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マセラティは創設から今年で99年を迎える歴史の中で、これまでになく新しいスポーツセダン「ギブリ」を発表した。マセラティは言うまでもなく、画期的なスタイリングや革新的な技術を搭載したモデルをいままでに数えきれないほど発表してきたが、由緒あるメーカーに相応しいスポーツセダンは1台たりともなかった。もしギブリの販売が成功すれば、マセラティは大勢の新しい顧客を獲得するだろうし、何より重要なことは要求の多い北米のバイヤーと再び関係を持てることだろう。逆にギブリの投入が失敗したら...。今のところ、このことについて誰も記事を書いていないようだ。

マセラティがギブリを公式発表したのは今年初めの上海モーターショー。ドライバーを重視したセダンは、改良されたフラッグシップのクアトロポルテよりも小型で、足は俊敏だ。クオリティ、パフォーマンス、そして気になる値段において、このギブリと競合できるのはBMWアウディメルセデス・ベンツあたりだろう。

公開された写真やスペックをしげしげと眺め、早数カ月。今回、ようやくギブリをドライブする機会に恵まれた。これまでめぐらせた想いに決着をつけるべく、飛行機に乗り込んだ筆者は地球の3分の1にあたる距離を飛び、イタリアの大変美しい町、トスカーナ州へと降り立った。ようやく、フェラーリ製エンジンを搭載した新型スポーツセダンをヨーロッパのアスファルトで(ハードルは高いが...)試乗できることとなったのだ。














以前、"ギブリ"という言葉を聞いたことがあると思うのなら、それは気のせいではない。「地中海の風」という意味を持つこの言葉は、マセラティのクラシックカーの名前だからだ。初めてギブリという名前を持つモデルが発表されたのは1966年のこと。2ドアクーペと後れてオープントップのスパイダーも追加され、7年間生産された。それから20年のブランクの後、1992年に2代目モデルのクーペが登場。5年間生産が続けられた。そして今回、セダンとして二度目の復活を遂げた新型ギブリは、先代モデルとは大きく異なっている。まず、サイズが大きくなったこと。そして、これまで以上の大きなパワーを持ち、オプションでAWDが選べるようになっている。また、マセラティとしては初となるディーゼルエンジンも選択可能だ(現在のところ、北米市場では選べない)。

ギブリは大部分を新型マセラティ「クアトロポルテ」と共有している。ブレーキ、ステアリング、サスペンション、インテリアに使用されているハードウェアの大部分、そしてフェラーリで組み立てられるターボチャージャー付きV6エンジンと、それに関連するドライブトレインも共有しており、全体で45%~50%をシェアしているとメーカー側は語っている。ギブリには、フィアットのEセグメント用の新しいプラットフォームが使われている。このプラットフォームは、近い将来登場するアルファロメオの新型モデルや、次世代のクライスラー「300」ダッジ「チャージャー」マセラティ「グラントゥーリズモ」にも使われると思われる。

ギブリのシャシーは大部分がスチールだが、フロント部分は鋳造アルミ製で左右のストラットを補強し、軽量化と剛性アップを図っている。さらなる軽量化のため、ダッシュボードフレームは鋳造マグネシウム製で、すべてのドアとボンネットに軽量アルミ合金の外板が使われている。標準仕様のギブリ(車重:1810kg)の前後の重量配分は50/50で、これよりも若干、車重があるAWDのギブリ「S Q4」(車重:1870kg)は51/49だ。























軽量化を図るため、サスペンションも広範囲にわたりアルミ合金を用いた構造となっている。レースへの参加を伝統に持つマセラティは、ギブリのフロントサスペンションをダブルウィッシュボーンに、リアは4つのアルミ製サスペンションアームに5本のバーを使ったマルチリンクとなっている。標準モデルのダンパーは減衰力固定式となるが、オプションで「アクティブスカイフックシステム」がすべてのモデルに装着可能だ。コクピットから2つの走行モード(ノーマルとスポーツ)を切り替えられるこのシステムは、横方向および縦方向の荷重伝達を減らし、ロールも最小限にとどめるよう設計されている。ただし、車高は変わらないようだ。電動アシストという最近のトレンドに逆らい、新設計のアルミニウム製ステアリングラックが採用されたパワーステアリングは速度感応型の電動油圧式だ。

