【試乗記】「さらに素晴らしいクルマになった。特に室内が」 マツダ新型「アクセラ」
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手頃なコンパクトカーというのは大体において楽しくないものだ。確かに、ホットハッチは我々の血をたぎらせてくれるが、つい最近まで、"コンパクトカー"と"エコノミーカー"という言葉は、同じ意味で使っても差し支えなかった。そんな中にあって、この10年間、例外として存在していたのがマツダの「マツダ3」(日本名:「アクセラ」)だ。マツダ3は競合車よりも常にダイナミックなスリルと感覚に富むフィードバックを与えてくれる。しかしながら、近年ではライバル車たちが著しい改善をみせてきたため、マツダ3は全体的な改良や車載テクノロジー、室内装備を含むいくつかの部分を強化する必要性が出てきた。そこでマツダはこのクルマを一から見直し、3世代目として生まれたのが、この全く新しい2014年モデルだ。


今回リニューアルされた新型マツダ3を含め、マツダの新型モデルたちは、ピックアップトラックを除けば北米で最も人気のあるセグメントである、コンパクトカー、ミッドサイズセダン、コンパクトクロスオーバー/SUVをターゲットにしている。マツダ3がマツダの中で一番売れ続けているモデルであることを考えれば、3代目マツダ3の開発が新型モデルの中で最も重要であったことは間違いないだろう。北米でのコンパクトハッチの市場はそこまで大きくないが、新型マツダ3は人気のあるフォード「フォーカス」や最近加わった起亜の新型「フォルテ」ヒュンダイの新型「エラントラGT」といった2ボックスのコンパクトカーと競い合っていかなければならない困難な道が待ち構えている。


新型マツダ3は昨年の夏に大々的なデビューを果たし、8月に発売が開始されたわけだが、筆者は今でもこのクルマを見るたびに目を奪われてしまう。新型マツダ6(日本名:「アテンザ」)のスタイリングも気に入っているが、マツダの「魂動(こどう)」デザインは、小さいサイズのマツダ3の方がより一層似合っている。先代モデルの不格好で笑ったようなフロントエンドに替わって、男性的なしかめ面のような表情がこのクルマ全体の印象を決定づけている。盾の形をした縦長のグリルの下から、その両側に並ぶダークな細いヘッドライトへとフェンダーラインが伸びている。似たようなデザインがリアにも見られ、幅が広いリア周りと水平状のテールライトによって強調されている。

全体的に、マツダ3の5ドアは縮んだ「CX-5」のように見える(これは心からの賛辞だ)。だが、このスタイリングで一番素晴らしいところは、典型的な低価格の前輪駆動車とは異なって見えることだろう。長めに採られたAピラーから前輪車軸までの距離や、サイドに流れる長いキャラクターラインによって、新型マツダ3は少しだけBMWインフィニティの後輪駆動モデルを思わせる。

我々がマツダ3の先代モデルたちに抱いていた主な不満を言うとすれば、それは平凡でパッとしないインテリアを採用していたことだ。だが、この「i Grand Touring」モデルの運転席に腰を下ろして、この新しい室内に平凡な要素は何一つないと皆さんに報告できることをうれしく思う。室内のあらゆる箇所に大幅な改善が施されており、特に評価したいのが、先代のマツダ3に搭載されていた分厚い2層のインストゥルメント・パネルが、落ち着いたまとまりのある印象を与えるものになったことだ。マツダは今でも室内に多くの色を用いることを拒んでいる。そのため、マツダ3の上級モデルであるGrand Touring以外の車内の配色は(小さなトリムパーツやシートのスティッチは別として)黒もしくは...やっぱり黒だ。


新型マツダ3で一番カッコイイと思える特徴の1つが、新しいナビゲーションシステムだ(Grand Touringグレードでは標準装備)。我々はセンターコンソールに取って付けたようなディスプレイ「マツダ コネクト」の見た目にはあまり惹かれないが、このiPadのようなスクリーンを搭載したマツダの戦略は、同車をメルセデス・ベンツ「CLA」のような現代的なクルマに押し上げたと言えるだろう。ユーザーはマツダ3の大きなタッチスクリーンを使ってスマートフォンのように様々な場所をタップすることができ、あるいはシフトレバーの後ろにある、BMWのiDriveコントローラーのような一体型のロータリー式スイッチ「コマンダーコントロール」でアドレス入力やダウンロードしたアプリへの接続、電話をかけるなど基本的なことから高度な操作まで行うことが可能だ。さらに、小さいながらも高く評価できるのが、ナビシステム「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」のドライブ中にルートを知らせる画面の文字だ。

