【試乗記】「新感覚の乗り物!」 水陸両用車、ギブス「クアッドスキー」(ビデオ付)
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アメリカでは5月の最終月曜日は戦没者追悼記念日。この日がやってくると、筆者が住んでいるミシガン州では「夏が来た」という気分になる。著者は若い頃、スノーモービル、ダートバイク、四輪バギー、水上バイクなどエンジンを搭載しているものなら何でも乗り回していたので、この(戦没者追悼記念日を含む)3連休には必ずといっていいほどダートバイクとカワサキ製のジェットスキーに乗っていた。だからこそ、今年の3連休に、ミシガンに本社を置くGibbs Sports Amphibians(ギブス社)が革新的な水陸両用車の試乗に招待してくれたとき、思わず若者のように心が弾んだ。水陸両用車の名前はギブス「クアッドスキー」。実用的な6輪の水陸両用車(軍隊などが使用している)と違い、このクアッドスキーは陸上、水上どちらでも運転を楽しめる乗り物を目指して開発された。

クアッドスキー誕生のきっかけとなったのは、一般道も走行できる水陸両用車のコンセプトカー、「アクアダ」だ。しかし、アクアダは排出ガスや安全の基準を乗用車と船舶の両方でクリアしなければならないという壁にぶつかり、市販化を断念。そこで、ギブス社は、アクアダ用に開発した技術をクアッドスキーに使い、全地形対応車であり、水上バイクであり、バイクでもあるクアッドスキーを作り出したのである。

クアッドスキーは、昨年末からフロリダ州を中心に販売代理店を通じて40000ドル(約397万円)で発売されている。最近では、最高クラスのATV(全地形対応車)やPWC(水上バイク)が約10000ドル(約99万円)から購入できることを考えると、クアッドスキーの顧客ターゲットは、富裕層の新しもの好きと政府機関となるだろう。筆者はもちろん、そのどちらでもないのだが、ギブス社は南フロリダに作ったクアッドスキーのテスト用施設に招待してくれた。


テスト用の施設で初めて実車を見たのだが、まず、その大きさに目が奪われた。水上バイクや4輪バギーもマリン&モータースポーツ系の乗り物としては大きな方だが、この2つを合体させると、驚くほど巨大なマシーンになるのだ。実際、クアッドスキーのホイールベースはダイムラーAGのスマート「フォーツー」より、8.9センチほど短いだけで、幅は2.6センチ広く、ノーズからテールまで(船首から船尾とも言える)は約52センチ長い。

エンジンはアクアダで採用していたものから、BMW がK1300シリーズのバイクに搭載している1.3リッター並列4気筒DOHC 16バルブエンジンに変更。最高出力は140hp、最大トルクは12.03kgm。陸上を走行するときは後輪駆動だ。トランスミッションは5速で、シフトアップはマニュアルとなりハンドルバーの左サイドにボタンで操作するシフターがついている(シフトダウンはオートマチック)。エンジンパワーは陸上を走行中も(水上走行用の)ジェットユニットに伝えられているため、インペラ(ジェットユニットの中にある羽)は動き続けている。

コンポジット製のV字型ボディとリアにある人目を引く大きなステアリングノズルのおかげで、クアッドスキーは車輪がついた水上バイクのように見える。駆動システムはユニークな構造になっていて、後輪を動かすドライブシャフトは無く、チェーンを使って後方へパワーを伝えている。気になるメインテナンスだが、ギブス社は50時間ごとにディーラーに整備に出すことを推奨している。また、アラスカとハワイを除く米国で販売されているクアッドスキーには1年の保証書がついている。水上と陸上という異なる環境で走行することを目的とした車であるが、水陸両方で十分に満足できる状態に仕上がっていると言えるだろう。何しろ、パワーが十分にあり、水上でも陸上でも最高速45mph(約72km/h)を楽しむことができるのだから。


まずはオフロードでの試乗だ。ギブス社のインストラクターが案内してくれた試乗コースは、デコボコ道、急な上りや下り、たくさんの岩が積んであるセクションまである広大なトレイルだった。しかし、4輪独立懸架式サスペンションのおかげで、難なくコースを制覇。他の全地形対応車の約2倍の大きさと重さがあるので、場所によっては、クアッドスキーの方が全地形対応車より安定感があると感じた。ステアリングのセットアップが適切で高速でも、低速でも反応もいい。そして何より良かったのは、でこぼこ道の荒れた場所を走行中にハンドルを取られてバーが手から離れてしまうようなことがなかったことだ。ちなみにクアッドスキーは、ヘッドライトとテイルライトを装備しているので、夜間でも走行が可能。しかし、残念ながら、この水陸両用のトランスフォーマーは、一般道での走行は許可されていない。燃料タンクの容量は57リットル。他の全地形対応車の3倍の容量があるので長距離の航続が可能だ。メーカーはハイオクガソリンを推奨している。

