現存する唯一の飛行可能なオリジナル・エンジンを搭載する「ゼロ戦」、所沢にて展示中!
Autoblogは自動車情報をお届けするサイトだが、今回は特別に自動車以外のモノをご紹介したい。第二次世界大戦期に世界を相手に大活躍した戦闘機、「零式艦上戦闘機」通称「零戦」だ。そのオリジナル・エンジンを搭載した現存する唯一の飛行可能な機体が3月31日まで、埼玉県の所沢航空発祥記念館に展示されている。

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19世紀末に自動車の製作を始め、それとほぼ同時期からレースで競い合うことによって技術力を磨いたヨーロッパのメーカーに対し、我が国の自動車会社が本格的に乗用車の生産に乗り出したのは第二次大戦後のこと。それでも終戦から僅か13年後の1958年にはオーストラリア大陸一周ラリーで「ダットサン 210型」がクラス優勝、1964年になるとホンダがF1に参戦し、翌年に初優勝を記録している。

日本の自動車技術が敗戦後すぐにそんな急成長を遂げることが出来た背景には、戦時中に戦闘機の製造に携わっていた優れた技術者達が、戦後になってから自動車の開発に関わることになったという経緯がある。つまり、ヨーロッパにおける戦前のレーシングカーと同じような役割を、第二次大戦中に造られた日本の戦闘機は、結果的に果たしたと見ることが出来ないだろうか。それが純粋に技術力を競うものではなく、人の命を奪い合うために造られたという違いはあるけれど、それは使う人間の愚かな事情によるもので、機械自体に罪はない。磨き抜かれた技術の結晶として、今の時代に戦闘機の実物を目にし、国産自動車の発展につながる源流とそれを作り上げて来た人々に思いを馳せることは、決して悪いことではないはず。短絡的な戦争礼賛とは別次元の話としてご理解いただきたい。



そんな第二次大戦中の傑作戦闘機と言われる機体の中で、零戦は最も有名なものの1つだろう。特徴は徹底的な軽量化とそれによって得られた高い運動性能。つまり、そのままレーシングカーのコンセプトと合致することからも、クルマ好きにとって興味深い機体と言えそうだ。開発は三菱重工業が担当。「ランサー・エボリューション」で知られる三菱自動車は、後にこの三菱重工業から独立した。ボルト1本にまで拘った軽量化については、マツダの技術者達がFD3S型3代目「RX-7」の開発時に大いに参考にしたと言われる。とはいえ流石に50年も昔の軽量化技術から直接得られるものがあったというわけではなく、マツダの開発陣が学んだことは技術的なことよりもその軽量化に掛ける執念。これを「スピリット・オブ・ゼロ」と呼び、RX-7の設計において徹底的な軽量化に取り組む作業を「ゼロ作戦」と名付けていたことは有名な話である。

今回、所沢航空発祥記念館で公開されている機体は、当時のオリジナル・エンジン「栄21型」を搭載しており、この空冷複列星型14気筒エンジンの開発・製造は中島飛行機という会社が担当した。また、当時製造された零戦の約6割以上が中島飛行機によってライセンス生産された機体であり、この零戦61-120号機も群馬県にあった中島飛行機の小泉製作所で製造されている。中島飛行機は戦後、アメリカの進駐軍によって企業解体され、エンジンを製作していた東京工場は富士精密工業を経てプリンス自動車へ。伝説を創ったあの「スカイライン」を生み出す。機体を生産していた太田製作所は、現在では富士重工業本工場となり、「スバル BRZ」などを世界に向けて送り出している。ホンダ第一期F1チームの監督を務めた中村良夫氏も、中島飛行機の航空機エンジン開発部門出身だ。



零戦をはじめとする第二次大戦中に造られた戦闘機が、日本自動車産業の歴史と密接につながっていることがお分かり頂けただろうか。所沢航空発祥記念館では、他にも多くの実機を含む航空関連展示物が見ることができ、子供と一緒に楽しめる工夫も凝らされている。零戦が展示される「日本の航空技術100年展」は3月31日まで開催。最後の2日間、3月30日と31日には「エンジン始動見学会」も予定されている。当時のエンジン音を生で聞ける貴重な機会だ。興味のある方は是非、埼玉県所沢市まで足を運ばれてみてはいかがだろうか。4月1日・2日には機体の「解体見学会」も催されるそうだ。こちらは事前予約が必要。今回の展示が終了したら、この零戦はアメリカの「プレーンズ・オブ・フェイム・ミュージアム」に返却されるという。

交通アクセスや開館時間など、詳しい情報は以下のリンクから公式サイトをどうぞ。


追記:その後、3月15日に零戦の公開が8月末まで延長されたことが発表された。これにより4月1日の解体見学会は延期となり、代わりにエンジン始動とタクシング(イベント会場内における短距離滑走)見学会が実施される。また、エンジン始動会もさらに2日間増やされ、3月28日・29日・30日・31日の4日間、開催されるそうだが、第1回の混雑から事前申し込みが必要となり、残念ながらすでに募集は締め切られている。ご注意いただきたい。詳しくは以下のリンクから。


所沢航空発祥記念館 特別展「日本の航空技術100年展」


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