【試乗記】「フェラーリ『458』の小型版だ!」 アルファ ロメオ「4C」(ビデオ付)
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アルファ ロメオ2011年のジュネーブ・モーターショーで「4C」のコンセプトカーをお披露目して以来、同車の情報を小出しにしてきた。熱烈なファンがいながら、長期の経営不振に苦しんできたアルファ ロメオの起死回生のモデルといえるのがこの4Cだ。筆者は『Autoblog』のヨーロッパ担当記者として、幸運にも現在、イタリアに在住しているので、アルファ ロメオの様々な悲喜劇を追いかけてきた。だから、この4Cの美しい外見に惚れ惚れする一方で(できればドライブも最高に魅力的だといいのだが)、アルファ ロメオに対して、ある思いを抱き続けてきた。それはアルファ ロメオが世界に君臨していた当時の"何か"を今も持ち続けているのかということだ。

なぜなら、アルファ ロメオは今こそ、ミッドサイズのスポーツセダン「159」の素晴らしい後継車と166の後継車と噂されている「169」ラグジュアリースポーツセダンを出すべきだと考えているからである。もちろん、2003年にコンセプトカーがお披露目され、それほど悪くないと言う評判を得ていたSUV「カマル」の市販車も忘れてもらいたくない。この3モデルの生産に向けての基本的な準備が整うまで、アルファロメオは誇り高い姿勢を保ちながらも、苦戦し続けるだろう。 そして時折、 「8Cコンペティツィオーネ」のような美しいモデルを我々に示し、消えることのない車への情熱と希望を見せてくれるはずだ。アルファ ロメオが予定している4Cの年間の生産台数は3500台。イタリアのモデナにあるマセラティの工場から、西ヨーロッパ向けに今年末から出荷が開始される。米国とカナダ向けには、2014年の5月末までにマセラティのディーラーから順次デリバリーされるようになるという。北米向けには年間1200台が割り当てられる予定だ。

4Cがコンパクトスポーツカーであり、その美しい姿の中にハイテク技術が多用され、コンポジットプラスチック(SMC シート・モールディング・コンパウンド)が使用されていると、我々は2年以上もの時間をかけて学んできた。そしてついに、2013年のジュネーブ・モーターショーで市販車を目にすることができた。そこで皆が「なぜだ!」と感じたのは、4CにイギリスのTVRみたいな、おかしなLEDのヘッドライトがついていたことだ。2011年に発表されたオリジナルデザインの方が、このハイテクを見せびらかしたようなデザインよりはるかに良かった。しかし、いまのところはそれだけが唯一の欠点で、4Cはゴージャスな車には違いない。




今回の試乗は、バロッコにあるアルファ ロメオのテストコースの一部を使って行われ、4Cを自由に乗り回すことができた。北米で発売される4Cのベースカーが5万5000ドル(約560万円)に対して、オプショナルのエギゾーストパイプがついたこの派手なスポーツシャシーは、おそらく6万3000ドル(約640万円)にはなると思われる。マセラティのディーラーがさらなる上乗せをしようと考えなければということだが...。我々が得た情報では、北米バージョンは4Cの質実剛健な雰囲気を少し和らげて発売されるということだ(ほんの少しだ。信じてほしい)。ミニマリスト的なハードコアのドライビングを熱烈に求めている層が少ないという市場のニーズに合わせたものだという。

これがアルファ ロメオの販売戦略なのだが、こういうことを知ってしまうと、筆者は4Cの販売タイミングやターゲット層について考えてしまう。ファンは目の保養になる繊細で洗練されたスポーツカーを待ち望んでいた。つまり、ポルシェ「ケイマン」(ベースモデル)やジャガー「Fタイプ」と肩を並べられるほどの車だ。しかし、ここではっきりと言おう。4CはケイマンやFタイプ同様の美しいスタイルのスポーツカーだし、そうありたいというメーカーのスタンスはあるが、それ以外に真っ向勝負できるものがない。最近、4Cがニュルブルクリンクで出した8分04秒という記録は、勝負できるものとして数えてもいいかもしれないが...。



より正確に言えば、2015年型アルファ ロメオ 4Cは、ロータスの「エリーゼ」と「エヴォーラ」の間を埋める存在だ。ドライビングという面で唯一欠けているものは、マニュアルトランスミッションを選べないこと。つまり、足元の空間を占める面倒なクラッチペダルがないことだ。しかし、アルファ ロメオのために付け加えれば、ステアリングホイールのパドルシフト、マニエッティ・マレリ社製の6速デュアルクラッチのギアボックスを装備したことは、ビジネス面の判断としては正しかったと言える。4Cがフル生産され、予定された市場に出回るころには、スポーツカーにマニュアルトランスミッションの搭載を期待するオーナーの数は、今より確実に減少していると思われるからだ。それが現実というものなのだ。

