マツダの新型「ロードスター」発表イベントで、デザイナーの方にお話を聞いた
9月4日に日本・欧州・米国の3ヵ所同時に初公開された、マツダの新型「ロードスター」。前回の記事に引き続き、今回はそれを手掛けたデザイナーの方々からお聞きした話をご紹介しよう。

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新型ロードスターはご覧のように、FRレイアウトのオープン2シーター・スポーツカーというこれまで通りのスタイルを引き継ぎながら、「アテンザ」や「アクセラ」というマツダの現行モデルと同じデザイン・テーマ「魂動(こどう)」が採用されている。「魂動」デザインとは、マツダによれば「チーターが獲物を狙って、跳び掛かる一瞬」や「日本古来の武道である剣道の突きの一瞬」など、最大の集中力を伴う生物の「一瞬の動き」が感じさせる「瞬発的な力」「スピード感」「凛とした緊張感」「洗練された美しさ」「ある種の色気」、それらを「クルマのデザインして表現したい」という想いを込めたものであるという。生物の動きが感じさせる「速さ」と「力強さ」。これはまさにスポーツカーであるロードスターのデザインに相応しいテーマのように思われる。



しかし、これまでマツダから発表されたアテンザやアクセラのデザインは、それ自体の魅力と評価は十分に高かったものの、その特徴的なディテールをこれまでのロードスターが持つイメージと組み合わせて想像したとき、相容れないのではないかという不安を覚えた人は少なくないだろう。昨年から今年に掛けて、様々な自動車ファンやメディアが、「魂動デザインのロードスター」の想像図を描いて来た。そして2014年9月4日、遂に我々の前に姿を現した新型マツダ ロードスターは、そのどれとも違う、そしてどれをも上回るデザインだった、と言ってよいのではないだろうか。それは発表イベントに招待されたロードスター・ファンの方々が、口々に「カッコイイ!」という言葉を発していたことで証明されたように思う。

そこでまず、チーフ・デザイナーを担当されたマツダの中山 雅氏に、最も気になることを尋ねてみた。


魂動デザインを採用しなければならないということは、ロードスターをデザインする上で制約になりましたか?

「制約というか、越えなければならない大きな峠があったとは思います」

魂動デザインでロードスターをデザインするように言われたとき、"冗談じゃねえよ!"って思いませんでしたか?

「(真顔で)一瞬思いました。でもすぐにやる気になった。魂動とロードスターは逆の方向を向いているわけではない。例えば魂動を縦軸に、ロードスターを横軸として考えると、それが交わるところにあるデザインが創れるはず。最初、チーフ・デザイナーに任命されたときにそういう図を描いて、社長や重役達の前で"やります!"って宣言してしまいましたから。宣言しちゃったらやり遂げなければならない。それがよかったと思います」



実際に今日、初めてそれを見たファンの皆さんから大きな称賛が送られていました。しかし完成までは大変だったのではないかと思うのですが。デザインする上で参考にしたり、意識したクルマはありますか?

「強いて言えば、NA(初代ロードスター)です。自分でも25年間乗り続けていますから、NAの偉大さはよく分かっていますので」

NB(2代目ロードスター)やNC(3代目現行型ロードスター)ではなく、やっぱり最初のNAですか?

「NBとNCには(デザインする上で)どうしても制約があった。今回のND(4代目新型ロードスター)は25年ぶりのオールニューですから。同じようにオールニューでデザインされたNAがライバルでしたね」

シャシーに縛られずにデザイン出来たということですか?

「シャシーと一緒に始めました。まず最初に全体のプロポーションを作った。洋服ではなく、それを着る人のスタイルを先に作ったようなものですね。それでシャシーと初めてお互いに持ち寄って合わせてみたら、どうしても合わない部分が出てきた。そこでガサッと大きく変えました。エンジニアの人たちも大変だったと思います」

具体的にはどんなところが変わったのですか?

「Aピラーの位置とか、オーバーハングの長さとかですね。スポーツカーだから、シャシーはエンジニアに任せたい。最適な重量配分とかありますから」

今回のロードスターは、フィアット・グループから発売される新型スポーツカーとプラットフォームを共有すると発表されています。イタリア人が手掛けるそちらのデザインは意識しました?

