【試乗記】「絶対にGTIパフォーマンスを選べ!」 新型「ゴルフ GTI」(ビデオ付)
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いよいよ6月25日に日本での販売が開始される新型フォルクスワーゲン「ゴルフ」。今回は、その高性能版である「ゴルフ GTI」の試乗レポートをお届けしよう。標準モデルのゴルフより遅れて発売される予定のGTIを、果たして待つ甲斐はあるのだろうか。気になっている人も多いだろう。

西ヨーロッパでは既に新型ゴルフのデリバリーが始まっており、GTIも7月までにデリバリーが開始される予定だが、北米市場に新型ゴルフとGTIが登場するのは2014年7月頃になるという。フォルクスワーゲン(VW)の説明によれば、北米向けのゴルフとGTIはすべてメキシコのプエブラ工場で生産されることになり、そのラインの準備に来年7月までかかってしまうらしい。我々は不満を募らせながら新型GTIの試乗に向かい、「待たせるのであれば、せめて北米仕様と同じモデルを運転させて欲しい」とVWにお願いした。ということで、今回我々が主に試乗したのは、歴代ゴルフ GTIとしては初めて設定された「GTIパフォーマンス」(パッケージオプション)の6速MT(標準搭載)の2ドアモデルだ。




7代目となるゴルフ GTIは、鋳鉄製シリンダーブロックを使用した「EA888」型の2.0リッター4気筒ターボ「TSI」エンジンを積んでおり、現行モデルと比較して最高出力は約10%アップの217hp(220ps)/4,500~6,200rpm、最大トルクは7.1kgm増の35.7kgm/1,500~4,400rpmを発揮する。現行(6代目)のGTIが0-60mphを推定6.8秒で駆け抜けるのに対し、新開発の「MQB」と呼ばれる共有プラットフォームを採用したことで93ポンド(約42kg)軽量化された新型の0-60mphは、6.4秒(公式資料では0-100km/h 6.5秒)になるという。

新型は現行よりも全長、全幅ともに大きくなったにも関わらず、2ドアのMT車は、現行に比べ、93ポンド(約42kg)軽くなり、2,941ポンド(約1,334kg)となった。3,000ポンド(約1,361kg)を切ったことで、少なくとも北米では"重たいクルマ"という印象は無くなくなるはずだ。ダイエットの成功には、VWが高強度化・高剛性化と軽量化を両立させるという目標を掲げ、ボディとシャシーの主な結合部とシートメタルに使われる高張力鋼を肉薄化する開発を行ったことが大きく寄与している。



ドアを開けると真っ先に目に入るスポーツシートのファブリックはGTI伝統のタータンチェック柄だが、パターンが変わり、従来の「ジャッキー」と呼ばれるデザインから「クラーク」へと進化した。また、ホイールデザインも新しくなり、米仕様の現行型GTIには「デトロイト」の18インチのアロイ・ホイールが標準装備されているが、新型は17インチの「ブルックリン」が(本国では)標準。試乗車にはオプションとして用意される18インチの「オースティン」が装着されていた。フレンチアルプスの南の山岳地帯で、次々に現れるカーブを世界ラリー選手権(WRC)のドライバーになった気分でこなす間、ホールド性の高いスポーツシートとブルックリンに履かせたブリヂストンの「ポテンザ」は何の問題もなくきっちりと役割を果たしてくれた。小さいながらも重要な助っ人であるこれらのおかげで、新型GTIは他の前輪駆動のホットハッチが追随できない"ポジション"に、圧倒的な自信を持って登りつめたと言える。

7代目ゴルフには、舵角によってギア比が変わる「プログレッシブ・ステアリング」と最新の電子制御式ディファレンシャルロック「XDS+」が標準装備されている。電動アシストされるステアリングのロック・トゥ・ロックは2.0回転。ステアリングは重さがちょうどよく、しかも嬉しいほど正確だ。XDS+は現行に搭載されていた「XDS」の進化版で、従来のシステムがブレーキとスタビリティ・コントロール・システムを使ってハンドリング性能を高めるためにのみ作動するものであるのに対し、XDS+では、フロントエンドの制御を加えた方が望ましいとシステムが判断すると、ブレーキを踏んでいない時でも積極的に作動する。次のカーブに差し掛かりながらダイナミックなドライビングをすると、従来通り、内側の前輪に軽くブレーキを効かせ、空転を抑制してトラクションの確保とアンダーステアの軽減を図るが、ステアリングを切っていなくても必要であればアシストするのだ。しかも、雪道を含めどのような路面状態でも対応が可能だという。




最初にお伝えした通り、今回我々が試乗したのはGTIパフォーマンスというパッケージオプションを装着したモデルだ。このオプションを選択すると、予想されるGTIの価格24,700ドル(約249万円)におよそ1,200ドル(約12万円)が上乗せされる。しかし、余分にお金を出してでもこのパッケージを選びたくなるはずだ。まず、ブレーキのベンチレーテッドディスクが大きくなり、真っ赤なキャリパーには"GTI"の白いロゴが入る。最高出力はベースモデル比で10hp(10ps)アップの227hp(230ps)。最大トルクは同じだがさらに200回転上の4,600rpmまで発生し続ける。さらに、155mph(250km/h)の最高速を叩き出し、0-60mphは0.1秒短縮させて6.3秒(公式資料では0-100km/h 6.4秒)になる。そして極めて重要な特徴は、ハルデックス・スタイルの電子制御式ディファレンシャルロックをフロントに搭載したことだ。