4C を試乗して真っ先に感じたことは、羽のように軽いということだ。車両重量は公式に明らかにされてはいないが、燃料やオイルなどの液体やドライバー、荷物が一切積まれていない状態のいわゆる乾燥重量で約895kg。ヨーロッパの2車線道路を走行するときには1021kgぐらいになるだろう。その乾燥重量が真実だとしてだが、北米向けモデルに燃料や油脂類を加えた実際の車両重量が約1179kgを超えなかったら、4Cは大きな驚きを持って迎えられるだろう。これは素人がテストコースでコーンの間をすいすいと走行できるというのと同じぐらいに驚きのレベルだ。現代のクルマとしてはそれでもまだ充分に軽量といえる。ちなみにPDKを搭載したケイマンのベースモデルの重量は約1340kgだ。また、4Cのブレーキは本当に素晴らしい。効きが良すぎるぐらいだ。ブレーキをかけた時に頭がガクンと下がることもなく、カーブに突っ込んでいく時も車全体に安定感があった。これは、ミッドエンジンを採用した結果、重量バランスが、前40%、後ろ60%となったことによるものだろう。




筆者は、アルファ ロメオのテストサーキットで同乗してくれたスタッフと話し合いながら、1日かけて遠慮なく徹底的にシゴいてみたが、4Cが全体として備えるダイナミックスとレスポンスはそれに本当によく耐えた。シャシーの性能は高くて十分に扱いやすく、タイトなカーブにアプローチする時でさえ、口を開けて質問ができるぐらいだった。ギアを変えてコーナーを攻めてみたが、完璧だった。さらにいい点は消音対策をしていないレーシング・エキゾーストだ。攻めのドライブをすると、信じられないぐらいに素晴らしいサウンドが流れてくる。ツインエキゾーストパイプがその役割を果たしているというよりは、昔のスポーツカーの音をうまく再現しているのだと思う。

軽量であることと剛性の高さが4C の目指しているゴールなので、いささか物足りないパワーは気にすることはない。最高出力は237hp、オールアルミ製直墳直列4気筒エンジンは、あなたの世界を彩るには十分である。過給圧21.8psを誇るターボエンジンの推進力は、いつだってエキサイティングだ。また、コンソールには、走行状況に合わせてドライブトレインのパフォーマンスを「ダイナミック」「ナチュラル」「オールウェザー」の3種類に切り替ることができる「アルファ ロメオ D.N.A.」と呼ばれるシステムのセレクターがある。その1番前方にあるD(ダイナミック)の位置で5秒ほど長押しすると、さらに「レース」モードとなるのだ。ゲージクラスターが黄色に変わり、トラクションヘルパーが外れ、スロットル・レスポンスとギアチェンジが最大限に速くなる。テストサーキットには、ドリフトに持ってこいの大きなカーブがあったので、ドリフトに挑戦した。4Cは300ヤード(約274メートル)のドリフトを見事に成功させた。まさに著者の夢が実現したのだ。2速でも3速でもスピードを出して最高のドリフトができ、エキゾースト音とエンジン音がカントリーサイドに響き渡ったはずだ。現在のところ、リアディファレンシャルロックは用意されていない。4Cはブレーキを使ってトラクションのコントロールをする。しかし、リアディファレンシャルロックがないことなど問題ではない。この試乗を体験して、筆者は4Cを"ベイビー 458"、つまり"フェラーリ 458イタリアの小型版"と呼ぶことにした。。



すでによく知られている先進技術による戦略として、モノコック・タブとパッセンジャー・シェルには炭素繊維強化樹脂、早く言えばCFRPが使われており、さらに頑丈な箱型断面アルミニウム製サブフレームがその前後に装着されている。スチールは横向きに1.75リッター4気筒ターボエンジンが収まっているスペースの後部だけに使用。筆者は4Cと一体となって、直線コースや大きなカーブ、タイトすぎるシケインをハイスピードで走り抜けた。その結果、はっきりと分かったことは、アルファ ロメオは最高に素晴らしい仕事を成し遂げたということだ。これは、4Cを万人向けのスポーツカーにはしないと決め、時間をかけて開発したからこそ、実現したと言える部分もある。アルファ ロメオは少ない予算を最大限に生かし、できる範囲で最上のものを作った。前が18インチ、後ろ19インチのオプションのホイールセットを履かせてみると、ケイマンがまるでキャデラックのように見えてしまうほどのインパクトが自然に醸し出される。これに組み合わされるタイヤは前205/40 ZR18 86Y、後235/35 ZR19 91Yのピレリ製のPゼロだ。もちろん、前17インチ、後18インチのホイールを装備するスタンダード仕様でも、街を流せば近所の人たちが振り返って見るほどセクシーで堂々とした魅力がある。

