日本では依然として未発表の6代目となる新型スバル「レガシィ」に、Autoblog US版記者が試乗した。そこで明らかになったことは、スバルというメーカーが造るミッドサイズ・セダンというものの、少しばかり複雑で難しい問題。これがそのまま日本市場に導入されるかどうかは今のところまだはっきりしていないが、レガシィという愛すべきクルマの行く末を案じる日本の読者の皆様にも、参考までにその試乗記をお届けしよう。

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スバルは その六連星のモデルにある問題を抱えているが、一見したところ、それは分からないだろう。というのも売り上げは好調だからだ。同社の4月1日の発表によれ ば、北米では28カ月連続で売り上げを伸ばしており、第一四半期はスバル史上最高の売上を記録した。この調子なら、2014年もほぼ確実に7年連続で前年 度実績を上回ることになりそうだ。それなのに何が問題だというのか? その答えは簡単だが、解決するとなると話が複雑になってくる。セダン、特にミッドサイズモデルがそのことを証明している。

スバルの素晴らしい販売統計の大部分はほんのいくつかの車種によるもので、はっきり言えば、「フォレスター」、「アウトバック」、「XV クロストレック」(日本名:「XV」)のおかげだ。「インプレッサ」はまずまずの売れ行きを保っているが、登場してからまだ3年ほどの XV クロストレックがすでにスバルの売上車種第3位となっており、そのベースとなった前述のインプレッサや、ハイパフォーマンスな派生モデル「WRX」、そして1989年に登場してから6代目にあたるモデルが近頃発表された「レガシィ」の販売を超えているのだ。今回筆者が試乗するのは、そのレガシィの最新モデルだ。

レガシィはトヨタ「カムリ」ホンダ「アコード」フォード「フュージョン」日産「アルティマ」といった不動の売り上げを誇るチャンピオンたちが君臨する競争の激しいセグメントにおいて、新しくクルマを購入する人のレーダー引っかかることで、何とか一時的に売り上げを急上昇させている。グラフに示された数値を参考に別の表現をすれば、スバルが新型レガシィを1台売るごとにトヨタはカムリのセダンを17台売る計算になる。

当然、スバルはこの販売データのすべてをよく把握しており、ミッドサイズ・セダンのマーケットにおいて、販売台数が最低限どれくらいのシェアを占めれば評価されるかも分かっている。そうすると問題は、同社がそれに対して何をするかということだ。




話を掘り下げる前に、ミッドサイズ・セダン市場へ投入された先代レガシィは、間違いなく信頼できるクルマだったと言っておくべきだろう。インテリアの広さは十分に確保されており、パワートレインはターボチャージャーが熱心に鼻を鳴らす4気筒と、かなりのトルクを生み出す6気筒の2つから選べた。駆動方式はもちろん全輪駆動だ。マンガチックで目障りなフェンダーフレアが大きく膨らんだフロントのスタイルには少々たじろぐものの、パフォーマンス重視の顧客にとっては十分魅力的なクルマだった。ただし、それも何とか生き残っていた「2.5GT」モデルが2013年に廃止されるまでの話だ。だが、近いうちにこのモデルも戻ってくるだろう。

不格好な子カモのような5代目と比較して、新型レガシィの洗練された外観に筆者はおおかた満足している。全体的な見た目は平凡だが、もっとよく見てみると、目を引く6角形のフロントグリルや、コノ字型になったヘッドライトユニットなど、いくつか面白いスタイリングの特徴がある。ボディサイドは、"肩"と"足首"に入れられた2本の深いキャラクターラインによって、すっきりと伸びやかに感じられる。リアエンドはとてもベーシックで、小さい方のエンジンではエキゾーストパイプは1本となるが、6気筒モデルではデュアルエキゾーストとなる。前述したように、外観は面白みがなく記憶に残る点も特にないが、不快感は与えない。そのスタイリングを表現すると「ここには見るものなんて何もないから、先に進もう」といったところか。




ということでインテリアを見てみよう。使われている材質は高品質で、キーキーときしむ音やガタガタといった音はまったく聞こえてこない。これは、ラミネート加工されて遮音性に優れたウィンドシールド、液体封入式エンジンマウント、追加された遮音材、主要構造部分により厚みを増したスチールを採用したことが一役買っていると思われる。ロードノイズやパワートレインの音が静かになったということは、同時に残念ながらAピラー周辺に風が当たって発生する低い音が大きくはっきりと聞こえてしまうということも意味する。

