ポルシェは3日、新型「911ターボ」およびその高性能版「911ターボS」を発表。先代モデルに比べてパワーが向上しているだけでなく、新たに後輪操舵システム「リア・アクスル・ステアリング」と、走行状況に応じてフロント・スポイラーとリア・ウイングが可変する「アクティブ・エアロダイナミクス・システム」が採用された。

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2011年に発表された991」型と呼ばれる最新モデルの「911」をベースに、2年遅れて追加された新型「911ターボ」は、これまで同様ワイドなフェンダーと4輪駆動システム、そして2基のターボチャージャーを備える。車体後部に搭載する水平対向6気筒直噴エンジンは先代「997」型ターボから引き継がれているが、3,799ccの排気量は不変のまま、最高出力はこれまでの500psから520psに向上。最大トルクも66.3kgmから67.3kgmに増強されている。さらにオプションの「スポーツクロノパッケージ」を装着した場合にはオーバーブースト機能が働き、瞬間的に72.4kgmへ引き上げられる。0-100km/h加速は先代997型ターボから0.2秒短縮して3.4秒。スポーツクロノパッケージ装着車なら「スポーツ・プラス」スイッチを入れれば3.2秒とさらに速くなる。最高速度も312km/hから315km/hに向上した。

より高性能なグレードとして用意される「911ターボS」では、排気量こそ通常の911ターボと変わらないが、より高い回転数から先代比30psアップの最高出力560psを発揮。71.4kgmの最大トルクは、こちらでは標準装備となるスポーツクロノパッケージによって最大ブースト圧を引き上げれば、76.5kgmに達するという。0-100km/h加速はスポーツ・プラス・モードで3.1秒。最高速度は318km/hと発表されている。



大小2基のターボには、先代から採用された電子制御式ガイドベーンを用いた可変タービンジオメトリー(VTG)を引き続き採用。現在ガソリン・エンジンでこの機構を採用している市販車はポルシェ911ターボだけである。電子制御式多板クラッチを使った4輪駆動システム「ポルシェ・トラクション・マネージメント(PTM)」には水冷機能が備わったことでこれまで以上に堅固となり、必要に応じて前輪により多くのトルクを与えることが可能になったそうだ。トランスミッションは3ペダルのマニュアルが廃止され、「ポルシェ・ドッペル・クップルング(PDK)」と呼ばれる7速デュアル・クラッチ式2ペダルのみの設定となった。これまで以上にエンジン、トランスミッション、4輪駆動システムの連携が最適化されたことも、加速性能が向上した理由の1つだ。



以上のようにドライブトレインは先代モデルから引き継いで改良を施したものだが、新たに991型で採用された新機構はそれ以外のところに見られる。"ガワ" と "アシ" だ。

まず "ガワ(ボディ)" から見ていこう。新型911ターボでは、走行状況に応じてフロント・スポイラーとリア・ウイングの角度が3段階に可変する、ポルシェ初のアクティブ・エアロダイナミクス・システムが採用された。エンジンを始動してクルマを発進させた際には、フロント・スポイラーとリア・ウイングは完全に格納されており、段差のある駐車場から出るときなど、"アゴ" を擦る危険が少なくなっている。これが第1段階(1stステージ)。そして走り始めて高速走行に入ったとき、速度が120km/hに達するとフロント・スポイラーとリア・ウイングが途中まで展開した第2段階(2ndステージ)の状態となり、走行安定性が高まると同時に空気抵抗が低減される。第3段階(3rdステージ)は「ハイパフォーマンス走行用」で、ここまでのように速度に応じて自動的に可変するのではなく、ドライバーが手動でスイッチを入れて移行する。この状態ではフロント・スポイラーとリア・ウイングが完全に展開し、得られるダウンフォースは140kgに達するという。フロントのリップ・スポイラーには「turbo」または「turbo S」の文字が外から見えるようになり、リア・ウイングの角度は最大15度まで変化する。ポルシェによれば、このシステムだけでニュルブルクリンク北コースのラップタイムは2秒も縮まるとか。低速時の街中における利便性、高速走行時の安定性と空気抵抗低減による効率、そしてサーキット走行などで必要な高いダウンフォースを、妥協させることなく状況に応じて使い分けることが可能となった。



