【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
昨年の10月、BMWは6代目となる3シリーズの新型車(コードネームF30)を発表した。前作から6年の月日を経てやっとリリースされた新型の4ドアセダンは、エントリーレベルの高級車として大きな期待を背負ってデビューしたが、果たしてその実力は前評判通りなのか? 今回は新型3シリーズの乗り心地を徹底的に検証してみよう。

BMWの3シリーズは1975年の発売以来、同社の主力モデルとして常に人気を博してきた。近年はAudi「A4」メルセデス・ベンツCクラスレクサス「IS」、「Infiniti G」、これから発売されるキャデラック「ATS」など、多くのライバルの出現により、かつてほどの勢いは見られなくなっている。しかし、これまで累計1250万台を売り上げ、コンパクトスポーツセダンというジャンルを確立した3シリーズは、新型でも王者の風格を見せつけてくれた。

今回我々が試乗を行うスペインのバルセロナでは、2台の3シリーズが待ち受けていた。ターボ・ディーゼル搭載の新型「320dエフィシェント・ダイナミクス」と、直列4気筒ツインパワー・ターボテクノロジーを搭載した「328i」だ。どちらに乗るか迷うところだが、我々は先代の3シリーズ(E90 M3)をほうふつさせるメルボルンレッドの328iをチョイス。同車には、3シリーズに新たに加わったというオプションがいろいろと装備されており、その中のいくつかはこのセグメントのモデルとしては初になるという。328iの最大の変化は、トランスミッションが6速ATから8速ATになったことだ。新型では6速を1:1のレシオに設定。7速、8速は高いギヤ・レシオとなっており、高速走行中の消費燃料を押さえるのに有効だ。さらにこの新型のギアボックスは、旧型のものと重量が変わらないという。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ

BMWは今後6速MTの採用を止めるわけではないが、現在のところ328iは8速ATのみ。7200-rpm以上の回転域をぜひマニュアルで楽しみたかったのだが、これは残念なことだ。どうしてもマニュアルが欲しいという人は、特別にオーダーするしかないだろう。とはいえ、8速のATはもちろん高性能だし、シフトパドルによるシフトチェンジは指先でスムーズに行える。そしてなにより、スポーツ・プラスモードにすれば、マニュアルよりも早くシフトチェンジを行うことができ、さらに燃費もいいとのことだ。

我々の目の前に用意された328iは、オプションのドライビング・ダイナミック・コントロール、スポーツ・ステアリング、Mスポーツ3スポーク・ホイールにシフトパドルを装備している特別車だ。我々は、19インチのブリヂストン・ポテンザ(225/40 フロント, 255/35リア)を履いたこのマシンで、その性能とスペインのアスファルトとの相性を確かめてみるつもりだ。




新型3シリーズの試乗コースは、スペインの海岸通りから内陸に向かうハイウェイに決定。このハイウェイは素晴らしい景色が続き、飽きることがない。2リッター「N20」型ユニット、8速AT搭載のマシンを試乗するのに、これ以上のロケーションは無いだろう。特にカタロニア地方のカーブを高速で駆け抜けることができたら、我々の"愛情メーター"が急上昇するに違いない。そんな期待を込めて、オプション満載の328iで出発した。すると、先代のE90よりも断然進化した328iの性能に我々は驚くことになった。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
乗り心地を語る前に、標準モデルを例に旧型からの改良点をいくつか挙げてみよう。まずバンパーの端から端までは約94mm大きくなり、ホイールベースは約51mm長くなっている。表記するほどではないが、ルーフの高さも上がっているとのこと。また、フロントトラックは約38mm、リアトラックは約48mm広がっている。BMWのエンジニアは、E90より約40キロもの軽量化を実現しているにもかかわらず、車体の強度は約10パーセントも向上させたという。これらの改良は、運転を初めてすぐに実感することができた。

