【試乗記】「先代は大成功した。新型は...」 2014年型起亜「ソウル」
自動車評論家は、地図を見れば発表されたばかりの新型モデルの特徴について多くのことが分かる。"地図" とは、その新型車が初めてお披露目された場所のことだ。自動車メーカーは、新型車をメディアに披露する際、ダイナミックかつ印象的な場で発表したいと考え、それぞれのモデルに合った最適な場所を選ぶ。ラグジュアリーカーであれば、最先端の地にある洒落たホテル、ハイパフォーマンスカーであれば、思いのままそのクルマを走行させることができるサーキットが近くにある素晴らしい山道、といった具合だ。

では、起亜「ソウル」の場合はどうだっただろうか? 起亜が初めて「ソウル」をマイアミで発表した2009年に、我々はまっすぐに伸びた一本道が多い同地で試乗を行った。しかし魅力的な舞台とは対照的に、当のソウルに関しては正直、これと言った感動は受けなかった。信頼性は高く要求には適うが単純すぎるサスペンション、物足りないパワー、高さのあるボディなどから、ドライビングダイナミクスが楽しめるクルマではなかった。だからこそ起亜も、歩行者やのろのろ運転のドライバーで溢れかえる都市ではなく、でこぼこ道やカーブが全くないと言っていいマイアミという都市をお披露目の場に選んだのだろう。

起亜が新型ソウルの発表の地として選んだのは、大都市であり、周辺に峡谷やワインディングロードが点在するサンディエゴ。果たして、その決断は吉と出たのだろうか?




起亜によれば、新型ソウルは乗り心地、ハンドリング、そして全体的なクオリティが、かなり改良されているという。一目見ただけでは、どこを改善したのかはっきりとは分からないが、新型は先代モデルの発売から5年を経てフルモデルチェンジされ、新たなプラットフォームを採用している。"Kアーキテクチャ"と呼ばれるプラットフォームがベースになっており、「フォルテ」や「リオ」といった起亜の他モデルと多くを共有しているわけではないが、同じ工具と研究成果から生まれた。つまり、使われているパーツは異なるが、メソッドは共通ということだ。新型ソウルのボディは、高張力鋼板の使用を増やしたこともあり、結果的に剛性が28.7パーセント向上している。

新型ソウルのサイズは先代モデルと比べ少しだけ大きくなった。室内空間を広げるためホイールベースは0.8インチ(約20mm)延長され、全長は0.8インチ(約20mm)、全幅が0.6インチ(約15mm)拡大されている。一方で全高は0.4インチ(約10mm)低くなっているが、その大部分は最低地上高を6.5インチ(約165mm)から5.9インチ(約150mm)に低めたことによる。これによりクロスオーバー車としての評判を犠牲にして、より安定感のある見た目を手に入れた。また車両重量も増加したが、これは車内スペースの拡大やよりボディ剛性を高めようとした結果ではない。起亜の発表によれば、排気量1.6リッターのベースモデルで93ポンド(約42kg)、排気量2.0リッターのPlus(+)とExclaim(!)モデルで59ポンド(約27kg)重量が増加するという。つまり、車両重量はモデルによって、2700ポンド(約1225kg)から2900ポンド(約1315kg)あたりが見込まれる。




一見、新型ソウルの外観は、先代モデルとあまり変わっていないように見えるかもしれないが、実際に新旧モデルを並べて見れば、その違いは明らかだ。新型は、フロントのロア・グリルの形状が大きな台形となり、下辺の隅に配されたフォグランプが低くなったフェイスを強調している(リアバンパーのリフレクターにも同じテーマが繰り返されている)。このデザインの変化は、2012年のシカゴオートショーで発表された「Track'ster concept」の影響を受けている。また、ライトに関しても同ショーで披露された3ドアのTrack'ster conceptをベースにしており、ソウルの最上級グレードのExclaim(!)モデルにはLEDポジショニングライトとLEDリヤテールランプが標準装備されるほか、HID(high-intensity discharge=高輝度放電)ヘッドランプがオプションで装着可能だ。LEDライトが夜間走行に有効であることは間違いないし、改良された新型のリヤエンド、特にリアの大きくなったリヤハッチや、バックパックを背負ったように見えるボディ同色のフローティング・パネルは気に入ったが、新型には採用されていない先代モデルのパーツ、例えばユニークな埋め込み式のウィンカーや丸みを帯びたボディが筆者は意外と好きだった。それどころか正直に言うと、先代のノーズの方は活発で独特な印象を与えていたが、新型のフェイスは荒っぽくて攻撃的な印象を受けてしまう。

