アウディ ジャパンは10月8日、高性能モデル「RS」の新型3車種を発表。「A6 アバント」をベースにV型8気筒ツインターボを搭載した"アウディ史上最速のステーションワゴン"「RS6 アバント」、そのパワートレインを共有する美しい4ドア・クーペ「RS7 スポーツバック」、そして「A5 カブリオレ」に自然吸気V8を詰め込んだ「RS5 カブリオレ」という3つのモデルだ。

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モータースポーツの技術をより注ぎ込んだ高性能モデル

「レーシング・スポーツ」の略であるという「RS」の名を冠する各モデルは、「A」で始まる"量販車種"をベースに、アウディのハイパフォーマンス・モデル担当子会社「クワトロ GmbH」が開発とチューニング、そして製造も手掛ける最高性能バージョン。今年で12勝目を挙げたル・マン24時間レースをはじめとするモータースポーツ活動で培われた技術を、より色濃く市販車に注ぎ込んだモデルと言えるだろう。



3代目RS6は加速も燃費も大きく向上

これが3代目となるRS6は、2011年に登場した「C7」と呼ばれる現行型「A6」がベース。先代型RS6の5.0リッターV型10気筒ツインターボに替わり、エンジンは4.0リッターV型8気筒ツインターボに"ダウンサイズ"され、最高出力も580psから560psへ僅かにダウンしたが、最大トルクは逆に66.3kgmから71.3kgmに大幅増強。先代より100kgも軽量化された車両重量(2,040kg)と相俟って、0-100km/h加速は4.6秒から3.9秒に短縮されている。またこのV8エンジンは、回転数や負荷が低い状況になると2,3,5,8番シリンダーの吸排気バルブを閉じて稼働を停止させ、4気筒として働くことで余分な燃料消費を抑える「シリンダー・オン・デマンド」システムを搭載。スタートストップ・システム(アイドリング停止機構)の採用や高度なサーモ・マネージメントなども組み合わされた結果、JC08モードで10.4km/リッターという燃費を達成したという。先代RS6は5.9km/リッターだったというから、20馬力とシリンダーが2本減っても文句を言う人は少ないかも知れない。



8速ティプトロニック+クワトロ・システム

トランスミッションもギアが2枚増え、新型RS6では8速ティプトロニクスを採用。低いギアは加速重視に、8段目のギアは燃費を稼ぐためギア比が高く設定されているという。駆動力はもちろんフルタイム4輪駆動システム「クワトロ」を介して前後輪に配分される。最新のセルフロッキング式センター・ディファレンシャルは、通常走行時フロントに40%、リアに60%のトルクを送るが、状況(スリップ)に応じて前70:後30から、前15:後85まで自動的に可変。さらに標準装備のスポーツ・ディファレンシャルによって、駆動力は後輪の左右にも無段階に最適な配分が行われるという。

サスペンションは減衰力が調整可能なダンパーを、前後対角線上にオイルパイプと中央のバルブで連結させた「ダイナミックライドコントロール付きスポーツサスペンション プラス」を標準で装備。20インチ7ツインスポーク・ホイールに275/35R20タイヤの組み合わせが標準だが、オプションで21インチ鍛造5ツインスポーク・ホイールと285/30R21タイヤも選べる。キャリパーが黒く塗られたブレーキはフロントにウェーブ・デザインが施された390mmディスクを採用。420mmのカーボンセラミック・ディスク(キャリパーもグレーになる)はオプションだ。



ワイドなボディと広い荷室

ハニカム・メッシュのグリルと迫力を増したフロント・バンパー、大型ルーフ・スポイラーや大口径の楕円ツイン・エキゾースト・パイプなど、高性能を主張する専用エクステリア・パーツは、スタイリッシュなA6 アバントのボディにかなりの凄味を与えている。特にオプションとして用意されているハイグロス・ブラックの21インチ・ホイールを履いた姿はただならぬ雰囲気。それでもアバントならではの広い荷室と実用性はそのままだから、日常的な使い勝手は(乗り心地は分からないけれど)よさそうだ。全長4,980mm × 全幅1,935mm × 全高1,480mmというサイズは、A6 アバントよりも40mm長く、60mmもワイドで、15mm低い。



