【試乗記】「もっと上のクルマを知らない人におススメ」 レクサス「LS460 F SPORT」AWDモデル
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筆者が通うジムにはレクサス「LS」をこよなく愛する男がいる。ここでは彼を"ゲイリー"と呼ぶことにしよう。ゲイリーはジムやコーヒーショップ、ちょっとした社交場的な所によくいる、出会う人みんなに話しかけるタイプの人間だ。彼のいる場所の横にあるローイングマシン(ボート漕ぎの運動器具)を使ったり、トラックをランニングする際に彼が近くにいたりすると、20分くらい彼のおしゃべりに付き合うことになる。ゲイリーは60代半ばの会社経営者で、レクサス LSの 2013年モデルを所有していることを誇りしている。

ゲイリーは、レクサスを購入するとき、他車との比較をさほどしなかったと筆者に打ち明けた(とはいえBMWディーラーの近くを車で通り、その後パソコンで「7シリーズ」をチェックしたこともあったそうだ)。これまでレクサス「RX」を何台か乗り継いできたという彼にとって、長年夢に見てきたラグジュアリーカーを手に入れる日が訪れたとき、LS以外を選ぶ可能性はごく僅かだったのではないだろうか。筆者が2013年型LS460 F SPORT AWDに試乗した直後に、ゲイリーと彼の愛車である新型LSについて話をする機会があったので、彼の話がこの試乗記の参考になるかもしれないと考えた。

ゲイリーが話したとおりの表現ではないが(私はそのときローイングマシンを使用していたし、ジムにメモを持って行く人間はめったにいないはずだ)、彼がLSに惹かれる理由は次のとおりだ。先ほども述べたように、彼は以前からレクサス車のオーナーだったわけで、このブランドがそもそも好きであり、レクサス車の経験が十分にあったということだ。また、彼は地元のレクサスディーラーの担当者を友人の一人としている。ゲイリーはLSのエンジンと乗り心地について「スムーズ」、あるいは「すごくスムーズ」と会話の端々で口にしながら、LSが本当に速い車だと語った。最も称賛したのはスタイリングで、LSは内も外も美しいという。そんな彼が唯一批判的だったのは、車内にある"ガジェット"(ナビなどを操作するためのマウスに似せたリモートタッチなどのことだろう)だ。これらを使うことはほとんどないと言っていた。筆者が書いた試乗記に寄せられたコメントに基づいてみると、『Autoblog』の読者の大半は、このゲイリーの簡潔な(時には遠回しの)評価に共感するのではないだろうか。



LSが持つエクステリアの美しさに関しては、ゲイリーの認識は確かなものだといえる。全面的にリフレッシュした2013年モデルのLS460は、同様のライバル車の中でも魅力を放っているように少なくとも筆者の目には映った。フルサイズラグジュアリーカーのアウディ「A8」ジャガー「XJ」のほうが洗練されているという意見は受け入れよう。しかしBMW、メルセデス・ベンツキャデラックに関してはどれも、この"スピンドルグリル"を採用したLS F SPORTのクリーンで複雑なスタイルに匹敵するものを提供していない。もちろん美しさというのは人それぞれだ。筆者は改良されたヘッドライトとオールLEDのテールライトをかなりカッコいいと思ったのだが、筆者の知り合いである20代の女性は"古めかしい"と感じたようだ。この部分に関しては、ご自分の目で確かめてほしい。

客観的に見ると、Cd値0.27というLSの新ボディは高速走行時のノイズリダクションに一役買っている。レクサスというブランドの特徴の1つである静粛性が、このLSにも存分に生かされているのだ。80mph(約129km/h)で飛ばすフリーウェイでもストップ&ゴーを繰り返す渋滞した道でも、タイヤの音や風切り音、エンジンノイズは非常によく抑えられており、外の喧騒をしっかりと遮断している。静かな環境をオーナに与えてくれるLSは、心を落ち着かせたい通勤用の車にピッタリなだけでなく、筆者が気に入った19スピーカーを配したマークレビンソンのオーディオシステムを楽しむのに最高の場所だ。



