2014年5月3日、SUPER GTシリーズ第2戦が行われた富士スピードウェイにおいて、プレイステーション®専用ソフトウェア『グランツーリスモ6』を使ったBMW Japan主催のタイムトライアル・イベント「BMW Z4 Challenge Championship」が開催された。

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先日その予選についてご紹介した通り、この「BMW Z4 Challenge」というイベントは、今季よりSUPER GT GT300クラスに「BMW Sports Trophy Team Studie」から参戦する「BMW Z4 GT3 MY14」と、『グランツーリスモ6』内の富士スピードウェイでプレイヤーが走らせる「BMW Z4 GT3」のタイムを競うという、"リアル"と"ヴァーチャル"を融合させたモータースポーツにおける新たな試み。この日はその「Championship」として、3月14日から3月31日までの期間に行われた本選タイムトライアルでベストラップを記録した上位10名が富士スピードウェイに招待され、まず日本チャンピオン決めるJAPAN CUPを開催。続いてその優勝者は香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシアから来日した7ヶ国の代表者とアジア・チャンピオンを競うASIA CUPに挑んだ。

オンラインで開催されたこれまでのタイムトライアル形式と異なり、今回のChampionshipは直接バトルを繰り広げるレース形式。会場にはバケットシートとモニター・ディスプレイ、そして『グランツーリスモ6』プレイヤーにはお馴染みのハンドル・コントローラー「Driving Force GT」がセットされた5台の"コクピット"が並ぶ。10名の代表者は5名ずつ2度の予選を行い、その1位と2位が合計4名で決勝レースを戦った。ギャラリーは各ドライバーが見るモニターと、状況に合わせてコクピット視点だけでなくコースを外部から映す画面に切り替わる大型モニターを通してレースを観戦する。



日本を代表するトップ・ドライバーたちの走りは流石に素晴らしく、フェアでハイレベルなバトルが繰り広げられ、画面を観ている我々には実際のレースを観戦しているときとまったく同種の興奮が感じられた。もはや"リアル"とか"ヴァーチャル"とか分けることはあまり意味がない、エンジンこそ搭載していないものの、これは紛れもなく"モータースポーツ"だ。そう呼んでもよいのではあるまいか。リスクがなく、コストも低い、最も参加しやすいモータースポーツ。

筆者のそんな思いは、JAPANチャンピオンとなったYAM氏からお話を聞いたことでさらに強くなった。今回の日本代表者10名の中で最年長のYAM氏は、実際にR33型GT-Rやトヨタ MR2を所有し、よく筑波サーキットで"リアル"な走りも楽しんでいるという。

ヴァーチャルとリアルの一番大きな違いは何ですか?

「恐怖心ですね(笑)。こうすれば速く走れるとか、操作はほとんど変わらない」

おそらくゲームではかなりたくさん走り込んでいるのではないかと思うのですが、さらにサーキットまで出掛けて走るその一番大きな理由は何でしょう?

「時にはスリルを求めたくなるという(笑)。僕の中では両方がリンクしているので、どっちが上とか、どっちを取るとか、そういうものではありません」

JAPANチャンピオンとして、ヴァーチャル・レーサーたちにアドバイスするとしたら?

「やっぱり、実車のレースをたくさん観ることじゃないでしょうか。プロ・ドライバーの走りは理に適っているので、非常に参考になります」

それはテレビやビデオの画面を観て参考にするということですか?

「実際にサーキットへ足を運んで観るようにもしています。SUPER GTはオートポリス以外全部サーキットで観ています」

ゲームの中ではきっとたくさんのクルマをお持ちでしょうが、実生活で欲しいクルマは?

「そこに展示されているBMW M4はかなり欲しいですね(笑)」



なお、今回の出場者の皆さんはこれまでもオンラインや別の大会などで何度か対戦しているそうで、誰がどんなレースをするのか、何が得意で何が不得意か、そんなお互いのクセも分かっているらしい。コースやマシンが変わったら、また違う結果になったかも知れない。ただし、優勝したYAM氏は他の参加者の方から見ても「(タイムアタックより)バトルが巧い」「どのクルマに乗っても、どこのコースを走っても速い」そうだ。



そんな他の出場者から一目置かれるYAM氏が日本代表として臨んだASIA CUPでは、予選を2位で通過し決勝進出は果たしたものの、1コーナーの立ち上がりでコースアウトしたことを挽回できず結果は3位。インドネシア代表のRAMA氏がASIAチャンピオンに輝いた。

「僕のミスです」と語るYAM氏だが、観戦していた他の日本人選手からは「レースの仕方が日本とは違う」という指摘も聞かれた。「例えばヨーロッパのツーリングカー・レースみたいに、接触して押し出すことになっても当たり前という感じなんですね。対して僕らはF1みたいにというか、必ず相手に一本ラインを残すとか、普段からそういうのを徹底してやっているので」

