OLYMPUS DIGITAL CAMERA         【試乗記】「驚くべきクルマだ」 2014年型ホンダ「アコード ハイブリッド」(ビデオ付)
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2014年型ホンダ「アコード ハイブリッド」は、特にこれと言って大きな驚きはない。何しろ、外観は一昨年から販売されている新型「アコード」(北米向け)と似ているし、パワートレインも、去年初めに米で発売された「アコード プラグインハイブリッド」とおおかた同じだ。総合的に見ても、まさに"30年もの間、米で愛され続けてきたアコード"と何ら変わらない印象だ。

ホンダは、初代のアコード ハイブリッドを米で2005年に発売した際、可変シリンダーシステムを採用したV6エンジンと「IMA(Integrated Motor Assist)」を組み合わせることでダイナミックなパフォーマンスを実現させたが、消費者がハイブリッド車の購入を考える上で最も重要視する燃費性能に関しては、そのニーズにうまく応えられなかった。その証拠に、2005年モデルの燃費は市街地25 mpg(約10.6km/ℓ)、高速道路33 mpg(約14km/ℓ)、複合28mpg(約11.9km/ℓ。高速道路と市街地を走行した平均)、と、あまり芳しくなかった。これらの数値、そして結果的に初代アコード ハイブリッドが3年で生産中止になってしまったことを頭の片隅に入れておいていただきたい。

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にもかかわらず、燃費規制が厳しくなる中で再びアコード ハイブリッドが登場したことは納得できる。実際のところ、米国市場におけるアコードの年間販売台数はおよそ35万台にもなる。またホンダは少しずつではあるが、この最量販モデルの燃費を向上させており、これはCAFE(企業別平均燃費)基準の"平均値"において、かなり大きな違いを生むだろう。ホンダが、アコード全体の売り上げのうち、どのくらいの割合をハイブリッドモデルに占めて欲しいと希望しているのかは分からない(売れるだけ売りたいと言っていたのは常套句だろう)が、市街地50mpg(約21.3km/ℓ)、高速道路45 mpg(約19.1km/ℓ)、複合47mpg(約20.0km/ℓ)と燃費が向上した新型アコード ハイブリッドの登場で、9代目アコードにはパワートレインとトリムレベル、そして価格において幅広いラインアップが揃った。基本価格は、アコードが21955ドル(約222万円)、アコード プラグインハイブリッドが39780ドル(約402万円)だ。

一方、アコード ハイブリッドの価格は2モデルの中間あたりで29155ドル(約295万円)から。と言っても、試乗した感触では、アコード プラグインハイブリッドより1万ドル(約102万円)も安いとは思えない。その理由として1つ言えるのは、EVモード以外の燃費において、アコード ハイブリッドの燃費がプラグインハイブリッドよりもいい(ただし高速道路ではプラグインハイブリッドが1mpg<0.42km/ℓ>勝っている)ということ。このような結果になるのは、2台がほぼ同じパワートレインを共有しているからである。

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ということで、まずパワートレインから説明していきたい。ホンダのエンジニアでもない限り(ひょっとしたら彼らにとっても)、理解するのが少々難しい複雑な仕組みではあるが、実に理にかなっているのも確かだ。一昨年我々は、アコード プラグインハイブリッドに試乗したが、その時初めてこのパワートレインを知った。プラグインハイブリッドとハイブリッドのパワートレインを比べると、エンジンや2モーター式のセットアップは同じで、違いと言えばバッテリーサイズ(プラグインでは6.7kWh、ハイブリッドでは1.3kWh)やソフトウェアぐらいだろう。バッテリーパックがより大きいプラグインハイブリッドは、モーターのみでの最大航続距離が13マイル(約21km)で、ハイブリッドよりも長い。ハイブリッドの場合、EV走行時の最大航続距離はバッテリーの容量によって左右されるが、例えば2マイル(約3km)の下り坂で回生ブレーキをかけ続け、その際に生み出された電気によって、エンジンの燃焼を止めたまま1マイル(約2km)以上走行できるというようなケースはごく稀だろう。


