ダイハツは11月10日、新型軽乗用車「ウェイク」を発売した。「荷室の広さ」と「視界の良さ」に拘り、日常用途だけでなく各種レジャーに使ってもらうため、その道のプロフェッショナル6人に協力してもらったという。その仕上がりを発表会場で確かめてきた。

Related Gallery:Daihatsu Wake Press Conference

ダイハツの三井正則社長によれば「お客様のワクワクする気持ちを呼び覚ます」という意味から「WAKE(ウェイク)」と名付けられた新型軽乗用車は、2013年の東京モーターショーに出展されていた「DECA DECA(デカデカ)」というコンセプトカーをベースに開発が進められた。その特長は、DECA DECA譲りの1,835mmという全高によって実現された、"軽自動車トップ"という1,455mmの室内高と、"ミニバン並み"という運転時の目線の高さ。ベースとなっているシャシーやドライブトレインは「タント」と共通だが、タントより全高で85mmも背が高くなったにも関わらず、重心高は10mmアップに留めたところに工夫がある。これはルーフパネルの板厚を最適化(つまり薄く)したり、ボンネットやバックドア、フロントフェンダーなどに樹脂製外板を採用した上、パンク修理キットの床下配置などによって達成できたそうだ。

また、車高が高くなったことで操縦安定性が劣化しないように、もちろんサスペンションは設定が見直され、さらに直進安定性を高めるために、ドアミラー付近 やテールランプカバーに空力フィンを設けたという。実際に見ても「本当に効くのかな」と思うような小さなパーツだが、これによって気流に小さな渦が発生し、車体に左右から押さえつける力が生じるそうだ。




これらの改良によって生まれた広い室内空間を有効活用すべく、ダイハツでは企画段階から全部で45通りの使用シーンを想定し、さまざまなアイディアを投入した。軽自動車の規格で決められている限られた幅と長さ、あとは上下方向に拡大した空間をいかに上手に使うか。そこで考え出されたのが、荷室フロアのさらに下まで使える「大容量ラゲージアンダートランク」や、長尺物を積むだけでなく車内で仮眠するときに助手席までフラットになる「助手席シートタンブル機構」、荷室の高さを上下に区切って活用する「上下2段調整式デッキボード」などの装備だ。

さらにダイハツの開発陣は、このクルマをレジャーに使ってもらうため、日本で楽しむ人が多い、釣り、サイクリング、キャンプ、スキー/スノーボード、サーフィン、トレッキングという6つのジャンルでその道のプロフェッショナルに協力を仰ぎ、1年前から実寸模型を見てもらって意見を聞いたという。このプロによる評価会は、社内で通称「ダメ出し会」と呼ばれていたそうで、結構厳しい意見や、思いも寄らぬ指摘を受けたそうだ。




例えば釣りのプロからは「日が昇る前から魚との勝負が始まっている。クルマはその前線基地となるのだから、バックドア下のスペースで作業がしやすいようにランプが欲しい」という意見があり、それに応えたという。そしてスキー/スノーボードのプロは「車内で濡れた小物を乾かしながら移動できるようにして欲しい」とのことで、天井に「オーバーヘッドネット」を用意した。ウェイクは後部座席と助手席を倒せば2台の自転車がホイールを外さずに車内に積めるのだが、その際に「シート背面が汚れるのが嫌」という声が聞かれたので、フェルト張りをやめて塩化ビニール加工を施したという。仮眠に便利なフラットになるシートも、「このちょっとした段差がストレスになる」などの厳しい声を聞いて調整を重ねたそうだ。また、それらクルマ本体の仕様だけでなく、レジャーで使うために便利な様々なオプションが用意された。

...と聞くと、どうしてもスズキの「ハスラー」を意識したのかという疑問が頭に浮かんでしまうが、ダイハツの方によればこれは前述のように1年前から、つまりハスラーが発表される前から開発は進んでいたとのこと。この日の記者発表会では質疑応答でも質問者の口からハスラーの名前が何度も出されていて、ちょっと気の毒に思ったので記しておきたい。会場にはその6つのジャンルにおけるレジャー・プロフェッショナルたちも登場し、レジャー別に使い方を提案する装備が施されたそれぞれのウェイクが展示されていた。




スペックについても触れておこう。車体サイズは、特徴的な全高1,835mmを除けば、全長3,395mm × 全幅1,475mmと、「タント」はもちろん「ムーブ」や「ミライース」とも同じ。つまり軽自動車規格ほぼいっぱい。パワートレインも多くの現行ダイハツ軽自動車と共通で、658cc直列3気筒「KF」型エンジンは、最高出力52ps/6,800rpmと最大トルク6.1kgm/5,200rpmを発生する自然吸気と、64ps/6,400rpm・9.4kgm/3,200rpmを発揮するターボの2種類が用意される。トランスミッションは全車CVTのみ。前輪駆動とフルタイム4輪駆動がどちらのエンジンでも選べる。JC08モード燃費は自然吸気で前輪駆動モデルの25.4km/Lから、ターボ付き4輪駆動モデルの23.2km/Lまで。諸元表を見るとタントより70kg程度も重く、前面投影面積も大きいため、燃費が劣ることは仕方がない。それよりダイハツが「ウルトラスペース」と称する広い室内空間や、「ミラクルラゲージ」と呼ぶ荷室の使い勝手に魅力を感じる人が選ぶクルマだ。価格は自然吸気2WDで装備が簡略された「D」が135万円から、ターボ付き最上級グレード「G」の4WDでさらに先進安全技術「スマートアシスト」付きの187万3,800円まで。後編では、開発に携われた技術者の方に気になることを訊いてみた。そちらも是非お読みいただければ。
ダイハツ公式サイト:「WAKE(ウェイク)」
http://www.daihatsu.co.jp/lineup/wake/index.htm


By Hirokazu Kusakabe

■関連フォトギャラリー
Related Gallery:Daihatsu Wake Press Conference

Related Gallery:Daihatsu Wake

【PR】ウェイクの購入を考える前に!まずは現在お乗りのクルマの査定価格を調べてみよう!

Related Gallery:TokyoMotorShow2013 Daihatsu 04

Related Gallery:DIHATSU DECADECA

Related Gallery:Daihatsu Tanto

Related Gallery:Daihatsu HIJET TRUCK (2014.9)

Related Gallery:DAIHATSU COPEN