リスク・フリーなゲームならではのダイナミックなバトルを全否定してしまうとそれもまたつまらないが、モータースポーツとして発展することを願うなら、今回のような大会ではより綿密な事前のブリーフィングと然るべき審議システムが必要になるかも知れない。ちなみに今回のイベントでは『グランツーリスモ6』に備わるレース設定の「ペナルティ」は「なし」とされていた。

なお、JAPANチャンピオンのYAM氏とASIAチャンピオンのRAMA氏は、6月にイスタンブールで開催されるサーキット・イベント「M Power Experience 2014」に招待され、F1トルコGPも行われたサーキットで最新モデルの「M3 セダン」と「M4 クーペ」を実際に体験できることになっている。



最後に、この大会を主催したBMW Japanの新井 一慶氏にお話を聞いてみた。

今回のリアルとヴァーチャルで競うという試みはとても面白いと感じましたが、やはりどうしてもリアルの方が不利ではないでしょうか? ゲーム製作会社が企画するなら分かるのですが、"リアル側"のBMWがこれを主催したその意図は?

「いや、勝とうと思ってるわけじゃありませんから(笑)。そりゃあゲームなら寝るのを我慢すればいくらでも走れるし、タイヤ代や燃料代、コース使用料も要らない。Gも掛からない。今大会は5万人以上の方が参加してくださって、荒 聖治選手のタイムを7,371人が上回った。これから行われるSUPER GTの予選タイムもきっと多くの方が上回ると思います。だから、(リアルの予選タイムを)上回った人はみんな勝者ということで、"Z4 Winner"と呼びます。そして参加された方々にはゲームの中で特別な「BMW M4」をプレゼントしました。まずはゲームの中で乗っていただいて、実際に興味を持っていただけたら嬉しい。そのために実車のM4も展示しています。今日のために空輸しました(笑)。明日の決勝日にはコースを走るところもお見せします。そんなふうに、リアルとヴァーチャルで一緒に盛り上げたい」

このZ4 Challengeだけでなく、今季からSUPER GTに「BMW Sports Trophy Team Studie」として、いわばセミワークスのような形で参戦したり、BMW Japanではこのところモータースポーツに対する取り組みが今まで以上に積極的に感じられますが。

「今年からBMW iという電気自動車のサブブランドを開始したので、同時にこうしたモータースポーツにも力を入れるようにしました。BMWの多様性をアピールしたいというわけです」




この日、日本では初公開となったBMW M4については、Autoblog Japanではもう既に何度もお伝えしている通り。最新2ドア・クーペ「4シリーズ」をベースにBMW M社が作り上げた高性能モデルだ。排気量2,979ccから最高出力431ps/5,500-7,300rpmと最大トルク56.1kgm/1,850-5,500rpmを発生する直列6気筒「Mツインパワー・ターボ」エンジンが搭載されたそのボディは、実車を見ると改めて、フロントのエアダムからサイドミラーまで、空力性能が磨き抜かれた各部ディテールの形状に思わず溜息が出る。オースチン・イエローと呼ばれるメタリックなボディ・カラーとカーボンファイバー製ルーフのコントラストが美しい。2月19日より受注が開始されており、価格は6速MTが1,075万円、7速M DCTは1,126万円。またもや溜息。




野球でもサッカーでも、多くの人が少年時代にそれをプレイすることに熱中し、やがて大人になると今度は観客としてそのスポーツに夢中になる。だがモータースポーツはこれまで一握りの人しか実際に経験することが叶わなかった。もし、筆者の思い込み通り、『グランツーリスモ』シリーズが最も大衆的なモータースポーツとしてその裾野を拡げつつあるのなら、これからより多くの人がSUPER GTをはじめとする実際のレースに興味を持つようになるだろう。また、(場合によっては自動車免許を取得する前から)クルマを操る愉しさを知れば、運転が楽しくて、「駆けぬける歓び」が感じられるクルマが欲しいと思う人も増えるはずだ。BMW Japanの新井氏が「一緒に盛り上げたい」と仰ったのは、そういう意味もあるのかも知れない。クルマ好きにヴァーチャルもリアルもない。みんな本物。YAM氏をはじめとする出場者たちとこのイベントを主催したBMW Japanによって、そんなことを改めて教えられ、それにとても勇気づけられた。



翌5月4日に行われたSUPER GT第2戦では、初戦に続き「グッドスマイル 初音ミク Z4」がGT300クラス優勝。荒 聖治選手とヨルグ・ミューラー選手がドライブする「Studie BMW Z4」はクラス4位だった。現在ランキング1位と3位につけているBMW Z4 GT3は、『グランツーリスモ6』のトップ・ドライバーたちによれば「乗りこなすことができれば速いが、それには繊細なスロットル操作など、高い技術が必要」なマシンだという。そう言う彼らも、最初はまともに周回すらできなかったとか。次回の参戦を目指してこれから『グランツーリスモ6』を始めようという方は、心を強く持って挑もう!

関連リンクアドレス:

BMW Z4 Challenge
http://bmw-z4c.com/

BMW M HEAT
http://bmw-m-heat.jp/

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