フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は10月14日、東京・秋葉原で2台の電気自動車「e-up!」と「e-Golf」の日本導入を発表した。

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現在では多少の変貌が見られるものの、かつては"電気街"と呼ばれたことから秋葉原が発表の場に選ばれたのだろうか。フォルクスワーゲン(VW)が満を持して日本市場に導入を開始する電気自動車は、その名前からお分かりのように、内燃機関を搭載するフォルクスワーゲンの現行乗用車「up!」および「ゴルフ」をベースに、既存のエンジンやトランスミッションに替えて電気モーターとリチウムイオンバッテリーを積んだものだ。

展示された2台を見ても、外観はよく見慣れたup!やゴルフとほとんど変わらない。ドアに描かれたロゴを別にすれば、目に付く違いはフロントのVWマークに施された青い縁取りと、バンパーに装備されたコの字に輝くLEDライトくらい。さらに説明されれば、ボディ各部やホイール・デザインの空力性能が高められていることが分かるかも知れない。だが、一目で明らかに"未来を感じさせる"ような雰囲気はない。これはフォルクスワーゲンの「電気自動車とは、決して特別なクルマではない」というフィロソフィの反映によるものだ。ガソリン、ディーゼル、天然ガスと並んで、電気自動車も我々顧客が選べるパワートレインの選択肢の1つに過ぎないということらしい。決して"未来のクルマ"ではなく、すでに"現代のクルマの一種"であるというわけだ。将来的にはさらに燃料電池やプラグインハイブリッドなどもこの選択肢に加わるという。



また、VGJの庄司 茂社長のスピーチでは、フォルクスワーゲンにとって、電気自動車とは決して最近になってから始めた技術ではない、ということも強調された。すでに1970年代に「K2 エレクトロ」という試作車が製作されており、1989年には2代目ゴルフ、1993年にも3代目ゴルフをベースにした電気自動車「シティストラマー」をごく少数ではあるが、ドイツで販売した実績もある。

とはいえ、それからさらに20年経って2013年に発表されたe-up!が、本格的に販売されるVW製電気自動車の第1弾ということになるだろう。フォルクスワーゲン グループのマルティン・ヴィンターコルン会長は「2018年までに環境適合性において世界をリードする自動車メーカーになる」というビジョンを掲げ、全社一丸となってこれに取り込んでいるという。それに基づいて開発されたe-up!やe-Golfは、単に既存のup!やゴルフを電気自動車にコンバートしたクルマというわけではない。up!や7代目ゴルフは、開発当初から電気自動車用システムの搭載も想定されていたからだ。あくまでも、予定されていた追加バリエーションの1つということである。



e-up!は、ボンネットの下に最高出力82ps、最大トルク21.4kgmを発生する3相交流モーターを搭載し、キャビン床下に積まれた総電力量18.7kWhのリチウムイオン電池によって前輪を駆動する。1,160kgという車両重量は、999cc直列3気筒エンジンを積むup!より240kgほど重い。車重は1.26倍だが、トルクが2.2倍に向上していると考えれば、動力性能は悲観するに及ばない。0-100km/h加速も12.4秒と、ガソリン・エンジンと5速ASGトランスミッション仕様のup!より0.5秒も速い。ただし最高速度は130km/hに制限されるが、アウトバーンのない日本ではそれほど困らないだろう。気になる航続可能距離はJC08モードで185km。家庭用充電器(200V)による普通充電では約8時間で満充電されるが、日本仕様のe-up!には日本の急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」方式のポートも備わり、約30分でバッテリー容量の80%まで充電が可能だ。

この電気モーターやバッテリーシステム、1速固定ギアボックス、付属電子装置、そして制御ソフトウェアまで、全てフォルクスワーゲンが自社で開発・製造を行っているという(計204個のバッテリーセルは日本製だとか)。バッテリーには8年間または16万kmの保証も付く。それ以前にバッテリーの使用可能容量が70%を下回ってしまった場合には交換してもらえることになるが、バッテリーの充電/放電履歴はメモリに残るので、購入から8年近くなってから、わざと空状態まで放電を繰り返してバッテリーに負担を掛け、新品に換えてもらおうと企んでも、場合によっては悪質と判断され断られる、かも知れない(VGJの方にお訊きしたところ、自ブランドの顧客層を信頼していらっしゃるのか、あるいはバッテリー性能に十分余裕が見込めるのか、まず大丈夫とのお答えだったが)。




もう1台、7代目ゴルフをベースとするe-Golfは、同様にフロントに搭載するモーターの最高出力が116ps、最大トルクは25.5kgmとe-up!より高性能で、バッテリー総電力量も24.4kWhと大きい。普通充電で満充電するには9時間掛かるが、航続可能距離は215km(JC08モード)とこちらもe-up!を上回る。何よりe-up!より1人多い、5名乗車が可能ということでさらにファミリーカー向けと言えるだろう。バッテリーが重い分、車両重量は「ゴルフ TSI コンフォートライン」より290kgほど増加して1,530kgとなっているが、0-100km/h加速は10.4秒と、1.2リッター直噴ターボを積むゴルフとほぼ同等といったところ。ゴルフのホット・モデル「GTI」ではフロント・グリルに赤いラインが入るのに対し、e-Golfは青いラインがアクセントとなり、そのパワートレインの性格をさりげなく主張する。




両車とも今回は発表のみで、e-up!の受注開始は2015年2月1日、納車は来年半ばになる予定。e-Golfはそれよりやや遅れて、2015年年央に発売予定だとか。気になる価格は、e-up!が消費税込み366万9,000円。e-Golfはまだ未定で「400万円台後半を予定している」そうだ。ガソリン・エンジン搭載モデルの2倍に迫るほど高価だが、国や自治体の補助金が適用されたら、「国産EV、PHVの価格帯にがっちり食い込む競争力の高い価格を実現する」と、VGJでは自信を見せる。up!のシティエマージェンシーブレーキや、ゴルフの"Front Assist Plus"など、安全装備等はベース車に準ずるが、ボディ・カラーはどちらもピュアホワイト1色のみに限定されるのが残念(展示車のe-Golfはドイツ仕様で、日本仕様とは異なるそうだ)。今回の発表会ではごく短距離ながらe-up!の試乗も許されたので、次回はEVならではの装備や乗り味について、その所感などをご紹介しようと思う。e-up!およびe-Golfの詳しい情報については、以下のリンクから内容充実の公式特設サイトをご覧いただきたい。

Volkswagen e-Drive
http://vwedrive.jp/


By Hirokazu Kusakabe

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