The Orange County Register
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創業以来111年間、次第に大排気量化していくV型ツインエンジンを製造してきたハーレーダビッドソンが同社初となる電動バイク「ライブワイヤー」を発表した。ハーレーが2輪市場のテスラになるというこのニュースが世界中に衝撃を走らせる数日前、筆者はライブワイヤーに試乗する機会に恵まれたので、その様子をお伝えしよう。

米国最大で米国を象徴する2輪メーカーのハーレーは、南カリフォルニアの使われなくなった滑走路を試乗会場に選び、トップシークレットのライブワイヤーを用意していた。ライブワイヤーを運んできたトレーラーにハーレーのロゴはなく、滑走路で静かに輝くバイクがウィスコンシン州ミルウォーキーの高級バイクメーカーからやってきたことを知る者は、ハーレーの2人の従業員以外にいなかった。ライブワイヤーに黒とオレンジのカラーテーマが施されていなかったら、あるいは「バー&シールド」のロゴマークがなかったら、このバイクの製造元は分からなかっただろう。それほど長年ハーレーが量産してきたクルーザーと異なっていた。

"大きければ大きいほどいい"というスタイルや、長距離ツーリングに適したステップとともに、「レイドバック・ポジション」と呼ばれるリラックスした乗車姿勢はなくなっていた。代わって誕生したのは、アグレッシブで前傾姿勢のライディング・ポジションを取り、スポーティなフットレストがセンターについたコンパクトなマシンだ。1,688ccという大排気量のV型2気筒エンジンを誇らしげに見せる代わりに、リチウムイオン電池を隠しているため、トレリスフレームでさえもハーレーというよりドゥカティのバイクを思わせる。ガソリンタンクはない。マフラーもない。チェーンではなくベルトで駆動力が伝えられるリアタイヤの上にモノショックにつながったボブテールがあるだけだ。

ライブワイヤーのイグニッションはキーレスで、ほとんどのハーレー製バイクと同様にスマートキーとの組み合わせで動く。しかし似ているのはここまでだ。右側のグリップにあるスイッチを入れて始動させても、トレードマークともいえる特徴的な"ポテト、ポテト、ポテト..."と聞こえるエグゾーストノートで迎えられることはない。その代わり、オイルポンプが作動して腹部に備えつけられた74hpを発生させる電気モーターと電子制御装置を冷やす第2ポンプを冷却し始めると、低音の「ブーン」という音が聞こえてくる。

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筆者は発進する前に、「パワー」か「レンジ(航続距離)」のどちらかを選ぶように促された。フル充電の状態でパワー・モードを選べば、7.2kgmのトルクが発生し、約30マイル(約48km)の走行が可能だ。レンジ・モードを選ぶと、スロットルのレスポンスが麻痺したかのように鈍くなるが、航続距離は約2倍になる。

筆者は当然の選択をした。グローブをした手でスクリーンをタッチし、パワー・モードを選んだ。スロットルはちゃんと生きてきた。

実際の航続可能距離は課題だが、ハーレーはライブワイヤーと名付けたことを含め、多くのことを的確に行った。ハンドルのグリップをひねると、フェラーリのような加速に筆者は不意にサドルから振り落とされそうになった。ライブワイヤーの最大トルクは、ガソリンエンジン駆動の2014年型ツアラーの半分ほどだが、瞬時にそのトルク値を得られる。ハーレーによれば、ライブワイヤーの0-60mphは4秒ジャスト。筆者はそれを確かめようとは思ったわけではないが、広大な滑走路でリミッターが作動する最高速度の92mph(約148km/h)まで加速させると、スピードメーターは英国の著名な宇宙物理学者、スティーブン・ホーキングのように素早く計算していた。

バイクから聞こえるのは、加速するにつれて甲高くなる「ブーン」というかすかなサウンドだけだ。ハーレーはジェットエンジンの音を再現するようにチューニングしたというが、筆者の耳には、現在電動バイク市場でしのぎを削っている2つの電動バイクメーカー、ゼロ・モーターサイクルズブランモのバイクと同じように聞こえた。サウンドに関して言えば、「爆音マフラーは命を救う」を体現するハーレーはライブワイヤーで苦戦を強いられそうだ。

他のすでに市販されている電動バイクと比較してみると、ライブワイヤーの発進時のレスポンスはゼロ・モーターサイクルズやブランモの2014年モデルと大差ないが、ライブワイヤーの航続距離はそれらの半分しかない。ライブワイヤーのモーターとバッテリーの配置や2つの走行モード、回生ブレーキシステムは、明らかにベンチマークテストにかけられている。しかし、パワートレインを隠すことを選んだハーレーのやり方はユニークで、電動バイクの中で最も魅力的だろう。ライブワイヤーは量産されている製品ではないが、部品の納まり具合と仕上がり感はライバルを遥かに凌いでいる。