2台が共有するパワートレインは、ラインアップを通じて燃料消費率を改善させるという大きな目標に向けて開発された新世代パワートレイン技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」によるものだ。この技術を導入したホンダのハイブリッドモデルのほとんどは、以前搭載していたニッケル水素電池の使用を止めており、現在はアコード ハイブリッドに加え、「シビックハイブリッド」、「CR-Z」、アキュラ「ILXハイブリッド」が、新たにリチウムイオン電池を採用している。一方で、忘れられたかのような「インサイト」だけは、未だに旧式なニッケル水素電池が搭載されている。EARTH DREAMS TECHNOLOGYを導入したハイブリッドモデルに関して言えば、日本国内向けに販売されている「フィット ハイブリッド」は1モーター式の「i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)」システムを採用し、現在開発中のスポーツカー「NSX」は3モーター式の「SH-AWD」システムを搭載する。そしてアコードのハイブリッドモデルには新たに2モーター式が採用され、最高出力143ps/6,200rpm、最大トルク16.9kgm を発揮するする2.0リッター4気筒のアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンに、最高出力168ps、最大トルク31.2kgmの走行用モーターおよび発電用モーターが組み合わされている。

2014 Honda Accord Hybrid EX-L.

2モーターが搭載されるのは、アコード ハイブリッドが初だが、今後登場する車種にも採用されるとみられている。ホンダが「i-MMD(Intelligent Multi-Mode Drive)」と名付けたこのシステムは、従来のホンダ製ハイブリッドカーに搭載されてきた「IMA(Integrated Motor Assist)」とは大きく異なる。

新たなパワートレイン、i-MMDの核となるのが"Multi-Mode"と呼ばれるシステムで、バッテリーに蓄えた電気で走行用モーターを駆動する「EVドライブモード」、エンジンで発電用モーターを回し、その電力で走行用モーターを駆動する「ハイブリッドドライブモード」、そして約70km/hに達するとクラッチをつなぎ、エンジンのパワーで直接タイヤを駆動する「エンジンドライブモード」という、3種類の走行モードがある。といっても、45mph(約72km/h)以上のスピードになると、必ずエンジン走行になるというわけではない。モーターによるEV走行でも最高速度70mph(約113km/h)に達することが可能だが、どの動力源にどのタイミングで切り替えるかは、アクセル開度やバッテリーの充電状態、その他様々な要素からソフトウェアが判断する。EV走行での航続距離をできる限り伸ばす「ECONボタン」は用意されているが、走行モードをドライバーが自由に選択することはできない。その代わり、状況に応じて、最も燃費効率の良いモードを自動的に選んでくれるのだ。

さらにもう1つ複雑な要素として、アコードハイブリッドには従来のようなトランスミッションあるいはトルク・コンバーターさえ搭載されていないことが挙げられる。代わりに、2モーターとエンジン直結クラッチは電気CVT(トヨタフォードのハイブリッドモデルに、似たものが採用されている)として機能し、エンジンがダイレクトに前輪を駆動する時には、まるで固定のトップギアのような役割を果たす。複雑な装置(トランスミッション)を取り払ったことにより、パワートレインのムービング・パーツは減り、重量と摩擦抵抗も削減された。それでこのパワートレインはシステム合計で最高出力199psを発揮し、市街地走行で50mpg(約21.3km/ℓ)という低燃費を実現している。

2014 Honda Accord Hybrid EX-L.2014 Honda Accord Hybrid EX-L.

我々はテキサス州サンアントニオの山々や高速道路でアコード ハイブリッドの試乗を行ったが、複雑なハイブリッド・システムは"こんにちは、お元気ですか?"との挨拶もなしに、いきなり作動を始める。走り始めると、瞬時に電気モーターの心地よいトルクを感じることができるが、アクセル・ペダルを踏み込むと、EV走行時での静けさに替わって、プリウスのドライバーなら聞き覚えのあるような、すすり泣くようなエンジン音がキャビンに浸透してくる。加速力をあまり重視していない時(言うなれば、日常使いの時だ)は、エンジンが始動したことや停止したことにさえ気づかないかも知れない。我々は、高速道路での正確なコントロールを可能にしてくれた、ほどよい重さのステアリングを試すことにより時間を費やしたが、道路に飛び出してくる物は全て避けられると思えるほど、レスポンスが良かった。

