BMW3シリーズの「グランツーリスモ」は、今年2月に華々しく披露されたが、多くの車メディアは同車に対してかなりシニカルな見方をしていた。試乗してもいないうちから、この車に存在意義があるのかと、かなり批判的だったのだ。したがって、シチリア島で行われた試乗会は、始まる前から微妙な雰囲気に包まれていた。試乗会に参加していたメディア関係者は、「グランツーリスモ」の担当エンジニアをやりこめてやろうとしているように見えた。BMW側はそんな雰囲気をなんとか和らげようとしていたが、出席者の多くがグランツーリスモに批判的な現状では、あまり効果があるようには見えなかった。

しかし、実際に試乗した結果、少なくとも我々は、3シリーズ グランツーリスモ(3シリーズGT)が気にいった。パッケージングやデザインが5シリーズ グランツーリスモ(5シリーズGT)と似ているというマイナスポイントがあったにも関わらず、そう感じたのだ。車メディアがこぞって間違いを犯すこともある。同車に対する偏見が判断を誤らせていたのだ。

さらに付け加えるなら、中国市場でビュイックに人気が集まっているのと同様に、BMWの5シリーズGTも中国ではどういうわけか、販売台数を伸ばしている。BMWらしからぬ5シリーズGTは、同社のどのモデルと比べても、魅力に乏しいデザインだと思うが、BMWは中国で活路を見出すことができたのだ。しかし、我々は試乗後、3シリーズGTは中国だけではなく、他のマーケットでも好まれるだろうと確信した。
















3シリーズGTは中国向けの3シリーズのロングホイールベース・モデルのシャシーを基に開発された。3シリーズのツーリングに比べ、全長は7.9インチ(約20cm)長く、ホイールベースも4.3インチ(約11cm)延長されている。また、車高が3.2インチ(約8.1センチ)高いおかげで、頭上にも十分なスペースが生まれている。フロントとリアのシートポジションは2.3インチ(約5.9cm)高くなっているので、視界も良好。車高が高くなったのは、3シリーズより、シャシーの位置が約1インチ(約2.54cm)上がっているためでもある。

しかし、このサイズの車を3シリーズと呼べるのだろうか。5シリーズGTが発表になったときにも、我々は同じように考えた。これはある面においては7シリーズの方に近いのではないかと。しかし、実際には、寸法のことなどたいした問題ではない。3シリーズGTが、独自性を発揮していのるかということが問題なのだ。同じようなサイズの車にダッジ「ジャーニー」がある。ジャーニーは3シリーズGTと比べ、数インチ長い3列シートの車だが、BMWほどの高級感はない。というわけで、少なくとも現時点では、BMW3シリーズGTは、ユニークな存在となっている。











アメリカで今年9月から発売される3シリーズGTには、他の3シリーズと同様のトリム・デザインとオプションが用意される。さらに、インテリジェント4輪駆動システムのxDrive搭載モデルも追加される予定だ。販売予定価格は、「328i GT」が3万8500ドル(約330万円)で、「335i GT」が、4万5500ドル(約450万円)。正式な価格は、発売日が近くなれば公表されるだろう。さて、我々に用意された試乗車は、335iGTのM Sport。この車は3200ドル(約31万円)のM Sportパッケージが含まれているので、価格は6万ドル(約590万円)弱となる。かなり高額だと言えるだろう。しかし、BMWは、オプションをつけた3シリーズが5シリーズの価格帯に近づいても、顧客は気にしないと考えているようだ。我々として残念だったのは、328iに試乗できなかったことである。日常的に乗り回すなら、328iの方が向いているだろうと思ったからだ。3シリーズのセダンでは、この予感が当たっていた。

335i GT M Sport は、車名が「35i」で終わる他のBMWと同様、3リッター直列6気筒BMWツインパワーターボエンジン(N55型エンジン)を搭載している。最高出力は302hp/5800rmp(日本公式サイトでは306ps)、最大トルクは295lb.ft/1200 ~5000rpm(日本公式サイトでは400Nm –約40.8kgm)だ。335i GTは車両重量が3850ポンド(約1746kg)と重いが、必要なスイッチ類をオンにすれば、ということはつまりドライビング・パフォーマンス・コントロールやトランスミッションのモードを「スポーツ・プラス」(SportモデルとM Sportモデル、8速スポーツATを装備するモデルに用意されている)に切り替えれば、静止状態から60mphまで5.2秒で到達するという(日本公式サイトでは、AT車で0-100km/h加速が5.4秒)。



今回、我々が試乗会のために赴いたシチリア島の路面は、スコールが降った後だったため、水たまりができ、砂も混じっていた。他に走っている車もなかったので、我々は思い切って、全ての電子制御系リミッターやヘルパーをオフにし、シャシー、ステアリング、シフト、スロットルの設定をスポーツ・プラス・モードに切り替えてみた。ヘアピンカーブをいくつか走り抜けてみて、5シリーズGTに比べプロポーションが良くなった3シリーズGTが「Mスポーツ」の名に相応しいハンドリング性能を発揮するかどうか、確かめようと思ったのである。。同グレードの3シリーズ・セダンに比べると全長が伸ばされ、背も高くて、290ポンド(約132kg)重いことを考慮すると、335i GT M Sportは、十分に褒められる出来に仕上がっていた。電動パワーステアリングは気に入らなかったが、スロットルの反応と8速ギアボックスのプログラミングはいい働きをしていた。つまり「よくコントロールされたオーバーステア」という項目にはチェック・マークを入れることができる。

