【試乗記】ハイブリッドスーパーカー戦争の本命! 2015年型フェラーリ「ラ フェラーリ」
Related Gallery:2015 Ferrari LaFerrari:First Drive Photos

超高性能な超高価格車を愛してやまない人たちにとって、この1年間は素晴らしいものだったに違いない。ほぼ12ヶ月にわたり、我々はポルシェ「918スパイダー」マクラーレン「P1」フェラーリ「ラ フェラーリ」という3大ハイブリッド・スーパーカーの登場に圧倒され続けて来た。この3社のスーパーカーのうち2台に試乗できれば、クリスマスプレゼントを貰えなくても、最高の1年だったと思わなければいけない。しかし筆者は、どうしても2台の試乗だけでは、悲しいかな不完全だと感じてしまうのだった。

従って、マラネッロにあるフェラーリの本社から電話を貰ったことは、幸運なんてものではなかったし、嬉しくてならなかった。ポルシェの918スパイダーは、この3台の中では唯一、地球に優しいハイブリッドカーを真剣に目指したクルマだった。テクノロジーの粋を集めた918スパイダーには本当に驚かされた。マクラーレンのP1は、ポルシェより本当の意味で、ハイパーカーだった。マクラーレンに搭載された電気モーターは、この軽量な野獣を、燃料消費率などといった地球上の心配事など全て蹴散らしてしまうような、超自然的なスピードで加速させるために開発されたていた。そして、ついに「ラ フェラーリ」というおかしな名前がついたイタリアのハイブリッド・ハイパーカーに試乗する機会を得た。実は筆者が、ポルシェやマクラーレンよりも、このフェラーリに乗りたいとずっと1年間、待ち望んできたのだということは言っておきたい。

ポルシェ、マクラーレン、フェラーリと1年にわたって続いたハイバーカーの売り込みは、まるで有名なオペラ3部作のようだった。観客を魅了する芝居の始まりはスペインだった。濃いグリーンのダートで取り囲まれたサーキットを、ポルシェ918で元気いっぱいに駆け抜ける。そして、物語は英国へ。レースカーにインスパイアされたマクラーレン P1。軽量で速いV型8気筒ツインターボを搭載するマシンで飛行場に設けられたコースを走り抜けた。そして、イタリアのフィオラーノ・サーキットを走るラ フェラーリで、大団円を迎える。ワーグナー3部作のフィナーレに相応しいではないか。

これで筆者は3社のハイパーカーすべてに試乗したことになる。918スパイダーはセンセーショナルなマシーンで、ポルシェ独自の世界観の中に存在していた。したがって、この"ハイブリッドスーパーカー戦争"の真のバトルは、最高出力903hpのP1と950hpのラ フェラーリとの間で行われる。ワクワクする戦いになるだろう。さらにスリルを求めるなら、パガーニ「ウアイラ」ケーニグセグ「アゲーラ」をこのバトルに放り込んでみると面白いかもしれない。




2013年初頭にフェラーリが「ラ フェラーリ」を発表した時から、筆者にはこの名前が間抜けに聞こえてならなかった。しかし、フェラーリのロードカー部門の責任者、フランコ・チマッティ氏の説明を聞いて納得できたし、それ以降は奇妙だと感じなくなった。チマッティ氏によると、これは「すべてを反映させた名前だ」という。「フェラーリが持つ最高の能力、最新のテクノロジーを全て1つのモデルに統合して作り上げた」。つまり、「ラ フェラーリ」という名前をつけることで、これこそが最高の、最も"リアル"なフェラーリであると宣言しているのだ。そういうことなら理解できる。それでもやはり、いささか間が抜けた名前だとは思うが......。

試乗に臨んだ日は、天候も気温も最高のコンディションに恵まれた。赤く塗られたラ フェラーリに乗る最初の体験は、フェラーリ本社の南に位置するアペニン山脈の公道にて。高性能なタイヤと素晴らしいシャシー、それに見合った強力なブレーキとテレパシーが通じるようなステアリングがなければ、搭載されたハイテク機能は何の意味もなさない。ラ フェラーリの重心を低く抑えた車体に合わせて、ピレリは前265/30 ZR19 (93Y)、後345/30 ZR20 (106Y)サイズの「Pゼロ・コルサ」タイヤを専用開発した。「ラ フェラーリ」の最低地上高は、「エンツォ」と比較すると、1.2インチ(約30mm)低い。車幅は1.6インチ(約40mm)狭くなったが、ドライバーのヒップポイントが2.4インチ(約61mm)下がったために、キャビンは窮屈な感じはしない。




ラ フェラーリの鏡のようになめらかで息を飲むほど美しいグリーンハウスは、エンツォに比べると幅は狭いが、コクピットは身長193cmのドライバーにとっても十分なスペースがあった。また、カーボンコンポジット製のスワンドアは軽量で、適切な位置にヒンジがあるため、乗り降りもしやすい。ドアの大きな開口部と一体化された幅広いロッカーパネルのおかげで、ラ フェラーリは数あるハイパーカーの中で最も居住性に優れている。これなら背が高いお金持ちの人でも大丈夫だろう。