計器類はこれ以上ないほど読みやすい。1,195ドル(約12万1000円)のオプションパッケージにはEyeSightシステム(プリクラッシュブレーキ、全車速追従機能付クルーズコントロール、警報&お知らせ機能)が含まれ、道路の目の前を監視するツインカメラがウィンドシールに設置されるほか、5インチの液晶スクリーンが装備される(EyeSightのつかないモデルは小さい3.5インチのディスプレイを装備)。すべての操作系は論理的に配置され、そこにあるだろうと思う位置にちゃんとある。先代のいくつか風変わりで失敗だと思われたヒューマン・インターフェースも改善が施されており、ダッシュボードに埋め込まれた電動パーキングブレーキは新型ではステアリングホイールの左側の低い位置に移された。新型レガシィには操作する上で明らかにおかしいと感じる部分がない。

ドライバーが触れる部分は全て心地よく感じるが、とりわけ時計の10時と2時のあたりにちょうどよい膨らみを持った、革巻きの3本スポークのステアリングホイールが素晴らしい。「2.5i プレミアム」から「2.5i リミテッド」へ価格が上がると、内装は布から革張りとなり、価格から期待するより1つか2つグレードが高く見える光沢を抑えたフェイクウッドのトリムが付く。また、アルミニウム風のプラスチックトリムを控えめにしているのも嬉しい点だ。センタースタックの一番上には、タブレットのようにスワイプやスクロールといった身振りでコントロールする6.2インチ(ベースモデル)または7インチのタッチスクリーンが設置されている。この新しいシステムはきわめて反応が良く、操作は簡単に行える。オーディオや温度コントロールといった重要なインターフェイスは以前と同じダイアル方式を採用。ハーマン・カードン製のグリーンエッジ・システムを採用するオーディオシステムは、12基のスピーカーで576ワットに相当するサウンドを響かせるが、実際に消費する電力はそれよりもかなり少ない。




新型レガシィの室内はとても広い。室内全体の容量は104.6 cu. ft.(約2,962ℓ)で、先代の103 cu. ft.(約2,917ℓ)からわずかに広くなっている。前席は幅が2インチ(約51mm)広がり(筆者が思うに、その大部分はドアを削ったことによるものだと思われる)、後部座席の乗客はレッグルームが38.1インチ(約968mm)もあることに気付くだろう。室内の広さを売りにするホンダ「アコード」や フォルクスワーゲン「パサート」といったライバル車と比較してもレガシィが一番広い。荷室容量は15 cu. ft.(約425リッター)で、後部座席を折りたためば長い荷物を収納することも可能だ。

幅の広いフードを開けると、2種類が用意されているエンジンのうちの1つがお出迎えする。1つ目は2.5リッターの水平対向4気筒エンジンで、これは昨年にデビューしたベーシックなパワープラントと同じだが、アップグレードされておりパワーと燃費がわずかに向上している。最高出力は175hp、最大トルクは24.0kgmで、スバルによれば先代よりもトルクバンドが広くなっているそうだ。3.6リッター水平対向6気筒エンジンを積むモデルも用意され、最高出力256hp、最大トルク34.2kgmが4輪に送られる。

どちらのエンジンを選ぼうと、トランスミッションは無段変速機(CVT)となる。概して、これらの無段変速機は我々が"輪ゴム効果"と無情にも表現する感触でドライバーを悩ませる。"輪ゴム効果"とは、ある特定の速度までエンジンを回転させると、回転数を保ったまま速度が上がり、加速してもダラダラとその回転域に居続けることを意味し、ギアを上げ下げして本物の歯車がかみ合う感触に慣れているドライバーにとっては、ゴムが伸びるような奇妙な感覚をもたらす。スバルの「リニアトロニックCVT」では、これが回避されているということを報告できて嬉しく思う。筆者はフォレスターや、それにお気に入りのWRXでもこのトランスミッションについて似たようなことを感じた。スバルのエンジニアの話によれば、2つの個別のコンピューターアルゴリズムがCVTを制御しているそうだ。これらのアルゴリズムは、従来のギアのようによりエンジンのスロットルに重きを置いて加速させるが、ドライバーが性急な加速を望まないときは効率的な低回転域を維持し続ける。いずれにせよトランスミッションの感触は自然で、妙な感覚を与えることはなかった。



