【試乗記】「外見は69年型だが、中身は最新で快適!」 レトロビルト69年型マスタング
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クラシックな米国車に詳しい人なら、この車を1969年型「マスタング・マックワン・ファストバック」だと思うだろう。しかし、ピカピカのイエローにペイントされたボディの中身は、2013年型フォード「マスタングGT」なのだ。ということは、室内にはスポーツバケットシート(運転席にはパワーランバーサポートも付いている)があり、快適なエアコン、エアバッグもあるということだ。そしてなんと言ってもエンジンは、5.0リッターV8、最高出力426ps(420hp)を誇っている。今回は「外観はレトロ、中身は最新」な米のRetrobuilt(レトロビルト)が手掛けたこの「マスタング 1969 ファストバック」の試乗記をお届けしよう。

>>誰もが注目するマスタングに!

米国ミズーリ州のラマーにあるRetrobuiltは、キャロル・シェルビーからライセンスを受けて、シェルビーの歴史的モデルを再生することで知られている。再生といっても、フルレストアという意味ではなく、現行マスタングの「S197」プラットフォームをベースに外観をクラシックに作り変えるのだ。同社はその理由を「現代の技術で作り出されたマスタングと昔のマスタングのスタイルを統合することは、車好きにとってはたまらないことだ」と答えている。

そのレトロビルトが、ラスベガスで行われた2012年SEMAショーでデビューさせたばかりの「1969 ファストバック」の試乗を筆者にオファーしてくれたのだ。そこで南カリフォルニアにあるマルホランド・ハイウェイで試乗を行った。


同社の手掛けた車は、発売するやいなや即売れてしまうのだが、それは別段不思議なことではない。クラシックなマッスルカーのスタイリングは、本当にかっこいい。しかし、雨の日の運転にはかなり気を使うし、燃費も悪く、乗り心地も決していいとは言えない。レトロビルトのスタッフたちもクラシックカーに対しては人一倍深い愛情を抱いているが、その不便さには辟易していたという。つまり、同社の車が人気なのは、同じように感じていた人たちが米国にはかなりいるということの証明だろう。

レトロビルトでは、フォードのS197シャシー、つまり2005年から販売されている現行型5代目マスタングのプラットフォームを使用する。クラシックな外観と最新の中身を持った車作りを行う会社は、レトロビルト以外にも米国内にはあるが、その多くが当時のクルマのレストア用に製造されている新品のホワイトボディを使うのに対し、レトロビルト社では現行モデルの中古車(雹や竜巻などの災害によって外観にダメージを受けた車両を含む)か、または新車をベースにするのだ。それは5.0リッターV8エンジンの2013年型マスタングGTでなくても、オーナーの希望次第で、例えば4.0リッターV6を積む中古の2005年型マスタング・クーペでもいいし、あるいは5.8リッター・スーパーチャージャー付きV8が搭載された2013年型「シェルビー GT500」も選ぶことができる(レトロビルトによればボディ・カラーが黒の車両をベースにするのがいいらしい。エンジンルームの中まで塗り直さなくてもその時代のクルマと塗装色が一致するからである)。

レトロビルトの車作りは、鉄製ボンネットとフロント・クォーター・パネルをベース車から外すことから始まり、次にフロント及びリア・バンパー、ドアハンドル、サイドミラー、ホイールを外していく。



ボンネットとフロント・クォーター・パネルは、若干大きめのサイズのファイバーグラス製のものと取り替えられる。(2013年型マスタングは、1996年型よりも、約350mm長く、約102mmワイドだからだ)。ベース車の鉄製のドアパネル、同じく鉄製のルーフとリアデッキはそのまま残され、その上からレトロスタイルに作り上げられたファイバーグラス製パネルが取り付けられる。

