10月20・21日に東京・お台場で開催された「モータースポーツジャパン2012フェスティバル」の中から、今回は「レプリカカー・コンテスト」の出展車をご紹介したい。モータースポーツ好きの一般オーナーが、ラリーやツーリングカー・レースなどの出場車両そっくりに市販車を仕立て上げ、その完成度やアイディアを披露するイベントだ。


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まずは王道そして力作の「スバル インプレッサ WRX」。2003年のPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権) ニュージーランドで、新井敏弘選手がドライブして見事優勝を飾った、2代目インプレッサのレプリカ車だ。ボディ外装やスポンサー・ステッカーのみならず、車内には14点式ロールケージやラリー・コンピューターなど、本格的な競技用パーツを多数装備。オーナーは実際にこのクルマでラリーにも出場されているそうだ。


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こちらは「フォード・エスコートRSコスワース」。日本には正規輸入されなかったが、ラリーが好きな人たちには人気が高いモデルだ。ヨーロッパ・フォードの主力小型車「エスコート」に、コスワースが開発したエンジンと4輪駆動システムを搭載。その開発目的はもちろんWRC(世界ラリー選手権)で勝つため。このクルマは1996年のインドネシア・ラリーでカルロス・サインツが優勝した車両をレプリカしたそうだ。蛍光オレンジが眩しい「レプソル」カラーはシートではなく、塗装で仕上げたもの。OZレーシングのマグネシウム製15インチ・グラベル用ホイールを使用するなど、細部にも拘りが感じられる。派手なリア・ウイングはラリーカー専用装備ではなく、一般ユーザー向けに販売されたいわゆる「ラグジュアリー仕様」にも装着されていた。


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ワイド・ボディが迫力の「プジョー 206 WRC」は、2000年のツール・ド・コルス仕様。ただし優勝したジル・パニッツィではなく、年間チャンピオンを獲得したマーカス・グロンホルム車をレプリカしたとのこと。当時販売されていたFRP製のボディ・キットを装着していると思われるが、その状態は新車のよう。シルバーの塗装が非常に美しかった。コクピットにはロールケージや競技用シートベルト等はもちろん、ラリー・コンピューターに消化器まで装備されており、センターコンソールには各種スイッチ類が並んでいた。仕上げも雰囲気もかなりレベルが高い1台。


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そしてこちらはラリーカーとしては珍しい「ホンダ シビック」。イタリアのJASモータースポーツから、2008年のモンテカルロ・ラリーにルカ・ベッティのドライブで出場した車両を、DIYでレプリカ製作したそうだ。ルーフ・ベンチレーターは「断熱材を削ってパテで固めた」もの。フロントのアンダー・スポイラーは「L字コーナーガードを組み合わせた」という。ロールバーはなんと「雨どい」だとか。オーナーのコメントには「なんちゃって仕様です」と書かれていたが、アイディアと手間と愛情を存分に注ぎ込んだその姿はなかなか魅力的。実際に競技に出場するわけでないのなら、割り切ってその発想と作業を楽しむのも "アリだな" と思わせてくれる。

さて、ここからはさらにオーナーのアイディアが光る、ユニークなクルマを続けてご紹介しよう。


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イエローのボディが鮮やかな、スズキの「スイフト」...ではなく、よく見たら「スプラッシュ」。日本で販売される車両もハンガリーで生産されているスズキのコンパクト・カーだが、そのヨーロッパ向けとも言える足回りの味付けは高く評価されている。とはいえスプラッシュがワークス・チームから公式にラリー参戦したという事実は聞いたことがない。オーナーの方にお話を聞いてみたら、このクルマは「もし、2011年のフィンランド・ラリーにスプラッシュが参戦していたら!?」という架空のレプリカなのだそうだ。Agip改めEniのトレードマークである「火を噴く6本足の犬」を描いたカラーリングが実にキマっているが、これもオーナーの独創。しかも全てご自身が作業されたそうで、費用は約3万円で済んだとか。もとのボディ・カラーはブルーだったので、まず黄色のシートを全面に貼り、それからスポンサー・ロゴなどを自作して貼り付けていったという。ルーフのエア・スクープは「100均ショップで売られている器から型を取ってFRPで作った」そうだ。赤いマッド・フラップも、メッシュのフロント・ロアグリルも自作だという。「2011年のフィンランド・ラリーには162番までしかエントリーがないので、これは架空の163号車」という洒落も効いている。


