【東京オートサロン2013】日産は革新的な次世代レースカー「デルタウイング」を展示!
東京オートサロン2013」の日産ブースでは、注目の "次世代レーシングカー" 「デルタウイング」を展示。その斬新な姿は、「GT-R」を越える程の人気を集めていた。

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通常のレーシングカーに比べて車両重量は半分。使用する燃料やタイヤも半分。それを実現するために独特のフォルムと設計理念を持って生まれたデルタウイングは、いわば "環境に優しい次世代レースカー" だ。そもそもは2012年のインディカー用マシン案として、ローラ・カーズ出身のデザイナー、ベン・ボウルビーによって設計されたのだが、残念ながらインディカーとしては採用されず。しかしアメリカン・モータースポーツ界の大物ドン・パノス氏らの支援を得たことによって、新たにル・マン24時間レースで先進技術をプロモートするために設定された「ガレージ56」から出走することを目指すことになる。



途中から日産・ニスモがこのプロジェクトに加わり、2012年のル・マン24時間レースでは「Nissan デルタウイング」の名前で "賞典外" として出場。カー・ナンバー「0」を付けた黒くて斬新なマシンは大きな注目を集めた。レース序盤にはいくつかの小さなトラブルに見舞われながらも安定したペースで走行を続けていたが、スタートから約6時間後、1,005kmの走行を記録したところで、トヨタのLMP1マシンに追突されてウォールに激突、走行不能となってしまう。ル・マンの規則では、コース途中でトラブルに見舞われた車両は、搭乗ドライバーの手によって走行可能な状態に修復し、ピットまで自走できなければ失格となる。この時デルタウイングをドライブしていた本山哲選手はコース脇に駆けつけたチーム・メカニックから指示を仰ぎ、約90分間にわたって懸命に修復作業を試みるが、結局デルタウイングは再び走り出すことなく、ル・マン挑戦はそこで終わってしまった。



再びデルタウイングがサーキットに現れたのは、その年の10月。ロード・アトランタで開催されたアメリカン・ル・マン・シリーズの最終戦、「プチ・ル・マン」に出場したのだ。予選では常に10位以内のタイムを記録していたデルタウイングだったが、主催者側から「賞典外なのだから決勝レースは最後尾からスタートせよ」と申し渡され、42番グリッドから1,000マイルの耐久レースに臨むことに。これはつまり、速度差のある市販スポーツカー・ベースのGTマシンを全車、追い越さなければならないことを意味する。それだけ接触の危険が多いということだが、スターティング・ドライバーを務めたガナー・ジーネットは最初のスティントで一気に8位まで浮上。次に替わったルーカス・オルドネスはトリプル・スティントをこなし、さらに3位まで順位を上げる。その後も、タイヤ無交換のまま4スティント連続で走行するなど、デルタウイングの特性を活かした戦い方によって見事総合5位で完走を果たしたのだった。



前後にスポイラーを持たず、名前の通りそれ自体がウイング形状のボディは、BLAT(Boundary Layer Adhesion Technology)と呼ばれる技術によって車体下面を流れる空気でダウンフォースを発生させているという。全長4.65m × 全幅2.08m × 全高1.03mという車体サイズは、トヨタのLMP1マシン「TS030 ハイブリッド」とほぼ一緒。ただしこの車幅は大きく拡がったリア側の数字で、フロント側は僅か0.76mしかない。前から見ると、まるで蛇の首のように見える。車両重量は車体のみで475kg。ドライバーと燃料込みでも575kgに抑えられている。ちなみにLMP1マシンの最低車両重量は900kgと規定されているので、確かに約半分だ。前後の重量配分は前28:後72と、当然ながら極端にリア・ヘビー。ドラッグレーサーではなく、これでちゃんと "曲がる" のだから凄い。本山選手も初めて乗ったときには「何で!?」と思ったそうだ。鍛造マグネシウム製のホイールは前後とも15インチだが、リム幅はリア12.5インチに対しフロントは4インチ。テクニカル・パートナーとして名前を連ねるミシュランから供給される特別製レーシング・タイヤを履く。そのフロント・タイヤの大きさは、高さが約58cm、幅は約10cmというから、ベーシック・グレードの軽自動車用標準タイヤよりも僅かに大きく、4cm以上細い。トヨタやアウディのLMP1マシンが使用する18インチのフロント・タイヤは高さ約71cm、幅36cmだから、その特殊性がお分かりになるだろう。