マセラティはブレーキに関してブレンボ社と提携している。標準仕様のギブリは、フロントに4ピストンキャリパーを、リアにはシングルピストンのスライディング・キャリパーをベンチレーテッド・ディスクに組み合わせている。上位グレードの「S」「S Q4」ではフロントが6ピストンキャリパー、リアは4ピストンキャリパーに強化され、フロントにはベンチレーテッド・クロスドリルドのデュアルキャスト・ディスクを採用(アルミのハブと鉄製の摩擦面という構造のおかげで、より軽量化でき、放熱性も優れる)。標準仕様のホイールは18インチで、オプションとして19・20・21インチのホイールも用意されている。今回試乗した車には、19インチホイールにダンロップ・スポーツマックスのハイパフォーマンス仕様タイヤが装着されていた(フロント:245/45R19 リア:275/45R19)。

北米市場ではまず2種類のエンジンと2つの駆動方式が投入されると見られている。エンジンはどちらもマセラティ自身が権利を持つV6直噴ガソリンエンジンだが、組立はイタリア・マラネロのフェラーリが請け負っている。



標準仕様のRWDのギブリは、バンク角60度の3.0リッターV6ツインターボエンジンで、最高出力345hpを発揮する。これに組み合わされるトランスミッションは、ZF社製HP70の8速ATで、5つのシフトモード(オートノーマル、オートスポーツ、マニュアルノーマル、マニュアルスポーツ、そして悪天候時のアイスモード)を用意。そしてリアには標準でリミテッドスリップディファレンシャルが装備されており、0-60mphはおよそ5.5秒だ。

AWDのギブリS Q4は、同じ3.0リッターV6ツインターボの改良したものだが、カムシャフトと過給圧、それにエンジンマネジメントのチューニングが異なり、最高出力404hpを発揮する。S Q4も同様に8速ATを採用しているが、AWDシステムを通じて4輪にパワーが送られるため、最大限のグリップが得られる。ドライ状態の路面でクルージングしているような時には、(アウディのクワトロ、メルセデス・ベンツの4マティック、BMWのxDriveのように)すべてのホイールにトルクを配分するのではなく、100%のエンジンパワーを電子制御湿式多板クラッチを通して、後輪にのみ送っている(駆動配分は0:100)。最も滑りやすい状況では最大50%のトルクを前輪に配分するが(50:50)、メーカーによれば35%以上の駆動力が前輪に送られること(35:65)は稀だという。ローンチコントロールが装備されていないにもかかわらず、S Q4の0-60mphは約4.6秒という俊足であり、リミッターを解除した最高速度は177mph(約285km/h)を誇っている。













米では当面、選ぶことはできないが、他の市場では、3つ目のエンジンとなるディーゼルが投入されることになるだろう。ターボチャージャー付きの直噴3.0リッターV6ディーゼル(エンジンを製造するVMモトーリ社からの情報では、ジープ「グランドチェロキー」に搭載されているエンジンと同じとのこと)は、最高出力275hp、最大トルク61.24kgmを発揮する。トランスミッションは8速ATで、駆動方式はRWD。0-60mphは6.1秒だ。今のところこのディーゼルはアメリカの消費者のためのものではない。

ボディの左サイド、あるいはホイールのブレーキにある"Q4"のバッジに気づかなければ、エクステリアからモデルの違いを言い当てるのは不可能に近い。それはインテリアでも同じ。少なくとも、タコメーターをのぞき見るかエンジンをかけなければ、その違いは分からない。室内はどのモデルも基本的に同じで、一番の相違点はコストのかかるオプションや装備品をつけているかどうかということになる。

標準仕様の装備には様々なものが含まれている。ポルトローナ・フラウ製レザー、デュアルゾーンの自動エアコン、バイキセノン・ヘッドライト(S Q4に採用)、LEDエクステリアイルミネーション、リアビューカメラ、キーレス・イグニッション、シートヒーター、ヒーテッド・ステアリングホイール。そして、8.4インチディスプレイのマセラティ・タッチコントロール(MTC)、ガーミン社製のナビゲーションシステムなどだ。オプションでは、前述したアクティブスカイフックのサスペンション、WLANホットスポット、二重ラミネート加工されたサイドガラス、15台のスピーカーと1280ワットのアンプが装備されたバウアーズ&ウィルキンス社製プレミアム・サラウンド・システムなどだ。また、レザーやトリムなどを自由に選べるオーダーメイドもある。














