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フォードの「スペシャル・ヴィーグル・チーム(SVT)」がピックアップ・トラックの「F-150」をベースに開発したスペシャルモデルを、通常のF-150と区別するために「ラプター」と名付けた。ラプターとは"小型で俊敏な肉食恐竜"のことで、同じくフォードのチューニングを手掛けるサリーンも、「S7」の後継車になるコンセプト・カーに同じ名前を採用している。だが、こうしたフォードのスペシャリストたちが、まだ「フォックス・ボディ・マスタング」(87~93年型のマスタング)に夢中になっていた1990年代の初め、カナダのケベック州にある小さな自動車メーカー、カンパーニャ・モーターズが、すでに「T-Rex(T・レックス)」(ティラノサウルスの略称と同じ名称)という名の三輪自動車を製造していたのだ。

だが、なぜこの車に恐竜の名前がついているのだろう? 発売から何十年もたっていて、誰もがずっと前に"絶滅"していると思っているからなのか? それともこの車が、人間に襲いかかったり、通り道にあるものすべてを破壊したりするような礼儀知らずの怪物だからなのか?――こんな疑問を解くために、実際にT-Rexを乗り回してみようと、私たちは再びカナダのバンクーバーを訪れた。ここは昨年の夏に、ハーレーのエンジンを搭載した最新の三輪自動車「V13R」の試乗を行った場所だ。




1996年の発売以来、T-Rexは何度かモデル・チェンジしているものの、デザインと基本的な構造は変わっていない。カンパーニャは、数年前にV13Rを開発したCirbinという同業の新興企業と事実上合併。モントリオールの東、セントローレンス川を渡ったところにあるブーシャーヴィルの工場で現在、両社のモデルを製造している。

V13RもT-Rexも前輪が二つで後輪が一つ。コックピットはほぼ全面むき出しで、横に並んだバケット・シートが二つと、ステアリング・ホイール、シフトレバー、ペダル類などの操作機器が付いている。エンジンはバイクのものを使用しているが、そのレイアウトは車に近い。

だが、ハーレーのエンジンを搭載したV13Rよりも、 T-Rexはよりスポーティーさを追求しようとしたのか、エンジンはカワサキの「ニンジャ」、それも最上級モデルの「ZX-14」(日本名:ZZR1400)のエンジンを搭載している。4気筒の1.4リッターは、車としては小型だが、バイクのエンジンとしては極めて大型で、最高出力は197hp(日本の公式HPも同じ)、最大トルクは15.7kgmだ。このパワーがチェーン・ドライブと6速シーケンシャル・ギアボックスを介して幅295ミリの後輪に伝わる。ギアボックスはカワサキから供給を受け、カンパーニャがリバースの機能を加えている。V13Rの場合は、ハーレ・ダビッドソンからエンジンやその他のパーツをバラで購入できるが、残念なことにT-Rexの場合、カワサキから「ZX-14」を丸ごと購入し、必要なパーツを取り出して、残りのパーツを売り払わなければならないという。




だがその結果、これまでにないようなマシンが生まれた。 V13Rを含む似たような三輪自動車は他にもいくつかあるが、それらと比べてみても T-Rexは大幅にパワー・アップしている。だが、その分価格も5万8349ドル(約560万円)からと、1万ドル以上も高い(ボディはT-Rexより少し大きいものの、パワー、加速ともに優れているアリエル「アトム」と比較しても、6000ドル近く高い)。ルーフのないV13Rは、ドアを失くしてボディの強化を図っているが、T-Rexは「14R」モデル以降、シートの頭上にあるフードの細い梁(てっぺんには中央吸気口がついている)とピラーでボディを支え、運転席と助手席の周りをフロントとサイドの小さなウインドデフレクター(と呼べるほどのものではないが)で囲んでいる。

従って乗り降りは、サイドの大きな開口部からということになるが、乗り込むにはちょっとしたコツがいる。メーカーの担当者のアドバイスに従って最初にステアリング・ホイールをはずし、シート脇のボディパネルに腰を下ろす。そして、足を室内に滑り込ませ、低いシートに身を沈める。すると、気分はもう、ランボルギーニの伝説のテストドライバー、ヴァレンティーノ・バルボーニだ。




