【試乗記】「斬新なエクステリアだが中身は...」 新型レクサス「IS350 F SPORT」
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数カ月前、Autoblogのライターであるジョナサン・ラムジーが新型レクサス「IS」プロトタイプを試乗したレポートをお届けしたが、今回筆者はその完成版(市販モデル)である「IS350 F SPORT」に試乗する機会に恵まれたので、その詳細をお伝えしよう。
今回の試乗会場は、米テキサス州オースティンのドライブウェイ・オースティン・モータースポーツ(Driveway Austin Motorsports)。このサーキットの特徴は、世界中のサーキットのトラックデザインを取り入れているところだ。ラグナ・セカやニュルブルクリンクをはじめ、イモラ・サーキットや、フェラーリのテストコースであるフィオラノサーキットに影響を受けたであろうセクションもあって、非常に魅力的なコースとなっている。レクサスが現行型と比べ、新型ISをどれ程進化させたのかを際立たせる舞台だったと言えるだろう。プロトタイプの試乗会で現行型にも試乗したジョナサンは、現行「IS250」がタイトなコーナー設定のオートクロスコースをかなり敏捷な身のこなしで走ったと話していたが、2006年に現行のISが発売された時、レクサスが今回のようなトラックで試乗会を開かなかったことと、比較車としてBMW「335i」を用意しなかったことは賢明な判断だったと思う。

新型「IS350」は、アグレッシブなトラックで見事な高速走行を見せてくれた。特に新たに採用された8速トランスミッションと強化されたボディ剛性、大幅に改良されたパワーステアリング・システムによるところが大きく、現行型よりもずっと高いレベルの満足感を得られたというのが試乗を通じての感想だ。




ドライブウェイ・オースティン・モータースポーツで、まず我々はリチューンされたステアリングに大きな衝撃を受けた。我々は比較用に用意されていた現行型から新型に乗り換えながら、連続して4ラップを走行したのだが、新型のステアリングは路面からのフィードバックが多くなり、ダイレクト感が増していた。ステアリングホイールから伝わってくる全体的なロードフィールは、他の高性能なスポーツセダンから見ればいまだにかなり曖昧だったが、新型IS350は、特に高速S字コーナーをハイスピードで抜ける時に、グリップの限界がどこにあるのかを感じさせてくれる。現行のISはというと、すっかりぼやけた感じで、結果としてアグレッシブなラインを描こうとするのがずっと難しかった。また、新型はボディ剛性が高められているため(硬さを軽減したリアサスペンションのチューニングとうまくマッチして)、きついコーナーでも捩れが少ない。それに、ブレーキを強く踏み込んだ時に現行型よりもはるかに安定性が高く、特に長いホームストレートの終わりで急ブレーキをかけた時にその安定性が際立っていた。

シフトは機械任せにしてドライブウェイのトラックを走らせると、我々は新型の8速ATの方が現行の6速ATよりいい相棒になると実感した。レクサスは、「IS-F」に搭載されている8速ATをIS350に新たに採用し(FR車のみ)、システムがGの増加を感知すると自動的に最適なギアを選択しダウンシフトする「G-force Artificial Intelligence」機能を加えている。これは走りに良い影響を与えているようだった。というのも、IS350はコーナーから抜ける時に、もたつくことがほとんどなかったのだ。しかし、電子制御の設定はそのままで新型と旧型の両方をマニュアルモードに切り替えると(どちらもステアリングに備え付けられているパドルシフトで操作が可能)、トランスミッションの違いによるパフォーマンスの差異はほとんどなかった。また、どちらのトランスミッションも変速のレスポンスはほぼ同じだった。つまり、一般的なデュアルクラッチよりもほんの少しだけ反応が鈍いということだ。しかし、この8速ユニットは日常生活で公道をスムーズに走る分にはプラスになるだろうし、燃費の向上にも貢献している。

ドライバーズ・シートから降り、両車から漂うブレーキの快い匂いに包まれながら、レクサスは少なくともハンドリング特性に関して、ISを大幅に進化させたと思った。ただし、"スポーツ・セダン競争"で考えると、BMW 335iを凌ぐクルマを作ったとまでは言えない。