"アシ(アクスル)" に搭載された新機構はいわゆる4WS、リア・アクスル・ステアリング(後輪操舵)。これは従来のトーコントロールアームに替わって、電気機械式アクチュエーターをリア・アクスルに装着したシステムで、走行状況に応じて後輪を+3°から-1.5°まで、前輪と逆位相または同位相に操舵することが可能になる。速度50km/h以下の低速時には、後輪を前輪の逆位相に操舵することで回転半径が小さくなるとともにコーナーにおける回頭性が上がり、クルマの操作性も向上する。つまりホイールベースが短くなるのと同じ効果が得られるわけだ。速度が80km/hを超えると今度は逆に、前輪と同位相に後輪が操舵され、まるでホイールベースが延長されたように高速走行中の車線変更も安定して行えるようになる。50km/hから80km/hの間では同位相と逆位相の操舵が連続的に切り替わるという。



その他、ヘッドライトには新開発の「ポルシェ・ダイナミック・ライト・システム・プラス(PDLS+)」が911ターボSには標準装備、911ターボではオプションで用意された。LED式のヘッドライトと一体化したこのシステムは、コーナリング時にヘッドライトの照射角をコーナーの内側方向に調整する機能に加えて、速度が60km/hに達すると対向車や前走車のライトを検知して自動的に光の明るさと照射範囲が調整されるという。911カレラにオプション設定されている「プラス」が付かないPDLSはロービームだけだったが、この新しいバージョンはハイビームも制御されるそうだ。



もちろん現代のスポーツカーとして環境対策も抜かりなく、先代の997型ターボよりもCO2排出量と燃費は最大16%も改善されたという。これはベース車の911カレラと同様、車体が軽量化されたことや、サーマル・マネージメント・システム、エネルギー回生システム、オートスタート/ストップ・システム・プラス機能、コースティング機能などの採用によるものだという。NEDC(新欧州ドライビング・サイクル)による燃費は9.7リッター/100km(約10.3km/リッター)。ターボもターボSも同等の数値になるそうだ。



過去の911ターボから受け継ぐ伝統通り、ワイドに拡幅されたフェンダーによって、ボディ全幅は「911カレラ」より70mm、「カレラ4」と比べても30mm増しの1,880mmとなった。全長は自然吸気モデルとほとんど変わらず4,506mm、全高は1,296mmとなっている。911ターボSではエキゾースト・テールパイプにポリッシュ仕上げが施され、ドアミラーのデザインとセンターロック式を採用した専用ホイールで見た目も差別化される。さらに非常に高価なオプションとして有名な「ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ」も標準装備となる。ブラックとカレラ・レッドの2トーン・レザー・インテリアも、Sモデルに用意されるものだ。



今回のモデルチェンジでは、全コンポーネントのうち90%が新たに開発されたという新型911ターボ。高性能版の911ターボSなら、ニュルブルクリンク北コースのラップタイムは標準装着タイヤで7分半を切るという。実車の一般公開はまだちょっと先で、9月10日に開幕するフランクフルト・モーターショーになる予定。思えばちょうど40年前、1973年の同じフランクフルトで、最初の911ターボ・プロトタイプが初めて人々の前に現れたのだった。40年の間に911ターボのパワーと駆動輪は2倍に増えた。ドイツ本国では911ターボが16万2,055ユーロ(約2,104万円)、911ターボSは19万5,256ユーロ(約2,535万円)という価格で、2013年9月の終わりから販売が開始される。日本における発売時期および価格は今のところ未定。11月の東京モーターショーでは展示されることを期待したい。参考までに申し上げると、ドイツでは911カレラの価格が9万417ユーロ(1,174万円)となっている。現在の為替レートでは(価格に含まれる税率の違いはあるけれど)日本の方が安いくらいだ。購入を考えている方にとっては、来年になると見られる911ターボの日本導入時に為替レートがどうなっているか(そしてポルシェ ジャパンがどれくらいの設定で反映させるか)気になるところだろう。

追記:日本における販売価格は「911ターボ」が2,030万円、「911ターボS」が2,446万円(いずれも消費税込み)と発表された。ハンドル位置は左右から選べる。5月14日より予約受注を開始するという。

ギャラリーには最新の991型ターボSに加え、40年前にプロトタイプとして製作された初代911ターボの画像もご用意したので、是非ご覧いただきたい。
新型911ターボに関する詳しい情報は以下のリンクから公式サイトをどうぞ。


ポルシェ 911ターボ ウェブスペシャル

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