華やかさもあるインテリア

センター・コンソールやダッシュボードに気前よくカーボンファイバー(またはアルミとブラックのストライプ)が奢られた車内には、ハニカム模様のキルティングが特徴的な本革スポーツ・シートに、フラット・ボトム形状のステアリング・ホイールを装備。ロゴが入ったシフト・ノブも専用品だ。相変わらず質感が高いだけでなく、「RS」ならではの華やかさも感じられる。

新型RS6 アバントはこの日発表と同時に発売され、価格は1,520万円。「A6 アバント 2.8 FSI クワトロ」に比べると890万円も高いが、このクラスのスポーツカーとワゴンを2台、買うと思えば(そして税金や駐車場代が1台分で済むと思えば)リーズナブルと言える、かも。少なくとも、先代RS6 アバントよりは160万円も安くなった。


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RS7 スポーツバックも登場

3代目RS6はアバントのみで、セダンはドイツ本国にも設定されていないが、代わりに4ドア・クーペの「RS7 スポーツバック」が登場した。パワートレイン、足回りなど基本的なコンポーネントはRS6 アバントと共通。ただしこちらは21インチ・ホイールと275/30R21タイヤが標準となる。今回展示されていた車両はドアミラーやディフューザーがカーボンファイバー製で、オプションのブレード・デザイン・ホイールとカーボンセラミック・ブレーキを装着していた。これはもう、"4ドアのスーパースポーツカー"という佇まい。後部座席は完全に2人用としてデザインされている。見た目は素敵だが座り心地は...RS6 アバントの方が良かった。価格は1,570万円で、ちょっと後れて2014年1月に発売となる予定。




450馬力の4人乗りオープンカー

今回の発表会には展示されていなかったがもう1車種、「RS5 カブリオレ」もこの日に発売された。名前からお分かりのように、すでに日本にも導入済みの「RS5」に開閉式ソフトトップが備わったモデルで、パワートレインもRS5と共通。最高出力450ps、最大トルク43.8kgmを発揮する自然吸気4.2リッターV型8気筒エンジンと7速Sトロニック・トランスミッション、そしてフルタイム4輪駆動クワトロ・システムの組み合わせだ。50km/h以下なら走行中でも開閉可能(オープン15秒、クローズ17秒)なソフトトップは、ブラック、グレー、レッド、ブラウンの4色が用意され、全8色のボディ・カラーと自由にコーディネートできる。オープンにしても、折り畳まれたソフトトップが占めるトランク・スペースは、荷室容量380リッター中わずか60リッターに過ぎないとか。オープン化による剛性低下を防ぐため、車体には補強が入れられているが、フロント・フェンダーをアルミ製にするなどして重量増加は最小限に抑えたという。とはいえ2,000kgという車両重量は、RS5より190kgほど重い。


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排気量1リッターあたり約107psに相当するパワーを8,250rpmで絞り出す、高回転型自然吸気V8エンジンとフルタイム4輪駆動システムによる走りに加え、オープン・エアの解放感まで4人で楽しめる希有なクルマ。だから1,387万円という価格が、RS5より137万円ほど高く、2.0リッターの「A5 カブリオレ」より733万円も高くても、それは仕方がないということか。




アウディ ジャパンの大喜多 寛社長によると、各モデルの販売目標台数は「特に設定せず、過去のRSより1台でも多く売りたい」とのこと。また、台数限定ということもなく「需要がある限り」継続販売するお考えだそうだ。

"欲張り"なクルマ

衝撃的だった超高性能ステーションワゴン「RS2」の登場から今年で19年。以来、アウディのRSを名乗るモデルは、高性能スポーツカー並みの動力性能と、ベース車が備える実用性を、技術という"力技"で両立させて来た。それらに関して決して妥協することなく、最近では燃費まで向上させている。欲張りでリッチな顧客のために、さらに欲張りな技術集団が作り出すクルマを見ていると、ヒトもクルマも欲を張ればこそ前に進むのかも知れない、と思えて来る。凄味を感じたのは、フロント・マスクや大きなホイールのせいだけではないらしい。
詳しい情報は以下のリンクから公式サイトをどうぞ。

アウディ ジャパン 公式サイト


By Hirokazu Kusakabe (Facebook)

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