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こちらは1992年のパリ〜モスクワ〜北京ラリーに参戦した「三菱 パジェロ プロトタイプ」を、二回り小さな「パジェロ ミニ」でレプリカしたという車両。総合2位に入賞したアーウィン・ウェバー選手仕様だそうだ。オーナーはこのようなカッティングシートやデカールのオーダーメイドを専門とする「デカルコ」というショップを埼玉県で経営されている方。美しいロスマンズ・カラーは流石にプロフェッショナルな出来映え。昨年ご紹介したアリタリア・カラーのトヨタ・セラは、こちらのショップで10年も前に施工したものだとか。他にもこの日展示されていた多数のレプリカ・カーを手掛けていらっしゃる、その筋では超有名なショップなのだ。フロント・ガラス上部の通称「ハチマキ」と呼ばれるステッカーや、リアおよびリア・サイド・ウインドウのカラーリングは、よく見ると無数の小さな穴がパンチングされているシースルー・メッシュ加工となっており、車内から問題なく外が見えるという。


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そして会場で一際異彩を放っていた「三菱 ミラージュ RS」。今まさにダート・コースを走って来たばかりに見える泥だらけの姿は、実は模型などでいうところの「ウェザリング」。つまり、敢えて "汚しを施した" ものらしい。オーナーの方によると、その "技法" は「バケツで泥水を作って掛けただけ」と言うが、所々に草が引っ掛かっていたりして、その雰囲気には絶妙なものがある。聞けば、もとは実際に競技に出場していた本物のラリー仕様車だそうで、その貫禄に納得。「シャシーにクラックが入っちゃってるし、ミッションもガタがきているので引退した車両」だそうだが、今でも「普段のアシに乗っている。これでコンビニにも行く」そうである。興味を示す子供達を、気軽に運転席に座らせてあげていた。「これでもう55人目」。未来のクルマ好きたちに大人気。三菱のミラージュというクルマは今年になって復活したが、また是非ともこんな「泥だらけの姿」が似合うモデルも復活させて欲しいところだ。

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最後に "番外編" として "本物" を。「GVB」型と呼ばれる現行型「スバル WRX STI」の4ドア・モデルとしては、初めて出場した国際ラリーである今年のアジア・パシフィック・ラリー選手権第5戦北海道ラリーにおいて、新井敏弘選手のドライブで総合優勝に輝いたマシンだ。WRカーのレプリカを散々見た後ではややもすると地味にさえ感じてしまうグループR4仕様ではあるが、ボディ左側面をヒットした傷跡が、競技の過酷さを物語る。



レプリカとはいえ、オーナーの皆さんが愛車に注ぐ情熱は紛れもなく本物。それをストレートに感じることができる楽しいイベントだった。リアルさを追求するにしても、あるいは独自のアイディアで勝負するにしても、何しろすぐ近くの会場には実際にモータースポーツで活躍した歴戦のマシンが展示されているわけだから、生半可な出来映えではとても見るに耐えない、恥をかくだけという事態に陥る危険がある。それだけに、出展車はどれを見ても力作揃い。そしてクルマだけではなく、オーナーの皆さんが見物に訪れた人々と気軽に言葉を交わされている姿も印象的だった。興味を持たれたら、来年は是非会場に足を運んでみることをお勧めしたい。クルマの愉しさを再発見できるかも。

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