お互い意識していたと思います。でも(開発中のフィアットのデザインを)見てません。

デザインの制約については、生産性やコストの問題もあったのではないかと思うのですが。

「スーパーカーを作っているわけじゃないので、当然そういう制約はあります。でも、例えお金を掛けられなくても知恵を使って。エンジニアが頑張ってくれました」

NAのようにきっと長く愛されることになるのでしょうね。

「20年もつデザインを、と考えて作りました。10年生産されて、その後も10年乗り続けられて、あと最後は博物館に行く(笑)。死なないデザイン。それを目指しました」




続いて会場に展示されたインテリアのデザイン用モデルを前に、それを手掛けたデザイナーの1人にもお話を聞いてみた。

ロードスターの文法通りでありながら、現代性も感じさせるインテリアだと思います。どんなことを最も意識してデザインされたのですか?

「ありがとうございます。まず決めたことは、ロードスターらしいデザインにするということでした。でも、ロードスターらしさとは何か。それについて色々と考えました」

結局、それは何でしたか?(笑)

「やっぱり走る楽しさだと思います。まず、それを決して阻害しないこと。スポーツカーですから、操作性、視認性の高さが絶対です。それから、見た目の美しさやデザイン上の遊び、そういうものだけのためのデザインはしないということですね」

ボディを小さくするということになって、居住性の点ではご苦労されたのでは?

「それはなかったですね。室内は狭くもなっていません。特に広くもなっていませんが、でも人間の体型って、そんなに変わっていないと思うんですよね」

私もそう思いますが、そう思わない自動車メーカーも結構あるようで...(笑)。では、歴代ロードスターと比較して、ND型は"ここが新しい"という試みは何かありますか?

「ドアの上部にボディ・カラーを取り入れたことですね。今までのロードスターはこういうことはやっていませんでしたから」

それも単なる見た目のためではなくて、意味があるのですね?

「まず、安全性を損なわずに、オープンにしたときにより開放感が感じられるということ。それからコクピットに座ってみると、この部分がフロント・ウインドスクリーンを通して、フェンダーの峰とつながって見えるんです。これにより、視覚的にクルマとの一体感をより感じられるのではないかと思います」

なるほど。インテリアをデザインするときには、このようにボンネットやフェンダーと合わせて見るわけですね。

「通常はインテリアだけのモデルを造ってデザインするんですが、このロードスターはオープンカーということもあって、インテリアだけではなく、その周囲に一緒に目に入るボディの部分も合わせてデザインするべきだということで、特別にこういうものを作ってデザインしました」

デザインする上で、意識した他のクルマは何かありますか?

「NA型ロードスターですね。ロードスターらしさというものを考えるとき、やっぱりNAがオリジナルですから。それから、あのボディの面の一体化された美しさは今でも素晴らしいと思います。自分もNAに乗っていますし、学生の頃に発売されたNAを見て、マツダに入社することを決めたくらいですから」



昨日と今日、新型マツダ ロードスターを手掛けたマツダのエンジニアやデザイナーの方々からお聞きした話を、2回に分けてご紹介して来た。読んで下さった方はお気付きだろう、今回のロードスターに関わった方々は、皆さんがNA型ロードスターに対するリスペクトを口にされている。NA型の販売が終了してから17年以上。今でもお乗りになっている方は(マツダの社員以外でも)多いだろうが、そろそろ手に入らない部品もあり、日常的に乗るクルマとしては厳しくなってきた。今回の新型ロードスターを開発した人たちは、まるでそんなNA型オーナーのために、彼らが次に乗るクルマを用意するために、一所懸命に努力されてきたのではないか、そんなふうにさえ思われた。

もちろん、当時世界中の自動車メーカーに衝撃を与えたライトウェイ・スポーツカーのルネッサンスをリアルタイムで知らない人にも、ND型ロードスターは(彼らにとっては)新しいクルマの魅力を教えてくれるに違いない。1989年当時と比べたら、軽自動車やコンパクトカーさえもすっかり重くなり、手頃な価格帯の後輪駆動スポーツカーはめっきり減ってしまった今日この頃。現行型より100kgも軽くなった新型ロードスターが世界の人々に与えるインパクトは、もしかしたら"偉大な"NA型以上のものになるかも知れない。


マツダ公式サイト:ROADSTER 25th ANNIVERSARY
http://www.mazda.com/jp/stories/history/roadster/roadster_25th/


By Hirokazu Kusakabe

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