エンジンは日産の「ジューク」用1.6リッター直列4気筒直噴ターボ・エンジンをベースに、イギリスのレイ・マロックがチューニングを施したもの。とは言っても、日産の方にお訊きしたところによると市販エンジンと共用するパーツはほとんどなく、完全にレース用ユニットだとか。ただし、直噴システムやエンジン内部のDLCコーティング、ナノテクノロジーによる超低フリクション化技術など、日産とニスモの技術は「入ってる」そうである。最高出力300bhp(304ps)を7,400rpmで、最大トルク31.6kgmを4,000〜6,750rpmで発生するという。ちなみにレイ・マロックといえば、かつて日産とタッグを組んでBTCC(英国ツーリングカー選手権)に「プリメーラ」で参戦し、初の日本車によるチャンピオン獲得に貢献したという縁がある。そのときもタイヤはミシュランだった。



ところで、オートサロンの会場に展示されていたデルタウイングは、あのル・マンで本山選手がドライブした車両そのものではなく、実は2~3台作られたというレプリカだそうだ。とはいえボディを含め、外から見える部分は実走車両と変わらないとのこと。デルタウイングは、アメリカの『ポピュラー・サイエンス』誌から「2012 Best of What's New」に選出されたり、イギリスの『オートスポーツ』誌が主催する「オートスポーツ大賞」では「パイオニアリング&イノベーション大賞」を受賞するなど、様々なメディア・機関から高い評価を受け海外でも大人気。「(日本でも)見たいという人が多いようなので、今回は無理矢理持って来ました(笑)」と日産の担当者の方が仰るくらい、各方面から引っ張りだこらしい。

日本でも走る姿が見たいですね。

「そう仰る方は多いのですが、現状では出られるレースがないので...」

海外では今後もレースに出場する計画があるのですか?

「今後のことについては、今のところ未定です。ル・マンやアトランタでは賞典外ということで出場しましたが、やはり争う相手がいないとね」

日産が参加されたことにより、このレースカーから市販車にフィードバックされるものもあるのでしょうか?

「エンジンはダウンサイジングの1.6リッター直列4気筒直噴ターボですから、耐久性に関することなど今後市販車に活かせる部分はあると思います。あとアンダー・フロアの空力処理とかね。応用できるんじゃないでしょうか、市販車にも」

ニスモから、このデルタウイングのロード・ゴーイング・バージョンを市販する、なんて話はないですか?

「全然ないです(笑)」

ウインドスクリーンとルーフを付けて、戦闘機のキャノピーみたいに開閉するようにしたら、公道仕様も作れませんかね?

「(笑)」



燃費と速度を同時に「効率」として競えるレースが開催され、他の参加車と争うことができるようになるまで、もしかしたらデルタウイングは実戦から離れることになるのかも知れない。ファンとしてはもう一度ル・マンに挑み、今年こそ24時間を走り切ってもらいたいと思うが、いつまでも「賞典外」という "味噌っ滓" で走らなければならないのではあまりに不憫だ。大金投じて走らせてもそれは「テスト」と「プロモーション」にしかならない。アトランタで残した結果をもって、デルタウイング "第1章" はひと先ず完了というところか。

「他のメーカーにも是非、参加して欲しいですね」という日産の想いが伝わり、エントラントが増えれば、ル・マンではLMP、GTに続く第3のカテゴリーとして面白いレースが見られるようになるかも知れない。

デルタウイング・レーシング・カーズの公式発表によると、最高速度315km/h、0-100km/h加速3.3秒。この速さを1.6リッター直列4気筒直噴ターボで達成するレースカー同士が、24時間の走行距離を競い合うとしたら...。しかもその市販車でもよく見られる規格のエンジンには、各自動車メーカーによる最新技術が投入されているとしたら...。もしもそんなレースが実現したら、ル・マンではLMP1クラスによる総合優勝争いよりも、興味深いことになるとはお思いにならないだろうか。 

なお、日産銀座ギャラリーでは、今週の木曜日1月31日までこのデルタウイングを特別展示している。東京オートサロンで見逃した方は、是非、そちらでご覧になってみてはいかがだろう。実物を目にすると、写真で見る以上に異様な迫力を感じられるはずだ。アクセス・マップや営業時間などについては以下のリンクから公式サイトをどうぞ。


日産銀座ギャラリー「Nissan デルタウイング特別展示」

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