【試乗記】「今選ぶならこれ!」 2015年型レクサス「NX 300h」
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先頃発売されたレクサスのコンパクト・クロスオーバー「NX」では、レクサス初となる新開発のガソリン・ターボ・エンジンが大きな話題を呼んでいる。そのため、タービンの甲高い回転音を聞くくらいなら「ヒュー」というモーター音を聞くほうが良いという人たちのために、もう1つの選択肢が用意されているのを忘れてしまいがちだ。もし忘れてしまっていたら残念なこと。というのも、我々は、この「NX 300h」は市場の中でも実に面白いハイブリッド車の1つであると考えているからだ。その大きな理由を占めるのは革新的なAWDシステムと比較的スポーティなドライビング・ダイナミクスだが、今回は、我々がそんな新しいレクサスのハイブリッド・クロスオーバーを数時間試乗して抱いた、様々な所感をお伝えしよう。

所感

このNX300hとNX200tの大きな違いはもちろんそのドライブトレインだ。NX200tは2.0リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載。300hは低燃費の2.5リッター・アトキンソンサイクル・エンジンと電動モーターを搭載し、電気式無段変速機(CVT)を組み合わせている。これは、レクサス「ES」のハイブリッド車「ES300h」に搭載されているシステムと同じもの。レクサスは親会社のトヨタからの技術共有もあり、ハイブリッドには精通していると言える。

まず重要な所から見ていこう。NX300hの燃費は、FWDモデルでは市街地35mpg(約14.9km/ℓ)、高速道路31mpg(約13.2km/ℓ)、複合33mpg(約14.0km/ℓ)、JC08モード燃費21.0km/ℓ。AWDモデルでは同じ順に33mpg(約14.0km/ℓ)/30mpg(約12.8km/ℓ)/32mpg(約13.6km/ℓ)、そしてJC08モード燃費19.8km/ℓとなっている。これはNX200tのAWDモデルの21mpg(約8.9km/ℓ)/28mpg(約11.9km/ℓ)/24mpg(約10.2km/ℓ)/JC08モード燃費12.4km/ℓよりもかなり良い数値だ。ラグジュアリー・コンパクト・クロスオーバー市場においては突出しており、アウディBMWメルセデス・ベンツらの新世代のクリーンディーゼル車などと比較されることも考えられるだろう。

フロントに積むエンジンやモーターと、AWDモデルの後輪は機械的には繋がっていない。その代わり、完全に独立するリアのモーター・ジェネレーター・ユニットが独自のリアアクスルに内蔵されており、必要に応じて67hpを発揮し後輪を駆動する。いわゆるTTR(Through-the-road)ハイブリッドと呼ばれるタイプだ。ちなみにカナダ・ウィスラーで行われた試乗会では、そのシステムを試せるような場所はあまり見つからなかったが、砂利の駐車場ではパワーが後輪に伝わるのが充分に確認できた。普通の乾いた路面を走らせている限りではそれほど分からない。

興味深いことに、レクサスによると、前輪がスリップしたときに、バッテリーパックからの電力は、フロントモーターからリアモーターへ供給先が切り替わるという。つまり、AWDシステムは命令があったときにのみ使われるため、燃料が節約され、トータルの出力も変わらないという。大半の間、リアのモーターは止まっているか、あるいは回生ブレーキでエネルギーを回収するために使われている。

ヨーレートセンサーによって、リアのモーター・ジェネレーター・ユニットは、ターボ・モデルのNX200tに搭載される「ダイナミック・トルク・コントロール」と同じように、旋回時に後輪の駆動力を自動調整してハンドリングを安定化させる役割も果たす。

NX300hのバッテリーは、それぞれ約20kgずつの2つのパックに分かれており、合計で204個のニッケル水素のセルが使用されている。レクサスによると、ユニットは後部座席の両側、車体の重心に近い位置に搭載されているという。

