BMWジャパンは、MINIの4ドアSUV「クロスオーバー」と、その2ドア・クーペ版とも言える"スポーツ・アクティビティ・クーペ"「ペースマン」をマイナーチェンジし、新たにクリーン・ディーゼル・エンジン搭載モデルも用意して9月8日より販売開始した。

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現在のMINIファミリーで唯一の4枚ドアを持ち、5名分のシートと4輪駆動も選べるMINI クロスオーバーは、日本市場では販売の4割以上を占めるという人気モデル。初登場は2010年(日本導入は2011年1月)だが、今年4月のニューヨーク国際オートショーで内外装にマイナーチェンジが施されたモデルが発表となり、日本では9月8日"クーパーの日"にその販売が開始された。

エクステリアの主な変更点は、ラジエーター・グリルのデザインが刷新されたことをはじめ、前後ライトのフレームやルーフレール、フロント・フェンダーに付けられた特徴的なサイドスカットルなどのパーツがピアノブラック仕上げとなる「Black Design パッケージ」が用意されたこと。さらに4輪駆動モデルの「ALL4」には、前後バンパー下部とサイドにアンダーカバーをイメージしたフィニッシャーが標準装備された(前輪駆動モデルでもオプションで装着可能)。ボディ・カラーも「ジャングル・グリーン・メタリック」や「スターライト・ブルー・メタリック」「ミッドナイト・グレー・メタリック」という新色が追加されている。インテリアではセンター・メーターの文字盤がこれまでの白から黒系のアンスライトに変更され、「インテリア・サーフェス」と呼ばれるカラー・パネルの範囲が拡大された。なお、今回からMINI クロスオーバーは全車5人乗りとなっている。




前期型に馴染んだ人ならずいぶん精悍な雰囲気に変わったなと感じるかも知れないが、マイナーチェンジによる内外装の変更は微々たるもの。それより大きな注目を集めそうなのが、日本仕様はこれを機にモデル・ラインアップが見直され、ついに待望のクリーン・ディーゼル・エンジン搭載モデルが導入されたことだ。

このBMW製2.0リッター直列4気筒ターボ・ディーゼルは、コモンレール式直噴システムや可変ジオメトリー・ターボを採用し、低回転から発揮される強力なトルクと優れた燃費性能が特徴(日本におけるキャッチコピーは「燃費が良くて、力持ち。GO ALL THE WAY」)。チューニングの違いによって2種類が用意され、「MINI クーパーD クロスオーバー」では最高出力112ps/4,000rpmと最大トルク27.5kgm/1,500-2,500rpmを発生、JC08モード燃費16.3km/Lを達成したという。高性能版の「MINI クーパーSD クロスオーバー」は143ps/4,000rpmと31.1kgm/1,750-2,700rpmに引き上げられ、さらに燃費も16.6km/LとクーパーDを上回る。これはBMWジャパンの発表によれば「高出力であるだけでなく効率に優れるため、結果として燃費も良くなった」そうだ。トランスミッションは6速ATのみの組み合わせとなり、MINI クーパーD クロスオーバーには路面状況に応じて前後の駆動力配分を、前100:後0から前50:後50まで能動的に可変する4輪駆動システム「ALL4」も用意される。



1.6リッター直列4気筒のガソリン・エンジン搭載モデルは、最高出力98ps/6,000rpm、最大トルク15.6kgm/3,000rpmの「MINIワン クロスオーバー」と、基本的に同じエンジンながら122ps/6,000rpm、16.3kgm/3,000rpmを発生する「MINI クーパー クロスオーバー」、そしてツインスクロール・ターボによって218ps/6,000rpmと28.6kgm/1,900-5,000rpm(オーバーブースト時は30.6kgm)まで高められた「MINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバー」の3モデルが引き続き設定されている。ガソリン・エンジンで4輪駆動は最強モデルのジョン・クーパー・ワークスのみとなってしまったが、代わりに3モデル全てにおいて6速MTが(受注生産ながら)残されている。特にパワーは控え目だが価格も安いMINIワン クロスオーバーの6速MTは、17.2km/Lというディーゼルを上回る燃費を達成しているので、家族を持つマニュアル派には結構お勧め。



MINI クロスオーバーの2ドア・クーペ版であるMINI ペースマンも、内外装には同様のマイナーチェンジが施された。また、今回から価格設定も見直され、同じパワートレインを積むクロスオーバーとは同価格に引き下げられた(これまでドア数の少ないペースマンの方が若干高い値付けだった)。ただしこちらのディーゼル・エンジン搭載モデルは「MINIクーパーD ペースマン」の1車種のみ。ガソリン・エンジン・モデルは自然吸気の「MINIクーパー ペースマン」と、従来より最高出力が僅かに向上して190ps/5,800rpm、最大トルク24.5kgm/1,600-5,400rpm(オーバーブースト時は26.5kgm)を発揮するツインスクロール・ターボ付きの「MINIクーパーS ペースマン」、最強グレード「MINI ジョン・クーパー・ワークス ペースマン」の3タイプに整理された。トランスミッションはクロスオーバー同様にディーゼルはATのみ、ガソリンはMTとATから選べる。ALL4が「ジョン・クーパー・ワークス」のみとなってしまったことは残念に思う人もいるかも知れない。なお、同じパワートレインを積むモデル同士で比べたら、クロスオーバーとペースマンの車両重量はまったく同じで燃費もほとんど変わらない(クーパーのMTのみ0.1km/Lだけ違う)。