この新開発のディファレンシャルは「VAQ」と呼ばれる。公道で走行可能な前輪駆動のコンパクトカーにこの種の電子制御式ディファレンシャルが採用されるのは、GTIが初めてだ。VWによると、VAQを装着したGTIはノーマルのGTIに比べ、ニュルブルクリンクのラップタイムを"8秒"縮めることができるという。このテクノロジーはフォルクスワーゲン「シロッコ」のレースカーでここ数年テストされてきており、VAQの機能は徹底的に磨き上げられているとのことだ。


この文章を読んだだけでは、VAQが革命的なシステムとは思えないだろう。しかし、VAQは新しいだけで、たいして効果的ではないというような代物ではない。VAQは実際に発生した、または、潜在的な前輪のスリップとアンダーステアを旋回中に感知するだけではなく、荷重が不足した車輪(内側の前輪)の回転数を落としながら各車輪にかかるGを監視して、どちらの車輪により大きなトルクを配分するか(通常、外側の前輪)を判断する。XDS+による軽いブレーキンングとESC(横滑り防止装置)も作動しているが、VAQがより踏み込んだ制御をしてくれる。例えるならWRCのスペシャルステージ(競技区間)の刺激的なカーブをより速いスピードで抜けることを可能にしたシステム、それがVAQなのだ。



このシステムの可能性を最も強く感じたのは、無数にあるカーブを、アクセルを強く踏み込みながら抜けていく時だった。外側の前輪は路面をしっかりつかんで車体を前へ引っ張り、確実に路面をトレースした。しかも挙動は十分に滑らかだ。ベースのゴルフよりも硬いばねとダンパーで15mmローダウンされたGTIは、驚異的な性能を感じさせてくれるクルマだ。我々はVAQに無限の可能性があると感じた。事実上、アンダーステアによるプッシュは皆無で、トルクステアで引っ張られることもなかった。向こう見ずな走りをしても、我々の能力をこれほど引き上げてくれるゴルフに今まで出会ったことはない。「ゴルフ R32」や現行の「ゴルフ R」ですら成し得なかったことだ。

カラッと晴れ、スポーツカーを運転するには理想的な日に、VAQとプログレッシブ・ステアリングを備え、低く構えたGTIパフォーマンスは、目をみはるような実力を示してくれた。パフォーマンス・パッケージにはもっと怒号を発するエグゾーストがオプションであった方がいいと思ったが、それ以外はとにかく圧倒されっぱなしだったのだ。また、「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「エコ」「インディビジュアル」の5つの走行モードをタッチスクリーン(オプション)から選べるアダプティブシャシーコントロール(DCC)を切り替えれば、直線のクルージングでは、GTIパフォーマンスを従順で温厚なファミリーカーのように走らせることもできた。ちなみに、「エコ」の設定で走ると、現行比で18%の燃料改善とCO2排出低減を実現したという。



最後にトランスミッションについて触れておこう。オプション設定された6速DSG(デュアルクラッチAT)は、従来と同様によく機能していたが、GTIではゴルフボールの形をしたシフトノブとクラッチペダルを持った6速MTの方がいい。ところが、米国やドイツのGTIオーナーにもマニュアルにこだわる人が年々減っており、パドルシフト付きのオートマチックを選択する人が約半数いるという。最近、欧州仕様の新型アウディ「S3」(マニュアル車)を試乗した時にも思ったのだが、ペダルの設定位置がイマイチで"ヒール・アンド・トゥ"が本当にやりづらい。こうした不満がマニュアル派を減少させる理由になっているのかもしれない。だが、足を無理矢理ヒール・アンド・トゥのスタイルに合わせなければならないとしても、我々の好みはやっぱりマニュアルだ。

GTIとGTIパフォーマンスがフォード「フォーカスST」マツダ「Mazdaspeed3(日本名:マツダスピードアクセラ)」、新型スバル「WRX STI」とどれ程張り合えるのか早く比べてみたくてたまらない。我々がほぼ1日中ステアリングを握っていたGTI パフォーマンスがMINI「ジョン・クーパー・ワークス」シリーズ(高価な新型「ジョン・クーパー・ワークス GP」を除いて)を凌いでいるのは間違いないだろう。

ただ、我々が米国の大地で対決させるには、来年の7月まで待たなければならないのが本当に残念でならない。

【基本情報】
エンジン:2.0リッター直列4気筒ターボ
パワー:最高出力227hp(230ps)/最大トルク35.7kgm
トランスミッション:6速マニュアル
0-60mph:6.3秒(推定)
最高速:155mph(250km/h)
駆動方式:前輪駆動
車体重量:2,941ポンド(約1,334kg)
座席数:2+3
荷室容量:通常時 16.3立法フィート(約462ℓ)、後席折畳時 44.8立法フィート(約1,269ℓ)
燃費:市街地 23mpg(約9.8km/ℓ)、高速道路 34mpg(約14.5km/ℓ)(推定)
ベース価格:24,700ドル(約249万円)(推定)
試乗車価格:28,000ドル(約283万円)(推定)

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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