マセラティによると、クアトロポルテとギブリのキャビンはよく似ているが、ギブリのほうがよりスポーティになっているという。3本スポークのステアリングと、目を引くアナログのダイヤルタコメーターや速度計などの主な計器類(水温計と燃料計は、カラー・マルチファンクション・ディスプレイに映し出される)は、ほぼ似通っており、エアコン類やトランスミッションのセレクターに収まっているセンターコンソールも同様だ。インフォテイメント・システムが組み込まれた部分と、塗り分けされたダッシュボード上部のデザインはオリジナリティに溢れており、メーカー側は"2つのコックピット"のレイアウトと呼んでいるそうだ。ギブリのダッシュボードは、滑らかなレザーが広範囲の部分を覆っていはいるが、上級クラスのクアトロポルテはさらに細部にこだわったエレガントさが魅力だ。空調についてはベントがさらに分けられていることもあり、間違いなくギブリのほうがより優れているようだ。また、タッチスクリーンは見やすいように高い位置に取り付けられている。

筆者が丸1日運転していて感じたように、皆さんもギブリのフロントシートに座ってみれば、その心地よさに気づくはずだ。最初、シートの両脇部分はそれほどしっかりしているようには見えなかったが、レザーシートに腰を下ろすと、全身をきっちりとホールドされた感覚を覚えた。後部座席の頭上スペースにはかなり余裕があるが、足元のほうは狭いため、フロントの電動式シートに改善の余地があるかもしれない(後部座席中央のアームレストには12ボルトの電源とUSBのポートがある)。フロントシートからの眺めはなかなかよいが、リアからは今ひとつ。ウインドウ・シルが若干高いため、後席からは素晴らしいトスカーナの景色が遮られてしまうのは、少々残念だ。























それでも、マセラティの車窓からイタリアの田園風景を眺められるアメリカ人はそういないだろう。後部座席からの視界の悪さを心配するよりも、筆者は迷わず標準モデルの運転席へと飛び乗った。ステアリングの左側(クアトロポルテも同じ)にあるスタートボタンを押すと、すぐにツインターボのV6エンジンが点火した。

標準仕様のセダン(トランスミッションはオートノーマル、スカイフックもデフォルトモード)の運転は心地がよかったが、同時に味気ない気もした。よかった点は力強いエンジンと頑丈なシャシー、そして砂利道を走った時のタイヤ音を除いて、キャビン内が静かだったこと。そして悪かった点はステアリングが軽すぎたこと、きびきびとしたシフトチェンジがなされなかったこと、そしてダンパーがごく普通だったことだ。このモードでの乗り味は心地よかったものの、対象車が数多く存在するプレミアム・スポーツセダンのセグメントにおいては、目立った要素は何もなかったと言える。

次にスポーツモードとスカイフックのボタン(照明の付いた小さなボタンはサングラスをしたままではほとんど見えなかったが、ありがたいことにマセラティの場合、計器パネル上にインジケーターが設置されている)を押した。新たに目覚めたギブリは、マセラティのラインナップに相応しいモデルとなった。ステアリングはしっかり安定し、アクセルには命が吹きこまれた。そして、トランスミッションはまるで濃いエスプレッソを何杯も飲み干した後のように、きびきびとした動きが感じられた。














最初のコーナーに飛び込むとき、私はブレーキをしっかり踏み込み、アンダーステアに備えた。ところが驚いたことに、一向にそれが来ないのだ。代わりに、フロントタイヤとリアタイヤの荷重が均等になったと感じた。コーナーの頂点を抜けるときには、シャシーはバランスを保ち、ニュートラルに感じられた。そこでアクセルを踏むと、車は後ろの駆動輪側を沈ませ、見事にコーナーを抜けた。偶然だろうと思い何度か繰り返したのだが、やはり最初と同様、いとも簡単にコーナーを走り抜けた。他の自動車メーカーはバランスの取れた荷重配分をうたい文句にしているが、マセラティはコーナーでニュートラルになるよう配分されている。トラクションコントロールは作動せず、コーナー出口では少しだけ刺激的なオーバーステアを味わうことさえできた。