また、素早く急ハンドルを切れない場合でもブレーキの信頼性は高く、ホンダは回生ブレーキと従来の摩擦ブレーキの融合において実に素晴らしい仕事をしたといえる。この「電動サーボブレーキシステム」はもともと「フィットEV」のために開発されたもので、モーターが電気を生み出すときの抵抗だけで最大0.2Gまでの減速に相当するブレーキングが可能だ。それを越えると完全に停止するまで摩擦ブレーキが作動する。フロントがマクファーソン・ストラット式、リヤが独立懸架マルチリンク式サスペンションは安定感があり、常に路面との接触を確信を持って感じることができた。アコード ハイブリッド(車両重量1610kg)は、1723kgのプラグインハイブリッドよりもバッテリーが小さいため約113kg軽く、最も軽量なガソリンタイプのアコード(1448kg)に比べると約162kg重い。ハンドリングに影響を及ぼすものは車両重量が全てではないが、中間の重さに位置するアコードハイブリッドは他車と比べて、優れたドライビングダイナミクスが大きく変わってしまうということはなかった。

運転席ではランバーサポートの調節が思うようにいかず、快適性はイマイチだったが、それよりも驚いたのが、優れた視認性だ。ピラーは、ドライバーがどこから見ても決して邪魔にならない位置にあり、左のサイドミラーは、ヨーロッパ人が見覚えのありそうなカーブの仕方をしていて、後方の状況がより鮮明に分かる。さらにベースモデルでさえ、右折や右への車線変更をする際にダッシュボードのディスプレイに右後方の死角の様子が映し出されるという、画期的なレーン・ウォッチ・カメラ(この機能はビデオでご覧いただきたい)まで搭載されている。プラグインハイブリッドに試乗した際も、我々はこの機能を気に入っていたが、ハイブリッドに試乗して改めて良いと感じた。





その他には、U字型をした"フローティング"スピードメーターが何とも魅力的だ。単なるディスプレイスクリーンではなく、その上に文字盤のリングが残されているので、立体的に浮き上がって見える。今回、我々が試乗したベースモデルのインフォテインメントシステムは、特にこれと言って秀でた特徴はなかったが、それでも我々を満足させた。不満があるとすれば、接続したiPodの曲を聴くときに、それぞれの曲が始まっても数秒の間アルバムアートが表示されなかったことくらいだが、これはあくまでほんの小さな不満だ。スクリーンで最も便利だと思ったのは、燃費を音声で読み上げてくれる機能だ。この画面では現在または最近の走行記録が表示され、この調子のまま走行を続けると今後、燃費が良くなるか、それとも悪くなるかを教えてくれる。我々は30マイル(約48km)にわたって、高速道路を使用しないルー トで、車の燃費に気を使わずに走ったが、その時の燃費は38-39mpg(約16.2-16.6km/ℓ)だった。やや調整して、軽い惰性走行を使ったり緩やかに発進することを心掛けてみると、燃費値はすぐに47mpg(約20km/ℓ)に跳ね上がった。また、他のジャーナリストの中には、ホンダの提示する燃費値に勝てないかと、1日かけて挑戦し、何とかディスプレイに80mpg(約34km/ℓ)以上の数値を表示することに成功した者もいたようだが、燃費は常に走行状況によって異なるものだ。それより我々は、試乗地のテキサスの日差しの下でエアコンをつけて快適に走行する方を好んだ。

日差しの下に立ってクルマを眺めると、エアロ・スタイルの17インチ・ホイール、新しいLEDヘッドライト、グリル付近に施されたブルーのアクセントなど、ハイブリッド特有のスタイリングに気付いた。インテリアの差異は、(マットではなく)グロスブラックに仕上げたステアリングホイール、ハイブリッド車特有の情報を表示するマルチインフォメーションディスプレイくらいだ。総合的に考えると、アコード ハイブリッドはより大きなバッテリーを搭載したことで荷室容量が約85ℓ減ってしまったが、それ以外は、標準車のアコードと何ら違いはない。リヤの可倒式 シートだが、せっかくホンダはフィットなどに採用している画期的なマジックシートがあるのに、残念ながら今回の可倒式シートでは、荷室スペースの拡大はあまり期待できない。

