【試乗記事】「F12ベルリネッタはフェラーリ史上最高傑作のモデル!」 

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新世代のV12気筒モデルにして、跳ね馬を付けたモデルの中では最速のフェラーリF12ベルリネッタ」。米国での販売開始は2013年2月末の予定で、ちなみに、日本は現在予約受け付け中だ。搭載されている自然吸気のV12は、8250rpmでの最大出力は740ps、毎分6000回転時の最大トルクは70.3kgmを誇る。0-100km/h加速のオフィシャルタイムは、3.1秒なのだが、実際に乗ってみると0.3秒だと言ってもいいくらいとてつもなく速く感じる。

しかし、スピードについて語ったくらいでは、F12ベルリネッタを理解したことにならないので、早速その特徴について見てみよう。

フェラーリ・スタイリング・センターとピニンファリーナのコラボレーションよってデザインされたと言われているボディは、すべてアルミ合金製。フェラーリのシニア・エキスパートは「車体前方3分の2は、ピニンファリーナの空気力学的フォルムの流れをくみ、後部3分の1はフェラーリ・スタイリング・センターの特徴が出ている」と語る。この両者の集結により、空気力学的に理にかない、しかも美しいフォルムが作り上げられたのだ。

しかし、F12のお披露目となった昨年3月のジュネーブモーターショーで見たときは、新色のロッソと呼ばれるボディカラーのせいかもしれないが、やや懲りすぎているという印象だった。しかし、改めて目にしたF12のボディは、自己主張をしすぎることなく、試乗場所となったイタリアの風景の中にきちんと溶け込んでいる。ボディサイズはかなり大きく見えるが、実際は前世代の「599GTB フィオラノ(日本では商標の関係から単に「599」と名乗る)」よりも、全長は47ミリ、ホイールベースは30ミリ、車高は63ミリと全てサイズダウンしており、クーペにとって最も大切な重心高も25ミリ低くなっている。言うまでもなく、これはエアロダイナミクスに大きなアドバンテージを与えてくれる。
【試乗記事】「F12ベルリネッタはフェラーリ史上最高傑作のモデル!」 
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まずボディについて述べたが、乗り心地とステアリングは「素晴らしい」の一言だ。最大トルク70.3kgmを誇る車だけに、騒々しくて扱いづらいと思っていたが、F12はそんな想像をあっさりと裏切った。例えば、BWIグループ社製の最新のSCM-E磁性流体ダンパーや、ステアリングについている5つのモードをセッティングするマネティーノ・スイッチ。コーナリング中のステアリング操作を最小限に抑える11.5対1という超クイックなステアリングレシオなどなど。ドライバーが常にドライビングに集中できるよう作られていて、しかも7速のデュアルクラッチ式ギアボックスは599に比べ平均で20パーセントも速く反応する。運転していてスムーズさを覚えるのは当然のことだろう。

ところで、試乗した当日は、朝から雨が降っていて非常にがっかりしたが、午後には雨も上がり、午前中のうっ憤を晴らすべくフェラーリ本社のあるマラネロ市の南に位置する丘陵地帯で、12気筒本来の力を試してみた。こんな日に後輪駆動のF12をスポーツモードで走らせることは、フェラーリとしては感心しないだろうが、ミシュラン製のパイロットスーパースポーツタイヤ(前輪255/35 ZR 20 、後輪315/35 ZR 20)を履くF12は、ただただソリッドな走りをみせてくれた。どれだけパワーをかけても駆動力を適正に制御するE-Diffシステムが常に働いているからだろう。
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F12のV12エンジンは、「599」や「575Mマラネロ」のものとは全く違い、今までのフェラーリのどのエンジンとも比べることは出来ない。フェラーリ社が所有するテストコース、フィオラノサーキットでF12が出したラップタイムは1分23秒。これはあの「エンツォ」の記録を2秒も縮めている。私は試乗を初めてすぐにF12が、SUPER GTに参戦しているマシンとほとんど変わらない性能を持っていると感じた。つまり、いま一般道を走っているアメリカやイギリス、ドイツの車と比べるなどということはまったくナンセンスなのだ。

そもそもF12の開発は、フェラーリ内でF152というプロジェクトコードネームを与えられ、2009年から始められた。しかし、2007年にフェラーリは、今後開発していくモデルは「軽量化を追求する」と発表しており、F12の開発もこのコンセプトのもとに行われ、自動車部品分野では初めて使用されるものを含む12種類のアルミ合金がスペースフレーム・シャーシとボディシェルに使用されている。結果、総重量は1630kgとなり、599より80kg軽くなっている。ちなみに、最大出力700psのランボルギーニ「アヴェンタドール LP700-4」と比べても約91kg軽い。F12がいかに軽量化されたのかが分かるだろう。
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このアルミニウムの技術は、総重量を軽減しただけではなく、ねじれ剛性を20%も向上させている。ボディシェルの厚みは599と比べ、平均で20%薄くなっているにも関わらずだ。

