【試乗記】2015年型レクサス「NX 200t」
先週ご紹介したレクサスの新型ハイブリッド・クロスオーバー「NX300h」に続いて、今回はターボ・エンジンを搭載する「NX200t」のAutoblog US版記者による試乗記をお届けしよう。

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もしあなたがお節介で特に実利的なものの見方をする人であれば、レクサスの新型「NX200t」トヨタ「RAV4」と10%の共通点を持っていることにすぐ気付くだろう。

それは間違いではないはずだ。このクルマのチーフ・エンジニアであり、販売の成否について責任を負う立場にあるレクサス製品企画主査の加藤武明氏は、NXがレクサス専用設計ではなく、トヨタのコンパクト・クロスオーバー車用プラットフォームを選択したと表だって認めている。このクラスのクロスオーバー車を作るなら、「IS」セダンをベースに小型で背が高いワゴンを仕立てればよさそうなものではあるが、その案は現実的にクロスオーバー車を使う人々の生活にはそぐわないとして却下された。我々は多くのエンスージアストたちと同様に、後輪駆動のダイナミクスが大好きなのだが、レクサスNXのようなコンパクトCUVというのは、金星でネス湖の怪獣が、もしくはラグナ・セカで教育ママが運転しているような、ちぐはぐなイメージのクルマに映る。でもまあ仕方ない。現代的なフロントドライブのプラットフォームというのは、車内空間を上手く使うことができる上、コストも下げられるという利点があるのだ。

実際に気付くかどうかはさておき、レクサスとしては新型NXの新しくなった部分、つまりRAV4とは異なる90%の部分に気付いてほしいと期待しているだろう。カナダのブリティッシュコロンビア州ウィスラー近郊の山道や市街地で、1日中このクルマのステアリングホイールを握って過ごした後、我々はレクサスの期待に応えたいと思うようになった。


 

これは至るところで言われているし、我々も何度も言ってきたことだが、ここ数年でレクサスはクルマのデザインの方向性を変更している。賛否両論があっても、レクサスはあのスピンドルグリルを採用することをやめないだろう。最も小型の「CT」から、最も大型の「LX」まで、レクサスの現行ラインナップの全てのモデルに飾られている、真ん中がひしゃげたような形をした大きなフロントグリルのことだ。あのグリルが大型SUVに付いているのにはまだ慣れることができないが、最近ではセダンやクロスオーバーなら馴染んだような気がしている。NXでは、特にF SPORTのそれはまだ少し大げさに感じるが、個人的には、スピンドルグリルはラインナップ全体に統一感を与え、すぐにレクサスだと分かる存在感を発するのに役立っていると感じている。

前述したように、スピンドルグリルが最も目立つのはスポーティな「NX200t F SPORT」だ。だが、筆者はどういうわけかこの仕様に最も心を惹かれる。繁栄しつつあるレクサスのデザインにどうせ屈するならば、最も目立つヤツに乗ってやろうと思うからかも知れない。

全体的に見ると、NXのボディを描くラインは新鮮でレクサスの信念が隅々に行き渡っており、真上から見るとダイヤモンドのような形をしている。NXの外観を素晴らしいと言い切ることはできないが、醜いとも言えない。形容するなら「独特」だろう。別に気を遣ってこう表現しているわけではない。最近流行のコンパクトCUVはどれも紋切型すぎるのだ。我々はデザインが物議をかもすといつも市井の人に意見を求めるのだが、今回もカナダの地元の人々に意見を伺った。反応は、ほぼ例外なく好意的だった。

 
 

NXの車内に入ると、RAV4よりも桁違いに素晴らしい見た目と手触りのインテリアが迎えてくれる。トヨタの主力モデルはコストを考慮して製造されているが、NXでは薄っぺらなプラスチックや荒いエッジが柔らかい素材で上手くカバーされており、デザイナーが素晴らしい仕事をしていると感じる。インテリアのデザインは画期的というわけではないが、センターコンソールを縁どるラインが、外観と同じくダイヤモンドシェイプをしているのは面白い。また、タッチスイッチ式オーバーヘッドランプは、ユーザービリティを考慮しつつ技術の高さを垣間見せていて、好感が持てる。

