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我々は、子どもの頃から"ハシゴ"がいかに大切なものであるか、遊びの中から学んできた。聖書に登場するヤコブがどんな人物でどこを目指してハシゴを登っていたのか知らなかったとしても、紐を使って「ヤコブのハシゴ」(あやとり)を作ったことがあるはずだ。「ヘビとハシゴ」という子ども向けのすごろくでも、勝つためにハシゴのマス目を登ったりした。そして、大人にとって、ハシゴはより現実的な意味合いを帯びてくる。もちろん、比喩ではあるが、人生というゲームに勝ちたければ、ハシゴを登らなければならない。厄介事を避け、ハシゴを上がり続けていくのだ。

1980年代初頭にドイツの自動車メーカーが、4つの車輪がついた「クルマ型のハシゴ」を考え出した。つまり、アルファベットや数字をクルマの名前にし、上昇志向を刺激したのである。現在でも3種類のセダンがハシゴを用意している。C、ES357、またはA4A6A8のことだ。どの「クルマ型ハシゴ」であっても、上に登っていかなければならなかった。一番下の段に足をかけるのは、上まで登るつもりがあるからだ。少なくとも、できるだけ一番上に近づこうとする。

しかし、新型メルセデス・ベンツ「Cクラス」の登場によって、それも変わるかも知れない。Cクラスが良く出来ていれば、それより上を目指す必要もなくなるからだ。




我々は何ヶ月も前から新しく出るCクラスについて書かれた情報を読み、実物もデトロイト・オートショーで見ることができた。したがって、主要な点についてはすでに知っているつもりだった。先代型に比べると、より大きく、より軽く、より速い。さらにエレガントさが増し、車内のスペースが広がり、パワーもアップし、ゴージャスになったということだ。だからジュネーブ・モーターショーの後で試乗の機会に恵まれた時、我々が最も優先的にすべき仕事はそれを確かめることだった。わずか数時間の試乗ではあったが、筆者はそれらがほぼ間違いない事実であるという第一印象を受けた。

この新型Cクラスは「Sクラスのベイビー」と呼ばれているが、それには明らかな理由がある。先代Cクラスや最新のEクラスが採用している以前からのくさび型のデザインを捨て去ったのである。代わりに、ロングフードに徐々に繋がっていく垂直なフロントを採用。さらには、大きくゆったりとしたグリーンハウス、見るからに短くなったトランク、そして長くなったサイドには特徴的なラインが2本、鋭い流れを作って横切っている。まさしくSラインのデザイン戦略と同じである。

しかし、あるデザインの特徴を別のクルマに持ってくるのは簡単なことだ。自動車メーカーは、ブランドというファミリーの結びつきを強調するために、不必要だと思われる時にも、同じ特徴を入れてくるくらいである。それよりはるかに難しいのは、エントリーレベルに近いセダンを、あたかもブランドが誇るスターのように感じさせること。しかし、新型のCクラスはそれをやり遂げた。以前のように、ただ単に同じことを繰り返し採用しているわけではない。




では、走り出す前に、インテリアから見ていこう。メルセデス・ベンツの他のモデルより断然素晴らしい。このインテリアを凌ぐのは、「S」で始まっている車だけだ。洗練された仕上がりにしようと、シュトゥットガルトの自動車メーカーが相当な労力を費やしたというのが明らかである。今までと同じ素材、レザー、ウッド、アルミニウムを使っているが、品質が良くなっていると感じた。寄せ集められたパズルのピースのようにボタン類が並んでいる先代モデルから、配列を横長のデザインに変更し、グロスブラックとメタリックの光沢がアクセントを添えている。シートとステアリングホイールに使われている人工皮革も、本皮のような手触りを感じさせるだけでなく、ハイドレザー(重くて厚い皮革)のようだった。シートのスイッチ類は、Sクラスと同じものを採用しているようだ。メーターの間には大型のフルカラー液晶ディスプレーが備わる。

もちろん、Sクラスとの違いはある。小さな孔が開いたブラックアッシュのインパネ(当初、米国仕様車には装備されないと言われていたが、装備される)は素晴らしい仕上げだ。しかし、センター・コンソールの小物入れのカバーは薄くて心もとない。ぴったりとしないものを入れて閉じようとするとガタつく。窓の開閉スイッチは高級感が漂っていて、その上についているミラーのコントロールボタンが平凡に見えるくらいだ。メルセデス・ベンツは、どういうわけか、アナログの時計に強いこだわりを持っている。しかし、できればCDプレーヤーの下には、時計ではなく、CDをシャッフルするための「巻き戻し」「早送り」ボタンを用意してほしかった。もちろん、ステアリングホイールには、メディアのコントロールボタンはついているが、使いにくく、一瞬だがイラっとした。こういったことに文句を言うのは、あら探しをしていると言われても仕方がない。しかし、ほとんど全てのインテリアが素晴らしすぎるために、このセグメントに相応のスイッチ類、たとえば、ステアリングホイールに付いているありきたりのボタンが、突如不満に感じてしまうのである。それが、このクルマの問題の1つだ。長く使っていくうちに、このインテリアがどう変化していくのかは、まだ分からない。しかし、現時点では、最高に素晴らしいインテリアである。