レクサスは比較用に現行のISを準備していたが、さらに3.0リッターターボエンジンを搭載したBMW「3シリーズ」とメルセデス・ベンツ「C350 Sport」も用意しており、両車とも対等に渡り合えると強い自信を見せていた。ここで我々がIS350について言えるベストなことは、かなり重厚感のあるBMW 335iよりもトラックの周回を"小さく"走れたということだ。タイトなコーナーの旋回時、IS350は335iよりもわずかにレスポンスが速く機敏だったように感じたが、335iは同じコーナーをほぼ毎回、より速いペースで抜けたと言って間違いない。335iは明らかにIS350よりもパワフルなエンジンを積んでいることに加えて(BMWが出力を実際よりも低く公表していることを疑問に感じる人は、IS350と335iを連続して乗ってみてほしい)、ISでは相手にならない程の滑らかさや落ち着きを複合コーナーで見せた。しかもブレーキを強く踏み込んだ時にはISよりもはるかに安定している。両車ともクイックなのだが、試乗を終えた時、成熟度は335iの方が勝っていると感じた。

Cクラスに関しては、特筆すべき点が見つけられなかった。メルセデス・ベンツは、少なくともトラック走行では、レクサスとBMWのどちらにも匹敵しないと思うとだけ言えば十分お分かりいただけるだろう。

残念だが、この世の中は「サーキットでどんな走りをするか?」を気にしてラグジュアリーセダンの購入を検討する人ばかりではない。サーキットでの走行を空想するのは楽しく、多くのオーナーは自分の車がセグメント内で最もレーシーなモデルだと思いたいだろう。でも実際のところ、IS350のようなクルマは、ルックスや快適性、装備、価格、世間の評判で売れるか売れないかがほぼ決まってしまう。それがラグジュアリー市場における過去20年のレクサスの立ち位置であり、新型ISが人気になるかどうかの肝は感性なのだろう。



試乗会にはIS250とIS350が用意されていた。両グレードともに標準モデルとF SPORTモデルが揃っていて、AWDバージョンも交ざっていた。ハイブリット仕様の「IS300h」は日本や欧州への導入が決まっているものの、現時点で北米への導入は予定されていないことから、北米で販売される全モデルが揃っていることになる。IS350 F SPORTが最も重厚感があり、この試乗記では我々が主に乗ったIS350 F SPORTについて書いているのだが、ギャラリーの写真に写っているのは「IS250 F SPORT」だとお気づきだろうか? これは試乗会が終わった後、撮影用に貸し出されたもので、ビジュアル的にはバッジとドライブモードのノブに「Sport+」がないことを除けばIS350 F SPORTとほぼ同じだ。

先日、米国での販売価格が正式に発表され、試乗したIS350 F SPORTの価格は諸経費895ドル(約89,000円)を含めて43,980ドル(約436万円)と現行型とほぼ同等になるという。しかし、「4万ドル余りを出して毎日ガレージで見たいと思うクルマか?」という疑問が湧く。デトロイトオートショーワールドプレミアされた時に新型ISのかなり斬新な姿を見ている人なら、切れ込みの入ったボディサイドや、サイドまで回り込み先の尖ったテールライト、レクサスのアイコンである「スピンドルグリル」について、既に何がしかの感想を持っているに違いない。我々が試乗会場で調査した10人余りのモータージャーナリストと同様に、エクステリアに対する世間の評価は"好き"か"嫌い"の両極端に分かれるだろう。(ちなみにAutoblog日本版で新型IS350 F SPORTのエクステリアについて投票を行ったところ、約60%が"現行型の方がいい"と回答している)



試乗会の初め、レクサスのマーケティング担当副社長であるブライアン・スミス氏が、レクサスは「デザインに徹底的にこだわった」と話していた。過去1年間で我々が見てきた様々なメーカーの新車やフェイスリフトから判断しても、それは誇張ではないようだ。しかし、デザインを重視すると賛否両論を巻き起こす大胆な変更になることが多く、このISのスタイリングはまさにその類だろう。数日間IS350を眺めてみて、筆者個人としては、スタジオ撮影された写真を初めて見た時ほど衝撃的なスタイリングだとは思わなかった(予想していたよりも先代とあまり変わらない)。また、新型のスタイルはホイールを小さく見せるようなデザインなので、オプションの18インチのホイールを選んだ方が好印象だ。