しかし、フルモデルチェンジなのに先代とあまり変わらなかったことについては、起亜のデザイナーを責めたら気の毒だ。昨年、ソウルは米で112,000台(ソウルの販売台数としては過去最高)を販売し、文字通り大成功を収めた。この数字は、韓国にある起亜の光州工場で生産されたソウルの実に9割が米で販売されたことを証明しており、起亜モーターズアメリカの担当は、「工場の生産体制が追いついていれば、さらに販売台数を伸ばせただろう」と語っていた。ソウルの登場で、競合車のサイオン(トヨタの米ブランド)や日産は次々と苦境に追い込まれた。サイオンの「xB(日本名:カローラルミオン)」は一時、カルト的な人気を得たが、その後販売台数が激減してエクステリアに大掛かりなマイナーチェンジを施した。また、日産「キューブ」も2代目と3代目の間に同様の事態に陥っている。ホンダは「エレメント」を2011年に生産中止してしまった。このように、ソウルは2009年に発売されて以来、独特なスタイリング、リーズナブルな価格設定、優れたマーケティング戦略で米のコンパクトワゴン市場で独走を続けてきたのだ。




もし、読者の皆さんが新型ソウルのエクステリアに惹かれないようだったら、ぜひ飛躍的に良くなったインテリアに注目して欲しい。使用されている素材の見た目も質感も向上し、生まれ変わったデュアル・デンシティ(座面と背面が、それぞれセンターで2分割されている)のシートが背中や腰に心地よく、キャビンには洗練された雰囲気が漂っている。これは特に今回の試乗車のように多彩なオプションを搭載すると一層感じられることだ。この試乗車にはたくさんの新しい快適なオプション、例えばパノラマ式のムーンルーフ、ヒート/クール機能付きレザー・シート(ドライバーシートは10段階の電動調節が可能)、ヒート機能付きステアリングホイール、起亜として初めてアンドロイド(OS)をベースにしたナビゲーションシステム搭載の8インチタッチスクリーンなどが装備されていた。

ナビゲーションシステムは、素早い反応と鮮明なグラフィックで便利だったが、走行中に迫るカーブをドライバーに警告するという訳の分からない機能があるのも確かだ(コーナーの危険性とドライバーのスピードはあまり重要ではないと思うし、ワインディングロードを走行している時にはコーナーを無原則に知らせたり無視したりするのだ)。第一、ナビゲーションシステムにカーブを知らせる機能など必要ないし、差し迫る危機を警告したところで、その時点でドライバーにはもう防ぎようがない。起亜の発表によれば、この想定外の"機能"は、10月に新型ソウルが米のショールームに並び始める頃には、装備から外される予定のようだ。




新型ソウルのキャビンは、かつてないほど楽しく機能的であり、快適さを叶える様々な新しい装備で溢れ、見た目もいい。特に筆者が気に入ったのは、リデザインされたドアパネル、ダッシュボードの両端にある回転砲塔のようなスピーカーグリルと一体になったエアベント、また新しいステアリングホイールだ。このステアリングは手に持った時の感触が良いだけでなく、クルーズコントロールやオーディオのコントロールボタンも付いている。新たなインストルメント・パネルは上質なシボ加工が施され、手触りがソフトであり、ファイヤーウォールの向こう側から聞こえる騒音を遮断するように分厚くなっている。カーペットも以前のものより吸音性が高い。起亜のラグジュアリーセダン「Cadenza」と比べれば質は落ちるが、それでも新型ソウルのインテリアは"ただただ安くて楽しい"というだけじゃない。そういえば素晴らしく馬鹿げたスピーカーの音に合わせて振動する光のリングは引き続き採用されている。

プラットフォームとインテリアにこれほどの改良が施されているにも関わらず、パワーユニットに関しては驚きは少ない。2012年にマイナーチェンジされたときからエンジンの大部分は変わらず、1.6リッターと2.0リッターの直列4気筒が用意される。ただしこれらはまだ新しいもので、しかも今回初めて2.0リッターの方も直噴化された。ということはつまり、新設計されたヘッドやローラー・タイプのタイミングチェーンなどが新たに採用されているのだ。起亜によれば、両エンジンとも改良が施され、1.6リッターエンジンでは9パーセント、2.0リッターエンジンでは5パーセント、低速トルクが向上しているという。しかし一方で1.6リッターエンジンの最高出力は140psから132psへわずかに低下し、最大トルクも17kgmから16kgmとなった。2.0リッターエンジンの最高出力は、2012年、2013年モデルに引き続き166ps(回転数は6500rpmから6200rpmに引き下げられている)で、最大トルクは20kgm/4800rpmから21kgm/4000rpmにアップしている。