スペックを見る限り、新型マツダ3は先代よりもサイズがいくらか大きくなっているようだが、レッグルームとヘッドルームは少しばかり狭くなっている。しかし、パッセンジャースペースやトランクスペースは ライバル車であるエラントラGTやフォーカスの5ドアとそう変わらない。このマツダ3に乗り込む時、筆者の不注意でドアの開口部に頭をぶつけ、そのシャープなルーフラインを思い出させることが度々あったが、室内はその面積を考慮すれば、そこそこ十分なスペースが確保されていた。

特に、フロントシートは毎日の運転でも快適なうえに山道でも十分に体をサポートしてくれる。しかし、後部座席は小柄な人か、どうしても人を乗せる必要がある時だけ使うのがいいかもしれない。ハッチバックが真価を発揮するのはトランクルームの広さで、マツダ3は後部座席を立てても寝かせた状態でも、その点において失望させることはない。残念なことに、カップホルダーを収容するセンターアームレストのデザインは奇妙な形で期待外れだったが、アームレストの先端部(ドライバーが腕を休めるのにとても便利)は先代と比べ、かろうじて1インチ(約2.5cm)は広くなっている。計器類がおさまっているメーターパネルはスピードメーターに占領され、先代と比較すると側面のタコメーターとマルチファンクション・ディスプレイは、がっかりするほど小さくなっている。


インテリアの技術や素材を改良しているにもかかわらず、マツダ3のほとんどのモデルは価格上昇が抑えられている。我々が試乗したi Grand Touringの5ドアのような上級モデルでさえメーカー希望小売価格は安めに設定されている。購入を検討している人は、トリムレベルを選ぶ段階にきて、トリムレベル以外にもエンジンやボディスタイルなどを含め、11通りの組み合わせがあることに気づくだろう。これは驚異的な数だが、一番大きな選択はセダンか5ドアかということになる。

セダンのベース価格は1万6945ドル(約175万円)で、ハッチバックは1万8945ドル(約195万円)。金額に差があるのは装備内容によるものだ。追加された装備や広くなったカーゴスペース、そしてインフィニティのようなスタイルに生まれ変わったハッチバックには、セダンより2000ドル(約20万円)余計に多く払う価値はあると思われる。小さい方の2.0リッター4気筒エンジンを搭載したこの試乗車は、Grand Touringのトリムレベルと様々なオプションを装備して2万4635ドル(約254万円)となっており、これはフォード「フォーカス Titanium」より安い。もちろん、2.5リッターの「S」グレードにすべてのオプション(アダプティブヘッドライトやアクティブ・ドライビング・ディスプレイといった、このクラスであまり一般的でないものを含む)を装備すれば、値段は3万ドル(約309万円)近くになり、このクラスのクルマとしてはとても高額だ。

我々は新型マツダ3が発売される前に、このクルマを2度試乗する機会があったが、どちらの試乗も「SKYACTIV-Drive」と呼ばれる6速AT搭載モデルだった。今のところ、マツダ3でマニュアルが用意されているのはベースモデルとなる2.0リッター4気筒エンジンの「i」グレードのみ。だがマツダによれば、さらに上の2.5リッター4気筒エンジンでもマニュアルが選べるようになる予定だという。ベースエンジンに関しては、筆者は先代のマツダ3で、この SKYACTIVエンジンを体験しており、最大トルクが20.4kgmから20.7kgmにアップした以外は、最高出力も155hpと先代モデルと変わらず、ほとんど手を加えられていない。しかし、毎年著しく改善されているのが燃費性能だ。MTとの組み合わせだと市街地12.3 km/ℓ、高速道路17.0 km/ℓでどちらも0.8 km/ℓほど良くなっている。筆者は高速道路と市街地をバランスよく走り、加速やコーナリングを頻繁に行いながらマツダ3を走らせたにもかかわらず、平均して燃費は16.0km/ℓと実に感動的な数字だった。