さらに、60年代風のフロントとリアのフェイシアが付けられる。そしてハンドクラフトされたグリルやクローム製のバンパーなどが装着される。これらすべては、60年代に造られたもののように見えるのだが、実際は同社がカスタムメイドしたもので、クローム製バンパーなどは、現行型マスタングの車体寸法に合わせて僅かに当時のものよりも幅が広く作られている。ミラーや、クローム製のドアハンドル、その他バッジ類なども細部にいたるまで徹底的な時代検証のもとに作られており、ボンネットのフードピンもきちんとかみ合いラッチは機能している。

ボンネットの下にある自然吸気の5.0リッターV8には手は加えられていない。排気系にMagnaFlow(マグナフロー)製のエグゾーストが取り付けられているが、触媒などの排ガス制御装置はそのまま残されている。また、レトロビルトにカスタムをオーダーする顧客は、6速のマニュアルのギアボックスか、伝統的なトルクコンバーター式6速オートマチック・トランスミッションが選べるが、今回試乗したファストバックはオートマだった。ボンネットのエアスクープはダミーではなく、特別に製作されたY字型パイプを通じて外気をエンジン・ルームに取り込むようにデザインされているのだ。


次は、足回りについてだ。ホイールは、遠くから見るとハブスピナーが取り付けられているように見えるアメリカンレーシングの18インチ。ホイールの装着前に、スプリングとスウェイバーは、Eibach Spring(アイバッハスプリング)製のPRO-PLUSのサスペンションキットのものに取り替えられている。タイヤは、ニットータイヤのNT 555 エクストリームZRを装着。ブレーキはシングル・ピストンのキャリパーやベンチレーテッド・ディスク・ローターなど、ベース車のものを使用しているが、今回の試乗車では純正キャリパーの上から合金製のカバーが装着されていた。見た目は...まあ、向上していると言えるだろう。

ボディ加工と塗装はすべてレトロビルト社の工場内で行われる。顧客の要望するカラーを吹いた後、グラフィックを施してからクリアコートが上塗りされる(試乗車の「BOSS 302」というグラフィックは顧客の要望で付けられたが、同社はフォードともめ事にならないかを気にしているそうだ)。こうした作業は約6週間にわたり、その後やっとオーダーしたオーナーの元へと届けられる。

垂涎モノの外観に装着された、レトロでクールなプッシュボタン付きドアハンドルを掴んでドアを開けると、ストックのまま何も手が加えられていない落胆モノの内装が現れる。ダッシュボードにレトロビルト社のバッジすら付けられていない。まったくフォードの工場を出たときのままだ。最近のクルマの、快適で信頼性の高い装備が並んでいて、1960年代のインテリアではない。



ロサンゼルス北部を1969 ファストバックで2、3時間走ってみる。とは言っても、その外観とは違い同車は、2013年型のマスタングがベースだ。こんな風にちょっと改造が加えられた最新式スポーツカーを試乗する際、何かを発見できるのではないかという期待を抱いてしまうのだが、今回もそんな部分を見つけたいという思いで試乗に臨んだ。

キャビンに乗り込み、V8エンジンに息吹を吹き込む。マグナフロー製のエグゾーストはエンジンの音をキレイに出すようで、アイドリングの音が実に乾いた感じでよい。しかし、視界に関してはチャレンジだといっていいだろう。特にリアウィンドウに取り付けられた黒のルーバーが気になったが、同車にはパーキングセンサーが搭載されているので、駐車はそれほど大変ではなかった。

40年前の外観とは裏腹に、レトロビルト製ファストバックはベース車同様まったく快適そのもの(そして何の驚きもない)。キャビンの中には、現代的な空調システム、GPSナビゲーション、そしてiPodと連動できるインフォテイメントシステムが搭載されている。シートは快適だし、ダッシュボードから発せられる光は、明るくっきりしている。それにカップホルダーもたくさん付いて便利だ(米国人にとってカップホルダーはとても大切な装備だ)。その点に関してベース車である現代のマスタングは、まったく文句の付けどころがない。