新しいCOMANDシステムは奥が深い。これを使いこなすためには、たっぷり2日間はかかってしまうだろう。全体としては、非常にいいシステムで使いやすい。数多くのオプションを駆使するための新しいメニューが増え、アニメーションも強化されている。メルセデス・ベンツはありがたいことに、タッチパッドの下にお馴染みのコントロール・ノブを残しておいてくれた。著者が指先でスワイプするのは、スマホを使う時か、電子書籍にしろ紙の本にしろ、読書をする時だけである。私のようなドライバーにとってはノブを触るのは反射的な行為だ。しかし、試しにカーナビに指先を使って住所を入れてみたが、どんな文字でも、完璧に認識した。スワイプ使いのドライバーにとっては嬉しいことだろう。しかし、簡単なことならコントロール・ノブを使った方が早い。というわけで、指先は1度きりしか使わなかった。




インテリアに関する操作系としてのCOMANDシステムは、基本的に使いやすかった。逆に、使い勝手がよすぎたために、少しでも扱いにくいところがあると、妙な感じがする。トラックボタンの話に戻ろう。たとえば、センタースクリーンにメディアが表示され、オーディオを選択する。次のトラックを聞きたいと思った時には、ステアリングホイールの上向きの矢印をヒットする。すると、ディスプレー上の個別のトラック表示がプレイリストに切り替わる。それを見ながら、ステアリングホイールの下向きの矢印をヒットして、聞きたいトラックを選ぶ。そんな手順だ。ところが、矢印ボタンの間にOKボタンがあり、それに触ってしまう度にメインメニューに戻ってしまうことがあった。OKボタンがホームボタンのような役目を果たしている。OKというのが、「それで決定」という意味なのか、「分かった、ホームに戻ろう」という意味なのか混乱する。おっと、またあら探しをしてしまった。こういうことは、どんなクルマにもあることだ。78秒もあれば、ユーザーはやりたいことをどうやって実行するのか解るだろう。オーディオには、ブルメスターのシステムが採用されている。かつては、ブガッティ・ヴェイロンに標準で装備されていたステレオメーカーである。最高に素晴らしいサウンドだ。

筆者は、AMGパッケージを装着したC400 4Maticを試乗車を選んだ。AMGパッケージ装着車は、前後バンパー下部とサイドスカートがクロームトリム付きのよりスポーティなスタイルになり、ドリルドローターのブレーキと18インチ・ホイールを装備する。シートはセンター部に孔開きレザーが張られたスポーツシートとなり、さらにフラットボトム形状のステアリング・ホイールや、滑り止めラバー付きのステンレス製ペダルが装着される。4Maticのデフォルトのトルク配分は前44:後55。この悪天候に対応する装備が搭載されているので、車両重量は約70kg増えている。

「Sクラスのベイビー」のセンセーションはパワーにも表れている。ドライブモードは5種類。デフォルトは「コンフォート」で、その他に「エコ」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビジュアル」がある。「エコ」モードではパワー・セービング・テクノロジーを使って、低燃費で走行が可能。したがって、グリーンクレジットを獲得するために、エンジンパワーを落とす必要がない。ただし、非常に不快だというほどではないが、パフォーマンスは違ってくる。そして、高速道路で「スポーツ」モードで走行している時には、ギアがトップからダウンすることがなくなった。7Gトロニックトランスミッションは、高速でも7速に保ったまま走行が可能だった。しかし、巡航走行時は、スロットルの反応やステアリングがよりシャープで、早めにキックダウンする。



我々の試乗車には、電子制御エア・サスペンション「AIRマティック」が装備されていた。「インディビジュアル」モードを使えば、トグルスイッチによって「コンフォート」や「スポーツ」、「スポーツ+」、「マニュアル」の中から、ステアリングやダンパー、トランスミッションをそれぞれ好みの設定にすることができる。とはいえ、どれだけアグレッシブなセッティングにしても、新型のCクラスはスポーツセダンではない。だが、闘争心を見せれば非常にスポーティーなラグジュアリーセダンであると言うことができる。加速に不足はないが、言われているほど重量が軽いわけでもないので、期待したほど速さは感じられない。道路を走行中に前が空いたので「スポーツ+」にして、スロットルを思いっきり踏み込んでみた。すると、クルマは解き放たれたように、素晴らしい飛び出しを見せた。望むものはそこにある。しかし、手に入れるためにはトライしてみなければならない。

相棒がカーブの多い道で運転している際には助手席に座っていたが、カーブを曲がる時もこのセダンは申し分なく姿勢をフラットに保つ。次に自分でステアリングを握りコーナーを攻めてみると、新型Cクラスはそれをこなすだけの力量を実証して見せた。しかし当然のことながら、ヒルクライムを得意とするマシンではない。ベースモデルの車両重量は先代型より約100kgも軽量化されている。しかし、ツインターボV6エンジンを搭載し、フルタイム四輪駆動システムの4Maticやあらゆるオプションを追加した試乗車では、明らかに重いと感じた。2015年の第1四半期に発売されるという後輪駆動のC300なら、より軽快に走らせることができるはずだ。しかし率直に言って、Cクラスを買うような人はコーナーを攻めようとは思わないだろう。何しろ「Sクラスのベイビー」なのだから。