音環境については満足な仕上がりのLSだが、リフレッシュしたキャビンはライバル車と比べると驚きも喜びも少ない。LSのインテリアは新型「IS」と共通した雰囲気を持っているが、コントロール装置のまとまりがいまひとつで、その装いはレクサスの他のモデルより冴えないと感じた。2013年モデルから新たに12.3インチディスプレイが採用され画面は確かに見やすくなった。しかし、ジョイスティック(リモートタッチ)によるシステムの操作は面倒だ。筆者はこれまでずっとレクサスのこのジョイスティックを使うシステムに好印象を持っていたので、自分でも意外だった。最新バージョンのソフトが導入されているにも関わらず、ジョイスティックではカーソルをスムーズに動かせないばかりか、入力への反応が遅く感じられた。電光石火のタッチスクリーン時代において、LSのメディアハブは少し遅れているように思える。さらに悪いことにゲイリーのコメントによると、ユーザーがこの使い勝手の悪さに目をつぶっている可能性があるという。LSではラジオやエアコン用の基本的な操作ボタンをジョイスティックとは別に設けているので、LSに乗るドライバーはこのスティックを必要最小限しか使わない可能性があるというのだ。実際に筆者がこのジョイスティックを初めて使ったのも試乗が終わる間際だった。

私がLS460を試乗した週は、パッケージとなっているF SPORTとオプションとして用意されているAWDを試すのに最適な天候に恵まれた。早春のミシガン州は、晴れから雪へと変わったのだ。

LSのベースモデルとF SPORTパッケージの違いは次のとおりだ。F SPORTは幅広で扁平率の低いサイズの大きなタイヤとサイズアップしたフロントブレーキ(ベンチレーテッドディスクは14.0インチから14.8インチに)の他、エアスプリングと電子制御式のショックアブソーバーとスタビライザーが備わるアジャスタブルサスペンションを装備している。また、AWDはセンターデフにトルセンLSD(リミテッドスリップディファレンシャル)を使ったフルタイム式だ。このパッケージがもたらす効果を計るためにゲイリーならここまでしないだろうというくらいのアグレッシブなドライビングを試みたのだが、コーナリングが続くような場面に遭遇しても揺るがない安定感が感じられた。コーナリング時のサスペンションの沈み込みは最小限に抑えられているが、路面の小さな凹凸の衝撃はきちんと吸収している。速く走っても"スムーズ"という表現が、まさにピッタリだといえるだろう。



しかしながら、もっとLSを速く走らせてみようとか、もっと攻めてみようとかいう気持ちになれなかった。ジャガー XJとBMW「750i」には高速で走ったときに心を引きつけられる魅力がある。レスポンスの良いステアリングと後輪駆動ならではの楽しさがあるおかげだろう。しかしAWDのLSでは、こうしたものが全く感じられなかったのだ。ステアリングの入力に対するレスポンスは素早いが、路面の感触や適度な重さが伝わってこない。きつめのコーナーを抜けるときには常に、安全なアンダーステアとなるように、シャシーが躾けられているように感じた。

だが、それでもいいと思う。LSという車は、興奮ではなく、快適さを与えてくれることに価値があると筆者は考えているので、この特徴は喜んで報告したい。このF SPORTパッケージは筆者が裏道をガンガン攻めたときも、多くの喜びを私に与えてはくれなかったが、雪道を走行する際のAWDのレスポンスには何の不足もなかった。筆者の家の近所はいつも除雪の順番が最後になってしまうエリアなのだが、オールシーズンタイヤを装着したLSは、15cm以上積もった雪道で立往生することなく軽快に走ってくれた。ゲイリーのLSはAWDなのかFRなのか尋ねなかったが、まあそんな心配をする必要はないだろう。肝の据わったアメリカ中西部出身の彼が、除雪が少々遅れた道路で立往生するなんてことはあり得ないはずだ。


