【試乗記】 2012年10月、英マクラーレン・オートモーティブのスーパーカー「MP4-12C」に待望のオープンモデル「スパイダー」が登場した。

約1年半前に発売開始されたMP4-12Cは、全世界で1,500台以上がすでにデリバリーされているが、最大のライバルであるフェラーリ「458イタリア」に比べて米での評価はイマイチ。最高出力は458イタリアが578psなのに対してMP4-12Cは600psと、一見するとMP4-12Cの方が上回っているように思えるのだが、3.8リッターV8ツインターボから発せられるのは思ったより地味なサウンド、滑らか過ぎて刺激の少ない足回りやレスポンス、特別感を感じられない外観など数値よりエモーショナルな部分で期待外れだったという声が寄せられている。

そのMP4-12Cクーペが、3分割油圧開閉式リトラクタブルハードトップを持ったことでいかに変化したのか? 我々はスペインのマラガで2日間試乗し、検証してきた。

【試乗記】
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まずパワートレインだが、最大トルク約61.2kg/3,000-7,000rpmはクーペと変わらないが、最最高出力が従来の600ps/7,000rpmから625ps/7,500rpmへと強化。最高速329km/hを叩き出し、オプションのピレリPゼロ・コルサ・タイヤとカーボンセラミックブレーキを装備すれば0-100km/hは3.1秒。さらに、デュアルクラッチ式7速MT=SSG(シームレス・シフト・ギアボックス)もクラッチコントロールやシフト制御が高速化されるように改良され、不評だったエギゾーストサウンドも以前より迫力を増している。

実のところ、マクラーレンはスパイダーの開発と同時に、クーペにも2013年モデルからこれらのアップグレードを施している。つまり、スパイダーはMP4-12C自体が正常進化し、ルーフが開閉式になったモデルと言った方が正しいだろう。

重量もオープントップシステムを追加しているにも関わらず、クーペの1,434kgから1,474kg(DIN値)とたった40kgしか増えていない。ちなみにこれは、フェラーリ「458スパイダー」の車重と比べると75kgも軽いという。

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通常、車をオープン化する場合、フレームやシャシーに補強が必要となり、重量増加となるのだが、MP4-12Cは構造体に圧倒的な剛性を持つカーボンモノセルと呼ばれるカーボンファイバー(CFRP)製シェルを使用しており、尚且つもともとルーフを切り離しても剛性が低下しないような設計になっているという。マクラーレンが「ルーフシステム以外、シャシーなどの基本構成部分は何も変更していない」と発表した際、我々はにわかにはそれを信じられなかったが、6年前の開発当初からスパイダーを考慮した設計が背景にあったのだ。

その一方で、まったく変わっていないわけではない。車体後部のルーフ格納スペースがクローズ時には52リッターのラゲッジスペースになるなど、細かな点でスパイダーはパッケージングが改善されている。

【試乗記】【試乗記】
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乗り込んでみて改めて感じたのは、そのドライビングポジションとシートの座り心地の良さだ。おそらく世界中のスーパースポーツカーの中でも最も優れていると言っても過言ではない。インテリアのレイアウトに関しては、デュアルゾーンオートエアコンのスイッチがウィンドウ開閉スイッチと一緒にドアのアームレストに配置されているのが特徴的だろう。2シータースポーツカーのような限られた空間の車において、これはスペース効率を高める画期的な発想だ。その上、センターコンソールをスリム化し、シートを中央に寄せたことで、ドライバーは車の大きさを把握しやすくなり、非常に運転がしやすい。加えて、フロントに235/35 ZR19 91Y、リアに305/30 ZR20 99YのピレリPゼロのタイヤを装着したことで、厳しい道路状況でも安心して運転することができた。