ISのインテリアはそれほど意見が分かれるようなものではなさそうだ。ハンドルを握った瞬間から、我々はレクサスのコックピットはおしゃれで快適、そして驚きのテクノロジーが備わっていると感じた。F SPORTモデルのフロントのバケットシートは深いが、このシートのおかげで運転中の快適性と安定性を確保できる。また、F SPORTを含め全モデルのシートには、レクサスが「NuLuxe」と呼ぶポリウレタン製の素材が使用されている(F SPORT以外のパッケージでは一般的なレザーシートも選択可能)。NuLuxeは一般的なレザーよりも軽く、滑りにくく、耐湿性に優れているため、F SPORTにはピッタリだという。深みのある赤でわずかにマットに仕上げられたシートが、艶消し加工されたメタルのアクセントや表面が柔らかいプラスチック、光沢のないコントロール類とタッチ部と完ぺきに調和していて実にいい。新しいナビゲーションディスプレイでさえも表面はある意味マット仕上げで、それは予想外であると同時に、好感が持てた。さらに、水平基調のダッシュボードがキャビン全体に広がり感をもたせ、洗練度を上げていると感じた。




ドライバーの視点から見ると、一番目を引くテクノロジーはスーパーカー、レクサス「LFA」譲りの可動式メーターリングだ。液晶ディスプレイの中央にメーターを配置させて左右に小さなインフォメーションボックスを表示させるか、ステアリングホイール上のボタンでメーターを右にスライドさせ、インフォメーションを左側に大きく表示させることができる。ステアリングホイール上のボタンでナビゲーションの方向指示やラジオの設定、車の状態といった情報を簡単に呼び出せるので、我々は後者の設定に好感を持った。特にナビゲーションの方向指示は、ダッシュボード中央のディスプレイで確認するよりも注意散漫にならずにいい。フロントガラスに各種情報を表示するヘッドアップディスプレイさながらの優れものだ。

胸がドキドキするトラックでの試乗を終え、我々は良識を持ち、法定速度を守って公道でのクルージングに移ったのだが、レクサスは新型ISのデザインにこだわりを見せながらも、レクサスの血統を継承する心を失っていないと気づいた。このISはいまだレクサスだ。走行は滑らかで、神経質な挙動はない。視界も良好だ。高速巡航時の静粛性も高く、マークレビンソンの上質なステレオシステムのサウンドしか聞こえない。306hpを発生させる3.5リッターV6エンジンは先代と同じで、米国の標準的な通勤時に必要なタスクに十分なパワーを備えている。また、わずかながらも高速道路での燃費の向上に成功し、現行の27mpg(約11.5km/ℓ)から、新型は28mpg(約11.9km/ℓ)になったという。この数値は、BMWのターボ・エンジンが掲げる公称燃費よりも、実際の走行で達成することが容易いと思われる。そう感じた。


このデザインを強調したセダンの購入を検討している顧客が決め手とするのは、扱いやすさ、信頼性、満足度だろう。レクサスは若々しいルックスをアピールし、パフォーマンスを保証することで新たな領域へ踏み出そうとしているのかもしれない。しかしISには、トヨタの思慮深さが十分に反映されているため、ラグジュアリーの世界へ踏み出したいと思っている人を尻込みさせることはない。事実、レクサスはブランドイメージの全体的な再構築において、"トヨタ/レクサス車はいつもつまらない"、"巨大な黒いスピンドルグリル"というイメージを払拭しようとしている。その精神において、今回のような賛否両論のあるデザインはいいことなのだろう。

スポーツ・セダンの観点から言えば、ISは納得のいくクルマとは言えない。それは、ISがダイナミックさに欠けるからではなく、IS350 F SPORTでさえも、BMWのE30型「M3」や人通りのない広い道路で思いっきり走らせることに憧れて大人になった人たちを惹きつけるようなクルマではないということだ。派手なセダンで疾走することに心底魅せられている人たちは、BMWインフィニティのショールームのほうが、望みどおりのクルマに出会える可能性が高い(この点に関しては、キャデラック「ATS」がベストかもしれない。我々はすぐにでも乗り比べが必要だ)。とはいえ、"走りの楽しさ"を新たに追求したISの全体的なバランスの良さは、現実の世界では間違いなく多くの共感を呼ぶだろう。

【基本情報】
エンジン:3.5リッターV型6気筒
パワー:最高出力306hp/最大トルク38.2kgm
トランスミッション:8速AT
0-60mph:5.6秒
最高速:144mph(約232km/h)
駆動方式:後輪駆動
車体重量:1,630kg
座席数:2+3
燃費:市街地 19mpg(約8.1km/ℓ)、高速道路 28mpg(約11.9km/ℓ)
メーカー希望小売価格:43,980ドル(約436万円)

By Seyth Miersma
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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