幅広のボディのせいで、ライダーは着座したままでは足を地面に着けることができない。しかし、電動のリバースギアが装備されているので狭い場所でも簡単に切り返すことができる。ハンドルバーの左サイドについている青いボタンを押すだけで、(陸上走行での)バックが可能だ。しかし、そのスイッチギアの場所が良くない。左手をブレーキレバーから離してボタンを押す必要がある。もし右手が左側まで届けば別だが(笑)。どちらにせよ、運転中の動作としてはあまりいいとは言えないだろう。試乗コースでは、ギブスのスタッフが乗るクアッドスキーが先導役となり、筆者はその後をついて行ったのだが、いくつか気がついたことがあった。まず、アンダーハル(船底)の形状だが、水上でのパフォーマンスを上げることを優先したデザインになっているため、結果として最低地上高を下げてしまっている。また、ステアリングノズル(水上で向きをかえるための噴射口)に砂が吸い込まれることもあった。ギブス社のスタッフに聞いてみたが、内部にあるインペラにダメージを与えることはないという。ジェットスキーで砂混じりの水をインテークゲート(船底に設けられた吸水口)から吸い込んでしまうことに比べればたいしたことではないのだろう。


全地形対応車から水上バイクへの変身は簡単だ。水の中に入り、ホイールを上げるだけ。インペラが常に動いているため、クアッドスキーは車輪を降ろしたまま水に入っていける。水深が十分になったらトグルボタンを押し、車輪を数秒で格納。これで完全に水上バイクだ。現在販売されている3人乗りのジェットスキーに比べても幅も重さもあるので、クアッドスキーは水平になるまでに少し時間がかかる。しかし、いったん水平になると、普通の水上バイクと同じ感覚だ。クアッドスキーの最大の弱みは、1人乗りだということだろう。後ろに誰かを同乗させることも、水上スキーやウエイクボードを引くこともできない。

クアッドスキーに乗っていることを自慢したくなる瞬間は、水上から陸に上がる時だ。ただし、筆者は最初のトライで、陸地に近づきすぎてしまい失敗。車輪を出すタイミングが遅すぎたのだ。周りからの冷たい視線が一斉に...。2度目は、少しゆっくりとトライ。多少バランスを崩したが、車輪を下げることに成功。タイヤがスロープに着地すると、リアホイールのユニークなデザインとジェット推進力のおかげで地上にボディを簡単に押し上げてくれる。また、水上から陸に上がった直後でも、ブレーキは完璧に動作する。他の全地形対応車で浅瀬を渡った後には、こんなふうにブレーキは効かない。余談だが、クアッドスキーがブレーキに使っているウェーブ型のクロス・ドリルドローターは、最新のアウディ RSモデルに使用されているものと似ている。

陸上から水に入る時、ヘルメットをバッテリーと消火器の横にあるスペースにきっちりと収納することができた。もっとも、前輪を格納する必要があるので、陸上走行時に使えるフロントのスペースは、水上走行時には使えなくなってしまう。しかし、水上でクアッドスキーを楽しもうと思う人なら、水に入る度に、着替えやタオルが必要だとは思わないだろうから、収納スペースのことは大きな問題ではないだろう。

車幅が1.5メートル以上もある後輪駆動のクアッドスキーは、森の奥深くまで入っていけるような4輪駆動の高級で高性能な全地形対応車に取って代わるものではないだろう。クアッドスキーは水陸での走行を可能にするために、いくつかの点で妥協をしている。しかし、全地形対応車や水上バイクのマニアでもない限りは気にならない程度だ。ただし、現時点ではっきりしている問題がひとつある。クアッドスキーがあまりにも大きいために、陸上での走行場所が限られるだけではなく、ピックアップトラックの荷台にも載せられない。つまり、クアッドスキーの長距離の移動には、牽引車が必要だということだ。
ギブス社は、全地形対応車や水上バイクに代わるものとしてクアッドスキーを開発したわけではない。きっとマリン&モータースポーツに"新しい楽しみ"を提案したいということなのだろう。本体の価格がもっと下がるまでは、クルーザーを持てるような人たちやビーチで人命救助に当たる警察などがターゲットになるだろう。また、目新しさが売りになるレンタルという用途も考えられる。いずれにせよ、ギブス社のクアッドスキーを購入すれば、1日中楽しめるだろう。クアッドスキーはどこかシュールで、水陸の区別を感じさせない、そして何より、飽きることなく乗っていられる新感覚の乗り物だ。

【基本情報】
エンジン: 1.3リッター 並列4気筒DOHC 16バルブエンジン
パワー: 最高出力140hp 最大トルク87lb-ft(約12kgm)
トランスミッション: 5速マニュアル
最高速度: 45MPH
駆動方式: 後輪駆動
車両重量: 1,333ポンド(約605kg)
座席数:1
メーカー希望小売価格: 約$40,000(約397万円)

By Jeffrey N. Ross
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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