室内はどうだったかという話に戻ると...一言で言えば、静かだった。アルミハイブリッド構造のボディシェルは、剛性が上がり、部品点数も減っている。優れた防音材と消音素材が使用されている。また、エアロダイナミクスも改善され、風切り音が低減した(もちろん燃費も向上した)。ドアの密閉性も高まり、集中ドアロックの作動音まで静かだった。



静けさと言えば、アイドリングストップ機能であるECOスタートストップ機能も巧妙に作動するので、アクティブになっているのかどうかも分からなかった。そこで我々は車を2度も停めて確認しなければならなかった。最初に車を停めた時は、エンジンがかかった時に反対車線をトラックが通過したのだが、その時はステアリングホイールに耳を近づけてみても、エンジンが再始動した音は聞こえなかった。室内雰囲気は静かで重厚だ。この価格のコンパクト・プレミアムカーとしては期待以上だった。もっと分かりやすくいえば、レクサスの静けさにドイツ人らしさを加味したような感じだった。

翌日は、エンジニアにいくつかの質問をしてみるつもりだったが、走行中に、予定外の出来事が起き、質問リストにまで手が回らなくなってしまった。大きな液晶画面と気取ったナビが備わっているCOMANDオンラインを使いたくないオーナーは、標準のシステムに拘っても大丈夫である。まず、ガーミンのSDカードを購入する。そして、センターのアームレストについているスロットにカードを挿入すれば、ナビゲーションが開始される。我々は、これは素晴らしい方法だと思った。ところが2日目、ナビのシステムがSDカードに保存したルートを何一つとして、読み込まなくなってしまった。メルセデス・ベンツのスタッフがエンジニアに電話をかけ、問い合わせた。ドアをロックして、4分待てば、完璧にシステムが再起動し、データが読み込まれ、使えるようになるという。我々は言われたとおりにしてみた。2度も...。うまくいかない。別の車両のSDカードと取り替えてみた。やはり動かない。結局、スタッフが住所を手入力し、サロン・ド・プロヴァンスにあるミシェランのテストコースに行くことにした。ところが、ナビはどうしても我々をパイロット養成学校の滑走路に連れていこうとする。衛星ナビゲーションに従ったあげく飛行場の誘導路に着きました、なんてマヌケなことをAutoblog上でお伝えしたくはなかったので、我々はこのゲームをあきらめ、出発地点のホテルに戻ることにした。



欠陥は見つかった。しかし、生産試作車の小さな欠陥にすぎない。そんなことより重要なことがある。分割可倒式リアシートや電子制御パーキングブレーキ、巨大なトランク、さらには突然の強風や横風が吹いても安定した走行を可能にするクロスウインドアシストが標準で装備されているということだ。その上、同じセグメントの他のクルマが提供できないものまですべて出してくる。Sクラスの目玉だったインテリジェントドライブさえ、新型Cクラスには搭載が可能なのだ。たとえば、ステアリング・アシスト付きのディストロニック・プラス。マルセイユの町中でラッシュアワーの渋滞にはまったときなど非常にありがたい。さらには、パークトロニック、アクティブ・レーンキーピング・アシスト、そしてリモートで動かせるHVACシステム(冷暖房空調)も装備可能だ。そう、何でも付ければ価格は高くなる。しかし、このセグメントでこれだけのものを揃えられるクルマは他にない。

また別の点でも、新型のCクラスがSクラスのようだと思えることがある。Sクラスは、エグゼクティブなラグジュアリーセダンとして何10年にもわたって、そのセグメントを支配してきた。それでいて、他社のクルマと競争しているという印象を全く与えてこなかった...時には失敗に終わったときにさえ、地位に拘る態度を見せなかった。メルセデス・ベンツとはそういうクルマなのだ。地位を手にするのか、しないのか、それだけのことだという態度である。

ダイムラーのディーター・ツェッチェ会長は新型のCクラスについて「メルセデス・ベンツが作る現代のラグジュアリーカーとはこういうものだというのを体現したクルマだ」と語っている。2015年型Cクラスは、論争をしたり、戦いをしたり、BMW「3」や他のクルマを打ち負かそうとはしない。驚くほど成熟し頑丈で、周囲のことなど気にしていない。このセグメントのメルセデス・ベンツだということだ。そして、「クルマ型のハシゴ」を登るというゲームから降りたのである。だから今、私たちもこれで終わりにしていい。もしあなたが、このサイズのクルマが好みというのなら、この新しいCクラスこそ、ずっと登りたいと思っていた唯一のクルマかも知れない。


【基本情報】
エンジン:3.0リッターV型6気筒ツインターボ
パワー:最高出力329hp/最大トルク48.9kgm
トランスミッション:7速オートマチック
最高速度:155mph(約250km/h、電子制御リミッター付き)
駆動方式:AWD
座席数:2+3
荷室容量:481ℓ

By Jonathon Ramsey
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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