前方が空きはじめたので、早速328iスポーツラインのお手並み拝見といく。まずはスポーツ・プラスモードをオンにし、ドライビング・ダイナミック・コントロールのスイッチを切らないで、スタビリティー・コントロールをオフにしてみる。さらにトラクッションコントロールのスイッチをオフにして走行。アンダーステアは減少されたが、 E90の「335i」や「M3」と比べると足元が少し頼りない感触がある。しかし、テールが少し外へふくらんだ時には、重い感触のあったE90よりもスポーティで満足のいくレスポンスが得られた。結果として、我々が予想していたよりもこの新しい3シリーズのハンドリングは、旧型より良くなっているということが分かった。

我々が試乗した車はMスポーツ・サスペンションを装備しているため、シャシーが約10mm下がり、それによりスポーティなドライビングが可能となっていた。比較対象が無いのが残念だが、おそらくM、AMG、RSのオーナー以外は、328iをベストなスポーティーセダンだと言うに違いない。それくらいこの3シリーズの新型車は、バランスの良い車だ。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
328iのパワートレインは、ツインターボチャージャー(ツイン・スクロール・ターボチャージャー)のおかげで、ターボラグもなく効率的に高出力を発揮することができる。スロットルの反応は、非常に滑らかでスムーズだ。0-100km/hは約5.9秒とのことだが、感覚的にはもっと速いという印象を受ける。最大トルクは35.9kgm。そしてこの最大トルクはわずか1250rpm から発揮され4800rpmまで変わらないという。また、主に合成アルミを使用したブレーキ板とシングルピストンのフローティングキャリパーの組み合わせは、我々の強気なブレーキングにも遅れることなくしっかりと応えてくれた。この他にも4ピストンのMスポーツブレーキがオプションとして用意されている。

ここまで見てきて、批判すべき個所といったらアイドリング時や加速時のエンジンのサウンドだろう。アイドリング時は、高性能な直噴エンジンが出すモーターとエキゾーストのサウンドがほんのわずかしか聞こえてこない。加速時も、4気筒のエンジンらしいなんともスムーズなサウンドなので、おそらくエンジンの音に気づかないドライバーもいることだろう。今回の新型車の登場で、姿を消してしまった3リッター、直6自然吸気のサウンドがなつかしい。もしパワフルなエンジン音が聞きたいのなら、335i(日本では現在のところ未発売)を選んだほうがよさそうだ。ブレーキ・エネルギー回生システムとエンジン・オート・スタート/ストップ機能が付いた328iセダンの燃費は、 BMWの発表によると市街で9.8km/ℓ、高速道路で13.6km/ℓとのことだ。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
クーペとコンバーチブルが3シリーズというモデル名から4シリーズへと変わるという状況下で、BMWはどうしても3シリーズのセダンを際立たせたかったのだろう。何としても3シリーズを大ヒットさせようというBMWの意気込みが伝わってくる。モデルラインを、ベーシック、スポーツライン(赤と黒がアクセント)、ラグジュアリーライン(ハイグロス・クローム仕上げ)、モダンライン(シルクのようなアルミの仕上がり)、そしてMスポーツと豊富に展開し、それぞれのラインには、その特徴を生かしたリモート・コントロール・キー(上写真)まで用意している。さらにスポーツラインと、Mスポーツパッケージのデザイン的はインパクトが強く、オプションも選ぶのが困難なほど数多く用意されている。我々の試乗した328iのスポーツラインは、Mスポーツのサスペンションを装着し、8速AT、オプションの19インチホィール、制御機能付きのステアリング、スロットルとDDCのスポーツ・プラスモード、さらに、高速走行時の安定性を保つシステムとトラクションコントロールまで備えていた。スポーツラインとMスポーツの2ラインを購入する顧客は、オプションでドライバーズ・パッケージを付けることが可能で、その場合、最高速度は約250キロまでとなっている(米の場合)。ちなみに、スタンダードモデルの最高速度は約210キロとのことだ。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
安全性を高めるオプションとしては、駐車時に前後とサイドをモニターで確認できるサラウンド・ビュー・システム、パーキング・アシスタント、レーン・ディパーチャー・ウォーニング、車体前方に付けられたカメラによる衝突警報システム、そしてナビゲーション機能や、車両情報表示などを一括してコントロールできるiDriveシステムなどがある。我々は、ハンズフリーでトランクを開けることができるトランク・リッド・スマート・オープナー機能を試したかったのだが、テスト車には搭載されていないとのこと。どうりで、リヤバンパーの下に何度足をかざしても開かなかったワケだ...。

