏み込みの速さを反映してまずグッとクルマを前に進めてくれる。
一般的なCVTのように先ずエンジン回転だけが上がって加速はそれから、というもどかしさがない。通常の走行モードにおけるレガシィのCVT=リニアトロニックのチューニングはかなり巧みだと思う。
加速性能も豪快さはないが、最終的には効率よく=速い加速をするように、駆動トルクを引き出してくれる。

SUBARU LEGACY OUTBACK
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アウトバックも18インチのスタブレックス・ライド付きダンパーを試乗した。こちらもB4同様滑らかな乗り心地で、上質感はあるものの、車高の高さと上質な乗り心地にミスマッチ感あり。これ一台を所有するというのであれば、アウトバックでも高級感があり乗り心地はアリだと思うが、実はちょっと乗せてもらった17インチ+ノーマルダンパーのフィーリングがなかなか良かった。スバルの常でダンパーのオイルシールからのものと思われるフリクションがあり、これが滑らかさを多少邪魔していたが、それでも低速域のストローク感やしんなり動く感触と、ハイトのタイヤの乗り心地の良さが加わって、アウトバックらしい乗り味だのように思えた。

SUBARU LEGACY OUTBACK SUBARU LEGACY OUTBACK

ボディやサスペンション周りの剛性を高めているため、ダンパーを含めたサスペンションが素直に動いているということなのだろう。
というわけで6代目となる新型レガシィは想像以上に出来の良いクルマだった。しかも価格が、B4で265万円~、アウトバックが290万円~というのはかなり魅力的な価格設定ではないかと思う。

SUBARU LEGACY OUTBACK

と、まずはまとめておいて、戯言をひとつ二つ。それにしても気になるのは、CVTのみの設定。確かにCVTは良く出来ているが、パワーをダイレクトに伝えるという意味で、時々意図しないプリーの滑りが混じりエンジンフィールや加速フィールを台無しにしてしまう。他メーカーと横並びの直4エンジンを搭載しているのなら、むしろCVTの出来の良さに拍手を送りたいくらいだが、世界的にも希少かつ個性的な水平対向エンジンを搭載してなぜCVTなのかが理解できない。
...と思ってスバルのグローバルサイトを見ると、3・6Lの水平対向6気筒を搭載したレガシィが用意され、そのモデルには6速ATが用意されている。
6気筒モデルがラインアップしたうえでの2・5L+CVTなら納得もできるが、ラインアップに入れないでCVTで、フラッグシップというのは、どうも...。
「売れない」を含め諸事情があるのは理解できるが、受注でも逆輸入でもいいからラインアップに並べることはできないものだろうか? 

スバル公式サイト
http://www.subaru.jp
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