4Cの責任者、ドメニコ・バニャスコが率いる開発チームがステアリングのラック&ピニオンに電動アシストを付けなかったことは大きな決断だったと思う。4Cと他のメインストリームやニッチマーケットに出ているスポーツカーとの決定的な違いは、このステアリングを採用したという戦術だ。新型車のステアリングを握って、手にこれほど古典的な純度の高さを感じたことは、ここしばらくの間なかった。。もちろん、このステアリングにはプラス面とマイナス面がある。マイナス面は、車好きなドライバーの手にも余るほどのやっかいな性格を持ち合わせているということだ。腕力が必要だし、遅いスピードで運転するときや駐車するときにうまく操作するには、かなり辛抱強くなければならない。カーブの時も同じだ。四六時中、両手でしっかりとステアリングホイールを握っていなければならないので、片手でお化粧をしたり、携帯電話を使うことなどあり得ない。路面がきれいに舗装されていない道を高速で走る時、このステアリングはさらに挑戦的だ。ステアリングラックがアスファルトの路面のデコボコを1つ残らず捉えてくるからだ。路面からのフィードバックが欲しいとよく言うが、4Cはフィルターを一切かけることなくそれを伝えてくれる。




4Cの外見に関しては、まず文句のつけようがないのだが、インテリアについては2、3の不満点を見つけてしまった。まず、プラスチックだ。最近のアルファ ロメオに比べると、いくらかはよくなってはいるが、はっきり言って標準以下の品質だ。それと、標準装備にしてくれとは言わないが、4Cをサーキット走行専用に使うのでなければ、ヨーロッパ仕様ではオプションとなっている、リアパーキングセンサーが必要だ。後方視界が非常に悪いからだ。リバースカメラは用意すらされていないのだが。

しかし、シーティングポジションとシートそのものは非常に素晴らしい。いい仕上がりになっている。ドライバーを完ぺきに包み込むようなドライバー重視のシートは、望み通りだ。ただ、アルファ ロメオがもう少し、オンボードの装備に時間を取って考えてくれればよかったと思う。たとえば、インフォテイメントやナビゲーションシステムが装備されていない。もっとも、先ほども書いたように、4Cに乗ってサーキットで華々しく活躍をしたいという人には問題にはならない。しかし、日常的に4Cで街中をドライブしたいと考えている人には、こういった最新の装備がないのは不自由だ。当然のことながら、アルファ ロメオは北米市場に向けて、いくつか妥協をしてくれている。米国とカナダ向けの4Cモデルは、標準的なエアコンとパワーシート、パーキングセンサーなどの他、いくつかの便利な装備が用意される予定だ。



4Cは狭いマーケットを狙いすぎているのではないか? シンプルすぎるのではないか? アルファ ロメオにとって、これが鍵となってくる問題だろう。このクルマから明るい未来の兆しが現れてくるまで、無料の宣伝や口コミで啓蒙していく必要がある。

しかし、考え違いをしないでほしい。問題はあるにしても、4Cはゾクゾクするほど素敵な車だし、購入を決めた人は長い間待ち望んだ通りのラテンの熱い魂が感じられる小さいがダイナミックなドライビングを体験できるだろう。世界中で、週末のたびにクラブ・レーサー達が4Cで競い合う姿を見られるのは嬉しいことだ。
4Cがアルファ ロメオの"長いまどろみの間に挿入された美しい別章"以上の存在になるためには、まさにこのようなブランド力の強化やエンスージァズム(熱狂)が必要なのである。

【基本情報】
エンジン:1.75リッター直列4気筒ターボエンジン
パワー:最高出力:237hp/最大トルク 35.67kgm
トランスミッション: 6速デュアルクラッチオートマチックトランスミッション
0-60mph: 4.4秒(推定)(0-100km/h:4.6秒)
駆動方式: 後輪駆動
車両重量: 1、973ポンド(約 895kg)(推定)
座席数: 2
荷室容量: 110.4ℓ
燃費: 市街地 24mpg(約10.2km/ℓ) 高速 32mpg(約13.6 km/ℓ)(推定)
ベース価格: 5万5000ドル(約560万円)(推定)
試乗車価格: 6万5000ドル(約640万円)(推定)

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部 博一

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