価格はMINI クロスオーバーが275万円(ワン MT)から、MINI ペースマンは308万円(クーパー MT)から、どちらも477万円(ジョン・クーパー・ワークス AT)まで。「クーパー」と「クーパーD」価格差は20万円だが、エコカー減税の減税率の違いにより、実質的な差は5万円ほどになるという。




BMW Group Studioで行われた発表会で、BMWジャパン MINIディビジョンの方々に気になることを尋ねてみた。

ディーゼル・エンジン搭載モデルの日本導入が今日まで遅くなった理由は?

「ディーゼル・エンジンが欧州で新排ガス規制"EURO6"に対応したことによって、ようやく日本でも販売できるようになったということです。クロスオーバーの発売は2011年でしたが、当時のディーゼル・エンジンはまだEURO5対応だったので、そのままでは日本のポスト新長期規制をクリアできませんでした」

今後、F56(新型MINIハッチバック)などにもディーゼル・エンジン搭載モデルは増やしていくお考えですか?

「どのモデルと今はっきり言うことは出来ませんが(笑)、もっと増やしていきたいと思っています」

日本仕様は排ガス規制に合わせて何か変更されていますか?

「制御系のソフトウェアは変更していますが、ハードウェアはほとんど変えていません」

従来型のクロスオーバーやペースマンと比べて、内外装の他に足回りなどの変更はありましたか?

「変わりありません」

では、ガソリン・モデルだと乗った感じはまったく変わらない?

「ペースマンのクーパーSはパワーが上がっていますけどね。それ以外は変わらないと思います」

ディーゼルのMTモデルという設定はありませんが、今後の導入予定は? マツダにはありますけど(笑)

「マツダさんと違って販売ボリュームが少ないので(笑)、仕様は絞らざるを得ないのです」

MINI クロスオーバーはファミリーで唯一、後部座席用ドアを備えるということもあって日本では現在最も売れているモデルだそうですが、今後はハッチバックにも5ドアが追加されますよね。

「まあ、5ドアも欧州では既に発表されてしまっているのでお話ししますが、クロスオーバーに比べると室内はもっと狭いんです。だからSUVというだけでなく、荷室も含めて室内空間に余裕があるクロスオーバーをお選びになるお客様は依然としていらっしゃると思います」

ちょっと意地悪な質問をさせてください。この大きさ(全長4,105mm × 全幅1,790mm × 全高1,550mm)になると"もう全然ミニじゃない"という声も届いていると思います。絶対的な大きさが"ミニ"であることよりも、デザインがMINIであることの方がプライオリティが高いということでしょうか?

「そう仰る方も、特にモーター・ジャーナリストの方には多いんですが(笑)。実際にファミリーカーとして買われるお客様にとっては、後部座席に3人が座れるとか、実用的な荷室があるとか、やはりそういうことが大事なわけですから...。それにSUVとして、全長4.1mというのは充分小さい方だと思います」




実際に後部座席に座ってみると、足元やヘッドスペースは充分な広さがあり、さらにクロスオーバーの車高は乗り降りも楽だ。かつて筆者も所有していた"クラシック・ミニ"ではそうはいかない。年老いた両親を乗せるなら、迷わず"大きなMINI"を選ぶだろう。ならばもし、これがMINIの名前ではなく、BMWが創った新ブランドのクルマとして世に出ていたなら...。マニアやジャーナリストはもっとためらいなく褒め(られ)たかも知れないが、これほど成功したかどうかは分からない。それにBMWが作らなくても、例えばローバーやMGのように、どこか新興国のメーカーがブランドを買い取り、やはり昔とは似ても似つかぬMINIを製造していたかも知れない。あるいは単なる過去の名車、クラシックカーとして一般の人々からは次第に忘れ去られ、イギリスの工場は閉鎖され失業者がますます増えていたかも知れない。2014年の今日でも「クーパーって人の名前だったの? 何をした人?」なんて質問が特にマニアでもない若い人々から聞けたりするだけで、元ミニ・オーナーとしては嬉しい気持ちにもなる。1959年に生まれたオリジナル・ミニの精神には、現在ならひょっとしたらBMWの中でも「i3」の方が近いかも知れないと心の底では思いつつ...。

そんな拘りはともかく、MINI カントリーマンやMINI ペースマンに1台のクルマとして魅力を感じた方は、是非お近くのショールームで実車をご覧になり、見ているだけで楽しくなる74ページにも及ぶカタログ(+24ページのオプション・カタログ)を入手されるようお勧めしたい。詳しい情報は以下のリンクから公式サイトをどうぞ。

MINI 公式サイト
http://www.mini.jp/


By Hirokazu Kusakabe

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