次は、ステアリング・ホイールに注目した。主要な操作系はすべてここに配されているので、極めて使いやすい。走行モードをWet、Sport、Race、 CT Off and ESC Off.に切り替えることができる前述のマネティーノ・スイッチもステアリングの右下の部分に設置されている。フェラーリがマネティーノ・スイッチを採用してから時間が経ち、他メーカーも似たようなシステムを採用しているが、いまだにフェラーリのものが一番使い勝手がいい。モードの切り替えによるスロットルや足回りの変化をきちんとドライバーが感じることができるからだ。
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パワートレインは、6.3リッターの直噴式F140CFCエンジンで、最高回転数は8700rpmを誇っている。いままでの12気筒よりもサイズがコンパクトになり、低重心化と室内スペースを追求するため高度なトランスアクスル構造が取り入れられている。エンジン音は、うるさすぎず、キャビンの内外に心地よく響く。その証拠に、歩行者からは一切冷たい視線を浴びなかった。
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7速のデュアルクラッチ式ギアボックスは、マネッティーノ・スイッチがどのモードに入っていようが、ドライバーのアクセルの踏込み具合を即座に感じ取り、スムーズにシフトを入れてくれる。これは、ECU(エンジンコントロールユニット)が常にエンジンの回転数をモニタリングし、シフトアップやシフトダウンのときにエンジンの回転数を合わせているからだ。このステムのおかげで、何も考えずにギアチェンジが出来、いつでもシームレスに加減速が出来た。

私は試乗前、さっきまで走っていたような田舎道では、サスペンションの粗が出て、乗り心地の悪さを指摘することになると思っていた。ところが、フロントがロア・Lアーム、リアがマルチリンクという伝統的なダブル・ウィッシュボーン・サスペンションは、想像以上にしっかりと動き、車内に不必要な振動や音を感じさせなかった。前世代のBWI製ダンパーもよかったが、この最新式のサスには、目を見張るものがあるといえる。これらに加えてブレンボ社製のカーボン・セラミック・ブレーキも、素晴らしい出来だ。時速200km以上からでも、あっという間に止まるという感じを受けた。「F12は日常生活で使用しても問題ない車か」と問われれば、私の答えはもちろん「イエス」だ。
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こうやってF12のダイナミクスに気を取られているうちに、ずいぶんとステアリング操作に慣れてきた。最初の1時間は、あまりのクイックさに終始驚いていた。ステアリング・アングルがいままでよりも32%も軽減されているので、最初は誰でも戸惑うはずだし、決して万人受けはしないだろう。しかし、山道でいくつものヘアピンカーブをいくつもこなしているのに、私はこのステアリングの虜になってしまった。

エクステリアで目を引くのは、「エアロ・ブリッジ」と呼ばれるボンネット中央のインテーク部の両脇にある盛り上がりだ。エアロ・ブリッジは前面の空気を車両上部から左右の振り分け、そのまま側面に誘導。より多くのダウンフォースを発生させる。この効果により、F12のエアロダイナミックとダウンフォースは、599とは比較にならないほど向上しているという。つまり、F12は今までのフェラーリよりもハイスピードでの走行時に安定感があると言うことだ。


フロント下部左右にあるエア・インテークも気流の調整に大きな効果を上げている。センサーがフロントブレーキのクーリングが必要と判断した場合は、メタル製のふたが自動的に開くようになっている(時速40kmまでの走行では、このふたは閉まっている)。

キャビンは、スペース、マテリアルとも目立った変化はない。今回試乗したF12のシートはスタンダードスポーツシートだったが、デイトナ風のデザインと、イタリア高級家具メーカーのポルトローナ・フラウ社製のレザーが使用されていた(オプション仕様)。個人的には、「458イタリア」に使用されているようなもっとぴったりと押さえつけられるようなスポーツタイプのシートの方が好みなのだが、このシートはF12には設定されていない。ところで、サテライトナビゲーション付きのオンボードコンピューターは、まだまだ開発の余地がありそうだ。あまり使わなかったのだが、このサテライトナビは非常に使いづらい。フェラーリもこれを認めていて、現在メーカーと一緒に改善につとめているという。
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F12のすばらしさに気を取られて危うく忘れるところだったが、ここで少しお金の話をしよう。驚くことに、F12の燃費は 599に比べると30%もよくなっている。フェラーリを買うような人はそんなことを気にしないかもしれないが、ガソリンスタンドに頻繁に行かなくて済むことは、お金持ちにとってもいいことだろう。そして気になるお値段だが、米では2600万ぐらいになると噂されていただが、どうやら2450万円前後(31万ドル)になるらしい。

私は今回の試乗でF12ベルリネッタは、フェラーリ史上最高傑作のモデルと感じた。しかし、フェラーリはこれで満足するような会社ではない。800ps以上になると噂されている新世代エンツォが、2013年にお披露目されると噂されている。もしかすると新型エンツォはF12よりも素晴らしいモデルになるかもしれない。しかし、F12でのドライビングは私にとって間違いなく一生の思い出のとなるものだった。

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基本情報(F12ベルリネッタ)

エンジン: 6.3リッター 65°V型12気筒
パワー: 730ps/70.37kgm
トランスミッション: 7速DCT(デュアルクラッチ)
0-100km/h加速: 3.1秒
最高速度:340km/h以上
駆動方式: 後輪駆動
車両総重量: 1630kg
座席: 2シータ-
価格: 2450万円から(米国での予想価格)

By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー