【東京モーターショー2013】会場に行かれる読者の皆様へ、ライターからひとこと。
今日、11月23日からいよいよ東京モーターショーの一般公開日が始まる。これから会場に向かう読者の方も多いだろう。当日券は大人1枚1,500円。お目当てはもうじき発売になる新型車のチェックだろうか。それとも将来を占うコンセプトカー? 普段はなかなか見られない高級スポーツカー? だが、それだけで本当に、1,500円も払う価値はあるだろうか?

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自動車のショーなのに、モーターショーでは展示だけ。基本的に走らない。発売前のホンダ NSXやもう買えないレクサス LFAは見るだけでもそりゃ嬉しいけれど、でも1,500円も出せば世界に1枚の名画が見られる美術展だってある。では、動かなくても「展示するだけで金が取れる」ほどのクルマはビッグサイトにあるか? あくまでも筆者の基準だが、1台はあった。ルノーのコンセプトカー「デジール」。これは是非、この機会に実車をご覧になるようお勧めしたい。写真では決して分からない、妖しい芸術的立体造形は確かにお金を払ってでも見る価値あり(これ1台に1,500円とは言わないけれど)。世界にたった1台。所有することはほぼ不可能。もちろん街では決して見ることができない。「欲しいクルマ」「乗りたいクルマ」とか、そういう次元を超えて感動、つまり感覚が動かされるクルマだった。



だがほとんどの出展車は、実物大のオモチャのクルマか、現在もしくは近い未来に街のショールームで見られるクルマばかり。東京モーターショーとは、単なる大規模なショールームの寄せ集めに過ぎなかったのかとも感じられる。確かにいち早く最新モデルに触れられたら興奮するし、一ヵ所で様々なメーカーの車種を見られることは便利だが、でも発売されてから街の販売店に足を運べば無料で見られるし試乗もできる。コーヒーだっていただける。



では何のために我々クルマ好きはモーターショーに出掛け、入場料を払うのか。会場をよく見渡していただきたい。自動車メーカーから来ているのは、クルマだけではない。そのクルマの開発に関わっている人達。彼らと会って、直接話ができる。それこそ、クルマ好きにはきっと1,500円以上の価値がある。何しろ、将来のクルマ作りに参加できる機会なのだから。



展示されているクルマはどこが気に入ったか。どこが気に入らないか。いま売られているクルマにどう感じているのか。本当に欲しいクルマはどんなクルマなのか。是非、彼らに伝えて欲しい。メーカーだってそうした声を聞くために大金を掛けて出展しているはずだから。一方的に自分たちの作ったクルマ、作っているクルマを宣伝するためであるかのような、そんなメーカーのブースがあったなら、もうその会社のことは忘れていい。どうせ大したクルマは作れないから。



あるメーカーの開発者の方はこう仰っていた。「本当はクレームが1番ありがたい」と。「自分は○○に乗っているけれど、こんなところがダメだ。そういうことを言われたら次のクルマ開発に大変参考になります。私たちはあるクルマを開発するときに、様々な状況下でテストしていますが、でもお客様の中には我々の想定を超えた使い方をされている方もいらっしゃる。我々のできる開発テストには限りがありますから。貴重な情報であり、大変ありがたいことです。必ず次のクルマはもっと良くなります」ディーラーで言ってもだめなんでしょうか?「彼らは販売する人たちですから。そこで聞かれた声はメーカーにも伝えられますけど、でもちゃんと正確に伝わるかと言えばどうでしょうか...。やっぱりユーザーから直接聞くのが1番ですよ」もちろん、褒めていただくこともそりゃ嬉しいですしモチベーション上がりますけどね、とその技術者は笑った。

我々が声を発して開発者とメーカーを動かす。そうでもしないない限り、あなたやわたしが本当に求めるクルマなんて、なかなか出て来やしない。昔と違って、作る人も売る人も買う人も乗る人も自然に同じ夢を共有できる、という時代ではないからだ。



将来自分が乗りたいと思うクルマが作られるために、自分の意見を直接作り手に伝える。ついでに色々なクルマを見て触ってそれを肴にクルマ好きな友人達と楽しくお喋りすれば、1,500円分の元は十分取れるだろう。ただ漫然と展示車両を眺めるだけでは、今回の東京モーターショーに入場料ほどの価値を見いだすことは難しいと思われる。

もっとも我々Autoblogのスタッフは、自分で入場券を買っているわけではないのだが...。その代わり3日間、睡眠時間を限界まで削って取材・執筆に奔走した。少しずつではあるが、会場に行くことが出来ない人にも楽しんでいただけるよう、今後も記事を掲載していく予定だ。それでは寒さや事故にくれぐれも気をつけて、行ってらっしゃいませ。


By Hirokazu Kusakabe (Facebook)

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