購入者には専用プログラムも用意! 「マクラーレン P1 GTR」が東京でお披露目!
マクラーレン・オートモーティブは10月31日、東京都港区赤坂にある正規ディーラー「マクラーレン東京」にて、開発中のサーキット専用モデル「マクラーレン P1 GTR デザイン・コンセプト」を披露した。

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イギリスに本拠を置くF1チーム由来のスーパーカー・メーカーが、フラッグシップ・モデルとして2013年3月にジュネーブ・モーターショーで発表した「マクラーレン P1」。わずか370台のみが限定販売されるこのハイブリッド・スーパーカーの、走行場所をサーキットのみに限定することで、法規に縛られずそのポテンシャルをフルに引き出し、さらに一般道向けの快適装備を取り外して大幅な軽量化も果たしたモデル、それが「マクラーレン P1 GTR」だ。名前に付けられた「GTR」の3文字は、1990年代に登場し、当時"究極のスーパーカー"と言われた「マクラーレン F1」のレース仕様車「マクラーレン F1 GTR」から受け継ぐものであり、今回公開された開発中の「デザイン・コンセプト」モデルのカラーリングも、マクラーレン F1 GTRの開発用に製造された1号車のデザインに因んでいる。



ミドシップ・マウントされた3.8リッターV型8気筒ツインターボ・エンジンはモータースポーツ用にチューンされ、さらにこれをアシストする電気モーターと合わせて最高出力はついに1,000馬力に達した(エンジン800ps+モーター200ps)。公道走行も可能だったベース車と比べると84psほど引き上げられている。フロントのトレッドは80mm拡張され、公道ドライブ用の装備を取り外したことで車両重量は100kgも軽量化されたという。ピレリと共同開発した専用スリックタイヤを19インチのセンターロック式ホイールに履く足回りは、車高がロードカーよりも低く固定されている。

エアロダイナミクスと冷却性能が向上していることが一目で分かるボディには、二層構造の固定式大型リアウイングやレーシングカー・スタイルのフロント・スプリッターを採用。このリアウイングには油圧式のDRSが搭載されており、フロントのアクティブ・エアロダイナミクス・フラップと連動して走行中のダウンフォースを最適化する。サイドの排気ダクトは形状が変更され、ミラーもドアからピラーに移された。大型ディフューザーを備えた車体後部では、ウイング支柱の間から剥き出しのエキゾーストパイプが覗く。



今回の展示車では、残念ながら跳ね上げ式ドアが開けられることはなかったが、公式写真で公開されたインテリアは、ドライバー(顧客)の身体に合わせて製作されるレース仕様のシートが直接シャシーに固定され、その前には各種スイッチ類が組み込まれたステアリング・ホイールが備わる。これは2008年用F1マシン「MP4-23」のものをベースにしているそうで、ドライバーはステアリングを握ったままで様々な操作が行える。

この日の発表に合わせて来日したマクラーレン P1のプログラム・ディレクターを務めるポール・マッケンジー氏によると、この車両の完成度は「90%くらい」。最近も中東のバーレーン・インターナショナル・サーキットでテスト走行をするなど、さらなる開発が続けられているところだ。



だが、ここまでご紹介して来た写真の車両は、マッケンジー氏によれば「パッケージの一部に過ぎない」という。「マクラーレン P1 GTR」に含まれるもう一つの大きな要素は、オーナーに「マクラーレン P1 GTR ドライバー専用プログラム」が提供されること。過去にF1で8度のコンストラクターズ・タイトルと12回のドライバーズ・タイトルを獲得してきた「マクラーレンのテクノロジーにアクセスできる」ことが大きな特長であるとマッケンジー氏は言う。購入したオーナーがどのような経験をすることができるのか、順番にご紹介してみよう。

もしあなたがマクラーレン P1 GTRをオーダーしたら、まずはイギリス・サリー州ウォーキングにある「マクラーレン・テクノロジー・センター」に招待され、車両に装着するシートのモールディングや、付属する専用デザインのレーシング・スーツのフィッティングを行う。そしてマクラーレンのスタイリング・ディレクターであるフランク・ステファンソン氏と一緒に、ボディ・カラーを何色にするか打ち合わせするという。マクラーレン P1 GTRには標準設定された外装色というものがなく、オーナーが希望するカラーなら何色でも注文することが可能だが、その選定にチーフデザイナー本人からアドバイスがもらえるというわけだ。

