スズキの軽自動車用エンジンを積む「セブン」について、ケータハム・ジャパンの方に訊く!
Autoblog Japanでもこれまで何度かご紹介して来たように、イギリスのケータハムが製造する軽量スポーツカー「セブン」に、日本のスズキ製軽自動車用エンジンが搭載されることになった。大阪モーターショーに出展されたこのニュー・モデルについて、ケータハムカーズ ジャパンの方からお話を聞いてきた。

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イギリスのケータハム社がロータスから1973年に製造権を引き継ぎ、プリミティブでスパルタンなほぼ当時のままの姿で生産を続けている軽量スポーツカー「セブン」。硬派なエンスージァストにとって常に憧れ的であるこのクルマに、日本のスズキ製軽自動車用660ccエンジンが搭載されるという発表があったのは2013年8月のことだった。「セブン 160」と名付けられたこのニュー・モデルはイギリス国内やヨーロッパ各国だけでなく、もちろん日本でも発売されることになっており、2013年12月1日から既に349万6,500円(税込)という価格で注文受付が始まっている。そしてこの2014年春にはいよいよ日本上陸を果たす予定だ。3月10日に予定されている正式発表会を前に、昨年末の大阪モーターショーに出展されていたそのプロトタイプと、ケータハムカーズ ジャパンの方から伺ったお話をご紹介しよう。

Caterham SevenCaterham Seven

2013年12月に開催された大阪モーターショーで、ケータハムカーズ ジャパンが展示していたセブンは、「今後市販されるモデルとは異なるエンジンを積んでいる」ということで、残念ながらエンジン・ルームの公開はなし。だが、他のセブンよりも幅が狭いリア・フェンダーと細いタイヤが装着されていることはすぐに分かった。これはもちろん日本で販売される際に「軽自動車」として登録可能にするための仕様だ。ケータハム・ジャパンの方にお話を伺った。

イギリスでは「セブン 160」、ヨーロッパ向けは「ユーロ5」の排ガス規定をパスしたことから末尾に5が付いて「セブン 165」と呼ばれることになっていますが、日本仕様は「セブン 130」ですか?

「160というのは、車両重量約500kgの車体に80psのエンジンを搭載する、つまり160ps/tというパワー・トゥ・ウエイト・レシオの数字を表しています。日本仕様も基本的に同じスズキのK6A型エンジンを積みますが、最高出力は64psに設定されるので、約130ps/tになりますから、セブン 130という名前にする予定です」(追記:後日、80psで発売されることに決まり、車名も「セブン 160」になりました!

日本の軽自動車に適用されている64psの自主規制に合わせるわけですね。

「やはりスズキさんから供給していただくわけですし、他の日本の自動車メーカーさんたちとも足並みは揃えないと、ということですね」

ではもし、普通車でかつて行われていた280psの自主規制が撤廃されたように、軽自動車でもこれから、例えばホンダのS660あたりがそれ以上の馬力で発売されたら、このセブンもヨーロッパ仕様と同じ80psになります?

「そうなったら80psでも100psでも(笑)。ECUで設定しているだけなので、簡単に上げられます」

購入したユーザーが個人的にチューンしようと思えば、そのくらいになるということですか?

「まあ、120ps...くらいは出せますよ。お勧めはしませんが(笑)」

今後もし自主規制が撤廃されたら、既に64psのセブンを購入した人でも馬力を上げてもらえますか?

「もしそうなったら、ディーラーでアップグレードできるようにしたいと考えています」

そもそもこの軽自動車用エンジンをセブンに積むという話は、どういう経緯で実現したのでしょうか? イギリスのケータハムが日本製エンジンに目を付けたのですか?

「いいえ、実を言いますと、最初は日本(ケータハムカーズ ジャパン)の方で開発を始めました」

そうだったんですか!?

「ケータハムカーズ ジャパンのマネージャーであるジャスティン・ガーディナーという人が、もともと日本の軽自動車が大好きで。セブンの大きさって、リアを狭めれば軽自動車と変わらないじゃないかってことに彼が気付きまして(笑)、660ccのエンジンを載せようとイギリスの本社に提案したのです。最初はあまり取り合ってくれなかった本社も、ジャスティンがあまり熱心に言うので、じゃあやってみたら、ということで新品のフレームを1つ、日本に送ってくれたんです。それに工場で転がっていた廃車になった軽自動車のエンジンを載せてみまして、それが今日、展示しているこのクルマです(笑)。その後、来日したイギリス本社の社長とテクニカル部門のトップが、このクルマに乗ってみて、"面白いじゃないか"と。それで市販モデルとして改めて開発することになったんです」

それからスズキの方にお話を?

「そこからスズキとの交渉が始まったわけですが、はじめはあまりいい顔をされませんでした(笑)。それまでスズキは他社にエンジンを供給したことがなかったので、とにかく前例がないということで」

どうやって説得されたのですか?

「スズキの本社に伺って何度目かの話し合いをしていたときに、たまたま鈴木修会長がいらっしゃってまして、"何をそんなに揉めてるんだ?"と。いや、実はエンジンとミッションを売って欲しいと言うんです、とスズキの方が会長にお伝えしたら、"そんなもん、売ってやれ!"と仰ってくださって(笑)。それから契約がまとまりました」

Caterham Seven
Caterham Seven

エンジンは「ジムニー」などに使われているK6A型とのことですが、スズキにはもっと新しい「R06A」型エンジンもあるのに、K6A型になったのはスズキが最新ユニットは供給を渋ったからですか?(笑)

「いいえ、そういうわけではありません。K6A型を搭載するスズキのクルマは世界中で販売されている実績があるので、どこでも部品の入手が可能なんです。実は、今回のモデルはケータハムのディーラー網がない国でも販売を考えていまして、そういうところでもその国のスズキ・ディーラーからパーツは買えますから」

スズキ・ディーラーでも販売する計画はあるのでしょうか?