シフトは、2012年、2013年モデルに引き続き、6速MTと6速ATから選べるが、ギア比はエンジンマッピングを変更したトルク曲線に合わせて見直された。ここで一つ重要なことを言っておくが、2.0リッターエンジンの3ペダルのマニュアルはもうオーダーできないようだ。2.0リッターのMTモデルの昨年販売数は、全体のわずか1パーセントだけだったが、起亜はMTを残すことによってかかる設備費用やシステムの複雑性を正当化することができないと判断したようだ。また、四輪駆動が搭載されるという噂が囁かれているが、その可能性は極めて低い(また、起亜が新たな派生モデルを開発する可能性もほぼないだろう)。

MTモデルでなくてもよいとお考えの人には、2.0リッターエンジンを選ぶことをお勧めする。どちらのエンジンも街中での使用には十分だが、2.0リッターエンジンは、スムーズにギアチェンジを行うATにより、サンディエゴ周辺の山道や高速道路の上り坂でも十分な働きを見せた。家の近所に坂が多い方には2.0リッターエンジンがお勧めだ。燃費に関してはまだ情報がないが、2013年モデルとそれほど変わらないと見られ、排気量を問わず市街地で約24mpg(約10.2km/ℓ)、高速道路で約29mpg(約12.3km/ℓ)になるだろう。今日的には取り立ててどうということのない数値だ。

新型ソウルのサスペンションには多くの時間と費用がつぎ込まれているが、基本設計は変わっていないようだ。フロントはマクファーソンストラット式、リアはトーションビーム式で、コストとスペース効率を考えたセットアップになっており、優れたパフォーマンスは期待できない。もっとも、高級なツインチューブ式ショック(リヤダンパーは長くなり、縦型になった)や、数も大きさも増えたブッシュを採用し(以前はフロントのサブフレームには装着されていなかった)、さらにフロントのスタビライザーバーとステアリング・ギアボックスの位置を変更したことにより、ブレーキ性能の安定性と操舵した際に車体が向く方向の正確性は向上している。剛性が増したプラットフォームとこれらの改良が組み合わさることで、乗り心地は大幅に、ハンドリングも多少は改善されている。



起亜によれば、そもそもサンディエゴという起伏に富んだ地を選んだのは、新型ソウルの様々な進化をアピールしたかったのが理由のようだ。たしかに我々の目から見ても、新型ソウルは先代から飛躍的に進歩している。安定感が増し、プラットフォームの変更や新設計されたワンピース構造のステアリングギヤハウジングにより、コーナリングも楽しくなった。筆者と共に試乗したスタッフの一人は、オプションで装備される起亜独自の調整可能な電動パワーステアリングシステム、Flex Steerを気に入ったという。このシステムはComfort(コンフォート)、Normal(ノーマル)、Sport(スポート)の中から好きなモードを選択できる。個人的にはSportモードが好みだが、実際のところ、それぞれのモードは明確に異なり、Sportモードでは他のモードに比べてステアリングが少し重くなる。このシステム自体は悪くないと思うが、やはり全体的にどのモードもステアリングのフィールは軽い気がする。中立位置付近の落ち着きは以前の型より改善されてはいるのだが。我々が乗った試乗車、Exclaim(!)モデルのホイールは18インチだったが、タイヤに関しては、我々が過去のソウルで体験してきたひどいノイズがはるかに改善され、エンジン音も以前に比べてかなりマシになった。総じて新しいシャシーは、エンジンの出力がさらに50~100ps高くても対応できる能力がある。もっとパワフルなエンジンを積んで欲しい。

すでに生産が中止されているエレメント、販売不振が続くxB、モデルチェンジの動きがみられないキューブなどの競合車の存在を考えると、新型ソウルの今後の成功は約束されたようなものだ。しかしかつてないほどのライバルたちが続々と登場してきているのも事実。例えば、フィアット「500L」MINI「カントリーマン」(日本名:クロスオーバー)はソウルと同クラスに所属するモデルだ(価格は高くても)。また他にもたくさんのスペース効率の高いコンパクトカーが台頭してきており、ホンダの新型「フィット」や一回り大きいサイズの「マツダ3」(日本名:アクセラ)などが代表的存在だ。このように多くの競合車がしのぎを削る中でも、上質なインテリア、快適な乗り心地やハンドリングを実現した新型ソウルならば、先代モデルのような活躍を期待できる。先代同様、箱形をした2014年型ソウルは、起亜の財政を幸せに導く"ドル箱"となるだろう。

【基本情報】
エンジン:2.0リッター直列4気筒
パワー:最高出力164hp(約166ps)/最大トルク21kgm
トランスミッション:6速AT
0-60mph:10.2秒(推定)
駆動方式:前輪駆動
車体重量:1,306kg
座席数:2+3
荷室容量:685/1,736ℓ
燃費:市街地24mpg(約10.2km/ℓ)、高速道路29mpg(約12.3km/ℓ)(推定)
メーカー希望小売価格:14,700ドル(約145万円)から
試乗車:26,795ドル(約264万円)(推定)

By Chris Paukert
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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