2012年F1第15戦日本GP決勝レースが7日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。レース後にお知らせした結果順位に続いて、レースのリポートをお届けしよう。

秋晴れの空の下、今年で50周年を迎えた鈴鹿サーキットには、前日の予選で4番手タイムを記録した小林可夢偉の応援団はもちろん、お馴染みの赤を纏ったフェラーリ・ファン、そして今年はブラック&ゴールドのキャップやウェアを身に着けた観客の姿が目立つ。フェンスには今年で引退を表明したミハエル・シューマッハを応援する、ドイツ国旗に「貴方はこれまでもこれからも我々のヒーローだ」と書いた幕も見える。



ポール・ポジションは、前日の予選で自ら「完璧なラップだった」という走りを見せたレッドブルセバスチャン・ベッテルが獲得。その隣りにはチーム・メイトのマーク・ウェバーが並ぶ。予選で3番手タイムを記録したマクラーレンジェンソン・バトンはギアボックス交換によるペナルティで5グリッド降格となったため、2列目の3番グリッドはザウバーの小林可夢偉。そしてその横にはロータス・ルノーのロマン・グロージャン、3列目は来季マクラーレンに移籍が決まっているザウバーのセルジオ・ペレスと、現在チャンピオンシップ・ポイントで首位に立つフェラーリフェルナンド・アロンソ、さらにその後列にロータス・ルノーのキミ・ライコネンと、降格したジェンソン・バトンというスターティング・グリッドだ。



そして午後3時、いよいよ今年の日本GP決勝レースがスタート。まずはポール・ポジションから飛び出したベッテルが首位をキープ。続いてウェバーをかわした可夢偉が2位に上がる。路面状態の良い奇数列グリッドが幸いしたようだ。波乱が起こったのはその後ろ。右から寄ってきたアロンソを、ライコネンはコースからはみ出るほど左いっぱいに避けようとするが、1コーナー入り口でアロンソのテールにライコネンのノーズが接触。これで左リア・タイヤをパンクさせてしまったアロンソはスピン状態となり、サンドトラップに向かってコース・オフ。その場でレースを終える。



さらに同じ頃、2コーナーではグロージャンがウェバーに追突。レッドブルのマシンがコース上で横を向く。この事故で早くもセーフティ・カーが出動。グロージャンはピットへ戻ってフロント・ノーズを交換。かなり遅れてウェバーもようやくピットに辿り着き、マシンを修復。大きく順位を落としたが、何とかレースに戻る。

2周目の終わりにセーフティ・カーが退場し、レース再開。と思ったら、今度はライコネンと並んで1コーナーに入ろうとしたペレスがコースからはみ出してしまう。

この時の順位は、1位がベッテル、2位に小林可夢偉、3位バトン、そして4位には10番手からスタートしたフェラーリのフェリペ・マッサが上がって来た。5位は序盤からバトルしながらも順位は上げているあたりが流石のライコネン。6位に今回の日本GPではやや不調気味なマクラーレンのルイス・ハミルトン。7位がコースに戻ったペレス。前戦の追突事故により10グリッドも降格させられ23番手からスタートしたシューマッハは、14位までポジションを上げて来た。

5周目に差し掛かる頃には、ベッテルが早くもリードを築き始める。2位の可夢偉との差は約2.6秒。そして可夢偉と、3位バトンとの差は1秒弱。そもそも予選では可夢偉よりバトンのマクラーレンの方が速かったのだ。トップのベッテルを追い掛けるよりも、バトンから順位を守ることに精一杯のように見える可夢偉。現在2位とはいえ、苦しい戦いになりそうだ。



6周目、ペレスがハミルトンをパスして6位に。グロージャンにはウェバーに追突したことからストップ&ゴー(ビットで10秒間の静止)ペナルティが科せられる。

ベッテルは可夢偉とのギャップをラップ毎に拡げて行き、13周目にはその差約8秒。この周の終わりに、上位陣ではまずバトンとライコネンがピットへ戻りタイヤを交換する。これを見て可夢偉のザウバー陣営もすぐに反応。予定ではペレスを先にピットに入れるつもりだったようだが、変更して可夢偉から、14周目の終わりにタイヤ交換。無事、バトンの前でコースに戻る。

しかしこの時、タイヤ交換を終えた可夢偉とバトンを、トロロッソのダニエル・リカルドが抑える形になってしまった。ラップタイムは可夢偉たちの方が速いのだが、トロロッソのマシンはストレートが速いので、DRS(可変リアウイング)を使っても、なかなか前に出られない。17周目になってようやく可夢偉はリカルドをパスすることが出来た。

ここで "引っ掛かって" タイム・ロスしたことが順位に大きく響いてしまう。17周目の終わりにピットへ戻ってタイヤ交換したマッサは、なんと可夢偉の前でコース復帰に成功。各車1度目のタイヤ交換を終えたところで、順位は1位ベッテル、2位マッサ、3位可夢偉、4位バトン、5位ライコネン、6位ハミルトン、7位ペレス。

同じようにピットインで順位を逆転されたペレスが、19周目のヘアピンでハミルトンに再び仕掛ける。しかしアウト側からではちょっと無理があった。オーバー・スピードでコースオフしたペレスはグラベルに掴まり、ここでリタイア。



新品のタイヤを履いたマッサは、最速ラップタイムを連発してベッテルを追い掛ける。その差は約10秒。そこからさらに約3秒遅れて小林可夢偉。

26周目になると、可夢偉が前の2台からやや遅れ始める。もともと抜群に速いベッテルのマシンと、それに喰らい付いているマッサ。彼らについていくのは可夢偉のマシンにとって容易なことではない。31周目にはベッテルとマッサの差が約12秒。そして可夢偉はマッサから8秒も離されてしまっている。

