【試乗記】「想像以上にいいエンジン」 3気筒エンジンを搭載したBMW 「1シリーズ」
BMWは昨年9月にパリ・モーターショーで、自動車業界から注目を浴びている1.5リッター直列3気筒ツインパワー・ターボ・エンジン搭載の「コンセプト アクティブ ツアラー」を発表した。今回、ドイツのミュンヘン近郊にある元飛行場で、同型のガソリン・エンジンを搭載した「1シリーズ」に試乗する機会に恵まれたのでお届けしよう。

コードネーム「B38」と呼ばれるこのエンジンは、2012年のパリ・モーターショーにおいて、小さな車体の中に多くの革新的技術が詰め込まれたコンセプト アクティブ ツアラーに搭載されてデビューした。モジュールを共有しながら、3気筒だけでなく、4気筒、6気筒までラインアップされる新しい「エフィシエント・ダイナミック」エンジンだ。将来的には、よりダウンサイズされた1.2リッター版も生産されるだろうが、この1.5リッター3気筒エンジンがBMWグループのプレミアム・コンパクト・カーの今後を担っていくことは間違いない。我々が試乗したプロトタイプには、最高出力177ps/5000rpm、最大トルク1500rpmで27.6kgmを発揮するツイン・スクロール・ターボチャージャー付き3気筒エンジンが搭載されていた。ちなみに、試乗車は時速100kmに7秒で達し、車両重量約は約1360kgだ。

この1.5リッター3気筒エンジンには技術的に注目すべき点が2つある。まず、1気筒あたりの容量を500ccにしたことだ。ちなみに、同じ500cc、3気筒のディーゼルエンジンの開発も進んでいる。BMWによると、エンジン音や少ない振動、効率面を追求した結果、1気筒の容量が500ccになったという。これにより、摩擦の軽減、部品数の減少も実現したそうだ。そして何より、BMW自慢の3リッター直列6気筒エンジンを2分の1にして、1.5リッター3気筒エンジンを開発したことに、BMWらしいこだわりを感じる。また、高精度ダイレクト・インジェクションを採用することでクリーンな燃焼を実現させた。これは、純度の低い無鉛ガソリンを使う機会の多いロシアや中国での販売拡大につながる。BMWは今後、4気筒エンジン搭載車の一部を3気筒エンジンに置き換えることになるだろう。 lead3-bmw-1-series-3-cyl-fd
今回、我々が試乗したプロトタイプは後輪駆動のハッチバック。せっかくの機会だったので、走行中にスロットルを全開にしたり、ギアチェンジをしながらテストコースを数周回ってみた。まず気がついた点は、BMWらしいエンジン音を響かせていたことだ。BMWのエンジニアは3気筒エンジンでもBMWファンが喜ぶエンジン音を出そうと努力を重ねたようだ。マニホールドやマフラーをどのように改造したのかは不明だが、プロトタイプは実にいいエンジン音を出していた。2気筒や3気筒エンジンには独特の中低音があるが、最大ブースト圧14.5psiのツイン・スクロール・ターボチャージャーが加えられたこともあって、心地よいエンジン音となっている。

また、3気筒エンジンと言えば常に問題になるのは、シリンダーバンクとクランクシャフトから発生する振動だ。時にはドライバーをマッサージしているような効果を発揮するかもしれないが、常に続けば不快なのは間違いない。この問題は、逆方向に回転するバランスシャフトをクランクケースの下に通したことで解決。変な振動を感じることはなく、エンジンの回転もスムーズで、なおかつ走行中のレスポンスも良かった。 lead4-bmw-1-series-3-cyl-fd
プロトタイプのトランスミッションは超高効率の8速オートマティック。これは小型の3気筒エンジンにマッチしていた。ドライビング・ダイナミクス・コントロールを操作し、「コンフォート」モードや「スポーツ・プラス」モードに入れて走行してみたが、どのモードでもスムーズな走りが確保された。リミットの7000rpmまで回転数を上げてみたが、極めて快適にドライブできた。また、ゆっくり走っても問題がなかったのは言うまでもない。

この試乗を通して、筆者はBMWの3気筒エンジンが、フォルクスワーゲングループの気筒休止システムより優れていると確信した。BMWのエンジニアによると、吸気バブルのリフトを無段階可変制御するバルブトロニックシステムはシリンダーをオンオフするより、全体的に効率がいい上に、構造的にも複雑でなく、熱問題も少ないという。

また、BMWはコスト面からこのエンジンの構造や部品を共有化するという新たな方針を打ち出している。それは、前にも書いたように同仕様のディーゼルエンジンの開発が進んでいることでも明らかだ。部品の共有を含めると、ガソリン(コードネーム:B38)とディーゼル(コードネーム:B37)で40%近くの部品を共有し、開発コストを抑えることができたという。4気筒や6気筒エンジンでもこの方針は引き継がれることになっている。3気筒、4気筒、6気筒エンジンで共有するパーツが60%を超えることになれば、大きなコスト削減になるだろう。 lead2-bmw-1-series-3-cyl-fd
BMWは2013年半ばからMINIの1.6リッターエンジンを含めたプレミアム・コンパクトカーのエンジンをターボチャージャー付き1.5リッターに置き換えて行く予定だという。また、「BMW iプロジェクト」にとっても1.5リッター3気筒エンジンが果たす役割は大きく、ハイブリッド・スーパーカーの「i8」に搭載予定だ。

試乗を終えて我々は、BMWがダウンサイジング戦略でライバルのメルセデス・ベンツレクサスなどより優位に立ったと感じた。ダウンサイジングの技術で世界のトップとなることはBMWにとって何より重要なことに違いない。

BMWの3気筒ターボエンジンが気に入ったかと聞かれれば、答えはもちろんイエスだ。本当は安っぽく感じたのではないか、あるいは、BMWだからという先入観で見ているのではないかという疑問には、はっきりとノーと言える。この3気筒エンジンはBMWが長い時間をかけて計画をしてきたものであり、BMWにとっては理にかなったものである。従って、3気筒エンジンは今後5シリーズ以下のモデルすべてに採用される予定だ。ただし、我々はBMWが打ちだしている前輪駆動の拡大路線には、疑問を感じている。前輪駆動をMINIだけではなく、BMWのコンパクトカーに導入する必要があるのだろうか。いずれにせよ、BMWがこの新しいテクノロジーをどのラインアップにまで広げていくのか、今後の展開が楽しみである。

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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