スバルのモータースポーツ活動を統括するSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)は、10月21〜22日に東京お台場で開催された「モータースポーツジャパン 2012 フェスティバル」において、コンプリートカー「レガシィ 2.5i EyeSight tS コンセプト」を披露した。STIが手掛けるコンプリートカーとしては、初の自然吸気エンジン搭載モデルである。

ベースとなったレガシィは、2012年5月にマイナーチェンジされた通称「D型」の中でも、新世代ボクサー・エンジン「FB25」型を搭載する主力グレード「レガシィ 2.5i EyeSight」。2498ccの排気量から最高出力173ps/5600rpmと最大トルク24.0kgm/4,100rpmを発生する水平対向4気筒エンジンはそのままで、主にサスペンションやシャシーにSTI特製パーツを組み込み、「気持ちよい」と感じるハンドリングの実現を狙ったコンプリートカーであるという点は、過去に「tS」の名前を冠して限定発売されてきた歴代モデルと共通だ。



しかしこれまでの「tS」では、専らターボ・エンジン搭載モデルがベースに選ばれてきたことに対し、今回発表されたレガシィは「2.5GT」や「2.0GT DIT」というターボ・モデルが2グレードも存在するにも関わらず(2.5GTベースのtSは、2010年に発売されたことがある)、自然吸気エンジン搭載の「2.5i」をベースにしている。これはSTIにとって初の試み。その理由をSTIの担当者の方に尋ねてみた。

どうして今回は、ターボではなく、敢えて自然吸気エンジンのモデルがベースに選ばれたのでしょう?

「現在レガシィというクルマをお選びになって乗られている方には、若い頃はWRXなんかに乗っていたけれど、今となってはもうターボはいらない、もっとはっきり言えば奥さまがハイオク仕様のクルマなんて許してくれないとか(笑)、でもハンドリングに関してはSTIがチューンしたしっかりしたクルマに乗りたい、そういう方が結構大勢いらっしゃるわけです。そういうお客様に向けて、NA(自然吸気)でもレベルの高いハンドリングが楽しめるクルマを作ってみようと、そういうことで今回は2.5iをベースに選びました」

具体的にはどのようなチューンが施されているのでしょうか?

「まだ実は正式発表前なので、はっきりしたことは言えないのですが...」

外観で見て分かるところは、フロントのアンダー・スポイラーと、サイド・スポイラー、それにマフラー、あとはタイヤとホイールでしょうか。

「サイド・スポイラーはオプションということにしました。なぜならこれは横にちょっと出っ張るので、特に女性にとって乗降性の妨げになると感じられる場合がありますから。この(ボディ・サイドに貼られている)ストライプもオプションです。やっぱり、派手過ぎるって思う方もいるかなと(笑)。タイヤ(225/45R18サイズのポテンザ RE050A)はラインにあるものと一緒(S Packageに標準装備)ですが、ホイールはSTI製の軽量ホイールを装備しています」

マフラーも違いますよね?

「マフラーは、ノーマルの2.5iは楕円のシングルですが、これは丸形デュアルが左右2本出しになっています。これ、実はボディ側のハンガー部分の形状が違ってくるので、富士重工にこのクルマ専用のボディとして作ってもらっています。だからこのマフラーだけをノーマルのレガシィ2.5iに付けようとしても、付きません」



内装はやはりチェリーレッドのスティッチが入っていますね。シートも専用ですか?

「シートは、形状はノーマルと一緒ですが、表皮が専用です。シートバックと座面は滑りにくい生地を採用して、サイドはレザーとなっています」

カーボンファイバー調のパネルがシルバーなんですね。

「これもラインで専用に組み付けてもらっています。単なる格子ではなくて、光の当たり具合で立体的に見えるようにデザインされているんですよ」

tSというコンプリートカーとして開発されているわけですから、シャシーとか足回り等もちろん見えない部分も色々と手が入っているわけですね?

「正式発表前なので詳しくは言えませんが...もちろんこれまでのtSと同様に、フレキシブルタワーバーをはじめとするパーツが装着されています」

価格はまだ言えないとは思いますが(笑)、ターボより高くなっちゃいます?

「いや、(ノーマルの)ターボを買うか、それともこっちを買うか、という感じでしょうか」



STI製のパーツはホイールにしても、アンダー・スポイラーにしても、先ほど仰っていましたフレキシブルタワーバーなども、それぞれパーツとして販売されていますが、それらを自分で買って取り付けるよりはお買い得になります?

「いやぁ、それはもちろん。(STI製パーツを)全部買ったらとてもこんな値段じゃ済みません」

このレガシィ tsですが、乗るとすぐにノーマルとの違いは分かりますか?

「すぐ分かります。ブレーキ踏んだだけで違います。ノーズダイブはするんですけど、例えばノーマルだとこうなる( ‾‾ ⇒ \)としたら、このtSはこう( ‾‾ ⇒ ー )です。まあ、あんまり言うと富士重のベース車がよくないって言ってるみたいに思われちゃうけど(笑)」

例えばスバルから新しいクルマが発表されたとき、STIの方が乗ると、もっとここはこうしたいとか思われるわけですよね?

「当然思います。それはやっぱり、メーカー製のクルマは誰が乗っても問題ないように作らないといけないわけですから。でも我々のコンプリートカーですと、"こういう人はわざわざSTIのクルマを買わないだろう" と思われるようなユーザーのことは想定せずに作れるわけです」

このレガシィはSTIコンプリートカー初の自然吸気モデルということですが、今後は他の自然吸気エンジン車、例えば現行型「インプレッサ」にもtSが登場する可能性は高いということでしょうか?

「それも考えてはいますが、今後発売されるターボ車と同じくらいの値段になっちゃうと、それが受け入れられるか、という問題があります。やっぱり、今までターボばかりだったのもそういう理由なわけですよ。ターボと同じくらい高くなった自然吸気のクルマに市場があるのか、という懸念がどうしてもありました。でもレガシィのお客様は、お金(価格)は問題じゃないという方が多いんです。だから今回(自然吸気で)やってみたというわけで、今後のことはまずこのクルマを出してからですね」

あるいは逆に、レガシィには2.0GT DITという魅力的なターボ・モデルもあるわけですが、そちらに関しては?

「そっちも考えています。ターボはやらない、というわけじゃありません」



価格=パワーだけではない、と "解っている" 顧客が多いレガシィだからこそ、可能になったといえる自然吸気エンジンのSTIコンプリート。この日は名前に「コンセプト」と付いてはいたが、市販されることはもう確定済みで、間もなく価格や詳細な仕様についての正式発表があるという。ツーリングワゴンだけではなく、4ドア・セダンの「レガシィ B4 tS」も用意されるそうだ。

色々な面で "オトナ" なスバリストの方にとっては、注目に値しそうなモデルである。


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