【試乗記】「遊び人用じゃない!」 ランボルギーニ「アヴェンタドール ロードスター」
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4輪駆動で最高出力700psを誇るランボルギーニのフラッグシップ「アヴェンタドール LP700-4 ロードスター」。ほぼ全てのガヤルド・シリーズに試乗し、これまで数え切れないほどのハイパワーで魅力的なスーパーカーを体験してきた筆者でさえ、この車には思わず度肝を抜かれた。

アヴェンタドール LP700-4 ロードスターの試乗会は、フロリダ州マイアミ郊外にあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われた。筆者は試乗会に向かう機内で、同車のプレスリリースを熟読した。リリースに書かれている言葉はどれも素晴らしく聞こえが良かったが、アヴェンタドール(クーペ)2013年モデルから採用した気筒休止システムやオープンルーフ化によって、車の良さを損なってしまうのではないか、もっと正確に言えば、その個性が弱まってしまうのではないかという疑念を深く抱いていたのだ。

しかし、実際にこのロードスターでホームステッド・マイアミ・スピードウェイの20度バンクを駆け抜け、直線コースで150mph(241.4km/h)まで達した時には、抱いていた疑念はどこかに消え去った。唸りを上げるシザードアのスーパーカーに、言葉を失うほど興奮し、心臓は止まる寸前だった。




アヴェンタドール LP700-4(クーペ)は、ランボルギーニのフラッグシップ、ムルシエラゴの後継として2011年のジュネーブモーターショーで発表された。ボディには、先代ムルシエラゴで採用していた鋼管スペースフレームではなく、オールカーボン製のモノコックボディを採用。さらに足まわりも、ダブルウイッシュボーンサスペンションからプッシュロッドサスペンションに改良された。当ブログのMatt Davisがクーペのアヴェンタドールの初試乗を行ったのは2年前だが、その時の試乗記では、アヴェンタドールに注ぎ込まれた高度な技術を深く掘り下げていた。今回の試乗では、このオープントップのロードスターは、クーペとはまた違った独自の持ち味を魅せつけてくれた。

ロードスターには、アヴェンタドールのカーボンモノコックタブ(コックピットからフロントガラスのフレームまでがひと続きになったシェル)が引き継がれている。とはいえ、屋根を取っ払ったことでシャシーの剛性が弱くなる可能性が出てくる(フタを取った靴箱がどれだけ脆くなるかを想像してほしい)。しかし、ランボルギーニはその豊富な経験を活かし、モノコックのロッカーパネル部をカーボンファイバーで強化。また、センタートンネルやエンジンとコクピットの隔壁に、さらに複合素材を貼り込んで補強している。ねじり剛性はクーペと比べ37%低下しているというが、工業用レーザーでも使ってチェックしない限り、その違いは分からないだろう。つまり運転していて、そう感じることはなかったということだ。

ルーフ部分は取り付けたときに付加がかかりやすい場所でもあるが、喜ばしいことに、ムルシエラゴロードスターが使用していた薄いソフトトップは見直されている。アヴェンタドール ロードスターは2枚のルーフパネル(鍛造複合素材をカーボンファイバーでサンドイッチして1,100トンの圧力を掛けて貼り合わせている)を採用。2枚のパネルは軽量で1枚6kgに満たない。オープン時にフロントのトランクに収納できるが、トランクはそれだけで一杯になってしまう。



予想通り、オープン化したアヴェンタドールのエクステリアはクーペに比べ、著しく変わっている。ただ固定屋根は無くなったものの、ランボルギーニの象徴であるシザードアは顕在だ。このシザードアには車両が横転した場合、乗員が車の外へ出やすいよう自動でドアが外れるヒンジが付いている。またシートの真後ろには、横転時に自動で伸びる安全バーがあり、ドライバーの頭部を守るようになっている。

エクステリアをさらに詳しく見てみよう。リアピラーの形は見直され、エンジンフードには2対の六角形の窓が付いている。ロードスターはボディカラーに関わらず、ウィンドシールドのピラーからルーフ、リアウィンドウ両側の"フィン"にかけてグロスブラックで統一されている。もっと細いところでは、乗員の頭部までしっかりと風から守るため延びている、ギザギザの形状をしたフロントウィンドウのフレーム上部や、ハードトップのシール部分と完全にフィットするようデザインされ、エッジを落としたドアガラスなどにも目を引かれた。