NXの室内が狭いと感じることはないだろう。巻き尺で測れば分かるが、NXの室内空間はBMW「X3」より広くてアウディ「Q5」より狭い。ラゲッジスペースは50ℓで、後部座席を倒せば1,546ℓまで広げることが可能だ。

新型NXに搭載された「レクサス・エンフォーム」システムの一部として用意された新技術には、いくつか簡単に触れておくべきものがあるのでご紹介しよう。まずは、レクサスがリリースしたスマートフォン用アプリ「レクサス・エンフォーム・リモート」だ。これは、遠隔操作でエンジンのスタート/ストップやドアの施錠と解錠、ウインドウの上げ下げ、ガソリン残量などのステータス表示や駐車した自車位置の確認ができる。このアプリを使用するには、購入時に純正ナビゲーションシステムを付けることが条件だ。1年目は無料だが、2年目からは年間80ドル(約8,500円)となっている(これは「リモート」のみの価格。「セーフティ・コネクト」には年間139.95ドル(約1万5,000円)、「デスティネーションズ」には年間124.95ドル(約1万3,400円)がそれぞれ2年目から必要となる)。


  

そしてオプションとして、センターコンソール内の充電エリアにスマートフォンなどを置くだけで充電できる「おくだけ充電」が用意されている。これを使うには、ワイヤレス充電「Qi(チー)」の規格に対応した機器、あるいはこれに対応したケースなどを装着した機器が必要だ。また、アップルのiPhoneを通じて走行中にナビやオーディオなどが音声で操作できる「Siri Eyes Freeモード」にも対応。オプションで用意される純正ナビには、新しくなった「リモートタッチ」が導入されている。この操作には、以前のマウスのようなコントロールユニットの代わりに、指先で操作できるタッチパッドが新たに採用された。但し、もしナビを装備しなければ、従来のようなジョイスティック型のコントローラーを使うことになる。レクサスは顧客に全ての操作ユニットを提示して、これだと思うものを選ばせているのだろう。実際、どちらのシステムも習熟には少し時間が掛かるが、慣れれば問題なく使用できる。タッチパッドに指紋が付くのを嫌う人にとっては、旧式のレクサスの入力方式は悪くないオプションだが、分かりにくいグラフィックとぼんやりしたさえない色合いなので使い勝手は劣るだろう。

運転席の真正面には、2つの丸い計器(右には速度計、左にはモデルによってタコメーターもしくはハイブリッドパワーメーター)に挟まれる形で4.2インチのスクリーンが設置されている。センターコンソール上部には、オプションのナビゲーションを装備するしないに関わらず、7インチのLCDモニターが設置されている。このモニターでは「レクサス・エンフォーム・アプリ」の操作も行う。その下にあるボタンやコントロールユニットの操作性は良好で、人間工学に基づいて設計されているようだ。また、座り心地のよいシートは快適な姿勢に調節することができ、計器類が見づらくなることもない。

F SPORTには専用のディンプル本革ステアリングやサポート性が高いスポーツシートが採用されている。だが、これらは単に見た目上の演出に過ぎず、赤い糸でステッチが入っているのも同様だ。他にも目を楽しませる装備として(実用性は置いておいて)、加速度を示すG‐フォースメーターとターボのブースト圧が小さい方のLCDに表示される。

 
 

新型NX200tに搭載された最新のターボチャージャー付2.0リッター4気筒エンジンに火を入れる...と、ここで注目すべきは、ボンネットの下に数十万rpmで回転するターボチャージャーが存在するということだろう。いつものように、レクサスの騒音対策は素晴らしく、同ブランド初のコンパクトCUVから発せられる音は、うまく消されていた。また、レクサスはNX200t F SPORTに、エンジンやトランスミッションの状態に応じたサウンドを電気的に生成し、インストルメントパネルに内蔵された専用スピーカーから出力するという「アクティブサウンドコントロール」を搭載している。これはBMWが先行して採用を進めているシステムと同種のものだ。ステアリングホイールの右下にある小さなダイアルを操作するとONになるのだが、確かに合成されたエンジン音は聴こえてくるものの、このCUVには完全に不要なものとしか思えなかった。