標準仕様のRWDであるギブリに感動を覚えながらも、私はさらにパワーのあるAWDのギブリS Q4のキーをいそいそと取りに戻った。このモデルの試乗はまさに素晴らしい体験となった。先ほどと同様、マセラティらしさが出るようにスポーツモードとスカイフックのボタンを押す。最高出力は標準仕様に比べ、およそ60hpのアップだというが、100hpの間違いではないかと思えるほど、ギブリS Q4は標準モデルでは感じなかった今すぐにでも飛び出そうとするような衝動を見せた。加えて、エキゾーストから非常に心地よいサウンドが聞こえてくる。

さらにパワーアップされているこのギブリは、標準モデル同様、コーナーでのバランスが取れていたが、これだけではないものを持っていた。お約束どおり、S Q4はタイヤが限界に達するまでは後輪駆動セダンのような走りを見せ、その時が来ると前輪にパワーを注ぐ。その移行は滑らかだが、フロントが穏やかに路面を掴みはじめ、手を貸していることは感じられる。減速するとトランスミッションが本能的にシフトダウンし(と同時にエキゾーストから素晴らしい咆哮が聞こえ)、コーナー脱出に備えほぼ完璧なギア比を供給する。その結果、猛烈な速度でコーナリングを楽々とこなし、アウディ「S6」S7」、BMW「550i」メルセデス・ベンツ「E550」CLS550」とは比較にならないほど、素晴らしいバランスと運転の愉しさを感じさせてくれた。これはあくまでも筆者の推論であり、お叱りを受けるかもしれないが、この新しいスポーティなギブリS Q4は、公道において2ドアの「グラントゥーリズモMC」を凌ぐのではと思っている。



このように筆者は絶賛したが、ギブリも完璧なマシンというわけではない。ディーゼルも併せて何台かのモデルを試乗したが、それぞれステアリングのフィーリングが若干違っており、パーフェクトと言える車は皆無だった。ステアリングは従来の油圧式にもかかわらず、なぜか電動式のようなつながりの悪さが感じられた。ステアリング自体は正確でフロントホイールの動きにも問題はなかったが、入力に対するステアリングラックからのしっかりしたレスポンスがなかったように思えた。コーナー途中で修正舵を切ったときには調整されていないようなゴムのような感触があった。中には生産初期のモデルですでに他のジャーナリスト達にしごかれている車両もあったから、おそらく筆者が運転したのはそういった車だったのかもしれない。

これ以外に2点、キャビン内で気になったことがある。まず、アルミニウム製のパドルシフトがステアリングに近すぎて、後方にあるオーディオコントロールの邪魔になっていること。そして2つ目は、インテリアの質感がいま一つだったことだ。筆者はもう少し上質な風合いとセンスのよいものを期待していたし、使われているレザーはもっと香りが立つ高級なもの使用してほしかった。イタリアンレザーと言えば、うっとりするような香りであるべきと感じているのは、筆者1人だけではないだろう。

マセラティは、2015年までに世界で5万台のギブリを販売する計画を固めている。ちなみに、昨年の販売台数は6200台。新型ギブリの課題は、販売開始の初期段階でどれだけ売上げ台数を伸ばせるかだ。このような強気な販売目標から、マセラティはギブリをこれまでにない最も重要な位置づけのモデルにしようとしている。しかし、新しいスポーツセダンというだけで十分な気がしないだろうか?

従来の感覚で言えば、ギブリはカテゴリー内で最高のスポーツセダンとは言えないだろう。しかし、幸いなことにそうある必要はない。と言うのもギブリはオーナーの心に直接、語りかけてくれるような車だからだ。顧客は、独自のスタイリングを持ち、世界レベルのクオリティと積極的に運転が楽しめる車を求めている。これらすべてを持ち合わせているのがギブリなのだ。さらにイタリアの魅力とグリルに鎮座した三つ又のエンブレムを融合させることに成功したマセラティは、ついに勝利を手にできそうである。

【基本情報】
エンジン: 3.0リッターV6ツインターボエンジン
パワー: 404hp
トランスミッション: 8速AT
0-60mph: 4.6秒
最高速度: 177mph(約285kmh)
駆動方式: AWD
車両重量: 1870kg
座席数: 2 + 3
基本価格: 74000ドル(約742万円)

By Michael Harley
翻訳: 日本映像翻訳アカデミー
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