スバルの購入者の多くは、ベースモデルの2.5リッター4気筒エンジンで十分満足し、余計に費用を払って6気筒にする必要性を感じないのではないかと思う(結局、そういう人たちは歴史的に見ても常識があり、倹約家だ)。2015年型レガシィのベースモデルとなる「2.5i」の値段は2万1,695ドル(約221万円※約8万円の送料含む)で、2.5i プレミアムが2万3,495ドル(約239万4,000円)、そして4気筒のトップモデルとなる2.5i リミテッドは2万6,495ドル(約269万9,000円)で、レザー内装や18インチのホイールのほか、大概のアクセサリーが含まれる。

4気筒と6気筒の実質的な値段の差を明らかにするのは少々難しい。6気筒はトップモデルの「3.6R リミテッド」のみで、値段は26,495ドル(約269万9,000円)の2.5i リミテッドよりも3,100ドル(約31万5,000円)高くなったぶん外観がグレードアップしているが、エンジンが大きいぶん使う燃料も多い。アメリカ環境保護庁(EPA)が行ったテストによると、2.5リッターモデルの燃費は市街地では11.0km/ℓ、高速道路では15.3 km/ℓで、3.6リッターでは市街地が8.5 km/ℓ 、高速道路が12.3 km/ℓとなっている。

ミッドサイズのファミリーセダンの中でこれから販売されている他のモデルと比較すると、レガシィの4気筒エンジンはパワーと燃費性能において競争力がある。確かに6気筒はより勇ましい音を発するが、日常的に市街地で乗るならこの4気筒は完璧と言えるほど十分で、過度の振動やガタガタという音、とげとげしい動きなしに、あなたやあなたの荷物を運んでくれる。もし、もっとパワーが欲しければ、それなら当然、6気筒モデルがいいだろう。だが筆者は、「レガシィ GT」に積まれていたスイートなターボチャージャー付き2.5リッター・エンジンが失われたことが残念でならない。



かつてレガシィは、全輪駆動のスポーツセダンにラリー育ちのターボエンジンと6速MTを組み合わせ、ビルシュタインのショックアブソーバーで強化した足回りを持つことから、真の"パフォーマンス・スリーパー(見た目は地味だが速いクルマ。日本でいえば"羊の皮を被った狼"か)"と評された時代があった。しかし、それはすべて過去のこと。レガシィがこのセグメントにおいて、「マツダ6」(日本名:アテンザ)やホンダ「アコード」のようにハンドリング性能の優れたモデルであることは今も変わらない。しかし、標準装備の17インチでもオプションの18インチホイールを選んでも、乗用車スペックのオールシーズンタイヤを履いた同車のコーナリング時の絶対的グリップ力ははかなり低い。米カリフォルニア州ビッグサー付近にある曲がりくねった道でスピードを出すと、タイヤから限界に達した悲鳴が聞こえてきた。 「アクティブ・トルク・ベクタリング」が採用されてはいるが、現実的には予想どおりの走りといったところか。多くのドライバーは、全輪駆動に夢を抱くエンスージアストのように、この4ドア・セダンを限界までプッシュすることはしないだろう。それはそれで構わない。2015年型レガシィは、WRXの大型版とみなされるべきではないからだ。

レガシィの乗員は、スバルの長所であるスムーズな乗り心地を味わうことができる。電動パワーステアリングも理想的な重みと正確さがあり、スピードを出した時には期待より少しだけクイックだった。直進安定性に優れ、中立付近に感覚が乏しいところもない。ブレーキはどのエンジンを選ぼうと、すべて同じベンチレーテッド・ディスクが装備され、自信たっぷりにクルマを制動する。

レガシィはカムリとは別の市場シェアを得ることを目的とし、興奮ではなく、与えられた任務に応じて静かな能力を発揮するクルマだ。スバルはレガシィの売上において奇跡を期待していない。実際、この会社は企業パートナーであるトヨタから売上トップの座を奪うことはタブーだと重々理解している。だがスバルの経理担当者にしてみれば、カムリとレガシィの販売台数の比率が17:1では十分でなく、15:1くらいが喜ばしいところだろう。筆者はそれが可能だと考える。さらに言えば、カムリの購入を考えている人がもっと何かユニークな味わいを求めるならば、全般的により良いクルマを所有することができるだろう。

【基本情報】
エンジン: 2.5リッター水平対向4気筒
パワー:最高出力175hp/最大トルク24.0kgm
トランスミッション:リニアトロニックCVT
駆動方式:AWD
車体重量:1573kg
座席数:2+3
荷室容量:15.0立法フィート(約425ℓ)
燃費:市街地26mpg(約11.0km/ℓ)、高速道路36mpg(約15.3 km/ℓ)
ベース価格:21,695ドル(約221万円)
試乗車価格:27,290ドル(約277万8,000円)

By Jeremy Korzeniewski
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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