車内で最も目に付く特徴の一つが、シートの耳の高さのちょうど真後ろにある小さな電動開閉式のリアウィンドウだ。ウィンドウを上げた状態では、防風効果とエンジン音の遮音効果があり、下げた状態では、風が巻き込み12気筒エンジンの咆哮をより一層楽しめる。リアウウィンドウを上げるか下げるかだけで印象がガラリと変わるのだ。




心臓部を見てみよう。可変バルブタイミング機構を採用した最高出力700ps /8,250rpm、最大トルク70.4kgm/ 5,500rpm の6.5リッター自然吸気60度V12エンジンが、アルミ製リアサブフレームを介してミドシップ・マウントされている。まさに「最もパワフルな自然吸気エンジンを積んだスーパーオープンカー」と言っていいだろう。大排気量にも拘わらず、このエンジンのレッド・ゾーンは8,500回転からと極めて高い。

2013年モデルからアヴェンタドールには気筒休止システムが導入されている。84mph(約135km/h)未満の低速走行中は、片バンクのシリンダーが停止し、直列6気筒にシームレスで切り替わるのだ。このシステムによりEPAの評価基準で高速走行燃費が1mpg(約0.4km/リッター)ほど向上したという。またアイドリングストップも採用されており、V12エンジンがわずか180ミリセコンドで再始動する。ランボルギーニによれば、「ドライバーが右足をブレーキからアクセルに踏み換えるより素早く再始動するから心配いらない」そうだ。

エンジンは前後逆向きに載せられ、アウトプットシャフトが車両前方側にあり(その配置はカウンタックの時代から受け継がれている)、7速セミAT「ISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)」と組み合わされている。エンジンパワーは第4世代の電気制御式ハルデックスカップリングで4輪に伝えられ、速度や路面のグリップなどの状況に応じて0-60%の間でトルク配分を可変する。ロードスターの車両重量は1625kgと、クーペに比べ約50kgほど重くなっているが、ローンチコントロールを使えば0-60mphを2.8秒で加速し(日本の公式HPでは0-100km/hが3秒)、最高速度は217mph(約350 km/h)に達する。



もちろん、これは一部に過ぎない。

ロードスターは、前述した減衰力固定のプッシュロッドサスペンションを備えている。キャリパーは、フロントには6ピストン(400mm径のカーボンセラミックローター)、リアには4ピストン(380mm径のカーボンセラミックローター)を採用。標準のホイールは、フロント19インチ、リア20インチだが、試乗したロードスターは、より大きいホイールを装着し、タイヤはフロントが255/30ZR20、リアが355/30ZR21の「ピレリ P Zero Corsa」を履いていた。

このロードスターを目の当たりにしたら間違いなく脅威を感じることだろう。それもそのはず、ブランドデザインディレクターのFilippo Perini氏は、米軍のステルス戦闘機「B-2」や「F-22」をモデルに、アルミニウムと複合素材からこの造形を創造したのだ。これがロードスターに危険な雰囲気を醸し、存在感を与えている。ちなみに車体のサイズは、英マクラーレン「MP4-12C」と比べ1フィート(約30cm)以上幅広で1フィート近く長いが、全高は3インチ近く(約7.6cm)低い。



車への乗り込みは、幅の広いサイドシルがあるため、シルやフロントガラスのフレームに手を付いてバランスを取る必要があるが、乗り込んでしまえばガヤルドよりも居住性は良好だ。ランボルギーニによると、ルーフパネルを装着したロードスターは、クーペよりも頭上スペースが広く確保されているという。メーターなどの表示やISRトランスミッションに関しては、オープン化に際してほとんど手を加えられていないので、アヴェンタドールのオーナーであれば違和感はないだろう。ロードスターに追加されたものと言えば、ステアリングホイールの右側裏手に取り付けられた前述のリアウィンドウ用のスイッチ一つのみだ。

センター・コンソールにある赤いカバーを上げてスターター・ボタンを押すと、少しの間を置いて12気筒のエンジンが唸りを上げる。どの運転モードで走るかはドライバー次第。選択するモードによって、スロットルの反応やシフトチェンジの滑らかさ、横滑り防止のためのESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)のレベルを決められる。ESCのボタンを押すと3モード(オン/スポーツ/オフ)を切り替え可能。また「ドライブ・セレクト・モード・システム」のボタンで、「ストラーダ(公道)」「スポーツ」「コルサ(サーキット)」の3つのドライブモードを選択できる。デフォルトの設定では、最も穏やかで保守的なモードが選ばれるようになっている。