それでは、スワンドアを開けてキャビンを見てみよう。スパルタ風の質実剛健というほどではないが、飾り気がないということにおいては、古代イタリアのエトルスク美術のように地味である。ダッシュボードとセンターコンソールは、すべてが効率よく配置され、よく選び抜かれている。しかし、ど真ん中に設置されたクライメット・コントロール(空調)のノブが1990年代後半のデザインのように見えるのが残念だ。その他のコントロール類は、あるべきところに収まっていた。ダッシュボードに内蔵された12.3インチの液晶モニタは、真剣にサーキット走行をしたいドライバーにとって完璧な位置に搭載されており、必要とする情報が全て表示される。あらゆるものが非常に直観的に配置されているため、見つけたいものを探すのにあまり手間取ることはなかった。



マラネッロやモデナ、ボローニャ周辺の公道の、美しさとはほど遠い路面における操縦性については言いたいこともあるだろうが、この新型のハイパーカーや先代のエンツォは、単に普通の公道を走るために作られたわけではないのだ。499人の幸運なオーナーたちは、地元のクローズドサーキットで定期的に走らせなければ、この950hpのプラグイン・ハイブリッドカーの恩恵をほとんど受けられないわけだが、実際に公道を走らせてみると、ラ フェラーリが採用した第三世代の磁性流体サスペンションには、むしろ嬉しい驚きがあったとコメントしておこう。インテリアはヘルメットを着用できるようにデザインされている。これは大事なことだ。

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製の四角いステアリングホイール上にマウントされた「マネッティーノ」のおかげで、丘陵地帯の荒れた2車線の道路でも勢いよく走行することができた。マネッティーノには、Sport、Race、ESC OFFという3つのモードがある。まず初めに気がつくのは、新しくプログラムされたゲトラグ製の7速デュアルクラッチ式トランスミッションが、ドライバーの感覚を即座に感じ取り、完璧なシフトをやってのけることだ。ラ フェラーリの開発の大部分が、鋭い目を持ったフェラーリのF1エンジニアの下で行われた。最初に作られてから10年も経つゲトラグ製DCTギアボックスをどうすればいいか、彼らは本質的に理解しており、これを再び若返らせたと言えるだろう。マネッティーノをRaceモードに切り替えれば、シフトアップもシフトダウンもドライバーの思考とほぼ同時に素早く行われる。また、レブ・マッチング(ブリッピングによる回転合わせ)は熱狂的なほどクイックだ。フェラーリ・チームの技術者によると、このとき後方から聞こえるサウンドは10年前のF1のギアが奏でていた音と同じだという。

巨大なブレンボ製のカーボンセラミック・ブレーキは、フロントが6ピストン・キャリパーと15.7インチディスクで、リアは4ピストン・キャリパーと15インチ・ローター。この中毒になりそうな制動力のおかげで、ドライバーは勇気の限界までブレーキングを我慢することができる。これは「458スペチアーレ」に採用されているブレーキ・ディスクと同じものだ。



走行モードをESC offにした時にだけ、ラ フェラーリは簡単にオーバーステアになり、イタリア製のタイヤからスモークを発生させることができた。ステアリングのロック・トゥ・ロックはわずか2回転。これが最新の電子制御ディファレンシャルと組み合わされると、9,000rpmで信じられないほど簡単にオーバーステアになり、長く響くようなサウンドを奏でた。ラ フェラーリは、こういう状況でも上品に踊ってみせることができるように設計されているのだが、こんな走り方をすることが私の目的であるとしたら、よりコンパクトな「458スパイダー」、またはポルシェの「ケイマンGTS」を購入するだろう。そうすれば、20万ドル(約2,000万円)の修理費が必要となったりするような、物事が劇的に悪い方向に進むことを避けられる。

最高出力789hpを発揮する6.3リッターのドライサンプ式自然吸気V型12気筒エンジンは「F140 FE」とも呼ばれ、「F12ベルリネッタ」のパワープラントとしても使用されているが、最高出力730hpのF12ベルリネッタは、ラ フェラーリより231ポンド(約105kg)重く、エンジンも足元に搭載されている。ラ フェラーリは電気モーターを使用すると、さらに出力160hpとトルク27.5kgmが上乗せされる。ハイブリッド・システム「HY-KERS」を採用したパワートレインは、V型12気筒エンジンの回転数をより低く抑えることを可能にし、燃費を向上させた。160hpを発揮するEモーターと組み合わせると、0-60mph加速が2.5秒以下(公式サイトでは0-100km/hが3秒未満)となり、最高速度は221mph(公式サイトでは350km/h)に達する。発表された当初は205mph(330km/h)と見積もられていたが、実際はさらに速かったらしい。筆者が最も長い直線のブレーキ・ポイントまで試してみたら、速度計は174mph(280km/h)を表示した。ニュルブルクリングの北コースやサルト・サーキットのもっと長い直線なら、さらに高い速度に達することも出来ただろう。