シートに座ってシートベルトを締め、(地域の法規と良識に従って)ヘルメットをかぶる。ステアリング・ホイールを付け、出発の準備ができると、担当者から「高速で走行中は、手を出して道路に触りたいという誘惑に負けないように」というアドバイスを受けた(守れない人が多いらしい)。それだけ車高が低く、体がむき出しになるということだ。だがこうした構造であるからこそ、運転しながらサスペンションの動く様子が見えたり、ブレーキ・キャリパーがベンチレーテッド・ディスクを掴む音が聞こえたりするわけで、これが機械マニアにとってはたまらないのだ。

だが、T-Rexを運転することの過酷さが次々と分かってくると、その好奇心もすぐにふっとんだ。通常のバイク(サイオン「FR-S」<日本名:トヨタ「86」>並みのパワーを持つバイクを"通常の"と呼ぶならば)のエンジンは、ライダーの膝の間にあるものだが、T-Rexの場合は頭のすぐ後ろにあるため、とにかくすさまじい音だ。へたな言葉で説明するよりも、下のビデオを見れば分かってもらえるだろう。




とはいえ、肩越しに鳴り響くエンジンは、T-Rexの過酷さのほんの一部(そのほとんどを占めることは確かだが)にしか過ぎない。取り外し可能な荷物用の46リッターのハードケースを2つ車体の横につけられるだけで(シートの後ろに載せるバイクのものと違い、少々閉めるのが難しい)、実用性に関してはバイクとそれほど変わらないのに、車と同じように駐車場に止める必要がある。また、ドライバーや同乗者は体のほとんどがむき出しになる。普通に車を運転しているような気分でいたら、筆者の左腕はトラックの運転手のように日焼けしてしまった(元々予定されていた試乗日はモントリオールが前代未聞の大雨。天気の良い日に再度時間をもらえたので、筆者は喜んでいた)。しかし、こうした過酷さの反面、道路を走るどんな乗り物よりも、顔に当たる風を直に楽しむことができる。

体感速度は迫力満点で、高速で飛ばさなくとも、本当に楽しい。勘違いしないでほしいのは、筆者の感覚だけで"楽しい"と言っているのではないということだ。T-Rexのスペックを見れば、誰もが驚くはずだ。重量がわずか472kgのこの車は、0-60mphが3.92秒で、最高速が144mph(約230km/h)。横加速度はなんと1.3Gにも達するという。ブーシャーヴィルから川を渡り、モントリオール南西に位置するオカ国立公園まで続く曲がりくねった田舎道を走るうちに、筆者はこのデータに何の疑いももたなくなった。



T-RexよりおとなしいV13Rでさえも、後輪のトラクションが簡単に失われたのを思い出し、「スロットルを開けすぎないように」という担当者の忠告を忘れないように心がけた。クラッチをつなぐポイントをつかむのもそれほど問題なかったが、これは以前に試乗をしたV13Rに慣れていたからだろう。

楽しい1日を終えてT-Rexをブーシャーヴィルに戻し、しぶしぶキーを担当者に返した私たちスタッフは、ここまで乗ってきたアキュラ「TL」 (現行モデルは日本未発売)のシートによじ登るように戻った(T-Rexのシートがあまりにも低かったからだ)。T-Rexと比べると、このホンダの高級セダンがふわりと浮くように走るSUVのように感じられた。その夜、オールドポートで行われていたシルク・ド・ソレイユの公演を見に行ったのだが、曲芸師たちが披露する数々の技を見ているうちに、T-Rexの狭いコックピットに体をよじらせながら乗り降りした、辛くも楽しい体験を思い出していた。

今回、 T-Rexに試乗し、この原稿の最初に書いた疑問の答えが分かった気がした。 T-Rexは名前の由来となっている恐竜のように"原始的"な作りの車かもしれないが、ワイルドな魅力に溢れている。つまり T-Rexは、数多くの安全装置が装備され、快適さをとことんまで追求した車ばかりとなった現在の自動車業界において、まさにレアで、モンスターな存在の車ということなのだ。

【基本情報】
エンジン:1.4リッター  並列4気筒
パワー:197hp/15.6kgm
トランスミッション:6速シーケンシャル
0-60 mph :3.92秒
最高速:144mph
ドライブトレイン:後輪駆動
乾燥重力:472キロ
座席数:2
燃費:約12.8km/L
メーカー希望小売価格:5万8349ドル(約560万円)

By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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