トランスミッションには、トヨタ製「P314」型CVTをレクサスで初めて採用。"Nimble(素早い)"な"Crossover(クロスオーバー)"というネーミングの由来の通り、瞬時にフル加速したいときにアクセルを踏み込むことでキックダウンできることがその特徴だ。

ただしいくらキックダウンしても、NX300hではターボ・エンジンを搭載する兄弟のような加速は望めない。レクサスによると、NX200tが0-60mph(96km/h)を7.0秒で加速できるのに対し、NX300hは9.0秒かかるという。言い換えれば、NX300hのハイブリッド・システムは、最大の動力性能を引き出すことよりも燃費効率を重視するようにチューンされている。

とはいえ、NX300hは楽しく運転できるクルマだ。ステアリング・ホイールにはパドルシフトが装備されており、NX200tに搭載されている一般的なATのようにギアを変速することが可能だ。これにより、ドライバーはカーブの多い道や勾配の急な上り坂、下り坂などで最適なエンジンの回転数をキープし、迅速に対応できる。幅広い回転域で試してみたが、しっかりと機能した。

最も燃費が良かったのは、ドライブモードで「エコ」を選択した時だった。クルマの反応が鈍くなる代わりに、燃費が改善されるのだ。「EV」モードというボタンもあり、約40km/h(25mph)以下で大体半マイル(0.8km)ほどの距離をモーターのみで走行できる。これもやはり実際に試してみたところ、うまく機能した。ただし、バッテリーが十分に充電されている時に限る。

明らかに抑えられた加速性能と同時に改善された燃費性能。NX300hのドライバーが体験できるNXの性能はそれだけではない。ハンドリングは概ねNX200tと同等に思えるし、どちらも静粛性に優れ、路上では安定性も高い。このハイブリッド・モデルに関する最大の不満を挙げるとすれば、ブレーキ性能だ。あるときには停止しようとすると、回生ブレーキと標準のディスクブレーキがケンカをしてしまい、ぎこちない動きになる場合があった。

ハイブリッドにも「F SPORT」は設定されているが、実際にNXを購入するとしたら筆者なら間違いなくこれを選ぶだろう。F SPORTの方が標準モデルの外観よりも魅力的だと思うし(上の写真はF SPORTではない)、専用デザインのインテリアに施されたクールなステッチもたまらない。正直なところ、NX200tの2.0リッター・ターボはエンスージアスト向けエンジンとは言い難く、速さを優先するならば、BMW「X3 xDrive28i」の方がより良いドライビング・エクスペリエンスを提供してくれると思う。ハイブリッドのNX300hでもスポーツモードとパドルシフトを組み合わせれば充分に運転の楽しさが味わえるため、個人的に選ぶならNXは300h F SPORTのAWDがベストだと思う。そして浮いたガソリン代を他の楽しみに使った方がいいのではないだろうか?

結論。NX300hとNX200tでは明らかに燃料費の支出が違ってくるだろうが、癖が強いハイブリッドのパワートレインは誰の好みにも合うとは限らない。もし、エントリー・レベルのラグジュアリー・クロスオーバー車を求めるなら、NX300hとNX200tの両方に試乗してみるべきだ。しかし、競合の多いこのセグメントには、他にも米国や欧州、日本製の魅力的な選択肢が豊富にあることもお忘れなく。

【基本情報】
エンジン:2.5リッター直列4気筒/105kW 電気モーター(交流同期電動機)
パワー:最高出力194hp
トランスミッション: eCVT(電気式無段変速機)
0-60mph: 9.1秒(推定)
駆動方式:AWD
車両重量: 1896kg
最大けん引能力: 680kg
座席数:2+3
荷室容量:1521ℓ(最大)
燃費:市街地33mpg(約14.0km/ℓ) 高速道路30mpg(約12.8km/ℓ)


By Jeremy Korzeniewski
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:Hirokazu Kusakabe

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