「日本では、少なくとも考えていません。パワートレインがいくらスズキ製でも、それ以外のところでスズキの販売店が扱うには難しいところもありますので」

生憎のタイミングで軽自動車の税金が上がってしまいますけれど、それについてはいかがですか?

「あまり関係ないと思います。400万円のクルマを買うような人が、年間3,600円高くなっても気にするかな、という(笑)。ただ、こういうクルマをお買いになる人は他に2台も3台もクルマを所有されている方が多いので、そういう方が奥さんにもう1台増やすことを了承してもらうとき、"軽ならいいだろ"って言えるんですよ(笑)」

12月1日から受注を開始したそうですが、反響はいかがですか?

「他で告知せず、ウェブサイトとディーラーだけでこっそり発売したんですが(笑)、12月20日時点ですでに25台の予約をいただいています」

売れ行き好調だと、納期が結構長くなりそうですね。

「ケータハム本社では、このモデルのために生産台数を増やすと言っていますが、それでも限りがありますからね...。お早めにご注文されることをお勧めします」

Caterham Seven
Caterham Seven

この日、大阪モーターショーの会場では、スズキの660ccエンジンを見せるわけでも、黄色いナンバープレートが付いているわけでもないにも拘わらず、常に多くの人々がグリーン・メタリックに塗られたセブンの周囲を取り巻いていた。出展者のケータハム大阪中央では用意したリーフレットがあっという間に足りなくなったそうだ。皆さん、よく知っていらっしゃる。

ナロー・フェンダーと155/65R14タイヤを装着するその姿は上級モデルのセブンよりもやや大人しい雰囲気で、言ってみれば「セブン・ジュニア」という感じ。フレーム、ボディ・パネル、内装など、目に見える部分のコンポーネントの多くは他のセブンと共通だから、実車を見ても「廉価版」という感じはしない。市販モデルでは黒・赤・緑・黄から選べるサイクル・フェンダー&ノーズコーンと無塗装アルミのボディ・パネルが標準となる。マフラーは展示車に装着されているものより細いタイプを採用するそうだが、「イギリス本国ではサイド出し、しかも(斜め後方ではなく)90度横向きに出ているんです。日本では無理なので、パイプを1本足して後ろへ回している」とのこと。14インチのスティール製ホイールもデザインの異なるものが装着されるそうだ(下の写真を参照)。

Caterham Seven

スズキのパワートレインを搭載することで、経済的なだけではなく信頼性も高いセブンになりますね、と言うと「いやあ、結構細かい所が壊れますよ(笑)」と正直に仰る。その他はこれまでのセブンと同様、ブレーキにはサーボ(倍力装置)が付かないため現代の一般的なクルマに比べたらかなりの踏力が要るし(その代わりフィールがダイレクトで制動力をコントロールしやすい)、ウインカーはダッシュ・パネルに備わる古典的なトグル・スイッチ式。交差点を曲がった後にはステアリング・ホイールから左手を離し、自分で戻さなければならない。助手席横に鎮座する排気管は、半ズボンやスカート姿の同乗者が乗り降りする際、気をつけていないと火傷をする恐れもある。もちろんパワー・ステアリングやエアコンの類はオプションでも用意されない。

扱いが楽な日本製パワートレインを搭載しても、セブンの伝統というか、"しきたり"は保たれており、決して"普通のクルマ"に近づいたわけではない。ブレーキ・サーボやパワー・ステアリングはともかく、コラム式のウインカー・レバーや「壊れやすい」という電装部品など、走りに直接関係ない部分は、それこそスズキの軽自動車用を一緒に供給してもらうという手もあっただろう。しかしそれをやらないことが、セブン一族の末弟としての矜持である。イギリス人て頑固だな、なんて思ってはいけない。

Caterham Seven
Caterham Seven

車両本体価格は前述の通り349万6,500円。主なオプションを挙げると、一般的なフロント・ウインド・スクリーンと幌、ビニール製ドアがセットで23万500円。ヒーターが5万4,100円。カーペット+ラバーフロアマットが2万9,400円。レザー・シートは8万2,800円。アルミボディの無塗装ヘアライン仕上げが42万円。ボディを全てペイントすると、ソリッド・カラーなら23万1,000円。メタリック・カラーでは31万5,000円、等々となっている(価格は5%の消費税込み)。

最後に改めてスペックをご紹介しておこう。エンジンはスズキ製K6A型658cc直列3気筒ターボで最高出力64ps/5,500rpmと最大トルク10.6kgm/3,400rpmを発生。5速マニュアル・トランスミッションとリア・アクスルもスズキから供給を受ける(軽トラック「キャリイ」用とのこと)。全長3,100mm × 全幅1,470mm × 全高1,090mmというサイズはほとんどの軽自動車よりもさらに小さい。車両重量は490kg。0-100km/hを6.9秒で加速し、最高速度は160km/hに達するという。使用燃料はハイオク指定だ。

日本にはこの春に市販モデルがいよいよ上陸し、順次納車も始まる予定だという。コーリン・チャップマンの思想が宿る日英合作の軽自動車に興味を持たれた方は、以下のリンクから公式サイトをどうぞ。

ケータハムカーズ ジャパン

これまでにご紹介した記事はこちら

追記:後日、改めて「セブン 160」という名前で発表されました! 詳しくはこちらの記事をどうぞ


By Hirokazu Kusakabe

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