おそらくこの328iの楽しさは、すべての安全装置をオフにしたときに実感できるだろう。というのは、安全性のための機能が数多く備わっているため、ちょっとでも思い切った運転をすると、警告音が鳴ったりステアリングが振動したりと、あらゆる手を使って危険性を知らせてくるのだ。そのため、安全装置をオンにしているときは、我々はブザーがならない範囲での安全運転を心掛けるしかなかった。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
インテリアをのぞくと、328iはラグジュアリーな5シリーズの小形版のような感じだ。そして、BMWらしい雰囲気を保ちつつ、モデルラインによって、シートのスティッチやデザインなどが異なるという粋な演出もしている。また、車内は温かみがあり快適であるのと同時に、頑丈な作りとなっている。新型の5シリーズと同じように、ダッシュボードが運転席側に向かって7度傾斜しているなど、すべての操作系統が操作しやすい配置となっているのも特徴だ。後部座席はと言うと、運転席との間隔が E90と比べ、約2.5センチ広がり、それに伴い足元のスペースもゆとりができた。トランクルームは、480ℓものスペースを確保しているが、さらにバックシートを倒せばフラットになるため、たくさんの荷物があるときも心配はいらない。

328iの空気抵抗係数は0.26で、これはクラス最高レベルの数字だ。しかし、我々が時速約130キロでスペインのハイウェイを走行している時、フロントのフェンダーや、Aピラーの後部、そしてミラーからの風騒音が気になってしまった。それぞれのパーツが綿密にバランスよく設計されているにもかかわらず、これほどのノイズがあるのは驚きだった。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
先代のE90が"当たり障りのない車"と評価されたことから、データ的にもデザイン的にもBMWが新型3シリーズをよりスポーティな方向性にしているのがよく分かる。注目すべきはフロント部分で、ヘッドライト部の位置が旧型よりも下がり、横に広くなっている。これによりフード部分が鋭角になり、フロントガラスまで流れるようなデザインとなった。また真四角に近い大きなフードを全開にするには、運転席の左膝あたりにあるレバーを2回引くだけでよいので、熱くなったフードに指を突っ込んで火傷をする心配もない。その他にも、フロントの中央部分には大きなキドニー・グリルが2つ装備され、スポーツラインの特徴である黒のラインがフロント全体に施されている。
【試乗記事】「エンジン音には不満! でも断トツの仕上がり!!」 BMW新型3シリーズ
新型3シリーズは、全体のイメージからすると、フロントパーツがかなり挑戦的なデザインになっている。しかし、不思議なことにこれは見れば見るほど好きになるデザインで、試乗が終わるころには、我々はすっかり虜になってしまった。BMWは、伝統のあるシリーズでリスクとも思えるデザインに挑戦した結果、新たな芸術作品を生み出したのだ。この完璧なエクステリアと、ドライビング・ダイナミクスを実現させるシャシーを備えた新型3シリーズは、このセグメントのベストカーだと言えるだろう。

日本では328iはすでに2012年の2月より販売が開始されており、価格はベーシックモデルが570万円から、そしてMスポーツは611万円からとのことだ。また、8月には328iよりもスペックがデチューンされた「320i」に、ハンドリング性能、俊敏性、走行安定性が高まった4輪駆動車「xDrive」が新たに加わった。そして、3シリーズのスポーツワゴン、ツーリングも9月に発売されている。

【基本情報】
エンジン:2リッター4気筒エンジン ツイン・スクロール・ターボチャージャー
パワー:243ps
トランスミッション:8速AT 0-100km/h:5.9km/h
駆動方式:後輪駆動
車両重量: 1560kg
座席数:2.+3
トランクルーム容量:480ℓ
燃費:9.8km/ℓ(市街地)13.6km/ℓ(高速道路)
メーカー希望小売価格:570万円(税込)から

Related Gallery:Dell Thunder leak


By Matt Davis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

【プレゼント企画】Facebookのいいね!を押してランボルギーニのミニカーを当てよう!!
【PR】3シリーズの購入を考える前に!まずは現在お乗りのクルマの査定価格を調べよう!