この周の終わりに可夢偉はピットへ向かう。2度目のタイヤ交換を終え、ジャッキが上がるか上げ切らないか、ぎりぎりのタイミングでマシンを発進させる可夢偉。ベッテルはともかく、マッサやバトンより先に3セット目のタイヤを履くことになった可夢偉は、レース終盤になれば彼らより苦しくなることが分かっている。1/100秒でも早くピットを出たかったのだ。

バトンが2回目のピット・ストップを行ったのは35周目の終わり。その間に可夢偉はコントロール・ラインを通過。ポジションをキープする。次の周にはマッサが、さらに1周後にトップのベッテルも最後のタイヤ交換を済ませる。上位陣には、このピット・ストップによる順位の変動はなかった。あとはコース上で戦うだけだ。

40周目を過ぎた頃、トップのベッテルと2位マッサとのタイム差は約18秒。そしてマッサと3位の可夢偉との差が約4秒。さらに可夢偉と4位バトンとの差は3秒。

予選の時から可夢偉より速く、しかも新しめのタイヤを履いているバトンは、表彰台の一角を賭けて可夢偉を猛追し始める。

44周目には可夢偉とバトンの差が2秒を切り、47周目になるとさらに1.5秒に縮まる。スタンドで可夢偉の応援団がフラッグを振る様子が国際映像に映し出される。これが力を与えたのか、可夢偉は自己ベスト・タイムを叩き出し、バトンとの差を1.7秒に僅かだが拡げる。



レースは50周目に入り、マッサ、可夢偉、バトンの3台のラップ・タイムが揃って1分36秒台に突入。ラスト・スパートを掛ける。

その周、シケインの入り口で可夢偉がブレーキをロックさせてしまい、バトンに迫られる。51周目のコントロール・ラインを過ぎたとき、2人の差は1.2秒にまで縮まっていた。これが1秒を切ると、追う側のバトンはDRSが使えるようになる。DRSゾーンに入れさせたくない可夢偉と、DRSを使えるところまで近づきたいバトン。51周目、可夢偉とバトンは2人揃って自己ベスト・タイムを更新。コントロール・ラインで計測されたその差は1.049秒!

52周目、ヘアピン・コーナーで可夢偉はブレーキをロック。タイヤからスモークが上がる。最終ラップのストレートでDRSを使いたいバトンは、シケインの入り口でブレーキを遅らせて可夢偉に迫ろうとする。

いよいよ最終53周目、ストレートでDRSを開いて可夢偉を追うバトン。だが今年の鈴鹿はこのDRS使用可能区間が短く設定されている。そのため可夢偉に追いつくところまでは届かず。

残り1周、2人のバトルの行方は!? と思ったらここでトップのベッテルがチェッカーフラッグを受ける。さすがに映像はこちらを映さないわけにはいかない。片手を振り上げてピットの前を通過するベッテル。喜びに沸くレッドブルのチーム・スタッフたち。可夢偉とバトンの様子は映像に映らない。

次に2人をカメラが捉えたのはゴール前。可夢偉はバトンを見事に抑え切り、メイン・スタンド前まで戻ってきた。テレビ中継の音声を通して物凄い歓声が聞こえて来る。



そして可夢偉だけでなく、多くの人々にとって念願の表彰台。鈴鹿のF1で日本人ドライバーがここに立ったのは、1990年の鈴木亜久里以来、実に22年ぶりのこと。インタビュアーを務めたジャン・アレジから「日本語でどうぞ」と言われた小林可夢偉は「初めての表彰台が鈴鹿ということで、本当によかったと思います。皆さんありがとうございました」と喜びを表現。すると優勝したベッテルが、可夢偉に「一緒にポディウムに上がったのは、F3の時以来だね」と声を掛ける。2006年、可夢偉とベッテルはユーロF3でチーム・メイトだったのだ。「そんなこと言ってくれるベッちゃん、いやベッテルに感謝です」と応える可夢偉。
しかし今回のレースは、1回目のピット・ストップの後、リカルドに引っ掛からなければもう1つ順位は上だったかも知れず、レース後の会見では「展開が良ければ2番にも入れたかも知れませんけど」と、ちょっと悔しさも滲ませる。
2位のフェリペ・マッサは2010年韓国GP以来、2年ぶりの表彰台。シューマッハはスタート時から12台も抜いたがポイントには一歩届かず、11位に終わった。



なお、レースの結果順位は以下の通り。

1位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル)
2位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
3位 小林可夢偉(ザウバー)
4位 ジェンソン・バトン(マクラーレン)
5位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン)
6位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
7位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)
8位 パストール・マルドナド(ウィリアムズ)
9位 マーク・ウェバー(レッドブル)
10位 ダニエル・リカルド(トロ・ロッソ)
11位 ミハエル・シューマッハ(メルセデス)
12位 ポール・ディ・レスタ(フォース・インディア)
13位 ジャン・エリック・ベルニュ(トロ・ロッソ)
14位 ブルーノ・セナ(ウィリアムズ)
15位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム)
16位 ティモ・グロック(マルシア)
17位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム)
18位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT)
19位 ロマン・グロージャン(ロータス・ルノー)

これでチャンピオンシップ・ポイントは、1位のアロンソと2位のベッテルが4ポイント差という激戦に。次戦は来週、すぐに韓国GPが始まる。ベッテルや可夢偉は良い流れのまま入っていけるか。アロンソは巻き返しを図れるか。10月14日、またレース後に結果をお伝えしたい。



レース後の可夢偉のコメントはこちら。




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