このシビック TypeRには、アースドリームテクノロジーという触れ込みがついているために、誰もがホンダが新たに開発したVTECターボはパフォーマンスより環境重視のエンジンだと考えてしまうだろう。これは大筋においては間違っておらず、特に、1.0リッターと1.5リッターに関しては、その印象は正しい。しかし、2.0リッターは全く違う。このエンジンは"モンスター"だと言っていい。

高出力のターボチャージャー、直墳技術、高性能冷却システム、さらに可変バルブタイミング(VTEC)により、この新開発された2.0リッター4気筒エンジンは280hp以上の最高出力を発生し、その一方で2014年から施行されるユーロ6の排出ガス規制にも対応する環境性能の高さも合わせ持つ。実際のスペックは確認されていない(まだ正式に発表されていない)が、フォード「フォーカス ST」(最高出力252hp)、マツダスピード3(日本名:マツダスピードアクセラ)(同274hp)を凌ぎ、フォルクスワーゲン「GTI」(同217hp)と「ゴルフR」(同296hp)の中間に位置することは確かだ。

ホンダは、デモンストレーションとテストの目的で、より小型の1.5リッター4気筒ターボエンジンや1.0リッター3気筒ターボエンジンを「アキュラ ILX」や普通のシビックのハッチバックに詰め込んだ。しかし、この2.0リッター4気筒エンジンが搭載されたクルマを、単にシビックのエンジンを載せ替えただけと考えると裏切られる。今回、著者が試乗したのは、ホンダのホットハッチが築いてきた長い歴史の流れをくむ、次期型シビック Type Rである。この最新モデルで、ホンダはルノーの「メガーヌ R.S. トロフィー」が2011年に、軽量の「メガーヌ R26. R」が2008年にニュルブルクリンクで叩き出した市販前輪駆動車の最速ラップを更新することを狙っているという。実に大きな目標だと思うが、Type Rがどんな車なのか試乗してみることが先決である。我々は日本の栃木県にあるホンダの四輪R&Dセンターに向かった。

所感

このプロトタイプType Rのまわりをぐるりと歩いてみると、すぐにこれが普通のシビックではないことに気がつく。マットブラックにペイントされ、主要な部分がテープで覆われていても、それは隠しようがなかった。ボリューム感を増したホイールアーチと、大型リア・ウイングやディフューザーを備え、その両脇から4本のエキゾースト・テールパイプが突き出している。ゴルフRを除く前述のライバルたちには見られない特徴だ。軽合金のホイールの裏には、クロスドリル加工されたブレーキディスクに明るいレッドのブレンボ製キャリパーがついているのが見える。車内に乗り込み、深く身体を包み込むアルカンターラ張りのバケットシートに座れば、リムの太いステアリング・ホイールがちょうど胸の前に位置していた。

早速、我々はパドックを後にして、アクセスレーンからトラックのバンクに向かって走り出た。アクセルをいっぱいに踏み込むとType Rは即座に応える。今のところホンダはこの新型モデルについて何も発表していないのだが、ターボラグが感じられないことから、可変ジオメトリー・ターボチャージャーを使っているのではないかと思われた。あるいは栃木のエンジニア達が上手くターボとVTECの共演を指揮しているのか。

幅が狭くなったレーンでスピードを落としてみたが、トルクステアもほとんどなかった。それでまた、同じような疑問がすぐさま沸いてきた。ホンダは、この四輪の"モンスター"がお行儀よくふるまうように機械式または電子制御のディファレンシャルを組み込んでいるのではないだろうか。しかし、こういった疑問については、そのうち答えが出るだろう。ともかく、このType Rのかなり元気な走りを実現させるために大きな労力が掛けられているのは、そういう点だけではないと思われる。

バンクでの走行時には、ホンダのスタッフが同乗し、さらに最高速度が200kmに制限されていた。そのためアクセルにかなり余裕があるにも関わらずリミッターが作動した。ギアを6速まで上げる機会もなかった。もし制限を解かれたら、シビック Type Rはどんな走りを見せるのだろうと思わざるを得なかった。だが今回はまだプロトタイプの試乗であり、トラックの1番外側にある急こう配のバンクレーンを走行することも許可されていなかったのだ。にもかかわらず、Type Rは大きなコーナーもスムーズにしっかりと走り抜けた。また、我々の車がピット出口を通過する度に、Type Rよりパフォーマンスが劣る車が内側のレーンに出てくることがあったのだが、ウィンドシールド越しに大きく見えたクルマが、次の瞬間、リアミラーに映る時には、まるで止まっているかのように小さく縮んで見えた。

ホンダはベースになったスタンダードな5ドア・シビックの脂ぎった部分をType Rにはほとんど残していない。Typr Rはそれらの全てが引き締まっている。ステアリングは重みがあり、ペダルはしっかりとフィードバックを伝え、綿密に設計されたサスペンションはステアリング・ホイールの横に備わる赤い「Type R」ボタンを押したときのみ固くなる。

残念なことに、極めて短い時間で2周回が終わってしまった。しかし、トラックを後にするときに感じていたことは、この本物のホットハッチがルノーをニュルブルクリンク北コースの王者の座から追いやる可能性があるかもしれないということだ。ホンダのチャレンジが実に楽しみである。しかし何より、ホンダが北米の消費者にこの禁断の果実を届けてくれることを祈りたい。

By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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