次に、マクラーレンがF1をはじめとするチームのドライバーのために用意している「ヒューマン・パフォーマンス・プログラム」の紹介がある。これはサーキット走行におけるストレスに対応できるように、ドライバーのフィジカルだけでなく精神面も訓練するというプログラムだそうだ。2008年に当時史上最年少でF1ワールド・チャンピオンになったルイス・ハミルトンも、少年の頃からこのプログラムによってレーシング・ドライバーとして鍛えられたに違いない。




数週間後かあるいは数ヶ月後、顧客は再びマクラーレン本社を訪れ、ドライビングのレッスンを開始。最初はチームのドライバーも利用するというレーシング・シミュレーターを使ってサーキットの走り方を学び、次はシルバーストン・サーキットでマクラーレンの市販スポーツカー「650S」を使って運転のトレーニングをする。オーナーとなる人にはレース経験のある人もいれば、まったくサーキットを走ったことがない人もいるため、トレーニングは個人の能力や経験に合わせて、専任のコーチがついて行われるという。

そしてついに自分のマクラーレン P1 GTRが完成したら、F1グランプリも開催されている世界各地の有名レース・コースに招待され、そこで初めて愛車を走らせることができる。サーキットにはガレージに専属のドライビング・コーチやエンジニア、メカニック・スタッフからなる、あなたのための"チーム"と、車両やタイヤ、パーツなど走るために必要なあらゆるものが用意され、その全ての費用が198万ポンド(約3億5千万円)という価格に含まれているという。マクラーレン P1 GTRにはテレメタリー・システムが搭載されているため、走行を終えてピットに戻れば、ドライビング・コーチとチーフ・エンジニアが走行データの解析とビデオによる分析を行い、ドライバーのスキル向上とラップタイムを更新するためのアドバイスを行う。このサーキット走行イベントは2016年までに10回が行われる予定で、オーナーはその中から6回を選んで参加することができるという。プログラム期間中はマクラーレンが車両の維持・管理・運搬を全て請け負うため、予定されている全てのプログラムが2016年に一旦終了したら、初めてマクラーレン P1 GTRは自宅のガレージに収まることになるそうだ。





「世界に類を見ない、限られた人だけのオーナー・クラブ」とマクラーレンが言うこのプログラムに参加すれば、クルマ好き、特に最高峰のモータースポーツに関心が高い人なら、誰もが憧れる究極の経験ができそうだが、残念ながらその"入会資格"は非常に厳しく、実質的にその門戸はすでに閉ざされてしまっている。マクラーレン P1 GTRを注文するためには、ロードカーのマクラーレン P1を所有していなければならず、その限定販売台数370台はもう完売してしまっているからだ。

ところで、ル・マン24時間レース優勝マシンの名前にあやかったということは、マクラーレン P1 GTRも今後レースに参戦する計画があるのだろうか? それとも、せっかくの性能が実戦で試されることはなく、一握りの裕福なエンスージァストが楽しんだ後は個人のガレージに仕舞われてしまう運命なのだろうか?

この非常に気になる点について、マクラーレン東京の方に訊いてみたところ、レース参戦については「未定」であるが、その可能性は「ゼロではない」という。つまりこのマシンを購入した人が、プライベーター・チームとしてレースに出場させることは十分有り得るというわけだ。「ただ、レースに出るためにはレギュレーションに合致させなければなりませんから、その辺は後ほどご相談、ということになると思います」とのことだった。

もちろん、現在マクラーレン P1 GTRが参戦できそうなレースはかなり限られてくる。しかし、これまで錚々たるビッグネームを相手に戦うことで歴史を作ってきたマクラーレンの名前を持つフラッグシップ・モデルなら、やはり他車と競うことでその価値を証明して欲しいもの。単にサーキットを走るマクラーレン P1が見たいわけではない。レースで戦うマクラーレン P1 GTRが見たいのだ。オーナーになることは叶わなくとも、せめてそのくらいの希望は持ってもいいと思う。

マクラーレン東京公式サイト
http://www.tokyo.mclaren.com/


By Hirokazu Kusakabe

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