LSのAWD版はFR版と比較した場合、意外なマイナス面がある。4.6リッターV8エンジンはFR版が最高出力386hp、最大トルク50.8kgmであるのに対し、AWD版では360hpと48.0kgmに下がる(日本の公式HPではFRが392ps、AWDが370ps。トルクはFRが51.0kgf・m、AWDが48.6 kgf・m)。その原因はエキゾーストシステムの制約だ。レクサスによると、エンジンルームの中で全輪駆動システムがスペースを取るため、エキゾーストシステムを作り直さなければならなかったという。AWD版はパワーが減り、車両重量が300ポンド(136kg)以上重くなり、その結果0-60mphはFR版より0.6秒遅く、 EPA市街地燃費は1mpg(0.4km/ℓ)悪くなっている。これには少々うんざりするような感覚にとらわれるが、実際のところLSのドライビングキャラクターにそれほど影響していないのも事実だ。アクセルを踏み込めば力強く、ストレスを感じることはない(キャビン内に響くエンジンノートも気になるレベルにならない)。発進時や高速道路での走行でも同じことがいえる。要するにこの車はとにかく静かで、高速走行時においてはまるで貨物列車みたいに安定しているのだ。運転していると気づかないうちに80mph(約129km)とか90mph(約145km)というスピードを出していることがしばしばあった。

LSの取材と試乗が終わりキーをレクサスに返したあと、他車の試乗に取りかからなければならなかったのだが、ゲイリーが語ったレクサスのフラグシップセダンへの確固たる評価に対し、筆者は異論を唱えざるを得なくなった。LSはあらゆる意味でスムーズだし、見た目もいいし、受け入れやすい車だ。しかしながら、ジム仲間のゲイリーが所有するモデルより少し上のセグメントの車を試乗した経験のある筆者としては、自分でお金を出してLSを購入するかというと、その辺は確信が持てない。


最高出力400hp以下のV8をパワートレインに持つモデルは少ないのだが、同様のタイプのクルマと比べてLSのAWD版が持っている最大の強みは、その価格の安さだろう。F SPORT仕様ではなくスタンダードなら、諸経費を含めて7万5000ドル(約750万円)くらいで手に入る(日本では消費税込で880万円)。つまりLS460 AWDは、V6スーパーチャージャーを搭載したXJのAWD版や「740i」のxDrive版などより数十万円安く、「Sクラス」のAWD版と比較すれば何百万円もお得なのだ。とはいえ、これらのモデルはパワーもドライビングダイナミクスもLSより上だし、BMWとメルセデス・ベンツではハイテクな車載装備がLSよりずっと充実している。要するにお金を出せば出した分だけのものが得られるということだ。

レクサスのライバルになるのは、価格の面でレクサスを下回るモデルではないだろうか。例えばアウディA8やキャデラック「XTS」。この新しいキャディラックはまさにレクサスを打ち負かしたがっている。XTSはドライビング時の静粛性と前後席における室内空間はLSに近いものを提供しながら、なおかつ次世代のテクノロジーによる快適装備を取り入れているのだ(キャデラックの車載インフォテインメントシステム、CUEへの評価はさまざまだと思うが、少なくともレクサスよりXTSのほうがずっと新しいハードウエアを採用している)。だがやはりパワーはLSのV8がXTSのV6を上回っているわけで、比較に余念のない客が1万~1万5000ドル(約100万~150万円)安いからといってXTSになびくものだろうか。一方、LSより数千ドル(数十万円)安価なA8はかなり手ごわい存在だ。A8搭載のV6スーパーチャージャーのパワーはLSに若干劣る程度だし、アルミ製のボディや驚きのインテリア、そして何よりアウディというブランド名が魅力になっている。

それでもなお、ゲイリーがLSを購入したことから分かるように、レクサスはクオリティーとラグジュアリーの領域で申し分ない評判を勝ち取っており、結果、顧客の迷いを断ち切っている。つまり筆者のようなモータージャーナリストや自動車評論家は数年後のフルモデルチェンジまで、安心してLSをこき下ろすことができるというわけだ。そんな記事を書いたところで、レクサスの2013年型LS460はいまもどんどん売れ続けているし、これからもそうなのだから。

【基本情報】
エンジン:4.6リッターV8
パワー:最高出力360hp/最大トルク48.0kgm
トランスミッション:8速オートマチック
0-60mph:6.0秒
最高速:130mph(209km/h)〔リミッター作動〕
駆動方式:全輪駆動
車体重量:4674lb(2120kg)
座席数:2+3
荷室容量:510ℓ
燃費:市街地16mpg(6.8km/ℓ)/ 高速道路23mpg(9.8km/ℓ)
ベース価格:7万5830ドル(約756万円)
試乗車価格:8万8029ドル(約878万円)

By Seyth Miersma
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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