BMWがランフラットタイヤを全面的に採用するようになって久しいが、これは残念なことだ。M Sportでは、サマーランフラットタイヤとオールシーズンランフラットタイヤの2種類からタイヤを選ぶことができる。しかし、どちらも理想的だとは言えない。我々が試乗した車はオプションの19インチのコンチネンタルContiSportContact SSRを装着していた。M Sportのホイールデザインにはよくマッチしていたが、この大きさの車に19インチのランフラットタイヤは、やはり正しい選択とは言えない。アダプティブ・サスペンションのおかげで、デコボコ道をスムースに走行できたが、BMWがランフラットタイヤに固執しているのは、やはり納得できないままだった。電動アシスト付きのステアリングとランフラットタイヤが組み合わさることで、緩やかなカーブを曲がる時に掌に伝わるロード・インフォメーションの正確性がかなり失われるからだ。しかし、シャシーとパワートレインの組み合わせは非常に素晴らしく、他の弱点がほとんど気にならなくなってしまうほどだ。



しかし、3シリーズ グランツーリスモについて特筆すべきことは、キャビンと荷室スペースが広がったことだろう。荷室の使い勝手をいろいろと試してみた。あくまでも我々の基準だが、小型から中型サイズの車のセグメントリーダーと言っていい。BMWによれば、通常時の荷室は18.4立方フィート(約521リットル)で、シートを倒せば、最大で56.5立方フィート(約1600リットル)まで拡大できるという。これは、3シリーズのツーリングより大きなスペースだ。また、非常に使い勝手が良く、荷物を固定するフック、12ボルト電源ソケットや床下に収納スペースも用意されていた。後部座席の頭上には十分なスペースがあり、さらには、中国市場向けのホイールベースを延長したシャシーを使ったおかげで、後部座席の足元も他の3シリーズに比べて、2.8インチ(約7cm)広がった。これは、5シリーズより大きい。M Sport専用装備が装着されている前席は、10ウェイの電動スポーツシートが最適に調整でき、視界も良好だった。

3シリーズのグランツーリスモの開発が始まった3年前には、Aピラーはより垂直に立っており、ルーフは前方が高くなっていた。だが、エクステリア・スタイリング・リーダーのページ・ベアマン氏によればそれはあまり恰好いいものではなかったという。そこでより傾斜したウインドスクリーンを採用し、これによって見た目が良くなっただけでなくCD値(空気抵抗係数)0.28を実現。大きな前面投影面積を持つこのクルマによい結果をもたらした。さらに、新型の3シリーズすべてに、エアカーテンが取り付けられている。これは、フロントエプロンの左右にあるエアインテークのことで、ここから空気を取り込み、ブレーキディスクを冷却している。また、BMWは空気抵抗を減少させるために、3シリーズGTからエアブリーザーを導入した。これは、フロントホイールの後方に設けられたエアダクトで、我々の試乗車では黒く塗装され、デザインとしても目立っていた。エアブリーザーはホイールハウスに流れ込む空気が過剰になった場合、渦巻が生じないように余分な空気を送り出す役割を担っている。その結果、エアロダイナミクスがさらに向上している。











また、自動でせり上がるリアスポイラーを装備したことで、エアロダイナミクスが一段と向上した。車速が68mph(110km/h)に達すると自動的にせり上がり、43mph(70km/h)以下になると格納される。このリアスポイラーがあるおかげで、5シリーズGTのように、リアエンドがぷっくりと膨らんだようには見えなくなった。5シリーズGTの後ろ姿は、目を覆いたくなる格好だ。3シリーズGTのプロポーションはサイドもリアも格段に良くなっている。デザイナーは、ランボルギーニが60年代後半から70年代にかけて製造していたクーペ、「エスパーダ」を目指したそうだ。残念ながらイタリアン・デザインには程遠いとは思うが、セクシーという領域にはかなり近づいてきていると思う。

SUVクロスオーバーの「X6」は言うまでもなく、グランクーペやグランツーリスモのラインアップは拡大傾向にある。しかし、BMWは、どうすればクーペの完璧なスタイリングを維持しながら、実用的な荷室を備えることができるのか、その道を探っているというのが現状だろう。結論を言えば、3シリーズGTは5シリーズGTよりも"買い"だ。それに、著者の個人的な見解ではあるが、最初に流れてきたティーザー画像から想像していたものよりは、ずっといいデザインになったと思う。実のところ、我々は大きく開く後部のハッチゲートを持つモデルを待ち望んでいた。それが後輪駆動のモデルなら、なお良いと思っていたのだ。もちろん、3シリーズGTは完璧な車ではないし、5シリーズGTで受けたショックからまだ立ち直れないでいる人たちが、悪口を言うだろうことも分かる。しかし、優れたドライビング性能を諦めることなく、汎用性が高い大きな荷室がついた高級車を購入したいと考えている人には、3シリーズ グランツーリスモはおあつらえ向きである。

【基本情報】
エンジン: 3リッター直列6気筒ターボエンジン
パワー: 最高出力302hp(日本公式サイトでは306ps)
最大トルク295lb-ft(日本公式サイトでは400Nm)
トランスミッション: 8速オートマチック
0-60マイルmph(推定): 5.2秒(日本公式サイトではAT車 0-100km/h: 5.4秒)
最高速度: 130mph(日本公式サイトでは250km/h)
ドライブトレイン:後輪駆動
車両重量(推定): 約1750kg
座席数: 2+3
荷室容量: 520ℓ~1600ℓ(日本公式サイト)
燃費(推定):
市街地 21mpg(約8.9km/ℓ)、高速道路 31mpg(約13.2km/ℓ) 
メーカー希望小売価格(推定): 
328i: 3万8500ドル(約330万円)
試乗車(335i M Sport):5万9000ドル(約580万円)

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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