ターボチャージャー付きエンジンの最大ブースト圧は17psiにもかかわらず、静かなのでそれ程の推進力があるとは全然感じられなかった。レクサスによると、この2.0リッターエンジンは最高出力238ps/4,800~5,600rpm、最大トルク35.7kgm/1,650~4,000rpmを発揮するという。体感的にもその程度だと感じた。アイドリング付近ではそれほどトルクが感じられず、パワー・ピークには高回転で達する。6気筒を積む他のライバル勢は明らかに停止状態からの加速がもっと元気よく感じられるが、レクサスは追い越し加速で力を発揮する。この新型ターボエンジンについては、更に詳しい記事があるのでご一読頂きたい。

レクサスはNX200tで新開発のオートマチック・トランスミッションを採用したが、ライバル勢が7速(メルセデス・ベンツ)や8速(BMWアウディ)であるのに対し、6速しかないのは興味深い。リンカーンの新型「MKC」は、NXと同じ2.0リッターのターボエンジンと6速ATの組み合わせなので比較対象としては相応しいようだが、問題はリンカーンにはもっとパワフルな2.3リッターエンジンの設定もあることと、標準の2.0リッター・エンジンでもレクサスより最高出力・最大トルクが勝るということだ。また、アキュラの主力モデル「RDX」も6速ATだが、標準グレードのエンジンは3.5リッターV6で、最大トルクは少し劣るものの、最高出力は大幅に勝っている。



レクサスによると、NX200tの0-60mph加速は前輪駆動で7.2秒、4輪駆動で7.0秒とのこと。これはおそらく間違いないのだろうが、低回転ではトルクが細いのでそれより少しだけ遅いにように感じた。BMW「X3 28i」の2.0リッターターボエンジンのほうが明らかに力強いし、ドラッグレースでは簡単にNXを抜き去ってしまうだろう。ターボチャージャー付き直列6気筒やターボディーゼルを搭載するX3では、もはや比較対象にならない。アウディの同排気量のエンジンならおそらく大体釣り合うだろうが、また同じ問題が浮上する。つまりQ5にはV6エンジンも用意されているのだ。アキュラはV6のみだが、0-60mphはNX200tより1秒近く速い。

1日中試乗を行ってNX200tから降りた我々は、オプションとしてもっとパンチのある大きなサイズのエンジンが選択できればいいのに、と考えていた。2.0リッターターボで満足する顧客も多いだろうが、我々はこのクラスのライバル勢に試乗したことがあるので、レクサスは大きく水をあけられていることが分かってしまうのだ。

燃費のためにスピードを諦めようとしている人には、「NX300h」は歓迎されるだろう。但し、その名前に含まれる"300h"という数字は、よりパワーが大きいことを示すのかと思いきや、2.5リッターのガソリンエンジンと電気モーターのハイブリッド・パワートレインが発生する合計最高出力は、NX200tより低い197psに留まる。確かに燃費は向上する。米国EPA(環境保護局)の燃費を示す数値はまだ出ていないが、レクサスによると、NX200tは一般道で22MPG(9.3km/ℓ )、高速道路で28MPG(11.9 km/ℓ)、平均で24MPG(10.2 km/ℓ)としている(AWDでは21/28/24MPG、=8.9/11.9/10.2 km/ℓ)。一方のNX300hは35/31/33MPG(14.8/13.1/14.0 km/ℓ)で(AWDでは33/30/32 MPG、=14.0/12.7/13.6 km/ℓ)、BMW「X3 28d」の燃費27/34/30MPG(11.4/14.4/12.7 km/ℓ)に対抗できるだろう。もちろん、ドライバーの運転の仕方や路面状況に影響されることは考慮が必要だ。アウディ「Q5 ハイブリッド」やメルセデスの「GLK250 BlueTec」なども現実には近い数値が出るだろう。(アウディやBMW、メルセデスの場合、用意されているディーゼルエンジンのほうが運転する喜びがある、と言っておかなければならないだろう。NX200tの運動性能が良くないわけではないが)


 

一旦ステアリングホイールを握れば、NXの主要な部分がRAV4と共通しているなどとは思わないだろう。それもその筈、レクサスはISをベンチマークにしてNXの開発を進めたという。シャシーには、高強度鋼の割合を増やし、「レーザースクリューウェルディング」や「構造用接着剤」などの新技術を採用したことで全体的に剛性が向上。また、これらの新技術により、サスペンションが設計者の意図したように動くようになった。