筆者は2000年から電動バイクを試乗しており、ハーレーのバイクも同様に2000年から乗っている。初めて跨がったハーレーは「ヘリテイジ・ソフテイル」で、米国のオートバイ・クラブ、ヘルズ・エンジェルスの創設者、サニー・バージャーと一緒に走らせた。それ以降ヘリテイジ・ソフテイルとの関係は、ハーレーが空冷エンジンの伝統と決別し、水冷エンジンをいくつかの人気モデルに導入した昨年まで続いた。ごく最近は、ハーレーで13年ぶりに新しくなったプラットフォームの2015年型「ストリート750」に乗った。

ライブワイヤーは、これまでとは全く異なる性質のバイクを生産する未来へとハーレーを押し進めるだけではない。ノスタルジックに浸るメーカーではなく、将来を見通したイノベーターとしてハーレーを再形成できるように、過去との結び付きをほとんど断ち切るのだ。

ハーレーブランドは長らくベビーブーム世代の男性に独占されてきた。しかし、2010年に開発が始まったライブワイヤーは、女性や若者、都会人、バイクに乗らない人をターゲットに設計されている。ライブワイヤーで、ハーレーは非常に乗りやすいバイクの製造に成功した。セクシーで小柄な女優のスカーレット・ヨハンソンでさえ乗れるのだ。2015年公開予定の映画『Avengers: Age of Ultron』(アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン)では、スカーレットがこのライブワイヤーを乗りこなしている姿が見られるだろう。

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典型的なハーレーといえば、長いホイールベースを特徴とするクルーザータイプだ。高速でも安定して直進性に優れるが、カーブを曲がるのは難しい。それに比べライブワイヤーは短く、機敏で、かなり軽量だ。そのため、ライブワイヤーはドラッグレース用マシンのような加速を見せながら、さらに日本製のスポーツバイクのようなコーナリングも実現する。巨大なエンジンがないおかげで、ハンドルバーに伝わる振動はなく、太ももをジリジリと焦がす熱とも無縁だ。

トランスミッションやクラッチがないため、運転は簡単だ。ライブワイヤーに乗れば、左手と左足がシフト操作から解放され、両手両足をうまく連動させる必要はない。

減速するには通常のバイクのようにスロットルを緩めればいいが、それだけではない。スロットルを閉じると、減速による運動エネルギーを利用するバッテリー再充電システムが作動するのだ。エンジンがないことを除けば、その感触はエンジンブレーキに似ている。シフトダウンもない。素早く減速あるいは停止したい場合はやはりブレーキを使う必要があるが、ライブワイヤーはスムーズで高速に動くブレーキ・ディスクでスズキ「GSX-R」に通じるブレーキングを見せてくれる。



ライブワイヤーはコンセプトモデルで市販版ではないため、ハーレーは同車の詳細なスペックを公表していない。また、メディア関係者にも充分に試乗する機会を与えてくれなかった。しかしハーレーが漏らした情報によれば、ライブワイヤーの重量は約360ポンド(約163kg)だという。ハーレーの代表的なモデルはゴリラのように大きい800ポンド級(約363kg)なので、その半分以下ということになる。また、バッテリーをフルに充電するには同社のレベル2(220V)チャージャーで約3.5時間かかるそうだ。

ハーレーダビッドソンは先月末から米国でライブワイヤーの試乗ツアーを開始した。顧客からのフィードバックを集め、市販化の可能性やその時期を見極めるという。東海岸と西海岸で分れて試乗ツアーを行うために少なくとも22台のライブワイヤーが製造されており、バイクの運転免許証を持つ人であれば、30カ所のハーレーのディーラーで20分の試乗が可能だ。試乗スケジュールやディーラーのリストはProjectLiveWire.comをチェックしてほしい。試乗には予約が必要だが、それだけの価値はある。

【基本情報】
エンジン:交流誘導モーター
パワー:最高出力74hp/最大トルク7.2kgm
トランスミッション:1速
0-60mph:4.0秒〔推定〕
最高速度:92mph(約148km/h)
駆動方式:後輪駆動
車体重量:360ポンド(約163kg)〔推定〕
座席数:1
航続距離:60マイル(約97km)〔推定〕

By Susan Carpenter
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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