ランボルギーニは、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイの1周2.27マイル(約3.66km)のコースで各モードを楽しむ十分な時間を豪快に提供してくれた。「ストラーダ(公道)」は、スタンダードなオートマ走行のモードで、見物人からの眼差しを感じながら運転できる(ホテルまでの帰り道に2時間試乗したときは注目の的だった)。「スポーツ」と「コルサ(サーキット)」は、サーキット向けのモードで、激しい咆哮を上げる12気筒エンジンを自分の手で操る楽しみを味わえる。

アヴェンタドール・ロードスターが、無駄にパワーのある、遊び人が乗り回すための車だなんて一瞬たりとも思わないでほしい。この車はサーキットでのアグレッシブな走りにもしっかりと答えてくれる。スロットルの反応は迅速で(今まで感じた中で最も反応が良い部類に入るだろう)、12気筒エンジンのパワーを直ちに引き出せる。今までサーキットで走行した車の中では一番車体の幅が広い車だと思うが、コーナーではターンインが素早くでき、ステアリングの反応もダイレクト。車幅を感じさせない高い精度のおかげで、コースに置かれたコーンに一つも当たらずに走ることができた。




サーキットで最速を出すために選んだのが、「コルサ(サーキット)」モードだ。シフトチェンジする度に頭が後ろに引っ張られるというだけでなく、リアに80%のトルクが配分され、洗練されたESCが適度なオーバーステアを許容する(スポーツモード時は後輪に90%のトルクを配分するが、シフトチェンジやESCの設定は穏やかになる)。アヴェンタドール・ロードスターは、その性能の80%までなら容易に引き出すことが出来る。だがその先まで究め、より速く走らせるためには、忍耐と予測能力、技量が必要だ。私はそれにチャレンジすることを楽しんだ。

安定したコーナリングや驚異的な馬力に裏付けされたインテリジェントな4WDシステムといったロードスターの特徴ある走りを試してみて、この車にランボルギーニらしさを強く感じることができた。直線でレッドゾーンに飛び込まないように素早くマニュアルでシフトアップした後、カーボン・セラミック製ディスクを利用してブレーキを目一杯遅らせ、フラット・ボトム形状のステアリング・ホイールをしっかりと握る。減速中には2速より下のギアにダウンシフトしないように気をつけ(1速でフルスロットルにするとコーナーの途中でタイヤが滑り、スピンしてしまう)、クリッピングポイントを過ぎたらすぐにパワーを路面に叩き付ける。慎重にステアリングに一定の切り角を与え、4輪駆動システムを信頼してアクセルを開ければ、700馬力のロードスターはテールを少しだけ振りながら、4本のタイヤで路面を掴みコーナーを立ち上がっていく。強い意志とスピードと野獣のような力を持つこのランボルギーニは、哀れなウサギを追い回すヒョウのようにコーナーからコーナーへと飛ぶように走った。



最近のスーパーカーは、非常に速いが可能な限り扱いやすく設計された車が多い(例えば、日産「GT-R」アウディ「R8 GT」など)。そんな中、ランボルギーニは挑戦的で魅力ある姿勢を貫き、限りなくスリリングな走りを実現させた。オープン化に際してもパフォーマンスに一切妥協をせず、またエンジン音は圧倒的で、アヴェンタドールの新しい魅力を引き出している。

ロサンゼルスへの帰路、高度12000 メートルの機内で、クーペとの差額40,000ドルの価値を見出そうとあれこれ理由を言い並べたり、2014年の中旬までの販売分はすでに完売していることについてとやかく言う必要は一切ないことに気付かされた。4660万円という世界で最も高価な車の一つであるアヴェンタドール・ロードスターには、とてもじゃないが手を出せないことを除いてだが...。

でも夢を見ることは自由にできるだろう。

フロリダに飛び、ランボルギーニ「アヴェンタドール LP700-4 ロードスター」を公道とサーキットの両方で試乗してみて、ただただ驚かされた。試乗前に空想していたロードスターの印象は、いい意味でことごとく裏切られたのだ。

【基本情報】
エンジン:60度V型12気筒
パワー:最高出力 700ps/最大トルク 70.4kgm
トランスミッション:7速DCT(デュアルクラッチ)
0-60mph:2.8秒(推定値)
最高速:最高速度:217mph(約350 km/h)
駆動方式:4WD
車体重量:1625kg
座席:2
燃費:市街地 10mpg(約4.2 km/ℓ)、高速道路 16mpg(約6.8 km/ℓ)
メーカー希望小売価格: 4660万3200円(日本価格)

By Michael Harley
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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