HY-KERSシステムを採用したことで、V型12気筒エンジンの自然衝動的な爆音は1,500rpmでは抑えられている。低回転域でスロットルを開けると、全体のサウンドは少し妙な印象を与える。というのも、エンジン音が高まるより前に電気モーターが後押しする速度と推進力を感じてしまうからだ。4本のテールパイプが本当のフェラーリ・サウンドを奏でるのは、4,000rpmを超えたところからだ。それは、レッドゾーンの9,250rmpまで続く。4,000回転から7,000回転の間、ラ フェラーリは本物のアニマルになる。

ドラマティックなアクティブ制御のエアロダイナミクスが導入され、その威光を初めて受けたラ フェラーリの安定性は特筆に値するものだ。458スペチアーレでもフロントとリアのフラップを自動で可変させていたが、ラ フェラーリでは、かなりワイルドに、より全体的に統合され、効率が向上している。ラ フェラーリが誇るアダプティブ・アクティブ・システムは、同種の機能の中では筆者が知る限り最高のものだ。特にリアウイングとリアの下部エリアに取り付けられた2枚の可動式フラップが素晴らしい。ボディ後端のフラップは常に上下動を行い、高速からのブレーキング時にエアブレーキの効果を発揮したり、最大のダウンフォースを発生させる。125mph(約201km/h)の走行時にエアロダイナミクスがフルに機能すると、効果的な800ポンド(約363kg)ものダウンフォースが得られるという。また、軽量な車体とこのダウンフォース、そしてセラミックブレーキによって急激な制動が可能となるだけでなく、ブレーキペダルにその素晴らしい効果と制動力の性能曲線がしっかりと伝わってくる。ブレーキング中、あるいはV12エンジンが求められる以上のトルクを発生した場合にも、モーターによる加速力を使うときに備えて、電気に変換されたエネルギーがバッテリーパックに蓄えられる



レースカーのように握りやすくレシオがクイックなステアリングホイールと、身体を支え続けるカスタム・シートによって、ドライバーはこれまで経験したことがないほどクルマとの一体感が感じられ、自分を包み込むマシンの挙動がはっきりと分かる。3種類のサイズから選べるドライバーズ・シートはフロアに固定されており、背もたれの下部と側面のサポートはこれ以上のものはないと思うほど心地よい。シートクッションの右前に備わるレバーでペダルの位置を調整し、ドライバーの足に対する適切な距離と位置を設定することが出来る。特に新しいテクノロジーというわけではないが、ラ フェラーリのそれは完璧に機能した。また、シートを固定式にすることで、ドライバーの重心をカーボンファイバー製のシャシーの中心に維持することが可能になる。

結論を言えば、ラ フェラーリはエンツォに比べると、はるかに運転しやすいハイパーカーである。フィオラーノにある1周約3kmのサーキットでは、標準仕様でもエンツォより6秒も速いラップ・タイムを叩き出したという。その事実が影響したのかどうかは分からないが、ジュネーブ・モーターショーでお披露目される前に499台の限定数がすでに完売してしまっただけでなく、それを大きく超える700人から購入希望があったそうだ。ラ フェラーリのオーナーになるためには、過去数年以内にフェラーリから少なくとも5台の新型モデルを購入しているコレクターでなければならないという制限が設けられていたことを考えると、これは驚くべき事実である。

裕福な人はさらに金持ちになり、ラッキーな人はさらに幸運を手に入れる。そして、ハイパーカーに対する熱狂は凄まじい勢いで盛り上がり続けている。まったくもって素晴らしい世界だ。


【基本情報】
エンジン: 6.3リッターV型12気筒エンジン+Eモーター
パワー(V12エンジン+Eモーター): 最高出力963馬力 /最大トルク91.8kgm以上
トランスミッション:7速DCT
0-100km/h: 3秒未満
最高速度: 350km/h以上
駆動方式: 後輪駆動
車両重量:1420kg(推定) 座席数: 2
荷室容量: 56.63ℓ
燃費:6.8km/ℓ(複合モード)(推定)
ベース価格(米国):135万ドル(約1億3600万円)

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

■関連フォトギャラリー
Related Gallery:2015 Ferrari LaFerrari:First Drive Photos

【PR】「ラ フェラーリ」の購入を考える前に!まずは現在お乗りのクルマの査定価格を調べてみよう!

Related Gallery:Ferrari LaFerrari: Geneva 2013 Photos

Related Gallery:Ferrari LaFerrari

Related Gallery:Jay Kay and his LaFerrari

Related Gallery:Ferrari LaFerrari XX: Spy Shots Photos

Related Gallery:2015 Porsche 918 Spyder: First Drive Photos

Related Gallery:2015 McLaren P1: First Drive Photos

■人気フォトギャラリー
Related Gallery:Tokyo Auto Salon 2014 Companion Girls 08: AIWA

Related Gallery:IAA 2013 Hostessen and sexy Girls von Frankfurt

Related Gallery:Mercedes-Benz A-Class Concept