同車には、それ以外にも注目すべき点がある。1969年型マックワン(注1)の0-100km/hは約5.7秒だが、レトロビルト・バージョンは約4.3秒。ブレーキはどんな時でもスピードを確実に落とし、きちんと仕事をする。現代のテクノロジーはとてつもなく進歩していて、現代版マックワンに、69年型は(少なくとも)パフォーマンスの面では一切かなわない。

真っ青な太平洋が岸壁の下に見えるなじみの道をメタリックなイエローのファストバックでドライブすることをすっかり楽しんだ。ノスタルジーな雰囲気があるクラシックカーから眺める景色は格別だった。それに、ハンドルの動きも問題ない上、キャビンの中は熱くならず、シートも快適だった。しかしすべてが最高だとは残念ながら言えなかった。運転中に同車の欠点2つに気が付いた。残念ながらそれは両方ともレトロビルトが手を施した部分だ。

まず一つ目はサスペンション。アップグレードされたスウェイバーによってロールは抑えられているのだが、アイバッハ製スプリングはまったくよろしくない(スプリングレートが低すぎるのでは?)。振動は軽減されているのだが、コイルが柔らかすぎる。筆者が走った道にはちょっとした傾斜があったのだがファストバックが底をすってしまったことは1回だけではなかった。(このことを同社に報告したら、すぐにスプリングの点検を行うと言っていた)。


次は、6速マニュアルのオーナーには関係のないことかもしれないが、抜けのいいマグナフロー製のエグゾーストと6速オートマがマッチしていない。燃費をよくするため、最近のオートマチックはできるだけ早く上のギアを使うようプログラムされ、エンジンの回転数を低く抑えるようにしている(ちなみに米国環境保護庁(EPA)はV8エンジンは基本的に2,000rpm以下を保つべきだとしている)が、この回転域ではエグゾースト音がうるさくキャビンに反響するのだ。これを避けるには、トランスミッションをマニュアルモードにしてシフトダウンし、もう少し高い回転数(3,000rpm前後)を保つようにする他に方法はないことが分かった。しかしオリジナルのギアボックスを使用していたら、このようなことは起きないのではないかと考えてしまう。まあ、これはあくまで想像の域なのだが。

これらの簡単に解決できそうな問題は置いておくとして、レトロビルト製1969 ファストバックは素晴らしく、妥協のないマッスルカーだった。駐車場では、人々の注目をひたすら集めていた。ところで、気になる値段だが、レトロビルトの改造費は約280万円で、これにベース車の値段が追加される。しかし、同社の作業内容を考えたら、この値段は妥当だといえるだろう。

今回の試乗車はAT仕様のマスタング GTがベースだったが、筆者が選ぶなら新車の現行モデル「BOSS 302」の6速マニュアル・ギアボックス仕様をベースにレトロビルトが手掛けたクルマを希望する。それならもっと魅力が増すはずだ。サスペンションとエグゾーストは標準のまま、さらに時代考証を合わせた「マグナム 500」ホイールに、レーシング・スリックのタイヤを履かせ、キャンディ・アップル・レッドで塗られたボディには"BOSS"のグラフィック入り。次回は是非、そんなクルマをお願いしたい。

エンジン: 5.0リッター、V8
パワー:最高出力426ps, 最大トルク53.9kgm
トランスミッション: 6速オートマチック
0-100 km/h:4.3秒 (予測)
トップスピード:約233km/h (予測)
駆動: FR(フロント・エンジン・リヤ・ドライブ)
座席: 2+2
燃費: 約7km/l(市街地) 約11kml(高速道路)
メーカー希望小売価格:ドナー車+約280万円 (概算)

By Michael Harley
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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※注1:なお、マスタングの高性能版「Mach 1」は「マッハ・ワン」と読まれることも多いが、最近ではアメリカでの発音に近い「マック・ワン」の方が主流になりつつあるようなのでそちらを採用。

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