2014 Honda Accord Hybrid.
2014 Honda Accord Hybrid.2014 Honda Accord Hybrid.2014 Honda Accord Hybrid EX-L.

それでは、オハイオで生産されたアコード ハイブリッドの位置づけを考えてみよう。50mpg(約21.3km/ℓ)という燃費値は、「ハッチバックのプリウスではない限り、そんな低燃費は無理だ」と思っているプリウスのオーナーたちからすれば、驚異的な数字だろう。何よりも重要なのは、アコード ハイブリッドの価格が3万ドル(約306万円)以下からだということ。ハイブリッド車のマーケットの中で最も低価格というわけではないが、サイズ、そして 29,155ドル(約298万円)という価格で50mpg(約21.3km/ℓ)の燃費というのは、にわかに信じがたい。アコード ハイブリッドの有力なライバルとしては、トヨタ「カムリハイブリッド」フォード「フュージョン ハイブリッド」ヒュンダイ「ソナタ・ハイブリッド」などが挙げられるが、どのライバルも50mpgの燃費に達していない。この中であれば、フュージョン ハイブリッドが一番の好敵手と言えそうだが、フォードがハイブリッド車のEPA燃費を下方修正した問題は、我々の誰もが知っている。その他のライバルたちは、みな10mpg(約4.3km/ℓ)ほど劣っている。

アコード ハイブリッドには3つのグレードが用意されている。我々が試乗したベースモデル(ハイブリッド)は、USBポートや8インチスクリーンなどが標準装備となっている一方で、ナビゲーションシステムは搭載されない。これは中間グレードの「EX-L」(約326万円)でも同じだが、EX-Lではベースモデルに加えて、ヒーター付フロントシートや2つの安全性能(車線逸脱警報システムと前方車両衝突警報システム)が標準装備される。最上級グレードの 「Touring」(約357万円)には、ナビゲーションシステム、アダプティブクルーズコントロール、さらにホンダのHomelinkテクノロジーが装備されている。ホンダは、アコード ハイブリッドの購入者のうち、45%がハイブリッド、40%がEX-L、15%が気前よくTouringを選ぶと予想している。

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我々は、プラグインハイブリッドに試乗した際も大いに感心したのを覚えているが、ホンダはアコード ハイブリッドの開発に際し、プラグインハイブリッドと同じようなクルマにならないように、最大限努力をしたと感じる。このクルマは、ニューヨークとカリフォルニアでのみ販売されているプラグインハイブリッドに比べると、全く道理にかなっている。なぜなら、EV走行での航続距離はプラグインハイブリッドよりも12マイル(約19km)劣るが、5000ドル(約 52万円)から1万ドル(約102万円)の節約となる。一方、アコード ハイブリッドは、非ハイブリッドのアコードに比べると価格は高いが、逆にガソリン車のアコードの燃費は複合30mpg(約12.8km/ℓ)、市街地27mpg(約11.5km/ℓ)、高速道路36mpg(約15.3km/ℓ)に過ぎない。

プラグインハイブリッドを試乗した際、「アコードは、ホンダが最も重要視している車種だ」と言われた。そして、いざアコード ハイブリッドのハンドルを握って感じるのは、様々なアイディアやエンジニアリングが熟考され、実行に移されたことは確かだが、そのこと自体は表に出ていないということ。自動車メーカー側も、大衆車を購入する人々が複雑なパワートレインや、進化したMPG設定に関心がないことを知っているのだろう。彼らが求めているのは、コストがかからず、優れた燃費を提示してくれる、ちょうどよいサイズのクルマなのだ。そして、その全てを満たしてくれるのが、アコード ハイブリッド。実に驚くべきクルマだ。

【基本情報】
エンジン:2.0リッター直列4気筒/1.3kWリチウムイオン電池
パワー:最高出力199ps(システム合計)
トランスミッション:電気CVT
駆動方式:前輪駆動
車両重量:1610kg
座席数:2+3
荷室容量:360ℓ
燃費:市街地50mpg(約21.3km/ℓ)、高速道路45mpg(約19.1km/ℓ)

By Sebastian Blanco
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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