マツダ3は2003年の登場以来、機敏なハンドリングと予測を裏切らない振る舞いによって、傑出した商品であり続けている。ありがたいことに、今回の大幅なシャシーの変更でマツダ3はドライバーにとってさらに素晴らしいクルマとなった。まず初めに、ホイールベースが長くなり、トレッドが拡がったことにより、コーナリングの安定感が高まった。さらにすごいのは、先代のほぼ同じ仕様と比較すると車両重量が45kgほど削られていることだ。安定性の向上と軽量化は、クルマをさらに楽しめるようにする最適な方法である。

新型マツダ3をハードに走らせてその楽しさを知ると同時に、日常的な運転のしやすさもさらに向上していることが分かった。マツダによれば、大掛かりなシャシーの変更はせずにサスペンションとブレーキの設定を見直したそうだが、それにより新型マツダ3はドライビングにおけるジキルとハイドのような2面性を身に付けた。この改良で最も特筆すべきなのが、マツダが採用した、まったく新しいステアリングシステムだ。先代のマツダ3では電動油圧式パワーステアリングを採用していたが、新型では電動パワーステアリングに切り替えられた。低速では力を入れずに向きを変えることができ、スポーティな運転をするような状況では反応も良く、感動的なほど多くのフィードバックが感じられる。ただ、路上でのパフォーマンスでたった1つだけ気になったのが、どの速度でも室内に聞こえてくるタイヤのロードノイズだった。

マツダはマニュアルトランスミッションの設定を心得ており、それは新型マツダ3でも例外ではなかった。このクルマの多くは、便利で手頃な交通手段を求めて初めてマツダのクルマを買うたくさんの顧客の手に渡るだろう。だが、同じくらい6速マニュアル・ギアボックスは運転好きのエンスージァストに非常に大きな楽しみをもたらしてくれる。よりスポーティーな走りを求めるなら(マツダスピードのモデルにステップアップするというのは別として)、2.5リッター4気筒のSKYACTIVエンジンを搭載した「S」グレードを選んだ方がいいだろう。その理由は「i」より最高出力で29hp、最大トルクが4.8kgm上回っているからだけでなく、Sモデルだけに搭載されたATのスポーツモードにある。このスポーツモードは、加速度センサーによってクルマが活発な走りをしていると判断されたら、その動きを邪魔するような不要なシフトを減らし、エンジンの回転数をパワーバンドの美味しい領域に留めてくれる。

筆者が初めて新型マツダ3のハッチバックの試乗を行った際、先代のトヨタ「カローラ」はこのセグメントの害であると声を大にして述べた。しかし、本当のことを言えば、カローラやホンダ「シビック」のようなクルマを選ぶ買い手が、スポーティな走りや審美眼よりも、シンプルさや使い勝手の良さを求めているように思える。筆者が好きになったスポーティで楽しいドライビング・ダイナミクスはそのままに、マツダはこの新型マツダ3のインテリアを現代的なデザインと操作性に仕立て、それを驚くほどすっきりしてスタイリッシュなエクステリアで包んだ。マツダ3はこれまでも優れた安価なコンパクトカーとして、我々の心を惹きつけてきた。だが、この新型マツダ3の楽しい走りと、燃費性能、さらには目を奪われるほどのゴージャスさにすっかり惚れ直してしまった。これら全ての要素によって、新型マツダ3はきっと多くの新しい顧客を引き寄せ、マツダのトップセラーとしての地位はさらに強固なものとなっていくに違いない。もちろん、これらのモデルを試乗したら、次世代の「マツダスピード3」(日本名:「マツダスピードアクセラ」)にさらなる期待をせずにはいられない...が、その夢が叶うのはもう少し先のことになりそうだ。

【基本情報】
エンジン:2.0リッター直列4気筒
パワー:最高出力155hp/最大トルク20.7kgm
トランスミッション:6速MT
最高速:130mph(約209km/h)
駆動方式:前輪駆動
車体重量:1,268kg
座席数:2+3
荷室容量:350ℓ/1,333ℓ 燃費:市街地29mpg(約12.3 km/ℓ)、高速道路40mpg(約17.0 km/ℓ)
ベース価格:1万8945ドル(約195万円)
試乗車価格:2万4635ドル(約254万円)

マツダ公式サイト

By Jeffrey N. Ross
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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