もちろん舗装道路では、アクティブサスペンション「プロアクティブ・シャシー・コントロール」によってロールが制御され、乗り心地は抜群。また、センターコンソール上に備えられたダイヤルスイッチでパワートレインのレスポンスととサスペンションをそれぞれノーマル/スポーツ/トラックの3モードから選択することができ、例えば交通量が少なくちょっと楽しみたい時にはサスを「スポーツ」、パワートレインを「トラック」モードに、リラックスしてのんびり走りたい時は両方とも「ノーマル」にしてフルATと組み合わせるなど、気分や状況に応じた自分好みの走りをすることが可能だ。

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このシステムの快適性はマクラーレン最大の強みであり、これまで458スパイダーやポルシェ「911」など名だたるスポーツカーに試乗してきたが、ロングドライブでこんなに楽に運転できたのは初めてかもしれない。おまけに、深いウィンドウスクリーンと細いAピラーのおかげで前方と左右の視界が良いため、車のノーズ先まで見渡せるし、右左折の際にも身を乗り出したりする必要がない。つまり自分の周囲で何が起こっているのかをドライバーは把握しやすく、ハンドリングも優れているため、車をしっかりとコントロールしているという大きな安心感があるのだ。

さらに、コーナリング時にはアンダーステアを抑制する「ブレーキステアシステム」が働き、高速でコーナーに進入してもスタビリティが失われず、クイックなレスポンスでスムーズな立ち上がりを見せる。


改良されたエギゾーストサウンドも、ドライビングを心地良いものにさせてくれた。しかもスパイダーはクーペ以上にその恩恵を受けることができる。時速30km以下であれば17秒以下で開くルーフをオープンにしてCピラー横にあるリアウィンドウを下げれば、3.8リッターV8エンジンの力強いサウンドがキャビンに流れ込んでくる。我々は「トラック」モードとマニュアルシフトを選択して、長いトンネルを見つけては無駄にシフトダウンしたり、スリルを求めて急加速を行ったが、8,500回転まで回した瞬間には、まるでモナコグランプリのコースを走るF1ドライバーのような気分だった。

しかしオープンならではの欠点もある。ルーフとウィンドウを全開にして時速約130km以上で走行したときの風の巻き込みとノイズは到底受け入れがたいものだった。リアウィンドウを上げれば、それがディフレクターの役目を果たしてノイズは最小限に抑えられるが、スパイダーのオーナーならばエンジン音を楽しむために下げたいところ。つまり、高速走行時の最適なセットアップはルーフを閉じてリアウィンドウを下げている状態なのだが、それではせっかくのスパイダーが台無しだ。

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最後に、GPSナビゲーションシステムやオーディオ、通話機能を搭載したオンボードディスプレー「IRIS」だが、試乗時は時々ナビにバグが発生していた。実際は素晴らしいグラフィックスと高速インターフェースを備えているという。

【試乗記】 MP4-12Cの誕生からわずか2年。名門F1コントラクターの名に恥じないスーパーカーとなったMP4-12Cスパイダーは、掛け値なしに素晴らしい車だ。ただし価格は、標準モデルが約2,240万円と、458スパイダーの2,170万円(ともに米での価格)に対してちょっとお高めとなっている。日本への上陸は2013年初旬を予定。マクラーレンは、MP4-12Cを購入するカスタマーの95%以上はスパイダーを選択するだろうと大胆な予測をしているが、あながち外れていないかもしれない。それだけMP4-12Cスパイダーは魅力的なクルマなのだ。

またマクラーレンは、今後も短いスパンで新モデルを投入していくと述べており、言葉通り2013年半ばには次世代スーパーカー「P1」がお披露目されると見られている。こちらも最新情報を見逃さないよう要チェックだ!

【基本情報】
エンジン:3.8リッターツインターボV型8気筒エンジン
パワー:625ps / 61.2kgm
トランスミッション:7速デュアルクラッチ
0-100km/h:3.1秒 最高速度:329km/h
駆動方式:後輪駆動 車両重量:1,474kg(DIN値)
座席数:2
トランクルーム容量:196ℓ
燃費:10.3km/ℓ(欧州複合モード)
メーカー希望小売価格:2,240万円から(日本価格3,000万円)

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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