サスペンションは、フロントにマクファーソン・ストラット式、リアにはダンパーとコイルスプリングが分離した新設計のダブルウィッシュボーン式を採用。通常のストラットタワーの替わりにオイルを封入したダンパーで左右をつなぐことで、省スペースであるとともにチューニングの幅を拡げている。試乗車には18インチの225/60オールシーズンタイヤが装着されていた。F SPORTはオプションとして235/55のサマータイヤを選択可能だ。

シフトレバーの隣に配置されたドライブモードセレクトノブでは、ノーマル、エコ、スポーツの3つの設定を選択できる。名前の通り、エコは燃料の消費を抑え、より穏やかなレスポンスで、ガソリン1リッター毎に出来るだけ多くの距離が走れるよう最も効率の良い走行を行うモード。一方のスポーツは、コーナリング時に電動パワーステアリングのアシストを変更してフィールを向上させ、スロットルのレスポンスも鋭くなる、エンスージアスト好みのモードとなっている。もちろんノーマルはNXのデフォルト設定で、心地良く引き締まった感じを保ちつつ、リラックスした振る舞いとなるモードだ。

ステアリングは、ドライバーが指示した動きをコンピューターが解析してから実際に旋回に移るような、TVゲーム風の傾向を示す時が確かに少しある。だが、スポーツモードに切り替えれば、コーナーを走り抜ける時に修正に要する遅れを伴わず、正直な動きとなり、入力に対し素早く向きを変える。グリップは充分に効いているが、それを失ったときにもNXの姿勢は非常に安定している。わずかにアンダーステア気味に躾けられており、派手なスキール音を発しながらコーナーを抜けていく。



ダイナミックトルクコントロールAWDシステムを備えるモデルは、悪天候やぬれた路面でのトラクション確保に有利であり、それに加えてコーナリング中には駆動力をフロントからリアへ配分させることで(トルク配分は、前後100:0~50:50まで自動的にコントロール可能)、ハンドリングを向上させる機能もある。駆動方式を問わず搭載されるフロントのディファレンシャルは、スリッピーな路面や高速時にもクルマが安定するように作動する。NX200tには4輪にベンチレーティッドディスクブレーキが、NX300hには回生ブレーキが装備されていて、後者は踏み込むと不思議な感覚がした。

日本での販売価格(税込)は、NX200tのベースグレードが428万円(AWD仕様454万円)、NX300hのベースグレードが492万円(AWD仕様518万円)となっている。米国でもライバルのドイツ車勢より数十万円ほど安い価格設定ができれば、拮抗する魅力を持ったクルマになれるはずだ。BMWほどスポーティではないし、アウディQ5ほどパワートレインの選択肢があるわけでもないけれど、レクサスNXは細部までこだわったレクサスらしい高級感と、このクラスに相応しいドライビングダイナミクスを絶妙なバランスで兼ね備えたクルマだ。

RAV4を飾りたてただけのクルマだ、NXを見做すのは酷いし、正確でもない。NXの90%は独自の作りで、トヨタ・ブランドの兄弟車から大きく進化している。但し、魅力も90%増しているかというと、そうとは言えない。RAV4から引き継いだ部分が悪かったわけではない。NXはとことんまで、最もレクサスらしいクルマなのだ。

試乗を終えた結論としては、NX200tは完璧ではない。それでも、プラットフォームの共有は、自動車メーカーのマーケティング部によってラグの下に隠されるような悪いことではない、ということを、NXは堂々と証明している。

【基本情報】 エンジン:ターボチャージャー付2.0リッター直列4気筒
パワー:最高出力238ps/最大トルク35.7kgm
トランスミッション:6速オートマチック
0-60mph:7.0秒(推定)
最高速度:約200km/h
駆動方式:全輪駆動
車体重量:1,838 kg
最大牽引力:908 kg
座席数:2+3
荷室容量:1,546 ℓ(最大)
燃費:一般道 21MPG(8.9km/ℓ)、高速道路28MPG(11.9 km/ℓ)

By Jeremy Korzeniewski
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:Hirokazu Kusakabe

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