伝説のスポーツカー「トミーカイラ ZZ」がEVとして京都で復活!
1990年代に少量生産されたスポーツカー「トミーカイラ ZZ」が、京都大学発のベンチャー「グリーンロードモータース」の手でEV(電気自動車)として復活。1月28日、東京で初めてそのお披露目が行われた。京都で手作りされるこのEVスポーツカーはもちろん公道走行も可能で、限定99台が市販される。

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2人の"爺"が作った幻のスポーツカー

チューニングカー・メーカーとしてその名を知られる京都のトミーカイラが、1から開発したオリジナルのスポーツカー「トミーカイラ ZZ」をご存じだろうか? 1990年代にイギリスで製造・輸入(いわゆる"逆輸入")という形態を取り僅か200台あまりが販売された、2人乗りのコンパクトでスパルタンなオープン・スポーツカーだ。その名前は「トミーカイラ」の由来となった創業者、富田義一氏と、副社長のチーフ・エンジニア、解良喜久夫氏の、「いつか自分たちの手でオリジナルのクルマを作りたいという夢が叶ったときには2人とも"爺"になっていた」という言葉から、「爺爺(ジィジィ)」をもじって「ZZ(ズィー・ズィー)」と付けられたという。アルミニウム製センター・タブ+前後パイプフレームというレーシングカーさながらのシャシーに、日産の2.0リッター直列4気筒ターボ「SR20DET」エンジンを、わざわざ燃料噴射装置を外してキャブレターに換装した上でミドシップ・マウントするこのトミーカイラ ZZには600件を超える注文が集まったが、しかし当時の運輸省による保安基準改正によりそのままでは販売継続が不可能となり、多くの受注を残したまま生産中止の憂き目に遭う。




ベンチャーによってEVとして復活

そんなトミーカイラ ZZが、EV(電気自動車)として復活するというニュースが聞こえてきたのは2010年のこと。トミーカイラと同郷でもある京都大学で誕生したベンチャー「グリーンロードモータース」が、トミーカイラ ZZに電気モーターとバッテリーを搭載し、もちろん公道走行可能なEVスポーツカーとして製品化を目指すというのだ。これを報じる多くのメディアでは、一介のベンチャーに集まった、元ソニー会長の出井伸之氏や元グリコ栄養食品会長の江崎正道氏をはじめとする錚々たる出資者・協力者の名前に注目していたが、クルマ好きならその中に富田義一氏と、そしてトミーカイラ ZZの後継車として開発されていたはずの「トミーカイラ ZZ II」でデザインを担当した西田典幸氏の名前があることを見逃さなかっただろう。それはかつて志半ばで途絶えた夢の当事者と、生まれたばかりのベンチャー企業が、EVという時代を味方に付けた方策により、彼らの地元京都で、新たな夢を描き始めたことを意味していた。

それから2年後の2012年、グリーンロードモータースはEVスポーツカーとして生まれ変わった「トミーカイラ ZZ」の国内認証を見事取得に成功する。かつては日本の路上を合法的に走らせるクルマを作るため、イギリスで生産するという"裏ワザ"的な方法を用いるしかなかったトミーカイラだが、今回は自動車メーカー以外の者が少量生産を行う「組立車制度」を利用。年間生産台数99台以下に限定されるが、日本で製造されたオリジナル・スポーツカーがナンバー・プレートを取得して日本の公道を走ることが可能になった。そして2013年5月、大阪に構えたショー・ルームで実車を展示すると同時に第1期として33台分の受注を開始。価格は800万円(税別)と発表され、160件を超えるオファーが集まったという。11月には総額約6億円の資金調達を完了し、いよいよトミー・カイラ ZZの量産開始と、新たなビジネス展開が計画されている。これに伴い2014年には東京でも実車の展示を行うことになり、まずは1月28日に東京都美術館の正門前でお披露目と、第2期受注の開始が発表された。




スパルタンなEVピュア・スポーカー

レーシングカー・デザイナーの由良拓也氏が手掛けた初代トミーカイラ ZZに比べると、レトロ調を捨てずっと現代的になったエクステリア・デザインは、ASL(オートバックス・スポーツカー研究所)がかつて発売を計画していた(けれど頓挫した)「ガライヤ」などを手掛けた西田典幸氏に寄るもの。短い前後オーバーハングや、サイドのエア・インテーク、コクピット背後に設けられたフードなどはオリジナル ZZから受け継がれていることが分かる。パール・ホワイトに塗られたボディの質感は高く、"さすが、日本製"と思わずにいられない。電気自動車になってもそのスパルタンなスピリットは健在で、ドアにはサイド・ウインドウすらなく、ルーフは「簡単な非常用のものを用意する予定」に過ぎない。室内の装備も最低限で、もちろんエアコンの類は備わらず(ただしレカロ製バケットシートにはオプションでシート・ヒーターが装備可能になるそうだ)。革張りのシートと青いアルカンターラのインテリアは「もう少し高級感が欲しいというお客様の要望に応えて今回やってみたもので、まだオプション価格などは未定」だとか。大阪に展示されている車両より、確かに魅力は増している。




拘りを表す"3つの数字"

グリーンロードモータースの小間裕康社長によれば、このトミーカイラ ZZには3つの拘った数字があるという。1つは「3.9秒」。0-100km/h加速のタイムだ。リア・ミッドに搭載されるモーターは、最高出力305馬力と最大トルク415Nm(42.3kgm)を発揮し、2輪駆動で、しかもローンチ・コントロールのような電子制御デバイスを持たずに、スーパーカー並みの加速を実現している。そしてもう1つは「850kg」。バッテリーを積むことによって重くなりがちな電気自動車となっても、トミーカイラ ZZでは「軽さ」に拘った。比較対象として挙げられることが多い「テスラ ロードスター」よりも400kg近く軽い。ただし代わりに航続可能距離は120kmと割り切っている。もちろん出先の急速充電器でチャージして帰路に備えることは可能だし、ルーフもエアコンもないスポーツカーによる1回のドライブとしては十分な距離とも言えるかも知れない。ドライバーにとってもそのくらいのスパンで休憩が必要になるだろう。オプションで最大200kmまで(つまりバッテリーの搭載量を)増やすことも可能だそうだが、そうすると当然、運動性能はやや犠牲になることを覚悟しなければならない。そして3つめの数字は「277mm」。これは運転席に座ったときの、ヒップポイントの高さ(低さ)だそうだ。「ドアを開ければ地面が触れるほど」の低い着座位置で(しかもフルオープン)、「スーパーカー並みの加速が体験していただけますから、スピード感はかなりのもの。それが800万円という価格で実現できるのは、最先端のEVだから」と小間社長は語る。



京都の舞鶴市で手作り生産

会場で元トミーカイラ出身のエンジニアの方にお訊きしたところ、アルミ製シャシーはエンジンを搭載していたトミーカイラ ZZからの流用ではなく、「ほとんど1から作った」そうで、「20年経っていますからね、その間に技術も進んでいます」とのこと。当時のスタッフも多くの方が関わっているそうである。「当初は、"テスラ ロードスターの半額で同等の動力性能を"って言っていたんですけど、"他の車名を出すのは良くない"、ということで今は言わなくなりましたが(笑)」と、開発陣の心意気を表す裏話を語って下さった。航続可能距離に関しては「必ず訊かれるんですけど、まあ、要は考え方ですよね。120kmと決して長くはありませんが、その代わり、トミーカイラ ZZの精神である軽さに拘りました」という。

生産は京都の舞鶴市で「マクラーレンやフェラーリのように、ほとんど手作りで」行われており、11月から本格量産に入る予定だとか。「1つひとつ、安全や品質を確認しながら本格量産に進めるので、どうしても時間が掛かる」そうである。「早く数を出すということよりも、ゆっくりとしっかりした生産を行いたい」と小間社長は仰る。第1号車の納車は「今年春頃」を予定しているそうだ。

プラットフォームのみで販売も

なお、このトミーカイラ ZZは、アルミ製シャシーにモーターとバッテリー、サスペンション、ステアリングなど走行に必要なコンポーネントが全て組み付けられているという構造なので、FRP製のボディ(というか、カウル)を外した状態でも走ることが可能。小間社長によれば、近い将来にはこのプラットフォーム部分のみを販売することも計画しているそうで「今すでに海外の自動車メーカーや電機メーカー、ベンチャーなどから打診が来ている」という。つまり、ボディ・バネルだけを自作すれば簡単にオリジナルのクルマが出来上がり、しかもこのプラットフォームは国土交通省による認可を取得しているので、そのまま公道も走行可能ということになる。その際、モーターやバッテリーなどは「現在ご協力いただいているサプライヤーが提供するものの中から、自由に選択してもらえるようになる」という。ただし「このクルマ(トミーカイラ ZZ)に関しては、このスペックでいく」そうだ。気になる安全性については「我々の製造するクルマ(トミーカイラ ZZ)はクラッシュ・テストを求められていません。が、シミュレーションと独自のテストにより十分な安全性は見込めています。エンジンを積む同クラスのモノコックのクルマに比べても、かなり高いレベルにある」と小間社長は自信を見せる。




東京でも展示を開始

この日、発表会場となった東京都美術館に芸術鑑賞の目的で訪れた多くの人達が、正門前に置かれた見知らぬ白いスポーツカーに興味を惹かれたご様子だった。写真を撮影していた筆者も数人の方から質問を受けたのだが、「京都で作られている、トミー・カイラという電気自動車です」とお答えすると皆さん一様に感心の声を上げられる。価格を訊かれて「800万円だそうです」と申し上げたら「意外と高くないのね」と仰る方もいたと言えば、その質感・存在感の高さが分かっていただけるかも知れない。

そんなトミーカイラ ZZに興味を抱き、実車をご覧になってみたいという方も多いだろう。東京では2月1日から3月中旬まで六本木の「ル・ガラージュ」というお店で展示され、その後は赤羽橋に新設されるショー・スペースで常設展示される予定だそうだ。大阪では今まで通り、「グランフロント大阪」内に赤いモデルが展示されている。今回受注が開始された第2期分では、小間社長によれば「なるべく試乗していただいてから決めてもらいたいと考えている」そうだが、試乗可能な実車は現在、「まだ1台しかない」そうで「予約をいただいてからかなり長いことお持ちいただくことになる」という。それでも乗ってみたいという方、是非グリーンロードモータースまでお問い合わせを。日本車初となる量産本格EVスポーツカーのオーナーになれるチャンスは、もう既に残り僅かとなっている。

グリーンロードモータース公式サイト

ル・ガラージュ公式サイト


By Hirokazu Kusakabe

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